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第10話 チンピラ実績解除だ!
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「えっと、あなたたちはなんですか?」
質問しただけなのにモヒカン冒険者に胸倉をつかまれた。
うわ、息が酒くさっ!
「俺らがどうとか関係ねぇ。ここはお前の来る場所じゃねえって親切心で教えてやってんだよ」
「えーと。この手を離してもらっていいですか?」
「あぁん? テメェ、誰に向かって口利いイテテテテテ!!」
モヒカン冒険者の親指を掴んで手を離させ、そのまま腕をひねり上げた。
もちろんめちゃめちゃ手加減した上で。
「俺に近づかないでください。自分がどこに行くかは自分で決めるので」
などと言いつつ、心は完全にエンジョイモード。
冒険者ギルドのお約束だから、チンピラには絡まれとかないとね!
「てめえ!」
他の奴が殴りかかってきたのでモヒカン冒険者を盾にした。
「あぎゃっ!」
「て、てめえ卑怯だぞ!」
「卑怯なのはどっちですか? ひとりを三人で取り囲むなんて」
顔では怒りをアピール。心ではニコニコ。
ブラック企業ですさんだ心がテンプレ展開で洗われていく。
「お前ら、イチャつくのはそれくらいにしとけ」
受付のおじさんが戻ってきたし、チンピラセラピーもここまでか。
仕方なく解放したモヒカン冒険者が、受付のおじさんに食ってかかる。
「ギルマスはこいつの味方すんのかよ!」
あっ、この受付さんがギルドマスターなのか!
「この男はザルバックの紹介だからな」
「ゲゲッ、ザルバックさんの!?」
モヒカン冒険者たちがビビる。
あの人、やっぱただ者じゃないのか。
「しかも、森のヌシを単独で狩ったって話だ。お前らじゃ逆立ちしても勝てねえぞ」
「マジかよ!」
「嘘だろ、こいつが!?」
「ありえねえ……」
チンピラたちが疑惑と羨望の入り混じった目を向けてくる。
「いやー、それほどでも」
なんだか急に異世界の転生者接待イベントが立て続けに起きたせいでテンション上がってきちゃったな。
「あんちゃん、俺についてきな」
受付おじさんことギルマスが顎をしゃくる。
大人しくついていくと、ギルドの裏口から外に出てしまった。
「どこに向かうんですか?」
「解体所だ。ザルバックがヌシを運びこんでる」
「えっ!?」
話してる間に広場みたいなところに到着した。
本当に森猪が何十人がかりで解体されてる。
「よお、タカシ」
「あ、ザルバックさん! 勝手に運ぶなんて聞いてないですよ!」
「いいじゃねえか。どうせこいつを売るには解体しなきゃいけねえんだし、早いほうがいいだろ」
「そりゃそうですけど……」
「言ったろ? 信用しろって。ちゃんと金は支払われるから安心しな」
「まあ、それならいいですけど」
頭をかく俺の隣では、ギルマスがあごひげをしゃくっていた。
「まさか本当にヌシとはな。この目で見るまで、正直信じられなかったが……」
「しかも単独で、おそらく一撃で仕留めた。目立った傷が鼻ぐらいにしかついてねえ」
ザルバックが楽しげに笑った。
「このあんちゃんなら、あるいは……」
「ああ、いけるかもな」
お、これは何かお仕事の予感?
「あんちゃん、ギルド登録はしていくだろ?」
ギルマスが眉を跳ね上げる。
「ええ、そのほうが解体費用とか素材の買い取り価格がよくなるって聞きました」
もちろんマキナからね。
「だったらお前は今からB級冒険者だ。A以上は名誉等級だから、俺の権限で与えられる最高の位になる」
「いいんですか?」
「当たり前だ。ヌシを単独撃破したっていうのはもちろん、元A級冒険者ザルバックのお墨付きなんだしな。誰にも文句は言われねえし、言わせねえ」
A級冒険者っ!?
やっぱりザルバックはタダモノじゃなかったんだ!
「タカシといったな。そんなお前にギルドマスターとして指名依頼を出したい」
「指名依頼?」
「ああ。これまで送り込まれた騎士団や冒険者をことごとく全滅させた災厄の討伐を頼みたい」
一呼吸置いてから、ギルマスは忌々しそうにその名を告げた。
「そう、石化魔獣バジリスクのな」
質問しただけなのにモヒカン冒険者に胸倉をつかまれた。
うわ、息が酒くさっ!
