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残り幾日かの狂騒曲
僕の灼熱の大地
しおりを挟む数時間後、僕達は西のサイクロプス火山の入口に来ていた。事情は女神の方からすでに魔王達にも伝えてくれていたようで、すんなりと領土の通行が出来た。魔族内でもこの火山の異変は気が付いていたようで内々のうちに方を付けようと、してくれていたらしい。しかし、その行動は不発に終わった。
山を取り囲む様に見たことの無い結界が発生したからだ。
中に取り残された仲間もいたがその結界は僕の領分であったのでどうしたらいいか分からなかったのだろう。
西の魔王からの指示を受けた魔族の人達に山まで案内してもらいその結界を見ると火山という火の属性に対して強い水の属性の結界が使われていた。すぐに組まれた術式を紐解くといともかんたんに解いてみせた。
その瞬間、山の方からは皮膚がチリつくほどの熱風が襲いかかった。その事に顔を歪めて移動の時にもしもと思って造っておいた護符をそれぞれに渡す。火山という話だったので万が一火口に入ることになっても大丈夫な仕様である。
こうやって対策ができた僕達だけど熱風は周囲の草花をしおらせていて、目に見える山は暑さのせいで蜃気楼の様に歪んでいる。おそらくこれは上に行くほど暑さが凄いことを教えているようだった。
今までは結界がこの熱気を山の所で抑えていたが結界がない今、近くの村に被害が出るかもしれない。
僕は周囲に揺蕩う精霊に話しかけてなるべく温度を適温に下げてくれるようにお願いをした。
『愛し子の為でしたら‥…。』
直ぐに本来はここに居ないはずの美人な氷の精霊が現れ、吐息が吐かれると周辺の温度が下がったようだ。さらには万が一を考えて加護までつけてくれて優しく微笑む姿は道案内してくれた魔族も見惚れるほどだった。
『暫くはここで皆を守ります。』
そう言った氷の精霊に見送られていざ登山へと山に足を踏み入れた。
サイクロプス火山は火の属性がとてもきつい状態である。緑の葉がついている木々が微かに見受けられるところをみるとつい最近はそうでも無かったはずだ。ということはムラキの仕業で間違いなさそうだ。
少し奥に行くだけで木々の葉は地面に落ち、元は水をたたえていそうな場所も干上がっている。
結界で帰れなくなった人は生きているかもわからない。
「待て。」
「ん?」
「あそこに子供がいる。」
「えっ!」
その言葉に近くに駆け寄ると人間の子供の倍はあるのでは無いかと言うぐらいの大きさの単眼の者達がいるというより倒れていた。
「サイクロプスの子供だな。」
「生きてはいるか?」
「‥…瀕死というところだな。」
でも生きているならば助けたたほうが良いだろう。この山に住んでいるサイクロプスが絶滅したなんて洒落にならない。
「でも、山の入口に引き返すのもね。」
「あれに入れとけ。空間魔法に。」
「そっか。そうだね。」
取り敢えず、そこからは見かけたらひょいひょいと空間魔法に入れることにした。勿論、サイクロプスだけでなく動物や魔獣、モンスター以外のこの山を形づくる生物で助けられそうなのは助けた。
ただ、頂上に向かってゆくとその生命が残ってゆくのが少なくなり、とうとう見つけても皮膚は焼け爛れ、喉も熱気で焼かれた遺体だけになってしまった。
「麓の住人らしき人は二人だけ見つけたけど、ここら辺しか散策してないからどうなっているかわからないね。」
「ベテランなら熱気が発生したら水の結界を貼るだろうしご飯は好きなだけ焼けてるから意外と生きているかもしれないぞ。」
「それなら良いですけど。」
確かにある一定の冒険者なら火には水など経験で知っている人も居るだろう。問題は魔力が尽きないかと言うことか。
「それより、木々が無くなった。頂上はもうすぐだ。」
3時間は歩いただろう。途中、救命もしたので正味一時間ほどで頂上につくということか。途中もあまりにもの熱気で木々が燃えていたりもしていた。護符も上ではなくて石で作ったおかげで燃えることはなさそうでよかった。体感温度も暑さは感じないので上出来だろう。
「『うう。』」
石だらけの場所で歩いているとどこからか泣くような声が聞こえてきた。
それはどうやら頂上から聴こえてくるようで皆が行動が慎重になる。山の王者でもあるサイクロプスと戦いとなったら苦戦するかもしれない。今のところ要とされた者達は襲いかかってきているから慎重にならざる得なかった。
やっと頂上につくもどこも見当たらない件の魔獣。
「『うぅう。』」
「声は火口からだね。」
火口を覗くとそこには赤い色の単眼のサイクロプスがいた。そと手だけでも僕ぐらいの大きさのそのサイクロプスは大きな手で顔を覆い、単眼から涙を零しながら嘆いていた。涙は直ぐに蒸発してしまうが、火口にいるサイクロプスは身体が焼かれる訳では内容でこんな事態で無ければこの火山で温泉に入っているように見えただろう。
さらに様子を見ようと火口に見を乗り出したら、足元にあった石が当たって落ちてしまった。
「『誰だ!侵入者か!』」
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