恋人にバカにされて捨てられたのでイケメン社長と仕返しして更に付き合うことになった話

雨宮里玖

文字の大きさ
上 下
32 / 44

32.奇跡 ※

しおりを挟む
 富永と暮らすマンションに帰宅したが、富永はいなかった。
 神乃が『今日は何時くらいに帰ってくる?』と富永に連絡すると、『今すぐ帰る』と秒で返信が送られてきた。


 富永は本当に早く帰ってきた。連絡してからものの15分で帰ってきたので、会社からの移動時間を考えると飛んで帰ってきたのだろう。
 最近ろくに料理もしていなかったので、久しぶりに何か作ろうかと思い立ち、神乃がエプロンをつけ、キッチンに立ったくらいの間しかなかった。

 神乃が富永を迎えに出ると、富永に急に抱き締められた。

「神乃、どうしたんだ?! 今日は仕事が早く終わったのか?!」

「うん。大きな仕事が終わったから、これからはしばらく普通に帰れるようになると思うから」

「そっか……よかった。正直神乃が無理して倒れるんじゃないかってちょっと心配してた」

 富永は「少し痩せたよな」と、神乃の顔を覗き込んで頬を撫でた。

 富永は相変わらずかっこいい。中学の頃からかっこよくて、二十九歳になった今もそれは変わらない。
 人相はその人の心を表すというけれど、富永は温和で優しい顔した男だ。誠実さが伝わるから仕事でも信頼を得ているのかもしれない。

 目の前に富永の唇があることに、たまらない気持ちになり、神乃は惹き寄せられるようにしてそこへ唇を軽く重ねた。
 すると富永が「えっ?!」と大きな目をさらに大きく見開いた。

「神乃、もしかして俺のこと好き?」

 えっ、今さら? 俺はすっかり富永に惚れてるけどと思いながらも「うん」と頷くと、富永はめちゃくちゃ嬉しそうな顔をした。

「奇跡だ」

 富永はそう呟いて、濃厚なキスを仕掛けてきた。
 玄関で靴も脱がずにいる富永は、神乃のシャツとスラックスの隙間にから手を入れ、神乃の肌を撫でてくる。

「はっ……んぅ……」

 ふたりの熱は徐々に上がり、神乃も気がつけば富永のシャツを乱し、富永を求め始めていた。

「ごめん、神乃。夕食は後にして、今すぐ神乃が欲しい……」

 キスの合間にそう囁かれ、スラックスの上から下半身に触れられて、ドキッとした。神乃のそこは既に反応を示していて、昂っていることを富永に知られてしまった。

「可愛い神乃」

 富永に触れられてそれはさらに硬さを増す。やがて壁に背中を預けるような姿勢にさせられ、富永は神乃のベルトをカチャカチャと外し始めた。

「えっ、あっ……んんっ……!」

 富永に直接握られ、気持ちのいい間隔で扱かれる。こんなところで急に、と思うのに富永の手のひらが温かくて心地がよい。
 神乃は富永から受ける行為に抗えず、気づけば腰を揺らしていた。

「富永っ……だめ…っ…」

 これ以上は耐えきれないと、富永の手を退けたら、富永は神乃の前にひざまずいて神乃の昂りを咥えた。

「とっ、みなが、駄目だって……っ」

 富永にそんな真似はさせられないと頭を離すよう富永を促すのに、富永はやめようとしない。そのまま富永の舌で唇で巧みに刺激され、神乃はすぐに絶頂へと導かれる。

「あぁ……! も、出るッ……っ」

 身体を震わせ、神乃が白濁を放つと富永はそれを待っていたかのようにじゅるっと音を立てて吸い上げる。

「……吸う…な……っ」

 そこから放ったものは決して美味しいものじゃない。それなのに富永は残らず吸い上げ、ごくんと飲み込んだあと、最後に神乃の亀頭にキスをした。

「神乃。ベッドに行こう」

 達したばかりでまだ震える身体を富永にぐわっと抱えられ、神乃は有無を言う前に富永に連行された。
しおりを挟む
感想 39

あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

美少年に転生したらヤンデレ婚約者が出来ました

SEKISUI
BL
 ブラック企業に勤めていたOLが寝てそのまま永眠したら美少年に転生していた  見た目は勝ち組  中身は社畜  斜めな思考の持ち主  なのでもう働くのは嫌なので怠惰に生きようと思う  そんな主人公はやばい公爵令息に目を付けられて翻弄される    

【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(要らない悪役令嬢1巻重版)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」  洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。 子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。  人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。 「僕ね、セティのこと大好きだよ」   【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印) 【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ 【完結】2021/9/13 ※2020/11/01  エブリスタ BLカテゴリー6位 ※2021/09/09  エブリスタ、BLカテゴリー2位

堕とされた悪役令息

SEKISUI
BL
 転生したら恋い焦がれたあの人がいるゲームの世界だった  王子ルートのシナリオを成立させてあの人を確実手に入れる  それまであの人との関係を楽しむ主人公  

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「僕の方がぜってー綺麗なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談? 本気? 二人の結末は? 美形病みホスと平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。

処理中です...