借金のカタにイケメン社長に囲われる

雨宮里玖

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番外編 忘れられない一日8 ※

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 シャワー室は一人用なので男ふたりが一緒に入るなんて狭すぎる。だが久我はそんなことはまったく臆せずにシャンプーで冬麻の髪を洗い始めた。

 冬麻も身体を洗うが、つい久我にくっついていないと立つ場所がないくらいだ。泡まみれになりながら久我に張り付くと「冬麻の身体で俺を洗ってくれるの?」なんて言われてしまった。

 そしてもうひとつの問題がある。
 こんなふうに久我と裸で触れ合うとどうしても変な気持ちが湧き上がってくるのだ。
 このままじゃ下半身が反応を示してしまいそうで、どうすればいいと考えていた瞬間、久我にソレを握られた。

「あっ……!」

 思わず声が漏れる。
 久我は冬麻の恥ずかしい部分まで丁寧に洗おうとしている。

「久我さんっ……そこは….ああっ……」

 久我の手の動きはさっきまでと違い、真面目に洗っているように思えなくなってきた。

「あっ……」

 明らかにおかしい。これは冬麻に快感を与えようとするときの動きだ。

「後ろも少しだけ、ほぐしておくね」
「やめ……あぁ……っ!!」

 久我の指が冬麻の後ろの孔に侵入してきた。ほんの指の先だけだが、前を握られながら久我にソコを弄られると情交のときの快感を思い出して、身体が震えた。

「はぁっ……はっ……」

 他にしがみつくものがないので久我の身体にしがみつき、この刺激を受け入れる。

「冬麻、もう少し足を開いてくれる?」

 これだけでも恥ずかしいのに、久我はさらに冬麻の太腿をグイッと押し広げ、更なる刺激を与えてきた。

「あっ……だめ……こんなとこでやだ……」

 久我の手の動きは巧みだから、冬麻も久我相手だとすぐに変な気持ちになってしまうから、冬麻の気持ちとは裏腹に、冬麻の下半身はすっかりそういったものを求めている。

「久我さん……これ以上いじわるしないで……」

 冬麻が嫌がっているのに、ここでイかせようとするかのような久我の手を冬麻は制止した。

「冬麻はベッドでイきたいの?」

 久我は見当違いだ。違う。場所の問題じゃない。

「もっとちゃんと……」

 冬麻は久我につかまりながら精一杯の背伸びをして、久我にキスをする。

「こんな簡単じゃなくて、久我さんにちゃんと抱いて欲しい……です……」

 快感を与えられて冬麻のアタマもどこか麻痺してしまったみたいだ。恥ずかしい言葉をつい口にしてしまう。

「冬麻。わかった。早く出よう」






 裸のままベッドでお互いがお互いを求め合う。

「……っん……はぁ……」

 ちゅばちゅばといやらしい音を立てながら、濃厚なキスを重ねるふたり。
 お互いの身体を探り合うように愛撫し、久我が上になったり冬麻が上になったりしながら、ただ一心不乱に、目の前の相手との行為に溺れていく。

「ああっ……!」

 久我の手が冬麻のモノに触れる。全身への愛撫も昂るが、やはり直接的な刺激を受けると、身体はビクビクと相応に反応をみせた。

「……あっ……あっ、やばい……はぁっ……はぁ……」

 シャワールームでの接触からやばかったのに、キスと愛撫で乱れ合い、ここにきてその行為は耐えられない。

「今の冬麻、すごく可愛い。ああ、もう、たまらない……」

 久我はベッドの上で身悶えしている冬麻の身体を眺めている。

「はぁっ……はぁ……久我さん……見ないで……」

 久我に最も敏感なところを掌握され、その快感にすっかり身を委ねている。喘ぎ声をあげて、淫らに腰をくねらせて、こんなはしたない姿を見られたら、久我が幻滅するんじゃないかと思った。

「冬麻って、こんなにエロい子だったんだね」

 違う。そんなことない。

「久我さんでしょ……? 俺をこんなにしたの……」

 久我に出会うまで、こんな行為をしたこともなかった。
 久我と恋人同士になり、毎晩一緒に過ごすようになって、身体がこの大人の快楽を覚えてしまったんだ。だから冬麻のせいではない。

「俺、もしかして冬麻に煽られてるの……?」

 久我だってはぁはぁと息を切らしてその吐息が酷くセクシーだ。久我がローションを手に取る姿までかっこよく見えるのだから、冬麻の脳内が重症なだけかもしれないが。

「んんっ……! ああっ……!」

 そこを久我にほぐされるのは相変わらず苦手だ。通常ひらくことなどない部分を他人の手に委ねるなんてすごく恥ずかしい。
 久我の指で入り口や中をローションとともにグチュグチュに掻き回され、冬麻の身体はその度ビクッと反応をみせる。

