99 / 103
番外編『お仕置きされたいSubの和泉くん』
1-4 ※
しおりを挟む
「気が合うな。お前はSubっぽくないからそういうのは嫌いなんだと思ってたよ」
佐原がニヤリと口角を上げる。その視線の鋭さはまるで狙いをすまして獲物を狩るハンターのようだ。
「やってやる。和泉、覚悟はできてるんだろうな?」
「えっ?」
和泉が困惑しているうちに、佐原は和泉のネクタイをしゅるっと引き抜き、和泉の両手首を縛りつける。さらにネクタイのその先を玄関ドアの取手部分に括りつけた。
「夜だから声を出すなよ」
背後から覆い被さるようにして身体を重ねてきた佐原が囁く。そのあと意地悪く和泉のモノを容赦なく上下に扱いてきた。
「あっ、あっ、待てって……!」
「お仕置きされたいんだろ? さっきお前に拒絶されて、『帰る』なんて言われて俺がどれだけ辛かったか。そういう悪いことはもうしないようにDomの俺が躾けてやる」
「あっ、あっ……! それダメ、くぅ……! あぁぁぁぁっ!」
身をよじっても逃げられなくてあっという間にイかされた。
こんなに早く達したことが恥ずかしい。こんなところで達するなんてと思うし、つい卑猥な声をあげてしまったことも廊下に声が洩れていないかとドキドキする。
「次は俺だ」
下着をとられて、足を肩幅より大きく開かされる。尻を突き出すような格好にさせられ、さっき和泉の放ったものと共に指を突っ込まれ、後孔を弄ばれる。
「あぁぁっ……んぅっ……はぁっ、あっ……」
佐原から与えられる快感に必死で耐える。
「和泉。足音が聞こえるから静かにしろよ」
佐原はそう囁いたあと、和泉の後孔をガッチガチの自分のモノで貫いた。
「あぁぁ……!」
悲鳴のような嬌声を上げたら、佐原の手のひらで口を塞がれた。
佐原さえ止まってくれればこっちも喘がずに済むのに、佐原は容赦なく和泉の身体を責めてくる。
「んんーーっ!!」
たまらなくなって手を動かすと、縛られたままの手首がガチャガチャと取手を揺らした。
「やばい和泉。俺、やっぱりDomだ。お前が身悶える姿を見てすごく興奮する」
佐原は今度は和泉のうなじに噛みついた。その痛みすら、今の和泉の身体は快感ととらえる。
「あっ、佐原っ、佐原……っ」
自然と腰が揺れてしまう。お仕置きされることに身体が悦んでいる。
「和泉、和泉、はぁっ……あぁ……!」
和泉を征服することで、佐原もDomとしての本能が満たされているみたいだ。乱暴に和泉を最奥まで貫く、容赦ない抽送に和泉は何度も何度も喘いだ。
「……ごめん、和泉」
「いや、俺のほうこそ悪かった……」
冷静になってみて、佐原とふたりで謝り合う。
あれからベッドで第二ラウンドを開始し、相当に盛り上がったふたりは後先考えずに交わった。
おかげで和泉のスーツはぐっちゃぐちゃ。佐原のマンションの玄関も、ベッドのシーツもぐしょ濡れだ。
「片付けは明日にするとして、ベッドだけなんとかして寝よう」
「そうだな……」
和泉の身体はフラフラだ。何もする気も起きずに、佐原が直してくれたベッドの上にぐったり倒れ込んだ。
「和泉、すごくよかったよ」
佐原もベッドに潜り込んできて、和泉の肩まで布団をかけつつ嬉々として話しかけてきた。
「Domの体力はどうなってんだよ……」
あれだけ派手に抱き合ったのに、佐原は疲れなかったのだろうか。和泉は今にも寝落ちしそうだ。
「和泉、俺たちは最高のパートナーだ。精神面で和泉の存在が俺を支えてくれるのは今までも感じてたんだけどさ、まさか身体の相性までぴったり合うとはな」
「えっ……」
「お仕置きプレイ」
ニヤニヤしながらその単語を出されて和泉はビクッと反応する。
「和泉はそういうのは嫌なのかとばかり思ってたのに、俺と趣味嗜好が一緒みたいだな。今後はいろんなシチュエーションでやろう」
「な……っ!」
