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冬麻卯年LOVE作戦編3
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「冬麻、こっち来て」
風呂から上がるとすぐに久我に誘われた。ついにサプライズのときがやってきた。
——ドン引きされたらどうしよう……。
直前になって急に不安になってきた。今ならまだ引き返せる。サプライズなんてやめて、久我に普通に接すればいいのではないか。
「冬麻……?」
「あっ、えっと……そうだ! お水が飲みたいかなーっ、なんて……」
サプライズするかしないか最後の決断までの時間が欲しくなって、時間稼ぎのため飲みたくもない水をコップに注いでゆっくり飲む。
ふと久我を見ると、久我は訝しげな目でこちらを見ている。うっわ! と怖くなって思わず目を逸らした。
「ねぇ、冬麻。どうしたの?」
やっばい! 久我がこっちに近づいてくる!
「俺、悪いけどさっきからずっと冬麻に欲情してる……」
久我がそっと冬麻を抱き締めようとしてくるので、「待って待って!」と冬麻は久我の身体を押しやった。
「無理。これ以上待てない」
久我は強引に冬麻の腰を抱き寄せ、冬麻の胸元に手を触れた。そのまま浴衣の重なりにスッと手を差し込もうとする。
「嫌だ!」
冬麻がぎゅっと浴衣の胸元を隠して久我の手をバシッと払いのけると、久我が驚いて身体を離した。
「……ごめん。嫌ならいい……冬麻に触らないからそんな顔で俺を見ないでよ……」
え……?
そんな顔って、俺はどんな顔をしていたんだろう……。
「急に昔を思い出した……。冬麻に拒絶されたときのこと……」
久我はかなりのショックを受けているようだ。
昔のこと……?
ふたりの気持ちが離れてしまっていたときのことかもしれない……。
冬麻が久我に監禁され、別れ話をしたとき、この人の涙を初めて見たんだ。
冬麻も不意にあの時のことを思い出した。
「今日の冬麻は俺を避けてたよね。そのことに気がついていたのに、しつこくしてごめん……謝るから、どうか俺を嫌いにならないで」
久我は可哀想なくらい落ち込んでいる。冬麻のしたかったことはこんなことじゃない。冬麻が久我を避けるわけなんてない。久我のことは大好きだ。
「久我さんっ……」
冬麻は思わず久我に抱きついた。
久我はこのままどこかに消えていなくなってしまうのではと急に不安になり、とにかく久我を捕まえておきたかった。
「大丈夫だよ、冬麻。どうしても嫌なときはあるよね……それをわかってあげられなかった俺が悪かったんだ……」
違う。そうじゃなくて、これはバカみたいなサプライズのせいで……。
「久我さん……抱いて……」
冬麻は久我の身体にさらにぎゅっとしがみついた。
「えっ……? 冬麻。無理しなくていい」
「無理なんてしてません……あっ、あの、俺も久我さんとずっとそういうことしたいって思ってて……」
「でも……」
「俺、いつも久我さんにしてやられてるので、悔しくてやり返したくなって……でもやり過ぎたかもしれなくて、今さらやめようかなーっと……」
「何を?」
久我は状況がまったくわからない様子だ。無理もない。これは冬麻だけが知るサプライズなのだから。
「あー! もう覚悟を決めました! 久我さん、好きです。今すぐエッチしたい……」
冬麻は誘うように久我の浴衣の胸元にチュッと口づけた。
「いいの……?」
「……はい」
「本気にするよ?」
「はい。本気にしてください」
冬麻が頷くと、久我は冬麻の望みどおりに冬麻を持ち上げ横抱きにして、二つ並んで敷かれている布団まで運んでいく。
そのまま布団に下ろされたあと、久我が冬麻を組み敷いてすぐさま激しいキスを仕掛けてきた。
「……はぁっ……ん…んぅ……」
キスを重ねながら腰を揺らすから、徐々に浴衣が乱れていく。
あー! もうバレる! 知らない! どうにでもなれ!
