ヤクザの監禁愛

狭山雪菜

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番外編  お出かけ〜船旅〜 投稿19ヶ月記念小説 ヤクザの監禁愛

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半楕円形の白い手すりのついた甲板に出ると、潮風が身体に当たる。夏が始まったとはいっても、冷たい風が身体に当たり少しだけ寒い。
「ねっ!勇人さんもおいでよっ!」
プールに入って立ったまま私が振り返ると、彼――勇人はやとさんは、甲板から外が一望出来る室内のソファーに座ったまま、ウィスキーの入ったグラスをあげた。
つまり行かないという事だ。部屋備え付けのバスローブ姿の彼は、脚を組みプールにいる私を見ている――気がする。晴天の下にいる甲板からは、室内が暗く見えてしまうから彼の表情まで読み取れない。
そんな私は、持ってきた水着を着てプールにいる。真っ白な肌に合うと言われて購入した白いビキニ。首の後ろと背中で紐で結び、両サイドの腰にも紐で結んでいる。
深さは私の腰あたりまであり、直径2mくらいのプールは丸くて、プールの水が入った容器は白い。太陽に反射して水面はキラキラして眩しい。プールの中で立ったまま見る甲板の手すりの先は、一面の海しかない。フェリーが進む先には何にもないし、乗客がいるはずなのに人の声さえ聞こえない。この甲板の下がどうなっているのか、どこらへんなのかも検討がつかない。
ずーっと見ていても良かったけど、ずっと立っているのも変だから、私がプールに足を入れたところにあった一つの段差に腰を掛けた。
座ると胸まで水に浸かり、微かに揺れる水面が私の胸に当たる。寄せられて上げたビキニに収まる胸だけではないけど、丸く膨らみ赤い点が身体中にいたる所にある。薄らと残る噛み跡もあるが滲みないけど、知らない人が私の身体を見たら何かの病気かもしれないと思われそうだ。
――誰かに、見せる予定はないけど
太陽の日差しでキラキラと輝く水を両手で掬っては手を離しすと、落ちた水がプールの水に弾いて私の首元にかかる。
「…温泉じゃないぞ」
呆れ声が聞こえたから顔を上げると、プールの横に立つ勇人さんが立っていた。バスローブを羽織った彼は、腰の紐を解き肩からするりとバスローブが脱げると彼の足元の床に落ちた。一糸纏わぬ全裸となった勇人さんは、肩には背中から続く刺青が延びて、6つと細かいコブみたいに割れた腹筋、鍛えられた手足の太い筋肉を惜しげもなく見せている。私の座る段差に足を入れたのて、彼が入りやすいように身体をズラすと、量が増したプールの水が少しばかり溢れて水位が上がる。
「ね、気持ちいいでしょ?」
「ああ」
隣に座った彼を見上げると、そうだなと、言った勇人さんはプールの縁に腕を伸ばして乗せ背中をくっつけた。逞しい腕が私の背後に回り、眩しいのか目を閉じているのを見ると、そういえば、こうしてまだお昼前に外でいるのは初めてかもしれないと思った。日中一緒にいる時間もあるが、それは家の中にいる時だし、外出も勇人さんに連れ去られるまでは夜が多かった。
「…なんだ」
じっと見すぎていたらしく、目を閉じていたのに私がずっと見ているのに気がついたらしい勇人さんが、私に向かって目を閉じたまま声をかけた。
「…ううん」
頭を横に振って、私は目の前のプールの水に視線を落とした。キラキラ眩しい太陽の日差しが反射したゆらゆら揺れる水面と、揺れる水に私の身体のラインが乱れている。潮の風、エンジンの音、フェリーに当たる水音、微かに聞こえる音楽は船内にかけられているみたいだ。
――すごい贅沢な時間…またこうして勇人さんと出かけるのかな
毎回旅行するのは大変だけど、たまにはいいかもしれない。フェリーじゃなくても、飛行機や新幹線もあるし、車もある…その時は勇人さんが運転するのだろうか。
そんな考えを巡らせていると、
「…何を考えてる?」
勇人さんが私に声を掛けた。
「…たまには、こうして一緒に出かけるの…いいなって」
「そうだな…たまにはな」
なんとなく勇人さんの声のトーンで、次はないのかもしれないと思った。今回の旅行も何かイレギュラーな事が起こったのかもしれない。
「でも、たまには…だから」
――勇人さんには不本意な時間なのかも…
そういえば、日中も夜もずっと一緒にいる。ずっとそばにいるのが嬉しくて、いつもなら日中は仕事に出かけている事を忘れていた。
――私は嬉しいからいいんだけど、ね
彼の仕事の邪魔をしているつもりは…ないけど、私が日中起きていたらダメなんだろうか。ぐるぐるとマイナスな考えになっていくと、突然身体が浮上した。私を容易く持ち上げたのは勇人さんで、彼は私を自分の足の上へと座らせた。
「…また、変な事考えてる」
「変なこと…ッ…って」
勇人さんの顔が私の肩に置かれ、背後から抱きしめられた。私の背中に当たる私よりも体温の高い勇人さんの固い胸板と、お腹の前に回された腕が私が動かないように固定されて捕まる。耳元で喋られて擽ったくて肩をすくめると、ぺろりと首を舐められた。
「も…無理だよ…っ…?」
「まだいけるだろ」
このフェリーに乗ってから、ほぼ繋がっているか、ご飯かお風呂くらいしかしていない。鍛えているだけあって勇人さんは疲れ知らずなのに対して、私はもうギブアップ寸前だ。
――あの時…みたい