いろんなシチュエーションとはなんだろう。その具体的な内容までは、ちょっと聞く勇気が持てなかった。
「これからますます和泉との夜が楽しみだ」
佐原の笑顔が怖い。佐原はどこまでお仕置きするつもりなのだろう。
佐原にやられたらそっちの道に目覚めて、身体を開発されそうで怖い。今よりもっと卑猥な姿を佐原に晒すことになってしまうのだろうか。
「和泉。Goodboy」
佐原がぎゅっと抱き締めてきた。
「褒めるまでがセットだもんな。Good」
大好きなDomからケアのコマンドを受けて、心が満たされていく。
佐原の腕の中で、和泉は幸せのため息をつく。
恥ずかしくてとても佐原には言えないが、今日はお仕置きと称して強引に身体を暴かれて、Subの和泉としてはかなり興奮した。
そのせいで佐原とのプレイが盛り上がってしまい、スーツを台無しにした。
でもプレイはすごく気持ちよかった。その上ケアまで受けて、今は大満足だ。
「俺はやばい。すっかり和泉の虜だ。もう絶対に手放したくない……」
疲れて微睡む和泉は、佐原の腕に抱かれながら、なんて大袈裟な奴なんだと思う。
でも、自分も大概に佐原のことが好きで、好きでどうしようもない。
お互いが虜になっているんじゃ、これはいつまでも一緒にいるしかないな、と思いながら和泉は最愛のDomの腕の中で目を閉じた。
番外編『お仕置きされたいSubの和泉くん』 ——完。
佐原がニヤリと口角を上げる。その視線の鋭さはまるで狙いをすまして獲物を狩るハンターのようだ。
「やってやる。和泉、覚悟はできてるんだろうな?」
「えっ?」
和泉が困惑しているうちに、佐原は和泉のネクタイをしゅるっと引き抜き、和泉の両手首を縛りつける。さらにネクタイのその先を玄関ドアの取手部分に括りつけた。
「夜だから声を出すなよ」
背後から覆い被さるようにして身体を重ねてきた佐原が囁く。そのあと意地悪く和泉のモノを容赦なく上下に扱いてきた。
「あっ、あっ、待てって……!」
「お仕置きされたいんだろ? さっきお前に拒絶されて、『帰る』なんて言われて俺がどれだけ辛かったか。そういう悪いことはもうしないようにDomの俺が躾けてやる」
「あっ、あっ……! それダメ、くぅ……! あぁぁぁぁっ!」
身をよじっても逃げられなくてあっという間にイかされた。
こんなに早く達したことが恥ずかしい。こんなところで達するなんてと思うし、つい卑猥な声をあげてしまったことも廊下に声が洩れていないかとドキドキする。
「次は俺だ」
下着をとられて、足を肩幅より大きく開かされる。尻を突き出すような格好にさせられ、さっき和泉の放ったものと共に指を突っ込まれ、後孔を弄ばれる。
「あぁぁっ……んぅっ……はぁっ、あっ……」
佐原から与えられる快感に必死で耐える。
「和泉。足音が聞こえるから静かにしろよ」
佐原はそう囁いたあと、和泉の後孔をガッチガチの自分のモノで貫いた。
「あぁぁ……!」
悲鳴のような嬌声を上げたら、佐原の手のひらで口を塞がれた。
佐原さえ止まってくれればこっちも喘がずに済むのに、佐原は容赦なく和泉の身体を責めてくる。
「んんーーっ!!」
たまらなくなって手を動かすと、縛られたままの手首がガチャガチャと取手を揺らした。
「やばい和泉。俺、やっぱりDomだ。お前が身悶える姿を見てすごく興奮する」
佐原は今度は和泉のうなじに噛みついた。その痛みすら、今の和泉の身体は快感ととらえる。
「あっ、佐原っ、佐原……っ」
自然と腰が揺れてしまう。お仕置きされることに身体が悦んでいる。
「和泉、和泉、はぁっ……あぁ……!」
和泉を征服することで、佐原もDomとしての本能が満たされているみたいだ。乱暴に和泉を最奥まで貫く、容赦ない抽送に和泉は何度も何度も喘いだ。
「……ごめん、和泉」
「いや、俺のほうこそ悪かった……」
冷静になってみて、佐原とふたりで謝り合う。