風呂から上がるとすぐに久我に誘われた。ついにサプライズのときがやってきた。
——ドン引きされたらどうしよう……。
直前になって急に不安になってきた。今ならまだ引き返せる。サプライズなんてやめて、久我に普通に接すればいいのではないか。
「冬麻……?」
「あっ、えっと……そうだ! お水が飲みたいかなーっ、なんて……」
サプライズするかしないか最後の決断までの時間が欲しくなって、時間稼ぎのため飲みたくもない水をコップに注いでゆっくり飲む。
ふと久我を見ると、久我は訝しげな目でこちらを見ている。うっわ! と怖くなって思わず目を逸らした。
「ねぇ、冬麻。どうしたの?」
やっばい! 久我がこっちに近づいてくる!
「俺、悪いけどさっきからずっと冬麻に欲情してる……」
久我がそっと冬麻を抱き締めようとしてくるので、「待って待って!」と冬麻は久我の身体を押しやった。
「無理。これ以上待てない」
久我は強引に冬麻の腰を抱き寄せ、冬麻の胸元に手を触れた。そのまま浴衣の重なりにスッと手を差し込もうとする。
「嫌だ!」
冬麻がぎゅっと浴衣の胸元を隠して久我の手をバシッと払いのけると、久我が驚いて身体を離した。
「……ごめん。嫌ならいい……冬麻に触らないからそんな顔で俺を見ないでよ……」
え……?
そんな顔って、俺はどんな顔をしていたんだろう……。
「急に昔を思い出した……。冬麻に拒絶されたときのこと……」
久我はかなりのショックを受けているようだ。
昔のこと……?
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冬麻が久我に監禁され、別れ話をしたとき、この人の涙を初めて見たんだ。
冬麻も不意にあの時のことを思い出した。
「今日の冬麻は俺を避けてたよね。そのことに気がついていたのに、しつこくしてごめん……謝るから、どうか俺を嫌いにならないで」
久我は可哀想なくらい落ち込んでいる。冬麻のしたかったことはこんなことじゃない。冬麻が久我を避けるわけなんてない。久我のことは大好きだ。
「久我さんっ……」
冬麻は思わず久我に抱きついた。
久我はこのままどこかに消えていなくなってしまうのではと急に不安になり、とにかく久我を捕まえておきたかった。
「大丈夫だよ、冬麻。どうしても嫌なときはあるよね……それをわかってあげられなかった俺が悪かったんだ……」
違う。そうじゃなくて、これはバカみたいなサプライズのせいで……。
「久我さん……抱いて……」
冬麻は久我の身体にさらにぎゅっとしがみついた。
「えっ……? 冬麻。無理しなくていい」
「無理なんてしてません……あっ、あの、俺も久我さんとずっとそういうことしたいって思ってて……」
「でも……」
「俺、いつも久我さんにしてやられてるので、悔しくてやり返したくなって……でもやり過ぎたかもしれなくて、今さらやめようかなーっと……」
「何を?」
久我は状況がまったくわからない様子だ。無理もない。これは冬麻だけが知るサプライズなのだから。
「あー! もう覚悟を決めました! 久我さん、好きです。今すぐエッチしたい……」
冬麻は誘うように久我の浴衣の胸元にチュッと口づけた。
「いいの……?」
「……はい」
「本気にするよ?」
「はい。本気にしてください」
冬麻が頷くと、久我は冬麻の望みどおりに冬麻を持ち上げ横抱きにして、二つ並んで敷かれている布団まで運んでいく。
そのまま布団に下ろされたあと、久我が冬麻を組み敷いてすぐさま激しいキスを仕掛けてきた。
「……はぁっ……ん…んぅ……」
キスを重ねながら腰を揺らすから、徐々に浴衣が乱れていく。
あー! もうバレる! 知らない! どうにでもなれ!
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