「あっ……! そこっ……だめ……」

 久我の指は冬麻の内部を知り尽くしているから、すぐに最も快感を受ける場所を探し当て、小刻みに指を動かしそこに触れてきた。

「あっ……あっ……」

 やばい。すごく気持ちいい。はしたないがもっとそれを感じたくて、自ら足を開き、久我の手から与えられる快感にビクビクと身体を震わせる。

「はぁっ……まって……なん……ああっ!」

 身体中に電流がはしる。のけぞるくらいに身体が痙攣する。足の指の先までピクピクさせて、まるで絶頂を迎えたときみたいだ。でも、前は勃ちあがったままだ。

「冬麻っ」

 久我が不意に冬麻に覆いかぶさってきて、冬麻の身体を抱き締めた。まだ冬麻の身体はさっきの刺激で時々ピクッと反応してしまっているのに。
 
「やばい。その顔、すごくそそられる……」

 久我が我慢できないといった様子で冬麻の唇に食らいついてきた。そのまま激しいキスを開始する。

「はぁっ……んっ……」

 冬麻は呼吸をするのに精一杯だ。

「冬麻。挿れていい?」

 久我に腰を持ち上げられ、足を広げられる。

「あっ……!」

 冬麻のナカに久我がゆっくりと挿入する。ローションの滑りでズブズブ侵入しているソレを冬麻は全て受け入れる。それによってまた快感が押し寄せてきて、冬麻は身体を震わせた。

「冬麻の中、あったかい……」

 冬麻の中に挿入しながら、久我が「ああっ……」と甘い声を出した。
 そして久我は冬麻をゆっくりと攻め始めた。

 久我の冬麻の中をうごめくく行為が、冬麻の感じるところに対する愛撫が、繋がりながらも冬麻を抱き締め、キスを落とすその唇が、ひどく心地よく感じる。

 こんな背徳的な行為なのに、久我とひとつに繋がっていると思うと幸せだと思うのはどうしてなのだろう。


「ああ……冬麻……冬麻っ……」

 久我は冬麻の名前を呼んで、ただただ冬麻を求めてくる。

「冬麻……っ」

 久我が強く冬麻を攻め立ててくる。
 もう駄目だ。冬麻も限界を迎えようとしている。

「はぁっ……俺もう……むり……」

 冬麻に呼応して、久我も動き出した。

「くがさん……っ」
「とう……まっ……!」

 ふたりは同時に解き放ち、最高の瞬間を迎えた。





「冬麻。すごく良かった」

 行為が終わり、裸のまま布団に潜りこんだあとすぐに、隣にいる久我が冬麻の額にキスをした。

「冬麻ほんとに可愛い。こんなに好きなのになんでもっと好きになるんだろう。俺、もう冬麻から離れたくない」

 久我が冬麻の身体に手を回してきた。散々くっついていたんだから、離れてもいいのにまた久我に抱き寄せられた。
 冬麻は久我の腕の中で目を閉じる。吸いつくような久我の肌に身を寄せているとすごく心地よい。

 今日はいろいろなことが起きた一日だった。冬麻にとって間違いなく忘れられない一日になるだろう。

 右手でそっと左手薬指の指輪に触れてみる。おおっぴらに指輪なんてできないのにそれでも久我はわざわざプレゼントをしてくれた。誰にも見つからない、プライベートの時にならお揃いでつけてみてもいいかな、と思った。
 まぁ、強メンタルの久我は指輪を外さないなんて言っていたからちょっと心配だが。
 
 冬麻は少し眠くなってきた。
 久我と抱き合っているのもいいけれど、これじゃ眠りにくい。

「久我さん、ちょっと離して——」

 冬麻は久我の腕から逃れようとするのに、がっつりホールドされていて逃げられない。

 ——え? 寝てる?!

 久我は目を閉じ、冬麻がつんつんしても何も反応がない。
 ショートスリーパーで、いつもなかなか寝つけない久我がこんなにすぐ眠ってしまう姿は初めてみた。

 こんなに幸せそうに眠っている恋人をはねのけることなんてできない。仕方がないからこのまま寝ることにしよう。

「おやすみなさい」

 冬麻は久我の鎖骨にキスをして、最愛の人の腕の中で目を閉じた。


 ——完。
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