あれからベッドで第二ラウンドを開始し、相当に盛り上がったふたりは後先考えずに交わった。
おかげで和泉のスーツはぐっちゃぐちゃ。佐原のマンションの玄関も、ベッドのシーツもぐしょ濡れだ。
「片付けは明日にするとして、ベッドだけなんとかして寝よう」
「そうだな……」
和泉の身体はフラフラだ。何もする気も起きずに、佐原が直してくれたベッドの上にぐったり倒れ込んだ。
「和泉、すごくよかったよ」
佐原もベッドに潜り込んできて、和泉の肩まで布団をかけつつ嬉々として話しかけてきた。
「Domの体力はどうなってんだよ……」
あれだけ派手に抱き合ったのに、佐原は疲れなかったのだろうか。和泉は今にも寝落ちしそうだ。
「和泉、俺たちは最高のパートナーだ。精神面で和泉の存在が俺を支えてくれるのは今までも感じてたんだけどさ、まさか身体の相性までぴったり合うとはな」
「えっ……」
「お仕置きプレイ」
ニヤニヤしながらその単語を出されて和泉はビクッと反応する。
「和泉はそういうのは嫌なのかとばかり思ってたのに、俺と趣味嗜好が一緒みたいだな。今後はいろんなシチュエーションでやろう」
「な……っ!」
いろんなシチュエーションとはなんだろう。その具体的な内容までは、ちょっと聞く勇気が持てなかった。
「これからますます和泉との夜が楽しみだ」
佐原の笑顔が怖い。佐原はどこまでお仕置きするつもりなのだろう。
佐原にやられたらそっちの道に目覚めて、身体を開発されそうで怖い。今よりもっと卑猥な姿を佐原に晒すことになってしまうのだろうか。
「和泉。Goodboy」
佐原がぎゅっと抱き締めてきた。
「褒めるまでがセットだもんな。Good」
大好きなDomからケアのコマンドを受けて、心が満たされていく。
佐原の腕の中で、和泉は幸せのため息をつく。
恥ずかしくてとても佐原には言えないが、今日はお仕置きと称して強引に身体を暴かれて、Subの和泉としてはかなり興奮した。
そのせいで佐原とのプレイが盛り上がってしまい、スーツを台無しにした。
でもプレイはすごく気持ちよかった。その上ケアまで受けて、今は大満足だ。
「俺はやばい。すっかり和泉の虜だ。もう絶対に手放したくない……」
疲れて微睡む和泉は、佐原の腕に抱かれながら、なんて大袈裟な奴なんだと思う。
でも、自分も大概に佐原のことが好きで、好きでどうしようもない。
お互いが虜になっているんじゃ、これはいつまでも一緒にいるしかないな、と思いながら和泉は最愛のDomの腕の中で目を閉じた。
番外編『お仕置きされたいSubの和泉くん』 ——完。
245
お気に入りに追加
1,694
あなたにおすすめの小説
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ブラッドフォード卿のお気に召すままに~~腹黒宰相は異世界転移のモブを溺愛する~~
ゆうきぼし/優輝星
BL
異世界転移BL。浄化のため召喚された異世界人は二人だった。腹黒宰相と呼ばれるブラッドフォード卿は、モブ扱いのイブキを手元に置く。それは自分の手駒の一つとして利用するためだった。だが、イブキの可愛さと優しさに触れ溺愛していく。しかもイブキには何やら不思議なチカラがあるようで……。
*マークはR回。(後半になります)
・毎日更新。投稿時間を朝と夜にします。どうぞ最後までよろしくお願いします。
・ご都合主義のなーろっぱです。
・第12回BL大賞にエントリーしました。攻めは頭の回転が速い魔力強の超人ですがちょっぴりダメンズなところあり。そんな彼の癒しとなるのが受けです。癖のありそうな脇役あり。どうぞよろしくお願いします。
腹黒宰相×獣医の卵(モフモフ癒やし手)
・イラストは青城硝子先生です。
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる