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後編

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ホテルからタクシーを使って、40分ほど走った所にある彼のマンションまでやってきた。タクシーの中では、彼の横にピッタリとくっついて、腕に手を添えていた。

15階建の14階に住む1LDKのマンションの室内は、窓が西向きにあって日当たりがいい。オートロックのエントランスからエレベーターに上がって、長い廊下の先にある扉を開いたら彼の家だった。
「ここが隆太郎の家ね」
テレビ電話で見えた彼の部屋の壁、たまに背後に映る物が違っていたのは部屋を変えていたからだと今知った。
「そう、なんか変な感じだなー沙絢が家にいるの」
と言いながら、彼は私を背後から抱きしめて私のお腹を撫でた。
「ふふっ、だってお呼ばれされたもん」
笑いが込み上げてきて、まだ玄関先なのにもう抱きしめられているのが楽しい。
「ホテルでも最初はドアの近くだったけど?」
「んー、ダメ?」
「ダメ…じゃない」
顔を上げて振り向くと、彼は私の口にキスをする。
「だけど、最初はいつも・・・電話してた時にやって・・・いた場所がいいの」
振り向いて彼の腰に手を回して、わざと胸を押し付けて抱きつくと、彼は私の下半身に自分の腰を密着させて笑った。

「へー、ここかぁ、確かに見たことあるコレ」
通された部屋は彼の寝室で、この部屋に入った瞬間、彼の匂いが強く残っていて、背筋がゾクゾクした。
8帖の部屋は窓にカーテンが閉まっていて、薄暗かったけど、外は明るいから真っ暗になっていなかった。
出入口のドアと正反対にあるシングルベッド、右手にカーテンと窓があり、ドアの隣にはクローゼットがあった。
以前テレビ電話中に見た背後にあった物の時計を指差ししたら、その前にはシングルベッドがあった。彼は部屋に入ってベッドに座ると、私に向かって手を広げた。
「おいで」
彼の元に行き、向かい合わせで跨ぐように彼の足の上に座ると、小鳥のようなキスしかしていなかった物足りなさから、舌を絡める濃厚なキスをした。身体を弄られ、背後のワンピースのファスナーを下された。このワンピースを着せたのは彼だから、彼の手でまた脱がされる。
「好き、好き」
キスの合間に伝えれば、彼は返事の代わりに舌をキツく吸い付く。
「いつも電話してる時みたいにして、ここで」
ワンピースを脱ぐ為に、彼の足から降りると、彼は低く私に命令する。
「ん…ッ…でも」
「お願い、俺もするから」
と、彼は立ち上がってスーツを脱ぎ始めた。ベッドの上に無造作に置かれたシャツを手に取ると、それを着て、履いていたボクサーパンツを脱いで、いつもの丸首のTシャツ一枚だけになっている。それはいつも、テレビ電話で見る彼の姿そのものだった。
私はワンピースを床に脱ぎ捨てると、真っ赤な下着姿で彼の前に立っていたけど、いつもしているようにと言われたらから、迷ったけど彼の枕の近くのベッドに腰掛けて足を上げて、勝手に彼のベッドに上がった。ベッドボードに背中を預けて足を広げた。
隆太郎はベッドの端に座ると、私の方を向きながら自分の昂りを握る。
「始める?」
「ああ」
彼が目の前にいて、いつものTシャツ姿と部屋の雰囲気もあって、私はいつもテレビ電話を始める時と同じようにまずは胸を触った。
下から掬うように胸を両手で揉み、ブラの上から揉んでいるのに形が変わるくらい強く揉むと、私の声は甘く溢れた。腰が前後に動くと、私はチラッと隆太郎を見た。
「ねっ、いつもみたいに、言って」
「ん?」
彼は私の痴態を食い入るように見ていたが、私の声に我に返った。
「お願いっ、1人じゃ寂しいっ」
「下のお口も触ってくれ、それを俺に見せて」
掠れた彼の声に身体が勝手に動いて下着を脱いで、持っていた下着を彼に見せるようにゆっくりと私の座る横のベッドの上にぽとりと落とすと、彼の前でもう一度足を開いて見せた。
背後に手を回してブラのフックを外すと、同じように下着の上に置いて、彼の前で何にも着ていない全裸の私がいる。
左手で乳房を揉み、右手で下生えの下にある蜜口を指先でぐるりとなぞると、彼は私の前に移動してきて、胡座をかいた。
「手、止めないで」
「ん、隆っも、ちゃんとして、1人じゃ嫌」
「ああ、してるよ、ほら」
彼はテルエッチの時と同じで私に見せるようにTシャツの裾を上げたが、私の足の間のベッドに手を付けると、前に倒れて私の下半身に顔を埋めた。
「あっ、あっん、んっあっ」
私の手の甲を舐め、指先まで舌を這わすと、私の蜜口の縁を私の指の代わりに舌でなぞった。そのまま蜜壺に舌を入れて、蜜壺から出る粒を舌先で出すと、ちゅうと吸い付き、舌でこねる。気持ち良くて背がのけ反ると、彼の顔に自分の下半身を押し付ける格好となってしまったが、それどころではなくなっていた。
彼の頭に手を置いて、下半身から離そうとしたいのに、浅ましい身体はもっと舐めて欲しいと彼の頭が離れないように固定する。腰が動いている私と、彼は自分の昂りを握って上下に擦って自慰をしている。
「あ、欲しいっ、やっ、口はいやっ」
彼の昂りがチラッと見えてしまったため、もう欲しくてしょうがなくなる。
性に貪欲でこんなの私じゃないと頭で否定したいのに、身体は彼を求めてやまない。
「俺も欲しいよ、沙絢」
彼は私の下半身から顔を上げると、私の口を塞いで舌の絡まるキスをしながら、私の上にのしかかると、蜜壺の中に昂りを埋めた。
「ん、んんっ!」
「んぐっ、っ」
彼の手がベッドボードに置かれ、私は彼の首の後ろへと腕を回して深いキスをしていたが、彼の腰が前後に動き出すと、ベッドがギシッギシッ、と軋み始めた。
ぱんぱんっ、と肌がぶつかり、2人の吐息が甘く低く重なる。何十も往復する抽送に身体が熱くなって、私は手も上げられなくなり、彼の腰に手を回した。
「いくっ、ぁあっ、いくっ、りゅう、りゅ…うっ」
「俺も俺もいくっ、さぁや、さやっ、さあや」
早くなる抽送がピークになった時、ほぼお互いに絶頂に達し、彼は私の中に熱い飛沫を放った。

