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第27話 ルナのための魔法!
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ルナをお昼寝をさせてから、早速魔法の習得にとりかかった。
「マキナ。これからルナの古傷を治す魔法を覚えたいと思う。だけど、その魔法にはひとつ条件があるんだ」
『その条件とはなんですか?』
「ルナの古傷を見ないで発動できる魔法であること。これが絶対。治療のためとはいえルナの古傷を見たら、あの子への裏切りになる気がするんだ」
『そうですね。ルナさんが古傷を見られたと知ったら、とても傷つくと思います。』
「だから、ルナの古傷を見ないで治してあげる魔法を覚えたいんだけど……どうかな? できると思う?」
『傷を治療する魔法を使うには、通常であれば患部の観察が必要になります。しかし全身の傷痕を新旧関係なく無差別に消す魔法を覚えれば、その条件は達成できるはずです。』
「そっか、体全部の痕をまとめて消すなら見なくていいって理屈だね!」
『はい。その代わり、一種の勲章として残しておきたい傷痕も消してしまいます。しかし、幼いルナさんに消したくない傷がある可能性はきわめて低いでしょう。』
よし、それなら覚えるべき魔法は決まった!
「そうなると、まずは自分で実験だな。なんやかんやで古傷は結構あるし。まずは小さな傷でコツを掴んでおこう」
まずは本当に小さな傷痕。
次に中くらいの。
今度は昔から気になっていた大きな痕も消す。
「そして、最後はまとめて全身の傷痕を消す! どうかな、マキナ? 俺の傷痕、全部消えてる?」
『はい、すべての傷痕が消えています。実験は成功ですね。』
「ほんとに? やったーっ!」
『おめでとうございます。しかし、今のまま呪文を決めると自分の傷痕を全部消す魔法になってしまい、他人の傷痕を消すことができません。この魔法を完成させるためには他人に魔法をかけて成功させる必要があります。』
「あ、そうなっちゃうのか。参ったな……」
ルナ以外に他人なんていないし。
冒険者ギルドに行って、誰かに協力してもらうしかないかな?
『タカシさん。今の魔法の感覚は記憶していますね?』
「えっ? う、うん。それはもちろん。【知力】が200になってるおかげなんだろうね。忘れようと思っても忘れられないよ」
『でしたら、今度はルナさんに試してみましょう。』
「えっ!? でも、まだ完成したってわけじゃないよ!」
『タカシさん、大丈夫です。あなたの中にルナさんを傷つけようとする意志が全く存在しないのですから、未完成の魔法が彼女を傷つけることは万に一つもあり得ません。』
「そういうものなの?」
『はい、この世界の魔法は、そういうものです。知力や精神力が足りなければ、制御に失敗して暴走してしまうこともありますが、タカシさんのステータスなら大丈夫です。タカシさん、私を信じてください。私はあなたを信じています。』
うーん。
正直、まだ不安はあるんだけど。
「……わかった。マキナをやってみるよ」
『ありがとうございます。』
さすがにあそこまで言われたら、やるっきゃないよな!
◇
俺とルナは夕方になると毎日のように水浴びに出かける。
この近くに綺麗な小川があるので、そこで動物の気配に気を付けながら交代で体を洗うのだ。
冬の訪れが近いからかルナが寒がるようになってきたので、そろそろお風呂を作ってもいいかもしれない。
「本日も危険なし、と」
ルナが安全に水浴びできるよう周囲を見張っている。
もちろん、ルナが洗ってる現場を覗くような真似は一度もしたことがない。
「うまく行ってるかな。緊張する……」
実を言うと、ルナには水浴びに送り出す直前に傷痕を消す魔法をかけてある。
呪文を決めてなかったのが逆に幸いして、こっそりかけることができた。
だけど、ルナの体がどうなっているかはわからないので、ルナが自分の体を見る水浴びのタイミングが答え合わせになるのだ。
『きっと大丈夫ですよ、タカシ。』
マキナはそう言うけど、やっぱり不安なものは不安なんだよなー……などと思っていると。
「タカシ……!」
ルナが早々に戻ってきた。
まだ水浴びをしてないのか、体がまったく濡れてない。
「どうしたの?」
「えっと、えっと」
ルナがだいぶ混乱してる。
あたふたしながら俺を見上げたり、うつむいたりを繰り返してた。
「落ち着いて。何があったの?」
しゃがみ込んでジッとルナのことを見つめる。
何故かルナの顔が真っ赤に染まっていった。
「な、なんでもないっ」
そのままルナは、てててーっと小川のほうへ戻って行く。
「……マキナ。どう思う? 俺の魔法が効いたのかな?」
『はい、おそらくうまくいきましたね。ルナさんは自分の身に起きた現象が理解できていないようでしたが、少なからぬ喜びの感情を観測できました。もう少し、ゆっくりと見守ってあげましょう。』
「オッケー、そうしよっか」
確かに結果は気になるけど、ルナが喜んでくれてるならそれでいいよね。
「マキナ。これからルナの古傷を治す魔法を覚えたいと思う。だけど、その魔法にはひとつ条件があるんだ」
『その条件とはなんですか?』
「ルナの古傷を見ないで発動できる魔法であること。これが絶対。治療のためとはいえルナの古傷を見たら、あの子への裏切りになる気がするんだ」
『そうですね。ルナさんが古傷を見られたと知ったら、とても傷つくと思います。』
「だから、ルナの古傷を見ないで治してあげる魔法を覚えたいんだけど……どうかな? できると思う?」
『傷を治療する魔法を使うには、通常であれば患部の観察が必要になります。しかし全身の傷痕を新旧関係なく無差別に消す魔法を覚えれば、その条件は達成できるはずです。』
「そっか、体全部の痕をまとめて消すなら見なくていいって理屈だね!」
『はい。その代わり、一種の勲章として残しておきたい傷痕も消してしまいます。しかし、幼いルナさんに消したくない傷がある可能性はきわめて低いでしょう。』
よし、それなら覚えるべき魔法は決まった!
