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トラブルを呼ぶ探偵
WMAB
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side新人情報管理士
『本日、当支局は対S体制とする』
急にそんな不可思議な朝礼で始まった。
ー 昨日まではそんな連絡は受けていなかったのに。
でも首を傾げる私カミラ・アーミット二等情報管理士を余所に、先輩達の雰囲気が一気に凍り付いていた。
朝礼が終了し、どこか凍りついたままの周りを見渡しながら、今日の担当となっている受付に座る。
「キャシー先輩?どうして皆さん固まってるんですか?」
「あ~、カミラちゃんは今年からだから解らないよね」
隣にいた先輩、キャシー・リード一等情報管理士にコソッと聞いてみると、キャシーさんは苦笑いを浮かべていた。
まるで、あちゃーっとした感じだったので、私はますます困惑してしまう。
「何か特別な訓練とかですか?」
「いや、訓練とかそういう類いのではないの。でもね...」
「先輩?」
「とある人物の対策というか...」
「はあ...?」
ーなんか歯切れの悪い言葉だね。
しかも、とある人だけの対策でこんな雰囲気になるって。
どれだけの人なのよ。
そんな事を思いつつ、私は自分の仕事に取りかかった。
WMAB アメリカ中央支局
世界中にあるMABの中でも、かなり大規模な支局であるここは、アメリカ国内にある3つの分局を統括するところでもある。
その支局にある情報技術部管理課が、私が勤務する部署だ。
仕事は主に各部署や部隊が取り扱った案件の情報を整理して管理する事。
それと、MABだけでなく民間機関や魔法士事務所への出動要請、民間人への対応等までと多岐に渡る。
「その人って犯罪者か何かなんですか?」
「違うわよ~」
「でも先輩達の様子からすると、そう考えてもおかしくないですよ?」
「...まだその方が良かったわ」
ーせ、先輩。何か怖い事言いませんでした?
怖くて何も言えなかった私は、そのまま仕事に戻ったのは言うまでもない。
***
11時を過ぎた頃。
受付に来ていた老人の対応が丁度終わった時に、それは起こった。
「え?」
受付のポータルから警告音が激しく響いている。
画面に目をやると、『warning 』の文字が流れていた。
「これって、いったい」
「来たわね...」
「先輩、これなんなんですか!?」
「言ったじゃない?」
「え?」
「とある人だけの対策だって」
そう言う先輩の視線は、かなり真剣なものだった。
『本日、当支局は対S体制とする』
急にそんな不可思議な朝礼で始まった。
ー 昨日まではそんな連絡は受けていなかったのに。
でも首を傾げる私カミラ・アーミット二等情報管理士を余所に、先輩達の雰囲気が一気に凍り付いていた。
朝礼が終了し、どこか凍りついたままの周りを見渡しながら、今日の担当となっている受付に座る。
「キャシー先輩?どうして皆さん固まってるんですか?」
「あ~、カミラちゃんは今年からだから解らないよね」
隣にいた先輩、キャシー・リード一等情報管理士にコソッと聞いてみると、キャシーさんは苦笑いを浮かべていた。
まるで、あちゃーっとした感じだったので、私はますます困惑してしまう。
「何か特別な訓練とかですか?」
「いや、訓練とかそういう類いのではないの。でもね...」
「先輩?」
「とある人物の対策というか...」
「はあ...?」
ーなんか歯切れの悪い言葉だね。
しかも、とある人だけの対策でこんな雰囲気になるって。
どれだけの人なのよ。
そんな事を思いつつ、私は自分の仕事に取りかかった。
WMAB アメリカ中央支局
世界中にあるMABの中でも、かなり大規模な支局であるここは、アメリカ国内にある3つの分局を統括するところでもある。
その支局にある情報技術部管理課が、私が勤務する部署だ。
仕事は主に各部署や部隊が取り扱った案件の情報を整理して管理する事。
それと、MABだけでなく民間機関や魔法士事務所への出動要請、民間人への対応等までと多岐に渡る。
「その人って犯罪者か何かなんですか?」
「違うわよ~」
「でも先輩達の様子からすると、そう考えてもおかしくないですよ?」
「...まだその方が良かったわ」
ーせ、先輩。何か怖い事言いませんでした?
怖くて何も言えなかった私は、そのまま仕事に戻ったのは言うまでもない。
***
11時を過ぎた頃。
受付に来ていた老人の対応が丁度終わった時に、それは起こった。
「え?」
受付のポータルから警告音が激しく響いている。
画面に目をやると、『warning 』の文字が流れていた。
「これって、いったい」
「来たわね...」
「先輩、これなんなんですか!?」
「言ったじゃない?」
「え?」
「とある人だけの対策だって」
そう言う先輩の視線は、かなり真剣なものだった。
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