「ん、んっ、ぁっ、はっ」
「あー、夢が叶ったよ、沙絢っ、最高だ」
彼の洗濯機が置いてある脱衣所にある洗面台の前で、背後から貫かれて交わる。ずっとしたかったと言われても、私はそれよりも気持ち良くて、隆太郎の話の半分も頭に残らない。三連休の間に全部屋でやろうと言われ、そんなの無理疲れてると頭が判断して言う前に、口が勝手に楽しそうと発する。自分でも信じられないくらい底の見えない性欲に驚いていたが、彼も淡白な方だと今まで思っていたらしく、出来る所までしたいと言う。
「ねっ、私ぁっ、ぅ」
「ああ、何度もイくよ、沙絢の中にずっといたいよ」
過去付き合いのあった人とも、一度エッチをすれば、もう満足していたのに、私とする時は何回しても全然足りないと言われたら、嬉しくて私も応えてしまう。
繋がったままお風呂場へと入り、シャワーの水だけ浴びてまた出て、廊下もびしょ濡れになるのも構わずにリビングへと抱き上げられて向かった。
初めて足を踏み入れたのは、彼に貫かれながらなんて、なかなか経験出来ることじゃなかった。
「はっ、気持ちいいっ、中に、ね、中出して」
「あっ、沙絢っ…ぐっ、んぐ」
ソファーに座って休もうと思っていた隆太郎だったが、自分の足の上で腰をくねらせ快感を貪る沙絢を見て、疲れなど吹き飛んだのだった。



