警護者キリュウ

どらんくうざ

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十五才 演劇と小さなバトル

04

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 初めて二人でポロポロ内で今までとは違う理由でかち合った。
はじめてのデートで市外から外への探索に出ようということになった。
彼女はどこかつまんなそうだった。

「ここの路地裏は市街へと直接つながってるんだってさ。
昔の竜の襲撃からの秘密の脱出路じゃないだろうかって言われてるんだ。
竜の相手をするには戦力を集約する必要があるからね、それまでの時間稼ぎのため」

 キリュウが止めどなく喋っている間、ミネアは聞き役に徹していた。
相槌は打つ感じだけど、サナエと会っていた頃より意識が弾んでない印象だった。

「じゃあ、行ってみようかしら?」

 二人でてくてくと市外への道を歩いていく。
逃げる時に人数を制限させる効果を求めてか、それとも急遽整備されたのか路地が狭かった。
両方の壁際には建物がせまっており、圧迫感も感じる造りだった。

 市壁の外に出た。
外には平原や森林、丘が広がっていた。
キリュウにとって、都市の外に出たのは院外学習の市外学習の時と就職する時などであった。
都市の内部に墓が設けられているため、それらでも出ることはなかった。

 二人のたつそばに小さな林と小屋があった。

「あの林にいってみようか?」

 ミネアは従順に従うと、彼のあとに続いた。
キリュウからしてみると、ミネアの日頃の行いとは雲泥の差があるように感じた。
といっても、思い出してみると彼女の方からけしかけてきたことは基本的になかったことに気づいた。

 太陽の明るさが背の高い樹々の合間から差し込み、明かりをつくっていた。
しかし、原生林とは程遠く、整備されている林であることが見て取れる。
鳥の鳴き声も聞こえてきていた。

「おい小僧ら、何かここで見なかったか?」

 急に背後から声をかけられたために一斉に振り返った。
目の前に二人の男たちが立っていた。
普段着の下に簡単な防具をつけていることが彼の目にも分かった。

「お兄さん方、いや見なかったよ」

「こんな所で隠れて悪さの計画づくり?」

 ミネアが相手を挑発するように答えた。
その意見を聞いた男たちは徐々に近づいてくる。
小さく取り回ししやすい小剣をとりだした。

「おい何言ってるんだよ」
キリュウのその言葉を聞いてからミネアは背後の方を指差した。
「後ろにも二人いるわよ。元から逃がす気なんてなかったのよ、お兄さん方は」

 キリュウは今まで殺し合いをしたことがなく、慌てていた。
そのため、頭の中で動きを反復していた。

 二人の男が急激に近づいてきて小剣を長剣の様に振りかぶってきた。
キリュウは背の高さの差も利用して中に入り込むと急所に拳を叩きこんだ。
相手は力の抜けたかのようにうなだれると、後方に倒れた。
その瞬間にもう一人から突きを回避すると腹部に蹴りを与えた。
今度の相手は鍛えられておりそれで崩れることはなかった。

 相手からの小剣の攻撃を受けたり避けたりしながら、戦いを続けるキリュウ。
一気に勝負をつけると判断したのか、一瞬相手に隙が生まれた。
その隙をついて腕ごと投げる。
体に乗って小剣を奪うと、顔面を鼻ごと殴った。
その一撃で相手を伸ばすことができた。

「キリュウ、倒したのかしら?」

 ミネアが正面に回ってから声をかけてきた。
彼女は怪我すらしていない。
彼は改めて彼女の能力の高さを実感していた。

「こいつらどうする?」

「何か手頃な物があればいいんだけど。
探してきてくれない?」

 四人の体を一か所に並べているのか曳きづっている音が聞こえてくる。
キリュウはその音を無視して、彼らのいた方で物を探した。
丁度よく細い縄が見つかった。

「捕縛の仕方なんて、どこで学んだんだ」

 ミネアはキリュウの方を向いてから、笑顔をつくった。
彼らを縛り終える。

「それじゃあ、キリュウ。
詰め所まで走って行ってくれない?」

 要望を伝える台詞だけど、有無を言わせない響きがあった。
彼は一通り彼ら四人の状態を確認すると、駆けて最寄りの警護者の詰め所に向かった。
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