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リクエスト 年末の蜜 姫初めシリーズ2 ヤクザの監禁愛
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「…兄貴、よいお年をお迎えください」
「…ああ」
黒塗りの車に乗り込む俺に、この日本最大の組の幹部を送り出す一列に並ぶ部下たちが頭を下げた。年末の組の一致団結会も終わり、次の集まりはもう年が明けてからになる。
「…出せ」
「かしこまりました」
いつもなら運転席にいるヤツに声も掛けないのに、普段と違う事をしてしまうのは……急いで行きたい場所があるからだ。
***************
「…勇人さんおかえりなさい」
今日は誰も家には来なかったから喋る必要もなくて、彼――勇人さんが私が今さっきまで眠っていた部屋の扉を開けて初めて声を出したから掠れていた。
確か行事で遅くなると言っていたのに、枕元にあるデジタル時計を見るとまだP.M23:23と表示をされていた。
年末の挨拶とか言っていた様な気もするし、違う気もする。だって出かけるギリギリまで抱かれていて、もう何がなんだか分からなかった時だったから。
「まだ寝てたのか」
ベッドルームに入る前に取ったのか、朝はピシッと決まっていた黒のオーダーメイドのスーツは、今はネクタイを外し首元のボタンも数個取れていた。
「…うん」
倦怠感が酷い疲れた身体を起こせず頭を枕に戻せば、勇人さんは何も言わずに部屋から出て行ってしまった。
私――河合絵梨奈は、新卒で入った会社で――今思うとセクハラだったと思う――嫌な目に遭っている所を、無言で居なくなった勇人さんに助けて貰った。落ち着いた物腰と無口で寡黙だとあっという間に恋に落ちた私は、次第に彼がヤクザという事を知った。だけど彼のことを好きだと思っていたから、別れるつもりはなかったのだけど、ある時婚約者と名乗る女性から現れ身を引いた。
約3年という期間、彼が私を探しているなんて思わなかったけど、いつでも辞められるように職や住処を転々としていたのは、今となっては彼が私を攫いに来てくれるのを待っていたのかもしれない。
見つかってからは本当に一瞬の出来事で、自由に外出も出来ない軟禁状態となっている。だけど、不満があるわけじゃない。
――衣食住、全て高級品で完璧
例えば、私が横になっているベッド、高級老舗メーカーのモノで柔らかすぎず硬すぎず、毛布も枕も一級品で、過去に使っていた寝具などには戻れないし、勇人さんがいなかったら秒で寝れるのだ。そして普段使用する服、ランジェリー、バスタオルからフェイスタオル、スリッパまで使用心地は抜群だし、この家にきた当初は使わないのにブランド品のバッグなども買って貰っていた。その中でも一番の高級なものといえば、やはりこの家だろう。家と言っても一戸建てではなく、地上数十メートルの以上あるタワーマンションの一室だ。朝日が上ると雲の上にいる様な気がするし、夜は街灯や人々の住む家の明かりで数回しか見たことないけど一面光り輝き絶景だ。
――夜は勇人さんが居ると見ないし、1人でいる時もつまらないから早く寝ちゃって結局見ないんだけど
広いリビングに広いベッドルーム、勇人さんの洋服や小物が置いてあるウォークインクローゼット、2人でも広いお風呂場と勇人さんの仕事部屋、私の洋服や靴とバックはベッドルームのすぐ横だ。24時間止まる事がない換気と、自動で捨てられるゴミ捨てのシステム、全てが最先端で最高の設備が整っているのだ。
そうだ、ご飯も老舗のフレンチやイタリアン、無国籍料理や和食までお店の味が家でも味わえる。それは私が動けなくて寝込む時に限るんだけど、普段はちゃんと料理もしている。配達されるみずみずしい野菜や新鮮で高価なお肉を使っている。あんまり料理は上手じゃなかったけど、勇人さんの部下のテツさんの奥さん――文香さんに日中教えて貰っている。
「…まだ起きてたのか」
またベッドルームの扉が開いて、先ほどのスーツ姿とは真逆のいつもと同じ紺色のバスローブ姿の勇人さんがやってきた。キツい眼差しはそのまま変わらず髪も濡れてはいるが、少し伸びた黒の前髪が下ろされ、人当たりは良くなさそうだけど、私しか見ないからいいだろう。
「寝ようと思っていた所!」
まるでいつも寝ているように言う彼に、私は可愛くない返答をして、ぷいっと彼に背を向けてしまった。
特に何も言わずにやって来た彼は、私の横になっているベッドへと入ってきた。背後側のベッドが凹み、彼が横になったのに気がついた。振り返ると勇人さんは仰向けになっていた。彼の側に近寄り彼の右胸元に頬を寄せると、勇人さんの右腕が伸びて私の肩を抱いた。自ずと彼の腕が枕代わりになり、だからもう少し頭を上げると彼の肩にこめかみを当てて、私よりも分厚い腰に抱きつき彼の足に――というか胴体から下に自分の足を巻きつけた。
「今日は…しないの?」
寝やすい格好になって、ふぅっと、息を吐くと、勇人さんは
「声ガラガラだろ、これ以上したら喋れなくなる」
それ以上は何も言わなくなり、彼は瞼を閉じた。
――今日は、しないのか…
規則正しい彼の吐息を聞きながら、そんなことを考えていた私もいつの間にか眠ってしまったのだった。
