上 下
3 / 27

強面の男1

しおりを挟む
いつものようにカウンター右奥に座り注文を取りに来たミズキに取り敢えずビールをジョッキで頼む
「はいかしこました」と鈴の音のような心地よい声でマスターの元へ向かうミズキを目で追い
先日やっと見せてくれた彼女の服の下にある、豊満で柔らかい胸、きゅっと締まった細い腰、しなやかな脚……そしてメガネの下の澄んだ大きな黒い瞳、化粧が剥がれつるんとした肌の上気した頬、口は瑞々しくキスをせがむ赤いぷっくりした唇、腰にくる彼女の喘ぎ声を思い出しニタリとにやける顔をビールを口に含み誤魔化した

彼女、ミズキとの出会いはこの酒場月の雫で働き始めてすぐだった
週2日程酒場を飲み歩いていた俺、アーサー・ブランクはこの国の騎士団長を務めている当時25歳の男だった
茶色の髪は短く、赤い瞳は鋭い目つきで身体も筋肉で覆われ逞しく190センチの大柄は男女問わず恐れられていた
身体に比例して俺の下半身は大きく、壊れると娼婦にも逃げられモヤモヤした熱をやり過ごすため酒に溺れていた時、今日はココにするかと入った月の雫でミズキに会った
彼女は働き始めて間もないため注文を受け取るタイミングや酒を運ぶ時の危なさに自然と目が離せなくなっていた
それでもまだ新しい人が入ったとしか認識していなかったまま数ヶ月が経ち、気持ちよくビールを呑んでいた時に酔っ払いにしつこく絡まれているミズキを放っておけず、彼女の腕を引いて酔っ払いを諌めた


ーーこの強面の顔に酔っ払いは青ざめ帰ったが


彼女の腕を掴んだ時、まずあまりの細さに驚き
腕を引いたためバランスを崩した彼女が俺の胸元に肩を預け下から見上げられた時にズレたメガネの奥の大きな黒い瞳を見て、吸い込まれそうだと、彼女から目が離せなくなった

ーーあとから彼女に惚れたと自覚したわけだ

己の持つ権限を最大限利用し、その日の内に調査に乗り出した

その後は週3日働いている事、彼女が身分を偽りこの酒場へ働いている事、かの有名なあのカルローイ家の末っ子男爵令嬢と言う事が分かった

彼女が平民ならまだしも希望はあったが、あの男爵家という事で下手に動けない俺は彼女の働く日にせっせと通い詰める

ーー出会ってから約2年…長かった
と彼女との熱い夜を思い出し愉悦するが、側からみればさらに目つきが悪くなっただけで周りの人を恐怖に陥らせる
ミズキいや、ミズナに薬を盛った令嬢は極上の身体をくれ感謝したが拘束したし、このままやり逃げされてたまるかと目の前の彼女への策を立てる


考え事をしていたカウンターにゴトっと置かれたビールジョッキ2杯
視線を上げると背後からカウンターにビールを置いたらしい薄暗い店内でも分かる彼女の赤面した顔
「…この間のお礼です…ご迷惑をお掛けしました」
俺の横に立った彼女の頬を触るとビクッと身体が動き、彼女の耳元へ顔を寄せ
「気にするな…でもかなり無茶をしたから傷が出来ていないか確かめさせてくれ」
あの時この声で喋れば彼女は余計に感じ乱れた低い声をわざと囁けば、思い出したのかぼぅっと目を潤ませ俺を見つめるミズキ
「…でも…大丈夫です…今動けますし」
と掠れた声に俺は

「…俺が心配なんだ、確認させてくれるよな」
部下からも怖くて断れないと評判の表情を彼女にして

仕事終わるまでカウンターで呑むよ、と無理矢理約束を取った

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】成りすましの花嫁に、祝福の鐘は鳴る?

白雨 音
恋愛
代々、神に仕える一族、モード家の直系の娘は、《聖女の光》を持って 生まれると言われているが、三姉妹の真中、クレアは違った。 《聖女の光》を持たずに生まれたクレアは、不遇の少女時代を送り、 二十歳を迎える頃には、すっかり気弱でお人好しの娘に育っていた。 一方、聖女として頭角を現し始めた妹のロザリーンは、隣国の王から妃にと望まれる。 クレアは妹付きの侍女として、一緒に隣国に行く事になるが、途中、一行は賊に襲われてしまう。 だが、それは王との結婚を望まぬロザリーンの策謀だった___ ロザリーンと間違われ、王宮で手厚く保護されたクレアだったが、 聖女の力が使えないと分かるや否や、王は激怒する。 王を執り成し、クレアの窮地を救ってくれたのは、騎士団長のオーウェン。 だが、その為に、彼は行き場の無い花嫁(クレア)との結婚を命じられてしまう___ 異世界恋愛:短めの長編  ※18禁にしていますが、ささやかなものです。《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、ありがとうございます☆ 