私が勇人さんの元から逃げ出して、見つかって連れ去られた時みたいに、ひたすら愛されまくってる。
――あの時とは全然違うけど…
前回は彼の激情を宥めるために必死だったけど、今回は全て優しく触れてる。じわじわと快感を呼び覚まして、お互いの想いをぶつけるような荒々しいのでもなくて、少しずつ高みを目指すから本当に身体が蕩けていくのだ。こんなにえっちをしてばかりで、彼の手によって変えられた身体を持て余してしまったらどうしようか。今はそばにいるからいいけど、勇人さんの仕事が始まってしまったら…だけどもう彼の声を聞いて抱きしめられると、まぁいいか、その時はそのときに考えよう、と投げやりになる自分がいる。
「好き」
少しだけ顔を横にすると視線が絡まり、啄む口づけをする。私のお腹の前にある彼の腕に自分の腕を重ねて、彼の固い手の甲に自分の手のひらを置いた。
啄むだけの軽いキスで満足するはずなんてなく、彼の口先を少し出した舌で舐める。すると、私の口内に彼の舌が入り、100倍になって返ってくる彼の口づけに夢中になる。
薄い生地の水着に当たる固いモノの存在を認識すると同時に、私のお腹の前にあった彼の腕が動いて、私の胸を両手で掴む。彼とこんな関係になってから、胸が大きくなっていくのだけど、それでもまだ彼の手の方が大きい。水着の上から揉まれ、口を塞がれてしまう。体勢が悪くて、口づけもままならなくなると、腕を上げて勇人さんの頭に回した。固定された位置で満足した私は、彼の口づけに応える。
「ん…っ…ん」
胸のトップを親指と人差し指で摘まれて、グリグリと回されて潰され始めると、口づけに集中出来なくなり、重なった口の隙間から甘い声が出始める。もう条件反射のように腰が動き始めると、水面が揺れる。
両方のトップを摘まれていたのが、勇人さんの左手が胸から離れて腰から下の水着に移動した。いつも繋がっている箇所を彼の指先が水着の上から押して揉み始めると、キスをする事が困難となってしまった。
「あ…っ、あ、っんんっ、あ」
背が弓のようにのけ反り、彼の肩に頭を押し付けると、彼の手つきが大胆になっていった。お腹から水着の中に手を入れ下半身に直接触れられて、このフェリーに乗ってから絶え間なく・・・・・繋がっていた蜜口に彼の指が入っていく。ヌルリとした感触は、水の中にいるのにはっきりと感じ取れて、恥ずかしさで頬が赤くなってしまう。
「ん…っ…あっ!」
柔らかな蜜壺は彼の指を受け入れるのに、蜜壺に入った勇人さんの2本の指は小刻みに蜜壺の中を掻き回す。
彼の指の付け根が私の太ももの付け根にあたり、親指で蜜口から出た粒に触れた。
「あぁっ、あっ…っ!」
逞しい腕に掴まれ、身動きが取れない私を追い詰める太い指先に翻弄された。首も胸も下半身も彼の口と手で攻められて、もうイキそうになる。お尻を動かすとゴツゴツした固い物がお尻に当たり、勇人さんも感じてくれていると知って嬉しくなる。彼の昂りに手を添えて握ると、どくどくと鼓動のように左の手のひらで感じて、ゆっくりと上下に擦る。
「っ、んぁっ!」
ぐるっ、と肉食の獣のように低く唸る勇人さんは、私の蜜壺の中に入れた指を曲げると、電流のような強烈な快感が私の身体に流れた。
「あっ、あっ、ぁあっ!」
私の身体の全てを知り尽くすこの男は、私の蜜壺をどう触れば私が達するか、なんて目を閉じていても分かるだろう。
ピクピクと身体が震えると、快感の余韻に浸る。彼の指先が私の蜜壺から抜けて、私のお腹に手をつけた勇人さんが勢いよく立ち上がると、ザバっとプールの水が甲板に流れた。
甲板に置きっぱなしになっていたバスローブを適当に敷いて、私をその上に仰向けで寝かせると、水着をズラして彼の昂りが私の蜜壺へと入っていく。
「あっ、あ、あっ」
「ぐ、っ、きついっ」
まだ快感に浸っていた私の身体は、ずずずっと蜜壺の中を進む昂りをぎゅうぎゅうに締め付ける。私の中をこじ開けるように進んだ昂りは、蜜壺の最奥へと到達すると、一気に腰を引いて勢いよく元の場所へと収まった。
「ぁぅ!…っ!…はっ…ぁっ!」
ぱんぱんっ、と勢いのある抽送が始まり、快感とは別のじりじり強い日差しを肌で感じる。明るすぎる上に初めての外での繋がりは、どうしても声を抑えようと思っても抑えられない。勇人さんの手が私の腰を掴み、もう片方の手で私の太ももを持ち上げ胸に押し付けた。ぐりっと深くなる繋がりに、イキっぱなしの身体が悲鳴をあげる。
「はっ、ここがいいのかっ」
新たに私が気持ちよくなる場所を見つけたのか、嬉々として同じ箇所を攻められて頭の中はもう、ぐちゃぐちゃになる。
「っ、はや…っと、さっ…んぁっ!」
手を伸ばすと勇人さんは上体を屈めてくれ、繋がりが深くなる。もう彼の昂りは最奥に届いているはずなのに、ぐりぐりと腰を回されると、もっと奥へと入っていけると錯覚しそうになる。
「はっ…あつ、いくっ、いくっ」
迫り上がってくるのは絶頂への予感。彼の肩に手をつけながら、肩の先を見ると綺麗な青空。
「余裕だなっ、っ」
目の前にいる俺に気づかないなんて、と嫉妬する勇人さんに胸がきゅんと熱くなり、繋がった場所にも力が入ってしまう。そのまま身体が言うことを聞いてくれなくて、彼の昂りをぎゅうぎゅうに締め付ければ、熱い証が蜜壺の最奥へと注がれた。
「っ、つ…っ」
絶頂への嬌声も出なくて、ぱくぱくと口を開けたり閉めたりしていたら、勇人さんの口によって塞がれ舌の絡まる濃厚な口づけが始まった。



