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32.奇跡 ※
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富永と暮らすマンションに帰宅したが、富永はいなかった。
神乃が『今日は何時くらいに帰ってくる?』と富永に連絡すると、『今すぐ帰る』と秒で返信が送られてきた。
富永は本当に早く帰ってきた。連絡してからものの15分で帰ってきたので、会社からの移動時間を考えると飛んで帰ってきたのだろう。
最近ろくに料理もしていなかったので、久しぶりに何か作ろうかと思い立ち、神乃がエプロンをつけ、キッチンに立ったくらいの間しかなかった。
神乃が富永を迎えに出ると、富永に急に抱き締められた。
「神乃、どうしたんだ?! 今日は仕事が早く終わったのか?!」
「うん。大きな仕事が終わったから、これからはしばらく普通に帰れるようになると思うから」
「そっか……よかった。正直神乃が無理して倒れるんじゃないかってちょっと心配してた」
富永は「少し痩せたよな」と、神乃の顔を覗き込んで頬を撫でた。
富永は相変わらずかっこいい。中学の頃からかっこよくて、二十九歳になった今もそれは変わらない。
人相はその人の心を表すというけれど、富永は温和で優しい顔した男だ。誠実さが伝わるから仕事でも信頼を得ているのかもしれない。
目の前に富永の唇があることに、たまらない気持ちになり、神乃は惹き寄せられるようにしてそこへ唇を軽く重ねた。
すると富永が「えっ?!」と大きな目をさらに大きく見開いた。
「神乃、もしかして俺のこと好き?」
えっ、今さら? 俺はすっかり富永に惚れてるけどと思いながらも「うん」と頷くと、富永はめちゃくちゃ嬉しそうな顔をした。
「奇跡だ」
富永はそう呟いて、濃厚なキスを仕掛けてきた。
玄関で靴も脱がずにいる富永は、神乃のシャツとスラックスの隙間にから手を入れ、神乃の肌を撫でてくる。
「はっ……んぅ……」
ふたりの熱は徐々に上がり、神乃も気がつけば富永のシャツを乱し、富永を求め始めていた。
「ごめん、神乃。夕食は後にして、今すぐ神乃が欲しい……」
キスの合間にそう囁かれ、スラックスの上から下半身に触れられて、ドキッとした。神乃のそこは既に反応を示していて、昂っていることを富永に知られてしまった。
「可愛い神乃」
富永に触れられてそれはさらに硬さを増す。やがて壁に背中を預けるような姿勢にさせられ、富永は神乃のベルトをカチャカチャと外し始めた。
「えっ、あっ……んんっ……!」
富永に直接握られ、気持ちのいい間隔で扱かれる。こんなところで急に、と思うのに富永の手のひらが温かくて心地がよい。
神乃は富永から受ける行為に抗えず、気づけば腰を揺らしていた。
「富永っ……だめ…っ…」
これ以上は耐えきれないと、富永の手を退けたら、富永は神乃の前に跪いて神乃の昂りを咥えた。
「とっ、みなが、駄目だって……っ」
富永にそんな真似はさせられないと頭を離すよう富永を促すのに、富永はやめようとしない。そのまま富永の舌で唇で巧みに刺激され、神乃はすぐに絶頂へと導かれる。
「あぁ……! も、出るッ……っ」
身体を震わせ、神乃が白濁を放つと富永はそれを待っていたかのようにじゅるっと音を立てて吸い上げる。
「……吸う…な……っ」
そこから放ったものは決して美味しいものじゃない。それなのに富永は残らず吸い上げ、ごくんと飲み込んだあと、最後に神乃の亀頭にキスをした。
「神乃。ベッドに行こう」
達したばかりでまだ震える身体を富永にぐわっと抱えられ、神乃は有無を言う前に富永に連行された。
神乃が『今日は何時くらいに帰ってくる?』と富永に連絡すると、『今すぐ帰る』と秒で返信が送られてきた。
富永は本当に早く帰ってきた。連絡してからものの15分で帰ってきたので、会社からの移動時間を考えると飛んで帰ってきたのだろう。
最近ろくに料理もしていなかったので、久しぶりに何か作ろうかと思い立ち、神乃がエプロンをつけ、キッチンに立ったくらいの間しかなかった。
神乃が富永を迎えに出ると、富永に急に抱き締められた。
「神乃、どうしたんだ?! 今日は仕事が早く終わったのか?!」
「うん。大きな仕事が終わったから、これからはしばらく普通に帰れるようになると思うから」
「そっか……よかった。正直神乃が無理して倒れるんじゃないかってちょっと心配してた」
富永は「少し痩せたよな」と、神乃の顔を覗き込んで頬を撫でた。
富永は相変わらずかっこいい。中学の頃からかっこよくて、二十九歳になった今もそれは変わらない。
人相はその人の心を表すというけれど、富永は温和で優しい顔した男だ。誠実さが伝わるから仕事でも信頼を得ているのかもしれない。
目の前に富永の唇があることに、たまらない気持ちになり、神乃は惹き寄せられるようにしてそこへ唇を軽く重ねた。
すると富永が「えっ?!」と大きな目をさらに大きく見開いた。
「神乃、もしかして俺のこと好き?」
えっ、今さら? 俺はすっかり富永に惚れてるけどと思いながらも「うん」と頷くと、富永はめちゃくちゃ嬉しそうな顔をした。
「奇跡だ」
富永はそう呟いて、濃厚なキスを仕掛けてきた。
玄関で靴も脱がずにいる富永は、神乃のシャツとスラックスの隙間にから手を入れ、神乃の肌を撫でてくる。
「はっ……んぅ……」
ふたりの熱は徐々に上がり、神乃も気がつけば富永のシャツを乱し、富永を求め始めていた。
「ごめん、神乃。夕食は後にして、今すぐ神乃が欲しい……」
キスの合間にそう囁かれ、スラックスの上から下半身に触れられて、ドキッとした。神乃のそこは既に反応を示していて、昂っていることを富永に知られてしまった。
「可愛い神乃」
富永に触れられてそれはさらに硬さを増す。やがて壁に背中を預けるような姿勢にさせられ、富永は神乃のベルトをカチャカチャと外し始めた。
「えっ、あっ……んんっ……!」
富永に直接握られ、気持ちのいい間隔で扱かれる。こんなところで急に、と思うのに富永の手のひらが温かくて心地がよい。
神乃は富永から受ける行為に抗えず、気づけば腰を揺らしていた。
「富永っ……だめ…っ…」
これ以上は耐えきれないと、富永の手を退けたら、富永は神乃の前に跪いて神乃の昂りを咥えた。
「とっ、みなが、駄目だって……っ」
富永にそんな真似はさせられないと頭を離すよう富永を促すのに、富永はやめようとしない。そのまま富永の舌で唇で巧みに刺激され、神乃はすぐに絶頂へと導かれる。
「あぁ……! も、出るッ……っ」
身体を震わせ、神乃が白濁を放つと富永はそれを待っていたかのようにじゅるっと音を立てて吸い上げる。
「……吸う…な……っ」
そこから放ったものは決して美味しいものじゃない。それなのに富永は残らず吸い上げ、ごくんと飲み込んだあと、最後に神乃の亀頭にキスをした。
「神乃。ベッドに行こう」
達したばかりでまだ震える身体を富永にぐわっと抱えられ、神乃は有無を言う前に富永に連行された。
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