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番外編『お仕置きされたいSubの和泉くん』

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「気が合うな。お前はSubっぽくないからそういうのは嫌いなんだと思ってたよ」

 佐原がニヤリと口角を上げる。その視線の鋭さはまるで狙いをすまして獲物を狩るハンターのようだ。

「やってやる。和泉、覚悟はできてるんだろうな?」
「えっ?」

 和泉が困惑しているうちに、佐原は和泉のネクタイをしゅるっと引き抜き、和泉の両手首を縛りつける。さらにネクタイのその先を玄関ドアの取手部分に括りつけた。

「夜だから声を出すなよ」

 背後から覆い被さるようにして身体を重ねてきた佐原が囁く。そのあと意地悪く和泉のモノを容赦なく上下に扱いてきた。

「あっ、あっ、待てって……!」
「お仕置きされたいんだろ? さっきお前に拒絶されて、『帰る』なんて言われて俺がどれだけ辛かったか。そういう悪いことはもうしないようにDomの俺が躾けてやる」
「あっ、あっ……! それダメ、くぅ……! あぁぁぁぁっ!」

 身をよじっても逃げられなくてあっという間にイかされた。
 こんなに早く達したことが恥ずかしい。こんなところで達するなんてと思うし、つい卑猥な声をあげてしまったことも廊下に声が洩れていないかとドキドキする。


「次は俺だ」

 下着をとられて、足を肩幅より大きく開かされる。尻を突き出すような格好にさせられ、さっき和泉の放ったものと共に指を突っ込まれ、後孔を弄ばれる。

「あぁぁっ……んぅっ……はぁっ、あっ……」

 佐原から与えられる快感に必死で耐える。

「和泉。足音が聞こえるから静かにしろよ」

 佐原はそう囁いたあと、和泉の後孔をガッチガチの自分のモノで貫いた。

「あぁぁ……!」

 悲鳴のような嬌声を上げたら、佐原の手のひらで口を塞がれた。
 佐原さえ止まってくれればこっちも喘がずに済むのに、佐原は容赦なく和泉の身体を責めてくる。

「んんーーっ!!」

 たまらなくなって手を動かすと、縛られたままの手首がガチャガチャと取手を揺らした。

「やばい和泉。俺、やっぱりDomだ。お前が身悶える姿を見てすごく興奮する」

 佐原は今度は和泉のうなじに噛みついた。その痛みすら、今の和泉の身体は快感ととらえる。

「あっ、佐原っ、佐原……っ」

 自然と腰が揺れてしまう。お仕置きされることに身体が悦んでいる。

「和泉、和泉、はぁっ……あぁ……!」

 和泉を征服することで、佐原もDomとしての本能が満たされているみたいだ。乱暴に和泉を最奥まで貫く、容赦ない抽送に和泉は何度も何度も喘いだ。





「……ごめん、和泉」
「いや、俺のほうこそ悪かった……」

 冷静になってみて、佐原とふたりで謝り合う。
 あれからベッドで第二ラウンドを開始し、相当に盛り上がったふたりは後先考えずに交わった。
 おかげで和泉のスーツはぐっちゃぐちゃ。佐原のマンションの玄関も、ベッドのシーツもぐしょ濡れだ。

「片付けは明日にするとして、ベッドだけなんとかして寝よう」
「そうだな……」

 和泉の身体はフラフラだ。何もする気も起きずに、佐原が直してくれたベッドの上にぐったり倒れ込んだ。

「和泉、すごくよかったよ」

 佐原もベッドに潜り込んできて、和泉の肩まで布団をかけつつ嬉々として話しかけてきた。

「Domの体力はどうなってんだよ……」

 あれだけ派手に抱き合ったのに、佐原は疲れなかったのだろうか。和泉は今にも寝落ちしそうだ。

「和泉、俺たちは最高のパートナーだ。精神面で和泉の存在が俺を支えてくれるのは今までも感じてたんだけどさ、まさか身体の相性までぴったり合うとはな」
「えっ……」


「お仕置きプレイ」

 ニヤニヤしながらその単語を出されて和泉はビクッと反応する。

「和泉はそういうのは嫌なのかとばかり思ってたのに、俺と趣味嗜好が一緒みたいだな。今後はいろんなシチュエーションでやろう」
「な……っ!」

 いろんなシチュエーションとはなんだろう。その具体的な内容までは、ちょっと聞く勇気が持てなかった。

「これからますます和泉との夜が楽しみだ」

 佐原の笑顔が怖い。佐原はどこまでお仕置きするつもりなのだろう。
 佐原にやられたらそっちの道に目覚めて、身体を開発されそうで怖い。今よりもっと卑猥な姿を佐原に晒すことになってしまうのだろうか。

「和泉。Goodboyいい子だ

 佐原がぎゅっと抱き締めてきた。

「褒めるまでがセットだもんな。Goodよかった

 大好きなDomからケアのコマンドを受けて、心が満たされていく。
 佐原の腕の中で、和泉は幸せのため息をつく。

 恥ずかしくてとても佐原には言えないが、今日はお仕置きと称して強引に身体を暴かれて、Subの和泉としてはかなり興奮した。
 そのせいで佐原とのプレイが盛り上がってしまい、スーツを台無しにした。
 でもプレイはすごく気持ちよかった。その上ケアまで受けて、今は大満足だ。


「俺はやばい。すっかり和泉のとりこだ。もう絶対に手放したくない……」

 疲れて微睡む和泉は、佐原の腕に抱かれながら、なんて大袈裟な奴なんだと思う。

 でも、自分も大概に佐原のことが好きで、好きでどうしようもない。

 お互いが虜になっているんじゃ、これはいつまでも一緒にいるしかないな、と思いながら和泉は最愛のDomの腕の中で目を閉じた。




番外編『お仕置きされたいSubの和泉くん』 ——完。

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