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第11話 もう死なないって約束する!
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「ただいまー」
「タカシさん!」
木の中からルナが飛び出してきた。
ひしっと足元にしがみついてくる。
「ルナ、大丈夫だった?」
「帰って、こない、思った、です」
「ちゃんと約束したでしょ」
「だって……」
うーん、信用ないな!
俺の信用というより、ルナを取り巻く世界への信用がゼロ!
「そんなことより、ほら。たくさんお土産だよ!」
「おみやげ?」
「街でいろいろ買ってきたんだ。まずはこれ!」
「それ、服、ですか?」
「うん。ルナのサイズを何着か買ってきたんだ。麻で編まれてるから丈夫だよ」
「えっ。わたしの……?」
本当に信じられないという顔をするルナ。
「うん、そうだよ」
「でも、着たら汚れちゃう……」
「そうだね。だからこれを着るのは体を洗ってからかな。あとで水浴びをしよっか」
「うう……」
ルナがきゅっと身を縮めた。
「俺はのぞいたりしないよ?」
ルナがジーッと見つめ返してくる。
俺ってそんなロリコンに見えますかねぇ……。
「わたし、きたない、傷……ううん、なんでも、ない」
あっ、そうか。
ルナは虐待の傷痕を見られたくないんだ!
よし、これはもう話題を変えよう!
「ところでお腹空いたでしょ。香辛料は無理だったけど塩をたくさん買えたから料理がおいしくなるよ! 早速何か作るから、シルヴァーベリーを摘まみながら待っててね!」
塩は毛皮の処理とか肉の保存とか、たくさんの使い道があるから、惜しまず買っておいた。
粗塩だからベトベトするのが難点だけども!
「タカシさん……」
おかゆを作り始めると、ルナがぼそっとつぶやいた。
「ん、どうしたの?」
「なんで、わたしを、助けて、くれる、ですか?」
「え? うーん、なんでって言われても困るな。当たり前だからかな?」
「あたりまえ……」
俺の答えを聞いたルナはボーゼンとしている。
「信じられないのかもしれないけど、俺はルナみたいな子供がひどい目に遭うとわかってて放っておけないだけだよ」
カラムシ麦から出る灰汁をすくい取りながら夕闇の空を見上げた。
赤と青の月がキラキラ輝いてる。
「それに、気づいちゃったんだよね。困ってる人を助けるのって超楽しいって」
ブラック企業時代はマジで余裕なくて、自分のことだけで精一杯だったけど。
うん、やっぱり異世界転生してよかった。
なんかようやく人間に戻れたって感じがする。
「だから、いろんな人を困らせてる、とんでもなく強いらしい魔獣を倒すって依頼も受けてきちゃったし」
「えっ!?」
「魔獣を倒すと報酬がたくさんもらえて、ルナにもっと美味しいもの一杯食べさせてあげられる。ちゃんとした家だって買えるかもしれない。だったら、こんなのやるっきゃないよなって。明日の朝になったら早速出かけるから、ルナには悪いけど、またお留守番を――」
「だめ! タカシさん、死んじゃう!」
「大丈夫、俺は死なないよ。もう死んだから、死なない」
涙目になったルナのボサボサ頭を優しくポンポンする。
「だったら、ゆびきり!」
ルナが真剣な顔つきで小指を差し出してきた。
「えっ?」
「ゆびきり、して!」
「……ああ、そうだね。約束しようか」
「ゆびきり……えっと、げんまーん! うそ、ついちゃ、だーめ! ゆび、きる!」
「指切った! うん、これで俺は死ねなくなったね!」
ルナが目を輝かせてコクコクうなずいた。
「ほら、おかゆができたよ。どうぞ」
「たべる! いただく、ます!」
ふたつの月に照らし出されたルナの笑顔が、とってもまぶしい。
「……うん。明日は絶対に死ぬわけにはいかないや」
「タカシさん!」
木の中からルナが飛び出してきた。
ひしっと足元にしがみついてくる。
「ルナ、大丈夫だった?」
「帰って、こない、思った、です」
「ちゃんと約束したでしょ」
「だって……」
うーん、信用ないな!
俺の信用というより、ルナを取り巻く世界への信用がゼロ!
「そんなことより、ほら。たくさんお土産だよ!」
「おみやげ?」
「街でいろいろ買ってきたんだ。まずはこれ!」
「それ、服、ですか?」
「うん。ルナのサイズを何着か買ってきたんだ。麻で編まれてるから丈夫だよ」
「えっ。わたしの……?」
本当に信じられないという顔をするルナ。
「うん、そうだよ」
「でも、着たら汚れちゃう……」
「そうだね。だからこれを着るのは体を洗ってからかな。あとで水浴びをしよっか」
「うう……」
ルナがきゅっと身を縮めた。
「俺はのぞいたりしないよ?」
ルナがジーッと見つめ返してくる。
俺ってそんなロリコンに見えますかねぇ……。
「わたし、きたない、傷……ううん、なんでも、ない」
あっ、そうか。
ルナは虐待の傷痕を見られたくないんだ!
よし、これはもう話題を変えよう!
「ところでお腹空いたでしょ。香辛料は無理だったけど塩をたくさん買えたから料理がおいしくなるよ! 早速何か作るから、シルヴァーベリーを摘まみながら待っててね!」
塩は毛皮の処理とか肉の保存とか、たくさんの使い道があるから、惜しまず買っておいた。
粗塩だからベトベトするのが難点だけども!
「タカシさん……」
おかゆを作り始めると、ルナがぼそっとつぶやいた。
「ん、どうしたの?」
「なんで、わたしを、助けて、くれる、ですか?」
「え? うーん、なんでって言われても困るな。当たり前だからかな?」
「あたりまえ……」
俺の答えを聞いたルナはボーゼンとしている。
「信じられないのかもしれないけど、俺はルナみたいな子供がひどい目に遭うとわかってて放っておけないだけだよ」
カラムシ麦から出る灰汁をすくい取りながら夕闇の空を見上げた。
赤と青の月がキラキラ輝いてる。
「それに、気づいちゃったんだよね。困ってる人を助けるのって超楽しいって」
ブラック企業時代はマジで余裕なくて、自分のことだけで精一杯だったけど。
うん、やっぱり異世界転生してよかった。
なんかようやく人間に戻れたって感じがする。
「だから、いろんな人を困らせてる、とんでもなく強いらしい魔獣を倒すって依頼も受けてきちゃったし」
「えっ!?」
「魔獣を倒すと報酬がたくさんもらえて、ルナにもっと美味しいもの一杯食べさせてあげられる。ちゃんとした家だって買えるかもしれない。だったら、こんなのやるっきゃないよなって。明日の朝になったら早速出かけるから、ルナには悪いけど、またお留守番を――」
「だめ! タカシさん、死んじゃう!」
「大丈夫、俺は死なないよ。もう死んだから、死なない」
涙目になったルナのボサボサ頭を優しくポンポンする。
「だったら、ゆびきり!」
ルナが真剣な顔つきで小指を差し出してきた。
「えっ?」
「ゆびきり、して!」
「……ああ、そうだね。約束しようか」
「ゆびきり……えっと、げんまーん! うそ、ついちゃ、だーめ! ゆび、きる!」
「指切った! うん、これで俺は死ねなくなったね!」
ルナが目を輝かせてコクコクうなずいた。
「ほら、おかゆができたよ。どうぞ」
「たべる! いただく、ます!」
ふたつの月に照らし出されたルナの笑顔が、とってもまぶしい。
「……うん。明日は絶対に死ぬわけにはいかないや」
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