「そうなると、まずは自分で実験だな。なんやかんやで古傷は結構あるし。まずは小さな傷でコツを掴んでおこう」
まずは本当に小さな傷痕。
次に中くらいの。
今度は昔から気になっていた大きな痕も消す。
「そして、最後はまとめて全身の傷痕を消す! どうかな、マキナ? 俺の傷痕、全部消えてる?」
『はい、すべての傷痕が消えています。実験は成功ですね。』
「ほんとに? やったーっ!」
『おめでとうございます。しかし、今のまま呪文を決めると自分の傷痕を全部消す魔法になってしまい、他人の傷痕を消すことができません。この魔法を完成させるためには他人に魔法をかけて成功させる必要があります。』
「あ、そうなっちゃうのか。参ったな……」
ルナ以外に他人なんていないし。
冒険者ギルドに行って、誰かに協力してもらうしかないかな?
『タカシさん。今の魔法の感覚は記憶していますね?』
「えっ? う、うん。それはもちろん。【知力】が200になってるおかげなんだろうね。忘れようと思っても忘れられないよ」
『でしたら、今度はルナさんに試してみましょう。』
「えっ!? でも、まだ完成したってわけじゃないよ!」
『タカシさん、大丈夫です。あなたの中にルナさんを傷つけようとする意志が全く存在しないのですから、未完成の魔法が彼女を傷つけることは万に一つもあり得ません。』
「そういうものなの?」
『はい、この世界の魔法は、そういうものです。知力や精神力が足りなければ、制御に失敗して暴走してしまうこともありますが、タカシさんのステータスなら大丈夫です。タカシさん、私を信じてください。私はあなたを信じています。』
うーん。
正直、まだ不安はあるんだけど。
「……わかった。マキナをやってみるよ」
『ありがとうございます。』
さすがにあそこまで言われたら、やるっきゃないよな!
◇
俺とルナは夕方になると毎日のように水浴びに出かける。
この近くに綺麗な小川があるので、そこで動物の気配に気を付けながら交代で体を洗うのだ。
冬の訪れが近いからかルナが寒がるようになってきたので、そろそろお風呂を作ってもいいかもしれない。
「本日も危険なし、と」
ルナが安全に水浴びできるよう周囲を見張っている。
もちろん、ルナが洗ってる現場を覗くような真似は一度もしたことがない。
「うまく行ってるかな。緊張する……」
実を言うと、ルナには水浴びに送り出す直前に傷痕を消す魔法をかけてある。
呪文を決めてなかったのが逆に幸いして、こっそりかけることができた。
だけど、ルナの体がどうなっているかはわからないので、ルナが自分の体を見る水浴びのタイミングが答え合わせになるのだ。
『きっと大丈夫ですよ、タカシ。』
マキナはそう言うけど、やっぱり不安なものは不安なんだよなー……などと思っていると。
「タカシ……!」
ルナが早々に戻ってきた。
まだ水浴びをしてないのか、体がまったく濡れてない。
「どうしたの?」
「えっと、えっと」
ルナがだいぶ混乱してる。
あたふたしながら俺を見上げたり、うつむいたりを繰り返してた。
「落ち着いて。何があったの?」
しゃがみ込んでジッとルナのことを見つめる。
何故かルナの顔が真っ赤に染まっていった。
「な、なんでもないっ」
そのままルナは、てててーっと小川のほうへ戻って行く。
「……マキナ。どう思う? 俺の魔法が効いたのかな?」
『はい、おそらくうまくいきましたね。ルナさんは自分の身に起きた現象が理解できていないようでしたが、少なからぬ喜びの感情を観測できました。もう少し、ゆっくりと見守ってあげましょう。』
「オッケー、そうしよっか」
確かに結果は気になるけど、ルナが喜んでくれてるならそれでいいよね。
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