***************


「本当…凄かった」
「本当、搾り取られた」
どこもかしこも濡れた部屋の後片付けは、後でまとめてやると決めた2人は、最終的に寝室へと戻った。夕方を通り過ぎ、夜の21時に終わった情事に、2人のお腹がぐぅと鳴る。
食べようか、とスマホで出前を注文した後にしばらくキスや他愛のない話をした。
「あと、明日と明後日だけじゃん」
「ん?何が?」
「だから、明後日になったら、仕事に行く準備をしないといけないから一回家に帰る」
「もういいじゃん、一緒に住もうよ」
「え?もう?」
「そう、俺は沙絢ともう離れたくないよ、好きなんだよ一緒に住もうよ、なんならもう結婚したい」
「結婚?もう?だって」
「出会ったのは、沙絢が入社した時で、最近じゃないけど、沙絢と過ごした日々はちゃんとあるし、俺は問題ないよ」
「…結婚…?」
「それとも嫌だ?年上過ぎる?なんか嫌な所あった?」
「嫌な所はないよ、それに年は前から知っていたから別に…私と結婚したいの?」
「そうだよ、沙絢と会ったら…ああ、昨日の待ち合わせの話ね、キスをしたらすぐに結婚前提で付き合って欲しいと告白するつもりだったよ?」
「…本当に?私すごい下だよ?隆太郎は大丈夫?」
「うん、問題ない…身体の相性もばっちりだから、俺はもう1分たりとも沙絢と離れて暮らしたくない」
「でも」
「ここにおいでよ、狭い家だから、いつでもくっついていようよ」
突然プロポーズされ、頭が真っ白になって何にも考えられなくなる。
「こっちにおいで…?」
「そう、暮らそう、2人で」
隆太郎の言葉を頭で反芻するはずが、口からも出てしまって、彼は同じ事を繰り返す。
そして、頭の中が彼の言葉をちゃんと理解すると、じわじわと嬉しい気持ちしか溢れてこない。
「隆太郎と結婚したい」
「本当に?世界で一番大事にするよ」
裸のままプロポーズされ、私の口から出た言葉に喜ぶ彼に抱きしめられる。
「隆太郎」
「ん?」
「嬉しい」
「俺もすごく嬉しい」
勢いで返事して、後悔するかと思ったけど、今はそんな気持ち微塵もない。ただただ彼の奥さんになるのが嬉しい。
「…沙絢、この気持ちのままもう一回しよ」
「でも…ご飯来るよ?」
「俺が出るから…ね」
彼は私の上にのしかかると、私の耳朶を甘噛みしながら求めてきた。ついさっき出前を頼んだとはいえ、もしかしたらすぐに来て玄関のチャイムが鳴ってしまうかもしれないと思ったけど、隆太郎がちゃんとすると言ったので、私は安心して彼の背中に手を回した。




土曜日の夜遅くに燃えた2人は結婚をするため、日曜日に私の家へ、彼の家にはその日のうちに弾丸で突撃して、取り急ぎ挨拶を済ませた。幸いにも、2人の実家はそう遠く離れていなかったので出来た事で、もし無理そうだったのなら、電話で先に伝えるだけにするつもりだったのだ。
月曜日に市役所に行って休日の受付してくれる所で揃って婚姻届を出すと、私達は晴れて夫婦となった。
「とりあえずさ、沙絢の家に行って荷物取りに行ってさ」
「うん、一緒に帰ろう」
月曜日の夕方には全てが終わり、この部屋での新生活がスタートしたのだった。この後私の住むマンションの解約や引っ越し作業が待っているけど、私はちっとも後悔なんかしていなかったし、事務的な話しかした事なかったから、優しい人だと勝手に思っていた課長は、実は独占欲が強くて愛情をたっぷりと注いでくれる、プライベートと仕事の住み分けがきっちりと出来ているのだと初めて知った。



そして
「もう少しいけそう?」
「ん…一回ならいけるけど、まだするなら明日起きられないや」
「なら一回にする」
そう言って、彼は私の肩に顔を埋めた。彼も知らなかった絶倫の大変さは、どのくらいすれば起き上がれなくなるのかも教えてくれ、私は自分の体力のリミッターを知る。
職場婚を知らせたのは、結婚して身分証の更新や引っ越しも終わってひと息ついた2ヶ月後だった。みんなに驚かれたけど、祝福された。
「「子供は仕事が落ち着いたら」」
と約束をしていたが、本音はまだ2人の時間を過ごしたかっただけなのは2人の秘密だった。

暇つぶしで始めた無料の雑談チャットで知り合ったのは上司で夫で、彼氏にはなっていなかったけど、会おうと約束する直前までの恋人のようなやり取りが濃密な時間過ごせた最愛の人が出来た。
身体の相性もばっちりで、年齢の割にエッチな所がオープンになるのが最高で、今ではなくてはならない存在になっていたのだった。
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みんなの感想(1件)

せぷ
2024.09.25 せぷ

作者様のお話どれも面白くて大好きです(*´`)
(特に熊男と父娘が好きです!)
このお話も好みにぶっ刺さりました(´Д`)⟡.*
またいつか番外編など見れたら嬉しいです( ᐪ꒳​ᐪ )‬

解除

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