腹黒王子は、食べ頃を待っている

月密
恋愛
侯爵令嬢のアリシア・ヴェルネがまだ五歳の時、自国の王太子であるリーンハルトと出会った。そしてその僅か一秒後ーー彼から跪かれ結婚を申し込まれる。幼いアリシアは思わず頷いてしまい、それから十三年間彼からの溺愛ならぬ執愛が止まらない。「ハンカチを拾って頂いただけなんです!」それなのに浮気だと言われてしまいーー「悪い子にはお仕置きをしないとね」また今日も彼から淫らなお仕置きをされてーー……。

国王陛下は悪役令嬢の子宮で溺れる

一ノ瀬 彩音
恋愛
「俺様」なイケメン国王陛下。彼は自分の婚約者である悪役令嬢・エリザベッタを愛していた。 そんな時、謎の男から『エリザベッタを妊娠させる薬』を受け取る。 それを使って彼女を孕ませる事に成功したのだが──まさかの展開!? ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

巨根王宮騎士の妻となりまして

天災
恋愛
 巨根王宮騎士の妻となりまして

【R18】婚約破棄に失敗したら王子が夜這いにやってきました

ミチル
恋愛
婚約者である第一王子ルイスとの婚約破棄に晴れて失敗してしまったリリー。しばらく王宮で過ごすことになり夜眠っているリリーは、ふと違和感を覚えた。(なにかしら……何かふわふわしてて気持ちいい……) 次第に浮上する意識に、ベッドの中に誰かがいることに気づいて叫ぼうとしたけれど、口を塞がれてしまった。 リリーのベッドに忍び込んでいたのは婚約破棄しそこなったばかりのルイスだった。そしてルイスはとんでもないこと言い出す。『夜這いに来ただけさ』 R15で連載している『婚約破棄の条件は王子付きの騎士で側から離してもらえません』の【R18】番外になります。3~5話くらいで簡潔予定です。

元男爵令嬢ですが、物凄く性欲があってエッチ好きな私は現在、最愛の夫によって毎日可愛がられています

一ノ瀬 彩音
恋愛
元々は男爵家のご令嬢であった私が、幼い頃に父親に連れられて訪れた屋敷で出会ったのは当時まだ8歳だった、 現在の彼であるヴァルディール・フォルティスだった。 当時の私は彼のことを歳の離れた幼馴染のように思っていたのだけれど、 彼が10歳になった時、正式に婚約を結ぶこととなり、 それ以来、ずっと一緒に育ってきた私達はいつしか惹かれ合うようになり、 数年後には誰もが羨むほど仲睦まじい関係となっていた。 そして、やがて大人になった私と彼は結婚することになったのだが、式を挙げた日の夜、 初夜を迎えることになった私は緊張しつつも愛する人と結ばれる喜びに浸っていた。 ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

【完結】【R18】素敵な騎士団長に「いいか?」と聞かれたので、「ダメ」と言ってみました

にじくす まさしよ
恋愛
R18です。 ベッドでそう言われた時の、こんなシチュエーション。 初回いきなりR18弱?から入ります。性的描写は、普段よりも大人向けです。 一時間ごとに0時10分からと、昼間は更新とばして夕方から再開。ラストは21時10分です。 1話の文字数を2000文字以内で作ってみたくて毎日1話にしようかと悩みつつ、宣言通り1日で終わらせてみます。 12月24日、突然現れたサンタクロースに差し出されたガチャから出たカプセルから出て来た、シリーズ二作目のヒロインが開発したとあるアイテムを使用する番外編です。 キャラクターは、前作までのどこかに登場している人物です。タイトルでおわかりの方もおられると思います。 登場人物紹介はある程度話が進めば最初のページにあげます イケメン、とっても素敵な逞しいスパダリあれこれ大きい寡黙な強引騎士団長さまのいちゃらぶです。 サンタ×ガチャをご存じの方は、シンディ&乙女ヨウルプッキ(ヨークトール殿下)やエミリア&ヘタレ泣き虫ダニエウ殿下たちを懐かしく思っていただけると嬉しいです。 前作読まなくてもあまり差し障りはありません。 ざまあなし。 折角の正月ですので明るくロマンチックに幸せに。 NTRなし。近親なし。 完全な獣化なし。だってハムチュターンだもの、すじにくまさよし。 単なる獣人男女のいちゃいちゃです。ちょっとだけ、そう、ほんのちょっぴり拗れているだけです。 コメディ要素は隠し味程度にあり 体格差 タグをご覧下さい。今回はサブタイトルに※など一切おきません。予告なくいちゃいちゃします。 明けましておめでとうございます。 正月なのに、まさかのクリスマスイブです。 文字数→今回は誤字脱字以外一切さわりませんので下書きより増やしません(今年の抱負と課題)

【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜

茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。 ☆他サイトにも投稿しています

処理中です...