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波乱の卒業式 ②
しおりを挟む「ほら、モンスターじゃない!」
突然にわたくしの血筋にバンシーが居たことにビックリです。父は何故話してくれなかったのでしょうか。
ここで、陛下は昔話を始めた。今、そんな事をするのは会場に居る者があらぬ疑いをしないためでしょう。疑われて困るのは、我が一族と庇護している陛下、そしてその事実を知るもの達ですからね。
かつて、陛下と私の父はパーティーを組みバイトというか趣味として冒険者をしていた。それは前にも話が出たと思います。その二人が遺跡を探索してある書物を見つけたことも。
その遺跡はドラクネア家が持つ未開発の領地にありました。父が子供の頃から封印されていていたのですが、ある日遺跡の封印が解けているのを発見したそう。普通ならそこで臆する人もいるのですが、二人は若いながらに色々と名を馳せ、実力もあったのです。迷うことなく中に入りました。
その遺跡の中枢には一冊の書物だけが置かれていたという。それを手に取ると、日記であることが分かった。何故こんなところにそんなものがと調べていると、表紙の端にドラクネア一族の紋章が刻まれていたのです。
その中には、ドラクネア家の初代の話が書かれていたのです。初代は、とても美しいバンシーと恋仲になり夫婦となったらしいのだ。
“バンシーが司るのは死でなく生だ。バンシーが幸せを感じて笑えば生きる世界は変わる。”
そうきるされて日記は終わっていた。
父もその時にはじめて知った事実に驚いていたのでした。父は陛下が国をよりよく変えたいと思っていたのは知っていました。
我らが国は今でも良い国である。だけど、僅かに残る飢える人々も居るのはたしか。
それさえも、どうにか出来ないかと考える友人に、父はバンシーの血筋の自分が側に居よう。世界を変える力が本当ならば、血筋を交わらせてその力を使ってもらおう。
彼ならば、大事な子供も幸せにしてくれるだろう。
そう言ってわたくしと王子殿下が産まれて婚約することとなったのです。
「そもそも、バンシーとはバンは女性、シーは精霊を意味する精霊で魔物ではない。」
陛下のお話が終わり、周囲の目が明らかに変わっている。わたしくしが嫁ぎ幸せになれば、その家には幸福が来るかも知れない。何かが変わる可能性があるのではと執着にも似た視線を向けられている。
その視線が怖くてひきつった顔をしているとおもいます。
「何よそれ!精霊ですって?ゲームでもモンスターとして現れるじゃない!あの女は化け物よ。魔王と通じあっているのよ?私は見たの!」
アリアは顔を赤く染め、わたくしを射殺さん勢いで睨み付けて怒鳴るように騒いでいる。
王子殿下はそんな彼女を宥めて、落ち着かせていた。
「ラスレア、お前は僕を奪われたのが悔しくて魔王にアリアを売ろうとしているのだろ?」
何を斜め上の考えをしているのでしょうか。
確かにわたくしは貴方を愛していました。彼女との噂が出たときは上手く笑えなくなくなりましたし、噂が本当だと知った時は屋上で一人で泣きました。
でも、手に残る痛みで今はもうどうでもよくなりました。
「魔王もこの愛らしいアリアが欲しいからな。乗ってきたのだろ?」
「なぜ、魔王が彼女を狙うのです?」
「あら、気付きません?私が可愛いのも勿論。アースアイを持っているからですよ。」
その言葉に辺りが静まりかえった。
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