上 下
20 / 29

闇の力

しおりを挟む
「闇の力が解き放たれたら、光のクリスタルを使い闇の力を封じ込めて共存するしか道はないわ」


「光のクリスタルと…共存」
つまり
「一生このまま屋敷に篭って…て事かな」
ぼそりと独り言が口から出た私を背後から抱きしめるゼン。彼の胸板に頬をつけると、瞳を閉じる。
アクアはそんな私達の成り行きを見守っている。
「闇の力って…何なのですか?」
そもそもの根本の闇の力とは?自分の中にあるよく分からない闇の力に恐怖すら感じる。
「闇の力とは、光を無効にする力ーー全てを無にする力ーーそして負の気持ちの制御が出来なくなる力」
アクアの言っている事に矛盾を感じる。
「光を無効にするなら、光のクリスタルの力で闇の力を封じ込める事など不可能ではないでしょうか」
先程言っていた闇の力が光を無効にするなら、どうやって私が持っている闇の力を封じ込めるのだろうか。
「確かに闇の力を解き放たれた貴方は、光のクリスタルの力で完全には封じ込められないわ…そうよ、ある程度なら可能だけども…」
アクアは云々と悩み始めたので、彼女なりの答えが出るまで待つ事にした。その間顔を上げてゼンの方に視線を向けた。
「ゼン、私は闇の力があるみたいなの…貴方に悪影響を与えてしまう可能性があるから…その…離れた方がいいわ」
この膝の上から降りるのが少し寂しく思いながらも、私は未知数の闇の力を知らないまま、彼に闇の力に当てられて後遺症などになったら、それこそ自分を許さないと思う。
それなのに、ゼンは私の腰を掴む手を強めた。
「この数ヶ月一緒にいるが全く影響はないし、変な気遣いも要らない…俺は俺のやりたいように行動するだけだ」
「ゼン…」
私の頬に手を置いたゼンは、その琥珀色の瞳を細め私へと向けた。


「ミカド…今ココで言うのもなんだが、どうか俺と結婚をしてくれないか?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚活に失敗したら第四王子の家庭教師になりました

春浦ディスコ
恋愛
王立学院に勤めていた二十五歳の子爵令嬢のマーサは婚活のために辞職するが、中々相手が見つからない。そんなときに王城から家庭教師の依頼が来て……。見目麗しの第四王子シルヴァンに家庭教師のマーサが陥落されるお話。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
恋愛
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには許嫁の公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 メイヴィスはサイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

ヤンデレ、始められました。

来栖もよもよ&来栖もよりーぬ
恋愛
ごくごく平凡な女性と、彼女に執着する騎士団副隊長の恋愛話。Rシーンは超あっさりです。

身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁

結城芙由奈 
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】 妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

ただの政略結婚だと思っていたのにわんこ系騎士から溺愛――いや、可及的速やかに挿れて頂きたいのだが!!

藤原ライラ
恋愛
 生粋の文官家系の生まれのフランツィスカは、王命で武官家系のレオンハルトと結婚させられることになる。生まれも育ちも違う彼と分かり合うことなどそもそも諦めていたフランツィスカだったが、次第に彼の率直さに惹かれていく。  けれど、初夜で彼が泣き出してしまい――。    ツンデレ才女×わんこ騎士の、政略結婚からはじまる恋のお話。  ☆ムーンライトノベルズにも掲載しています☆

処理中です...