恋人にバカにされて捨てられたのでイケメン社長と仕返しして更に付き合うことになった話

雨宮里玖

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36.信じている ※

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 神乃は部屋の中に戻り鍵をかけた。
 富永の様子を伺うと、眠りに落ちているみたいだ。
 そばに近寄って富永を眺めているうちに、もっと近づきたくなって、そっと富永と同じ布団の中に潜り込む。



 ——富永。ごめん。朝起きたとき、俺じゃなくて藍羅がそばにいたら、きっと富永はびっくりするよな。

 富永を驚かせることになり、申し訳ないと思うが、わけを話せば富永ならきっと理解してくれるのではないだろうか。

 神乃の思惑としては、このまま夜をここで過ごし、朝になったら藍羅と入れ替わる。
 目覚めたあと藍羅の姿を見て驚いた富永は、きっと「恋人交換なんて認めない!」と、神乃とヒロくんに会おうとするだろうから、そこで富永にネタばらしだ。

 ヒロくんは「恋人交換だなんて、人をバカにしてるのか」と藍羅を責めるに違いない。
 ヒロくんには既に藍羅の本性を暴露してあるし、藍羅が言い逃れできないよう、恋人交換の茶番劇にのってくれるように話を持ちかけてある。
 そうすれば神乃としても、『富永へ金を返す』という藍羅との約束の交換条件を満たすことができる。神乃は藍羅にできる限りの協力はした立場だ。なにを責められよう。

 女と女の交換ならまだしも、男と女の恋人交換には無理がある。そもそも身体の構造が違うのだからそれを酔っていたとはいえ、間違って抱くものか?!

 聞けばヒロくんは仕事中心の真面目な性格も相まって三十六歳独身、藍羅とは結婚を前提として付き合い始めたんだそうだ。さぞかしぶつける怒りは大きかろう。

 藍羅はヒロくんに捨てられる。
 富永も、藍羅になにを言われても藍羅を受け入れることはないはずだ。富永は責任を取らなきゃいけないことは何もしていないし、きっと藍羅よりも神乃を選んでくれると信じている。

 恋人交換なんてできもしないことを考えついた藍羅は、結局お金を返すことになり、恋人には振られ、富永には受け入れてもらえず、ただ自滅するだけだ。



 ——こんな富永を騙すような真似をして、俺は富永に嫌われたりしないかな。

 お金を取り戻したかったと理由を説明して、神乃はもともと恋人交換などはなからするつもりはなかったんだと富永に訴えれば、許してもらえるんじゃないだろうか。
 富永は「もうこんなバカなことは二度とするなよ」と言ってきっと抱き締めてくれるはず。



 ——富永。頼むから俺を嫌いにならないでくれ。

 少しだけ富永に触れてみたくなって、神乃はそっと富永に身体を寄せ、その身体に抱きついた。途端、富永に抱き締め返された。

「神乃……」

 富永が急に喋ったことに驚いて、富永を見ると、目はすわっているが開いている。
 だがいつもと全然様子が違う。いつもは紳士的な富永が、性急に神乃のズボンと下着に手をかけ、それを奪い取ろうとする。

「ちょっ……えっ……?!」

 神乃が動揺しているうちに、富永にあっという間に組み敷かれた。

「あっ……ン……」

 いきなり性器を掴まれて、弄ばれて、どうやら富永は神乃のものを無理に勃たせる気のようだ。
 抵抗しようにもすぐに抑えつけられる。富永はこんなに力が強かったのかと恐ろしくなるくらいだ。

「もっと喘げ。声出せよ」

 みっともなく鳴けと服を乱され乳首をキュッと摘まれる。それに神乃が「あぁっ……」と声を洩らすと富永は満足そうな顔をした。

「あっ、だめ、も……出るっ……っ」

 富永は容赦ない。全然手を止めてくれないから、神乃はすぐに達してしまった。
 その神乃が放ったものを富永は手で受け止めた。
 それを使って今度は神乃の後孔へ自身の屹立したものを侵入させてくる。

「えっ……」

 性急にイかされて、過敏になった神乃の中を富永は力ずくでこじ開けた。

「あっ、あっ、あっ、とみなっ……!」

 これは雄の本能だ。前戯なんてあったものじゃない。富永は自由に神乃の身体を貪っている。

「キス、キス、キスしたい」

 富永は強引に神乃の唇を奪う。そのまま熱い舌を捩じ込んできて、神乃の舌を絡めとる。

「……んっ……ンぁ……っ」

 上も下も富永に蹂躙され、神乃はすっかり身動きがとれない。
 こんな激しい富永は初めてだ。いつもはどれだけ気持ちを抑制していたのだろうと心配になるくらいの別人ぶりだ。

 なんだか急に身体が変だ。富永の雄に責められるたびに今まで感じたことのないところからオーガズムを感じる。
 やばいやばいと思っても、富永の律動は激しくなるばかりだ。

「あぁぁぁっ……!」

 ゴムの隔りもないままに、富永に中に放たれて、神乃は身体を仰け反らせる。
 富永が達すると同時に自分も中からの前立腺への刺激で達してしまったからだ。
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