「…焼けてるな、赤くなってる」
ちっと舌打ちをしたのは、日も沈んだ頃。夕焼けでオレンジ色になった――海外ドラマならロマンチックな曲がかかっている時だ。私の赤くなった肌を見て、勇人さんは不機嫌になった。
「ん、やだっ、やめないでっ」
プールの縁に座る勇人さんの腰の上に向かい合わせで座り、口づけをしていたのにやめられて思わず不満が口から出てしまった。
「そうだな、そろそろ中へ入ろう」
お互い全裸のまま肌を合わせているから、2人を遮るものもなくて風が冷たくなってきたが、全然寒くない――もちろん今も繋がっているのだ。休憩したりしていたが、べったりとくっついていたら、簡単にその気になってしまうのだ。
「あっぅ…うっ、ん、んっ」
勇人さんは私のお尻を掴み抱き上げると、室内へと移動した。一歩、一歩と足を踏み出すたびに、繋がった場所から快感が生まれて、甘い声も出て気持ちいい。
甲板に出れるソファーのある部屋ではなく、2人が眠る部屋へと移ると、冷えた身体を温めるようにお互いの快感で生まれた熱をぶつけあって夜が始まる。





「間もなく着く」
「はい、結局姐さん出ませんでしたな」
「だろうと思ったよ」
船内の奥にあるバーラウンジに集まったのは、部下の3人。旅行だしフェリーという初めての乗るはずだから、共同スペースにある大きなプール…は流石にないと思ったが、ショッピング、またはレストランくらいは出てくるだろうと思っていたが、一度も部屋から出てこなくて、夜はもちろん、日中ですら部下達が部屋に近づくのを3人の上司である勇人が嫌がった。
「平和だなぁ」
「もうすぐ着くしな」
怪しい者も居ない船内、勇人もそれなりに強いから用心棒としての役割もなくなった2人は、せめて姐さんの分も楽しもうと酒を飲んでいたのだが、やる事がなくなったのかテツがやってきて3人で飲み始めた。
「着いたら、兄貴のお世話になった人と絵梨奈さんを会わせる…気を引き締めていこう」
珍しく饒舌なテツは強めの酒を飲み、ザルの2人は頷き合いこれから起こるであろう出来事を前のひと時を楽しんだのであった。

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