「俺らがどうとか関係ねぇ。ここはお前の来る場所じゃねえって親切心で教えてやってんだよ」
「えーと。この手を離してもらっていいですか?」
「あぁん? テメェ、誰に向かって口利いイテテテテテ!!」
モヒカン冒険者の親指を掴んで手を離させ、そのまま腕をひねり上げた。
もちろんめちゃめちゃ手加減した上で。
「俺に近づかないでください。自分がどこに行くかは自分で決めるので」
などと言いつつ、心は完全にエンジョイモード。
冒険者ギルドのお約束だから、チンピラには絡まれとかないとね!
「てめえ!」
他の奴が殴りかかってきたのでモヒカン冒険者を盾にした。
「あぎゃっ!」
「て、てめえ卑怯だぞ!」
「卑怯なのはどっちですか? ひとりを三人で取り囲むなんて」
顔では怒りをアピール。心ではニコニコ。
ブラック企業ですさんだ心がテンプレ展開で洗われていく。
「お前ら、イチャつくのはそれくらいにしとけ」
受付のおじさんが戻ってきたし、チンピラセラピーもここまでか。
仕方なく解放したモヒカン冒険者が、受付のおじさんに食ってかかる。
「ギルマスはこいつの味方すんのかよ!」
あっ、この受付さんがギルドマスターなのか!
「この男はザルバックの紹介だからな」
「ゲゲッ、ザルバックさんの!?」
モヒカン冒険者たちがビビる。
あの人、やっぱただ者じゃないのか。
「しかも、森のヌシを単独で狩ったって話だ。お前らじゃ逆立ちしても勝てねえぞ」
「マジかよ!」
「嘘だろ、こいつが!?」
「ありえねえ……」
チンピラたちが疑惑と羨望の入り混じった目を向けてくる。
「いやー、それほどでも」
なんだか急に異世界の転生者接待イベントが立て続けに起きたせいでテンション上がってきちゃったな。
「あんちゃん、俺についてきな」
受付おじさんことギルマスが顎をしゃくる。
大人しくついていくと、ギルドの裏口から外に出てしまった。
「どこに向かうんですか?」
「解体所だ。ザルバックがヌシを運びこんでる」
「えっ!?」
話してる間に広場みたいなところに到着した。
本当に森猪が何十人がかりで解体されてる。
「よお、タカシ」
「あ、ザルバックさん! 勝手に運ぶなんて聞いてないですよ!」
「いいじゃねえか。どうせこいつを売るには解体しなきゃいけねえんだし、早いほうがいいだろ」
「そりゃそうですけど……」
「言ったろ? 信用しろって。ちゃんと金は支払われるから安心しな」
「まあ、それならいいですけど」
頭をかく俺の隣では、ギルマスがあごひげをしゃくっていた。
「まさか本当にヌシとはな。この目で見るまで、正直信じられなかったが……」
「しかも単独で、おそらく一撃で仕留めた。目立った傷が鼻ぐらいにしかついてねえ」
ザルバックが楽しげに笑った。
「このあんちゃんなら、あるいは……」
「ああ、いけるかもな」
お、これは何かお仕事の予感?
「あんちゃん、ギルド登録はしていくだろ?」
ギルマスが眉を跳ね上げる。
「ええ、そのほうが解体費用とか素材の買い取り価格がよくなるって聞きました」
もちろんマキナからね。
「だったらお前は今からB級冒険者だ。A以上は名誉等級だから、俺の権限で与えられる最高の位になる」
「いいんですか?」
「当たり前だ。ヌシを単独撃破したっていうのはもちろん、元A級冒険者ザルバックのお墨付きなんだしな。誰にも文句は言われねえし、言わせねえ」
A級冒険者っ!?
やっぱりザルバックはタダモノじゃなかったんだ!
「タカシといったな。そんなお前にギルドマスターとして指名依頼を出したい」
「指名依頼?」
「ああ。これまで送り込まれた騎士団や冒険者をことごとく全滅させた災厄の討伐を頼みたい」
一呼吸置いてから、ギルマスは忌々しそうにその名を告げた。
「そう、石化魔獣バジリスクのな」
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