快楽のエチュード〜父娘〜

狭山雪菜

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定点カメラ

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「これをいつも未映子の部屋の一番よく見える・・・・・所に置くやつだよ」
「これは何?」
珍しく父と廊下ですれ違った時に渡された長方形の黒い塊は、手のひらサイズでよく見たら小型のカメラだった。箱も何もなく裸で渡され、カメラの下にミニ三脚も付いていた。
「説明は後で」
「…分かった」
仕事終わりにお風呂に入って、ご飯を食べた後、リビングのソファーでぼーっとテレビを観ていたら、母からだらしないから、と言われ渋々部屋に戻ろうと廊下に出た所で、残業して帰宅が遅くなった父がちょうど帰って来たところだった。

手のひらに渡されたカメラを持って部屋に入ると、充電していたスマホの画面をタップすると、10分前に父からのSNSのメッセージアプリに新着の通知があった。
──あー、これか
きっと家に帰る前に、メッセージを送ったのだろう。カメラの取り扱い説明書のPDFの添付と『よく読むよう』にとシンプルなメッセージがあった。
──なるほどね
何がしたいのかわからないが、一応言われた通りにアプリに添付された取り扱い説明書をダウンロードした。



「赤い点灯が付くと、予め連携された携帯電話へと録画転送します…っと」
ひと通り読むと、父が言っていたよく見える場所はどこかと考えて、シンプルに私のベッドがよく見えるスマホの充電器の側にした。
──私の日常を撮るとか?なら私もお父さんの部屋につけて欲しいな…そうだ、今度お父さんがここに来たらお願いしよう
スマホの充電があるスペースは、ちょうど私のベッドの足元側にあるから私がよく見えるからここにした。
カメラに付いてるミニ三脚の脚を開くと、そこに置いて、カメラのレンズがベッドに向くように調整した。カメラ本体の上部にある電源ボタンを押すと、録画が始まった事を知らせる赤いライトがついた。
「ふむ、もう録画が始まったのか」
随分とあっけない始まり方で、私がちゃんと写っているのかもわからない。
ピロン
しばらくカメラのレンズを覗き込んでいると、私のスマホに新しいメッセージが届いたのを知らせる通知音がする。充電していたスマホを取ると、私と父のトーク画面に私がカメラ越しにいるドアップの8秒の短い動画がアップされた。
──今写したやつ…もうスマホにきた
どうやら父は録画した動画の転送先を、2人のトーク画面にしたのだと知る。
──確か取り扱い説明書では…
録画された動画は8秒、15秒、30秒、1分、5分と最長で15分まで転送出来て、後で時間の延長も出来ると書いてある。
──ふーん…面白い
説明書を読みながら、ベッドに座って足を組むと、しばらくするとまたメッセージアプリに通知が入った。




***************



「気に入ったか?」
「うん、私もお父さんの部屋につけて欲しいけど」
「俺のか?」
「うん…だめ?」
「だめじゃないが…もう一個買うよ」
「お願いね…っ」
夜に部屋に父が来ると、まずはお互いの熱を沈めるために繋がり求め合った。言葉数少ない情事後は、やっと話せるようになるが、一緒にいれる時間も少なく1秒も惜しいから繋がったままだった。
啄むキスをしながら他愛のない話をした後、父の昂りが固くなると、布団を被ったのを合図に父の腰が前後に動き出した。
「はっ、はっ」
「ん…っ、…んっぁそこっ!」
ぐりっと蜜壺の中を抉るように昂りが入る角度が変わり、気持ち良くてつい声が漏れる。
ぱん、ぱんっと、肌がぶつかる音の間隔が短くなると、ギシッ、ギシッとベッドも軋む。
耳も顎のラインも首筋にも舌を這われながら、求められる。父の鼻と口から溢れる熱い吐息が顔に掛かり、お布団の中ではどんどん2人の営みの濃厚な匂いがこもる。父の腕を掴み、父の腰の横に足を曲げて置いたら、お布団の中が動いた。
「はっ、ん…っ、ぁん」
「ヴっ、ッ……ッ…はっ」
父の腰が小刻みに揺れると、私の蜜壺の中に留まる時間が長くなり、その後父の腰が円を描くように動いて、最後には私の蜜壺の中に昂りを残して絶頂へと達した。
「…はあっ、っ」
「お父さん」
父は身体の力を抜くと私の下半身の上に重なり、布団の中で汗をかいた私の額に張り付いた前髪を優しい手つきで退かした。
父の頬に両手を添えて自分の方へと向かせ、キスをせがむと欲しかったキスをくれた。
──カメラ…か、なんか楽しい事になりそう
舌の絡まるキスをしながら、自分の部屋に増えたおもちゃで日常が変わるのを強く感じた。




***************


「ただいま、お父さん」
カメラが増えてから、する事が定着しつつある。まずは仕事から帰ってきたら、ご飯を食べてお風呂に入り、自分の部屋にあるカメラをオンにして部屋着を脱ぎながら父に帰宅の挨拶をする。
もちろん、母が夕飯の片付けをしているから、同じ階にはいない事は把握している。
Tシャツを脱いで、ブラの付けていない上半身を露わにし、自分の乳房を掴んで軽く揉んで遊ぶ。数回に分けて短い動画を撮ったら、その分私達のトーク画面に転送される。
父が残業や車を運転していない限りわりと早くに既読になり、『おかえり』『今日はあの下着を付けなさい』と、短いコメントの返信がある。今は同じ家にいるから返事も早く、父に言われた下着を付けていると、父が階段を上る音がして自分の部屋へと戻る。
しばらくすると、私達のトーク画面に私と同じように短い動画が送られる。

『お風呂に入るよ』『その前にこの・・熱を沈めるよ』
私とは違いベッドが見える方ではなく、クローゼットの中にカメラを設置した。細長いクローゼットの隅に立つ父は、カメラに収まる位置にいた。さっき夕食を食べていた時と同じTシャツを着ていたが、ズボンは脱いでいた。シャツをたくし上げると、そそり立つ赤黒い昂りがそこに映っていた。画質は荒いが、見えなくはない。父がスマホを持って何かを操作し、音量は小さいが私がさっき撮った動画を見ながら、昂りを握り上下に擦り始めた。父の動画のそれを見て、下半身が疼き始めた。カメラのスイッチを付けて、スマホを持ちながらベッドに上がり、ベッドボードに背中を付けて赤く点滅する定点カメラに向かって、足を曲げてM字で開脚すると下半身に手を伸ばした。
『はっ、熱いだろうな、それで俺のをぎゅうぎゅうと締め付け』『今日も中にたっぷり出すからな』と、低く唸る声に私はうっとりとすると、ズボンの中に手を入れて自分の下半身を触る。
「あっ、はっ!~~~!!」
声を殺し腰を左右に揺らすと、トーク画面にお互いの痴態の短い動画がアップされ続け、父が昂りの先端に手のひらを翳すと、動画が終わった。私もイくと、荒い息を整えていると、ピロンとトーク画面に最後の動画がアップされた。
『また夜に』
父がそう言ってカメラのボタンを押す所で、動画が終わった。
「うん、あとでね」
カメラに向かって声が出ると、父が廊下を歩く音がして、私の部屋を素通りして1階へと降りていった。

その日の夜に、また父が私の部屋に入ると、2人でいつものように盛り上がったが…カメラの録画ボタンを押すのを忘れていたのに全てが終わった後に気がついた。





最初は意外と面白い、と思っていたが、結局は自分の身体を慰めるだけで夜までお預けだと気がつくと、自然と1人でいる時にカメラを使う事は少なくなっていたのだった。


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