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49.恋人 (挿絵あり)

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「おかえり、冬麻」

 家に着くなり、玄関先で久我に抱き締められる。

 久我には『偶然友達に会ったから、夕飯食べて帰ります』と連絡しておいた。あんなに心配性でストーカー気質だった久我も最近は『楽しんできて』などと冬麻の行動を疑いもしなくなっていた。

「冬麻にプレゼントがあるんだ!」

 久我は急に冬麻の身体を抱えて持ち上げた。靴をポイポイっと玄関に投げ捨てそのまま連れていかれる。

「ちょっと、いきなりなんですか?! 久我さんっ」

 慌てて久我の首に手を回して掴まる。冬麻だって男だ。そんなに軽くはないのに、久我はしょっちゅう冬麻を抱え上げてくる。久我は冬麻をお姫様抱っこすることが好きなのかもしれない。

 リビングまで連れていかれて、ドサッと降ろされた。その先はダークグレーの特大のビーズソファの上だ。
 すぐさま久我も冬麻の横に寝っ転がってきた。大人ふたりが転がっても大丈夫なくらいのかなりのビッグサイズのYogiboだ。

「どう? 冬麻は頑張りすぎだから少しでも休んで欲しくてさ」
「はぁ、これ、ヤバいです。人を駄目にするやつですよね……」

 疲れた身体で横になると気持ちがよくてここから動きたくなくなる。疲れが吸い込まれていくみたいに楽だ。

「あぁ……最高……」

 TVCMで見て、ビーズソファって気持ちよさそうだなとは思ったが、久我には何も話してはいないのに。

「冬麻はいつも頑張ってて偉いね」

 久我は冬麻を抱き締め、頬にキスをした。
 ビーズソファも気持ちがいいけれど、やっぱり優しい恋人の腕の中が一番安心する。

「冬麻には俺がついてるんだから。俺が守るから。無理はしないで」

 久我は冬麻の手に指を絡ませ、首筋にキスを落としてきた。

「久我さん……ありがとうございます」

 冬麻はそっと目を閉じた。

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