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いざ、舞踏会へ
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朝早くに起こされ磨かれた身体は、もちもちしていてずっと触っていたい。夜から始まる舞踏会に、朝早くに起きる理由が分からなくて、マチに聞いたら
「そんなの当たり前です!お嬢様、いかに美しく魅せるかが、私達のお仕事ですので気合いと入ります!」マチは大きな鏡の前にいる私の背後からぐっと握り拳を作った。
「そう…でも…」
鏡の中にいる自分に視線を戻した。
紅藤色の髪はポニーテールに結いで、頭には大粒のダイヤのティアラ。耳には、肩まで触れそうなチェーンの先にダイヤが付いたイヤリングが揺れている。元からプルプルとした赤い唇には、透明度が高いピンク色のリップを薄く塗っただけのシンプルなもの。目元も髪の色に合う薄い赤でほんのりと塗ってある。片目を隠している眼帯は、いつも使用する黒い眼帯ではなく、アーテラ公爵家の家紋がダイヤで作られている黒い眼帯だ。
胸元が大きく開いた真っ赤なAラインのドレスは、ミカドの身体のラインに沿って作られており、胸の大きさ、腰の細さが鮮明に表している。胸元にあるアーテラ公爵家の女系にのみ受け継がれる、ブローチは真ん中には大粒のルビーに、周りを薄ピンクのダイヤが囲む。シンプルな小粒のチェーンネックレスは、イヤリングとお揃いのデザインだ。
手首にはダイヤが散りばめられたブレスレットと中指にある指輪を星の形をしたダイヤが数個列を成してチェーン状に繋がっている。
「お嬢様、お美しいです」
マチとうしろに控えるメイドはぼうっと見惚れている。
「ありがとう」
そう告げると部屋がノックされ、扉が開く。
「まぁ!なんて美しいの!」
私を見た母が、感銘の声を上げた。
「お母様」
私の方へ歩き出した母の方に身体を向けると、母は私の頬に触れた。
「さあ、行きましょう!成人の儀を済ませてしまいましょう!」
そう言って私の背を押したのだった。
*****************
アールスライト王国の城の周りに炎であかりが灯り、真っ白なレンガが芸術的に積み上がって、夜だというのに美しく建っていた。
馬車が城門へと列を成して、正面の入り口には煌びやかなドレスを着た女性や正装の男性が階段を上っている。
周りには騎士団員が警備に当たり、周囲を見回している。
ーークルシュは…いるかしら
父にエスコートされ、正面入り口の階段を上がっていた私は、騎士団員を見てふと、避暑地で会った彼を思い出した。
ーーあの大きな身体で入り口を警備していたら、みんなは逃げてしまうわ
クスッと笑ってしまった私に気がついた父は、私に視線を寄越す。
何でもありません、と首を横に振ると正面を向いて歩き続けた。
「そんなの当たり前です!お嬢様、いかに美しく魅せるかが、私達のお仕事ですので気合いと入ります!」マチは大きな鏡の前にいる私の背後からぐっと握り拳を作った。
「そう…でも…」
鏡の中にいる自分に視線を戻した。
紅藤色の髪はポニーテールに結いで、頭には大粒のダイヤのティアラ。耳には、肩まで触れそうなチェーンの先にダイヤが付いたイヤリングが揺れている。元からプルプルとした赤い唇には、透明度が高いピンク色のリップを薄く塗っただけのシンプルなもの。目元も髪の色に合う薄い赤でほんのりと塗ってある。片目を隠している眼帯は、いつも使用する黒い眼帯ではなく、アーテラ公爵家の家紋がダイヤで作られている黒い眼帯だ。
胸元が大きく開いた真っ赤なAラインのドレスは、ミカドの身体のラインに沿って作られており、胸の大きさ、腰の細さが鮮明に表している。胸元にあるアーテラ公爵家の女系にのみ受け継がれる、ブローチは真ん中には大粒のルビーに、周りを薄ピンクのダイヤが囲む。シンプルな小粒のチェーンネックレスは、イヤリングとお揃いのデザインだ。
手首にはダイヤが散りばめられたブレスレットと中指にある指輪を星の形をしたダイヤが数個列を成してチェーン状に繋がっている。
「お嬢様、お美しいです」
マチとうしろに控えるメイドはぼうっと見惚れている。
「ありがとう」
そう告げると部屋がノックされ、扉が開く。
「まぁ!なんて美しいの!」
私を見た母が、感銘の声を上げた。
「お母様」
私の方へ歩き出した母の方に身体を向けると、母は私の頬に触れた。
「さあ、行きましょう!成人の儀を済ませてしまいましょう!」
そう言って私の背を押したのだった。
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アールスライト王国の城の周りに炎であかりが灯り、真っ白なレンガが芸術的に積み上がって、夜だというのに美しく建っていた。
馬車が城門へと列を成して、正面の入り口には煌びやかなドレスを着た女性や正装の男性が階段を上っている。
周りには騎士団員が警備に当たり、周囲を見回している。
ーークルシュは…いるかしら
父にエスコートされ、正面入り口の階段を上がっていた私は、騎士団員を見てふと、避暑地で会った彼を思い出した。
ーーあの大きな身体で入り口を警備していたら、みんなは逃げてしまうわ
クスッと笑ってしまった私に気がついた父は、私に視線を寄越す。
何でもありません、と首を横に振ると正面を向いて歩き続けた。
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