警護者キリュウ

どらんくうざ

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十五才 演劇と小さなバトル

03

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 キリュウは劇場の楽屋を目指して進んだ。
部外者だったので入るのにてこずった。
しかし、女優のミネアとアポイトメントを取っていることを伝えると、守衛の態度が変わった。

「レレット劇団は都市の宝だからな。
団員に悪いことが起きないか自分が見張ってるんです」

 守衛に礼を言ってから楽屋の中に入った。
彼女から、時間がないからと会える機会を指定されていた。
著名人になったのに無警戒に会う心配事は、頭から追い出した。

 たまにすれ違う人には適当に挨拶をすませる。
そのうちに、彼の視界に女性の楽屋が目に入ってきた。

 通路前にひとりの年輩の女性が立っていた。
先ほど観賞した舞台の、母親役の女性のようだった。
「こんにちは、ここにミネアさんはいますか?」

 声をかけられた女性はキリュウをジロジロ見てくる。
不審な点があるかなどの確認をしているようだった。
すると、ため息をついて楽屋の扉の中に入っていった。

「いるよ。
彼女に一応伝えてみたけど……多分おたくの狙い通りにはいかないと思うけどね」

 彼女は苦笑した格好で楽屋の扉をあけて立っている。
キリュウは礼をいって中に入った。

 楽屋の中は綺麗に整理されていた。
数人分の顔のサイズの鏡、他の箇所には台本が山積みになっていた。
さらに衣装がクローゼットに下がっていた。

 ひとりの少女がキリュウの方を睨みつけて座っていた。
彼がライバルと認識している少女であるミネアだった。
はずしたカツラをもっており、地毛である赤髪が見える。

「さあ、それでキリュウ。
私に用ってなんなのかしら?
用件は手早くね」

 彼は手の震えを押さえると、彼女の視線を受け止めてそのまま近づいていく。
ミネアの普段着の肩を勢いよく掴んだ。

「俺と付き合ってくれ」
「模擬戦闘で?」
「彼女」

 ミネアが呆けた顔になったあと、少し考えている表情になった。
目を閉じてから開いてから頷いた。

「人生経験になるしね、いいわよ。
ただ分かってるだろうけど、恋や愛は期待しないで欲しいわ。
知ってると思うけど私……」

 その時に楽屋の扉が開いた。
扉のノブに外で待っていた年輩の女性が立っていた。
彼女は二人の方に急激に近づくと、少年の肩を揺さぶった。

「少年、断られても気にしちゃ駄目」
「エニイさん、私彼の愛しい人になりましたから」

 エニイと呼ばれた年輩の女性は目尻が一瞬上がり睨みつけたようになった。
しかし、直に収まり何てことの無い笑顔に戻った。
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