警護者キリュウ

どらんくうざ

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二十一才 漁の成果と望んでた試験の結果

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 警護者の資格試験日。
キリュウは心を静かにして試験に望んだ。
資格試験の内容は、予想した通りの前回参加した時と似たような内容であった。
彼は試験日の決闘の勝敗も全勝し、最後の耐久レースも上手くやり遂げることができたと自負した。
やはり最初の試験日の夜の睡眠時の休憩も速やかに眠ることができた。
それらの事を逐一思い出して、これ以上の成果は望めないと。

 キリュウは結果がでるまで、用意された居室でルームメイトと共に待機していた。
そして皆もベッドに座ったりしながら、男四人とも思い思いの方法である時を待っていた。

「警護者志願者キリュウ・ロンデロロッテン。
今すぐ分遣長の執務室に出頭するように」

 警護者の制服を着こんだ者が一人、キリュウに指令を出した。
彼は唾を呑み込んでベッドから腰を上げると部屋を出ていった。

 分遣長執務室は側面から太陽の光を取り入れるようになっていた。
分遣長はキリュウの顔を見つめながら口を開いた。

「三日間の試験ご苦労であった。
精査の結果、貴殿は警護者に就任することが決まった。
本日付、分遣所で初期訓練に励むように」

 彼は厳かにキリュウに口頭で試験の合格を伝えた。
前の不合格になり放逐させられた時もやはり彼からの口頭の伝達であった。

 執務室を出たキリュウ。
彼は一直線に合格者が集まるといわれた講堂に向かった。

 講堂に集まった十数人の新人である警護者候補生の教育が始まった。
講義は警護者の歴史そして役割と続いていった。
キリュウは集中して聞き洩らさないという思いで必死に反復して頭の中で繰り返していた。
都市の施設で知ることができる知識が主であったのだが。

「次は逮捕術の講習に移る。
皆、移動するように」

 警護者の制服を着こんだ教官についていく候補生たち。
当然キリュウも付いていく。
キリュウも取り残されないように、且つこれからの場面で目立てるかもと思いつつ。
最初に目立っておけば、幼少期からの夢であった"一個隊の隊長就任"に有利になれると考えての事だった。

 彼が部屋に入ると既に別の教官が立っていた。
その教官の顔を見たら、彼はとても吃驚してしまった。
もう一人の教官は、ミエナ・ローリンローロン。
彼女は警護者の制服を着こんでおり、今までなかった重厚さのような空気を醸し出していた。

 若いのに特例で抜擢されたのだろうかと、彼は考え始めた。
彼女は正面を向いたまま喋りだした。

「私は巡視長のミエナ。
あなた達の今回の指導を任されたわ。
まずは、私を捕まえてみなさい」

 彼女は一人の候補生を指名した。
その男は立ち上がると彼女の前に出た。
教官は彼に太い縄を渡そうとしたが、断られた。
「誰だか知りませんが、自分は豪腕で名を馳せたんですよ。
教官殿も捕まえることができる」

 彼女はその言葉と視線を正面から受け止めると、無造作に見える態勢で立っていた。
候補生は距離を詰めると瞬間的に動いた。
しかし、彼のその動きは見切られていたらしく、あっさりと彼女に敗れた。

 候補生たちはその様子の観戦によって、落ち着かなくなった。
教官はその状態を静観している。
キリュウは一人敗れた今が自分の名前を売る好機だと信じて、立ち上がった。

「巡視長、あなたの強さはわかりました。
一人ひとりに力をみせるのは時間の無駄です。
そのため俺が候補生全員の代表としてあなたの技を受けます」

 その意見を聞いた教官のミエナは彼を馬鹿にしたように喋った。
「警護者は競争することが職務ではないわ。
もしもっと戦闘力を磨きたいなら、修行の旅にでるべきね。
そちらの方が経験も積めるからね」

 あっさりとキリュウ候補生の意向は無視され、逮捕術の講習が始まった。
それから個人で学んだ技術の修得のための反復練習に変わってしまった。
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