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いざ、初夜1
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馬車に乗り込んだと同時に口を塞がれ、彼の首に腕を回し身体を密着させた。
「んふっん、っん」
舌を絡めた濃厚なキスは私の全身の力が抜け、彼に凭れ掛かる。プロポーズされてから、会うたびにキスをするようになった。
ーー私の闇の力を封じ込めるためでもあるけど…多分
啄むキス、舌を絡めるキス、彼の唾液を飲むキス、反対に私の唾液を送るキス、口内を舌でなぞるキス、口が塞がった時の息の仕方を教わるキス。家庭教師にも教わらなかった彼とのキスはすぐに私を夢中にさせ、幸せな気持ちが溢れる。
「愛してる」
「早く触れたい」
「一瞬たりとも離さない」
「帰ったら、すぐに」
キスの合間に囁くゼンの声に、胸がきゅんきゅんとしてまた蕩ける。
「私も愛してます」
「触って」
「永遠に離さないで」
「今すぐにっ」
彼の囁く言葉に返事をする私に、ゼンのキスが深くなっていく。
「初夜が馬車の中だと永遠に出られないな」
とフッと笑うゼンの笑顔に、私は可愛いと夢中で彼の舌に応えたのだった。
********************
到着した先は、彼の勤務地騎士団本部から近い屋敷。ココで一人で暮らしていたと言っていた彼は、私と住む事になってから大規模な修繕工事を始め、アーテラ公爵家で過ごした時と変わらない光の遮断に優れた生地のカーテン、図書室の設置をした。
「ここまでしなくても…徐々に光に慣れていかなければいけないのですよ」
そう彼に伝えても、頑として譲らなかった。インテリアまでもが、全て私のためにと彼がひとつひとつ吟味し選んだのだ。
何より私を感動させてくれたのは、魔道士しか持っていないと言われた、大きな鏡の転送装置。
『騎士団長室に繋げたから、いつでも来て』
と、ボタンひとつで彼の元へ行ける装置だ。
「こんな機械があったなんて…」
感動していると彼が、
「前国王もしていた光のクリスタルの研究もしているし、意外とこの王国は魔術が進んでるぞ」
この転送装置は、2人の寝室に設置されいつでも行き来が出来る。普段は鏡として使える有能な装置だ。
まだ、アーテラ公爵の屋敷から引き抜いた数名の使用人しか居ないこの新居で、彼に横向きに持ち上げられ寝室へと向かう。
「…ゼン、屋敷の案内とかは…?」
彼の首に腕を回し問いかける。
「そんなのまた後日だ」
ズンズンと進む彼の足取りは止まらない。
「…ゼン、来てくれたマチ達への挨拶…」
念のためうしろに付いてくるマチを、紹介しようとするが、
「今日でなくても良い」
と反対に、
「もう、下がれ」
とひと言命令すると、マチ含め使用人達は立ち止まり、その場で頭を下げた。
1階の奥、日の光が入らない部屋の扉の前に止まると、そのまま扉を開け中へと入る。住んでいた屋敷の私の部屋を3つ並べたくらいの大きい部屋には、それぞれのクローゼットと、大きなソファーとテーブル、部屋の隅には大きな鏡の転送装置、中央にはゼンが3人は寝れそうなくらいの大きな天蓋付きのベッドとベッドサイドテーブルとランプが目に入り、頬が赤くなる。
ゆっくりとベッドへと仰向けで寝かされると、紅藤色の髪がベッドに広がる。
「美しい我が妻よ」
私の手を取り、ちゅっと指先にキスをするゼン。
「とてもカッコいい私の旦那様」
うっとりと私を見下ろす彼を見上げる私。
「この愛は永遠に妻に捧げます」
「私の心は永遠に貴方のものです」
2人で結婚式で行う誓いの言葉を口にすると、屈んだ彼の顔が近づき鼻が触れる直前に、瞼を閉じた。
「んふっん、っん」
舌を絡めた濃厚なキスは私の全身の力が抜け、彼に凭れ掛かる。プロポーズされてから、会うたびにキスをするようになった。
ーー私の闇の力を封じ込めるためでもあるけど…多分
啄むキス、舌を絡めるキス、彼の唾液を飲むキス、反対に私の唾液を送るキス、口内を舌でなぞるキス、口が塞がった時の息の仕方を教わるキス。家庭教師にも教わらなかった彼とのキスはすぐに私を夢中にさせ、幸せな気持ちが溢れる。
「愛してる」
「早く触れたい」
「一瞬たりとも離さない」
「帰ったら、すぐに」
キスの合間に囁くゼンの声に、胸がきゅんきゅんとしてまた蕩ける。
「私も愛してます」
「触って」
「永遠に離さないで」
「今すぐにっ」
彼の囁く言葉に返事をする私に、ゼンのキスが深くなっていく。
「初夜が馬車の中だと永遠に出られないな」
とフッと笑うゼンの笑顔に、私は可愛いと夢中で彼の舌に応えたのだった。
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到着した先は、彼の勤務地騎士団本部から近い屋敷。ココで一人で暮らしていたと言っていた彼は、私と住む事になってから大規模な修繕工事を始め、アーテラ公爵家で過ごした時と変わらない光の遮断に優れた生地のカーテン、図書室の設置をした。
「ここまでしなくても…徐々に光に慣れていかなければいけないのですよ」
そう彼に伝えても、頑として譲らなかった。インテリアまでもが、全て私のためにと彼がひとつひとつ吟味し選んだのだ。
何より私を感動させてくれたのは、魔道士しか持っていないと言われた、大きな鏡の転送装置。
『騎士団長室に繋げたから、いつでも来て』
と、ボタンひとつで彼の元へ行ける装置だ。
「こんな機械があったなんて…」
感動していると彼が、
「前国王もしていた光のクリスタルの研究もしているし、意外とこの王国は魔術が進んでるぞ」
この転送装置は、2人の寝室に設置されいつでも行き来が出来る。普段は鏡として使える有能な装置だ。
まだ、アーテラ公爵の屋敷から引き抜いた数名の使用人しか居ないこの新居で、彼に横向きに持ち上げられ寝室へと向かう。
「…ゼン、屋敷の案内とかは…?」
彼の首に腕を回し問いかける。
「そんなのまた後日だ」
ズンズンと進む彼の足取りは止まらない。
「…ゼン、来てくれたマチ達への挨拶…」
念のためうしろに付いてくるマチを、紹介しようとするが、
「今日でなくても良い」
と反対に、
「もう、下がれ」
とひと言命令すると、マチ含め使用人達は立ち止まり、その場で頭を下げた。
1階の奥、日の光が入らない部屋の扉の前に止まると、そのまま扉を開け中へと入る。住んでいた屋敷の私の部屋を3つ並べたくらいの大きい部屋には、それぞれのクローゼットと、大きなソファーとテーブル、部屋の隅には大きな鏡の転送装置、中央にはゼンが3人は寝れそうなくらいの大きな天蓋付きのベッドとベッドサイドテーブルとランプが目に入り、頬が赤くなる。
ゆっくりとベッドへと仰向けで寝かされると、紅藤色の髪がベッドに広がる。
「美しい我が妻よ」
私の手を取り、ちゅっと指先にキスをするゼン。
「とてもカッコいい私の旦那様」
うっとりと私を見下ろす彼を見上げる私。
「この愛は永遠に妻に捧げます」
「私の心は永遠に貴方のものです」
2人で結婚式で行う誓いの言葉を口にすると、屈んだ彼の顔が近づき鼻が触れる直前に、瞼を閉じた。
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