不遇幼女とハートフルなもふもふスローライフを目指します! ~転生前の【努力値】で異世界無双~

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第22話 山小屋建築でまさかのミス発覚!

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 あれから数時間後。

「よーし、これで完成だ!」

「かん、せー」

「ワオーン!」

 ルナが俺の真似をして両手を振り上げた。ガロも吠える。

「お疲れ様、ルナ」

「おつ、かれ?」

「仕事が一段落したときにお互いをねぎらう挨拶だよ」

 まあ、ブラック企業時代はこんな挨拶すらなかったんだけどね……。

「ねぎ、らう、ですか?」

 はっ、そういえばルナも超絶ブラック環境で育ったんだった。
 あのおばさんがルナをねぎらったりしたわけないもんな。

「そうだよ。よく働いてる人を頑張ったねってねぎらってあげるんだよ」

 ルナが不思議そうな顔で見上げてくる。

「おつ、かれ、さま、です」

「うん、お疲れ様! よく言えたね」

 きょとんとしていたルナの表情がパァッと明るくなった。

「おつ、かれ、さま」

「お疲れ様ー」

「おつ、かれ、さま」

「お疲れ様」

「おつ、かれ、さま」

 あっ、これループ入ってる!
 でもルナが嬉しそうだからいっかぁ!

「ワンッ!」

「おお、ごめんごめん。ガロもお疲れさま!」

 ガロのことも褒めてやると、グルグル回って「ワン!」と鳴く。

「おつ、かれ、さま」

 ガロにギュッと抱きついても、ルナのおつかれループは終わりそうもなかった。


 ◇

 ルナが満足するまで付き合ってから、満を持して山小屋に入る。
 ガロには悪いけど外で待っててもらった。

「うん、湿気がヤバい!」

「むわむわ、する、ます」

 そういえば生木で作ったもんなぁ……。

「マキナ、ひょっとして山小屋に使う木材って乾燥させてないと駄目だった?」

『はい、タカシさん。木材は原則として乾かしてから使うのが望ましいです。生木だと腐りやすく、虫害が発生したりもします。』

「それ、先に教えて欲しかったなぁ」

『申し訳ありません、タカシさん。木材に用いられるのは乾かした木であることが多いため、その前提でお話ししていました。』

 そういえば、マキナは聞かないと教えてくれないもんな。
 俺の知力も高くなってるけど知識が増えてるわけじゃないから、生木の問題は完全に見落としていた。
 これからはもっと積極的にマキナに質問したり、異世界の知識を直接学んだりしよう。

「ちなみに生木の乾燥ってどれくらいかかる?」

『環境や方法、木の種類にもよりますが、おおよそ半年から一年ほどかかります。』

「そんなにかかるのか。参ったなぁ……」

 頭を抱えていると、ルナがクイクイッと服を引っ張ってきた。

「タカシ。だれと、話してる、ますか?」

 あっ、しまった!

 隣にルナがいるのにうっかり普通にマキナに話しかけてた。
 いや、別に秘密ってわけじゃないからいいんだけど。

 うーん、ルナになんて説明しよう?
 子供にわかりやすくて、一番それっぽいのは……あっ!

「妖精さんだよ!」

「ようせい、さん?」

「うん。俺にいろんなことを教えてくれる妖精さん。マキナっていうんだ」

『タカシさん。私は妖精ではありません。人工知能です。』

 ごめん、マキナはちょっと黙っててね?

「ようせい、さん。マキナ?」

 ルナがきょろきょろとあたりを見回す。
 そういえばマキナの声は俺にしか聞こえないんだっけ。
 
「ルナ。マキナは目に見えないんだ」

 そういえば、マキナってどこにいるんだろ?
 俺の頭の中で声が響いてるけど、本当に頭の中にいるわけじゃないよね。

「わたしも、ようせいさん、お話し、したい、です」

「えっと、ごめんね。マキナの声は俺にしか聞こえなくて……」

 ルナがしょんぼりしてしまった。
 うーん、ルナの好奇心を刺激しすぎたか。

「あっ、それじゃあルナの言葉に応答するようマキナに頼んでみるよ。マキナが何を言ったか、俺がルナに伝える。それでどうかな?」

『了解しました、タカシさん。ルナさんとお話ししますね。』

「マキナはいいってさ!」

 ルナはしばらくぽかーんとしてた。
 だけどマキナと話せると理解できたのか、緊張した口調で宙に話しかけ始めた。

「こん、にち、は。はじめ、まして、マキナ」

『こんにちは。初めまして、ルナさん。私はマキナです。』

「――って、マキナが言ってるよ」

「ふおお……」

 ルナが興奮した様子で目を輝かせる。

「わたし、ルナ、です。なかよく、して、くれる、ますか?」

『はい、もちろんです。私もあなたと仲良くしたいと思っています。どんな話題でお話ししましょうか?』

「――だってさ」

「わあわあ」

 ルナが興奮した様子で手足をばたつかせる。
 こんなに楽しそうなルナは初めて見るなぁ。

「タカシ、わたし、なに、話したら、いいです?」

「えっ、うーん。そうだなぁ……じゃあ、山小屋の湿気を解決する方法を聞いてみて?」

「あいっ」

 まあ、生木を乾かすのに半年かかるって話だから無理ゲーなんだけど。

 しかし、ルナの質問にマキナはこう答えた。

『ルナさんには魔力があるのですから、魔法を使ってみてはいかがでしょうか? 山小屋の湿気を吸い取って排出する魔法を習得するのがオススメです。』

 …………えっ、魔法?
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