***************
28日に仕事納めをした勇人さんと、仕事休みに入ってから特に何をするでもなく一緒に過ごした。29日起きたら彼もまだ寝ていて、勇人さんが起きるまでじっと寝顔を見ていたら呆れられ、27日まで激務で不在がちだった彼へ話したかった事をずっと言っていて1日が終わった。30日にはリビングにある特大のテレビから私のおすすめのドラマを一緒に観て――明らかにつまらなそうに観ていたが、私が真剣に観ていたから、私の横のソファーにただ座っていた。
30日も同じように何にもないまま終わり、いよいよ31日になると、流石に何にもしなすぎだったと、お昼を過ぎたあたりで少し遅いけどおせちを作ろうとキッチンへと向かうと、
「何してる」
と不機嫌な声をかけられた。
「今日の夜食べる蕎麦と、おせちを作ろうと思って」
蕎麦は茹でるだけだから別に下準備とか要らないけど、あまりに不機嫌な声だったからびっくりして余計な事も言ってしまった。
「そんなのはいい」
私がキッチンから動けないでいると、勇人さんがやってきて私の前に立った。彼の方が身長が高いしタッパもあるから、見下ろされると天井の明かりが逆光となって勇人さんの表情がよく見えない。
「…勇人…さん…?」
何も言わず私を見下ろす彼に不安になって彼の名を呼ぶと、彼は屈み私の首筋に顔を寄せた。
「もう、元気みたいだな」
どこか含みのある低い声を耳元で囁かれ、ゾクゾクとする。
「…あ」
思わず彼の顔のある方を向くと、不機嫌な声はなくなりキツい眼差しを私に向けていた。
――この顔…めちゃくちゃにされる時に見せる顔だ
ほとんど表情はいつもと変わらないのに、僅かな変化を感じ取れるまでになったみたいだ。私の腰に腕を回し乱暴に引き寄せられると、彼の胸板に手を置いて身体が密着した。
「2日もしなかったんだ、覚悟はいいか」
くくっ、と珍しく上機嫌で笑う勇人さんに、私はドキドキと胸が高鳴るのを感じた。
「あっぅっ、あっあっ」
四つん這いにされ、腰を掴まれ背後から貫かれていた。激しく攻められているから腕の力が入らなくて、腕を曲げて顔がベッドのシーツに当たると、腕を取られて上体を起こされた。私の背中に勇人さんの胸板が当たると、上を向かされて口を塞がれた。慣れない体制での口づけは辛く、息もままならないのに止めようとは思わなかった。口を解放されると、勇人さんの腰が動き出して抽送が再開する。ぱんぱんっと彼の腰と私のお尻がぶつかり、繋がった箇所から私の蜜と先ほど出された熱い証が絡まる粘音も聞こえる。
羽交締めのようにされていたけど、次第に勇人さんの左手が私の乳房に、もう片方の手は2人が繋がる結合部に移動した。
「あっ、それっ!やっ…だっ、んんっ」
もうすでに蜜壺に勇人さんの昂りが入っているのに、結合部にある粒を触られて、同時に攻められ快感で一瞬だけ意識が飛ぶ。絶頂に達した私はピクピクと動いていたのに、ラストスパートをかける勇人さんのせいで、ずっと快感が続いて終わらない。
「はっ、ぐっ」
私の肩に噛みつきながら彼の短い唸り声が聞こえると、痛みと快感が混ざり下半身に熱い証が注がれるのを感じた。
「動いてっ、ねっ、動っ…て、イけないっ、イけないっ」
水分を摂ろうとリビングに移動した私達は、大きなL字のソファーの上で繋がった。ソファーの横にあるミニテーブルの上には彼の好きな銘柄のウォッカのボトルとグラス、私のミネラルウォーターのグラスもある。彼はウォッカのグラスを持ち、優雅に口に運び喉を潤す。繋がったままだから彼は動かないし、動こうともしない。散々ベッドルームで抱き合ってリビングに来て初めて夜になっていたのに気がついたが、私と自分の飲み物を準備した勇人さんが座ると私は彼の上に乗った。2人しかいないからお互い裸で、勇人さんが準備してくれたミネラルウォーターを飲んでいたら、彼のが大きくなったのに気が付き、嬉しくて自分から勇人さんのを入れたんだけど、ベッドルームでの情熱的な行為が嘘の様に動かない勇人さんに困惑していた。
彼の肩に両手をつけて、彼の足の横に付けた足に力を入れるが、いつもやってくれるように動いてもくれないから、ずっと焦らされているのだ。私が彼の上で上下に動くのを目を細め堪能する姿が、すごくカッコよくて、何で動いてくれないのか疑問しか出てこない。
「なんでっ、なんでっ、っ」
「俺を焦らすからだろ」
私の顎に右手を置いた勇人さんは、親指で私の唇のラインをなぞり、親指を私の口の中へと入れた。
「じっ、焦らしてなんかっ」
勇人さんの言っている意味が分からなかったが、彼の指が私の口内にあるのが気になり無意識のうちに舌で彼の親指を舐めて吸い付いた。
「してたら、無防備に隣に座って」
「…隣…?」
勇人さんの隣に座ったのは今日じゃないし、昨日と一昨日の2日間だ。だけど空調も効いているし、家の中だったからキャミソールワンピースと薄手のカーディガン、もこもこの靴下を履いていただけだったけど…それがダメだったのだろうか。
「…俺といる時は俺から離れるな」
「そんな…ご飯だって」
「出前でいい」
「えっ…ぁっ!」
勇人さんはそれ以上喋るつもりはないらしく、手に持っていたグラスをテーブルの上へと置くと、私の腰を掴み下から突き上げ始めた。自分で動いても淡い快感しか起きなかったのに、彼が動き出しただけで途端に全身に巡る強烈な快感が起きた。腰を浮かせてソファーに後頭部を押しつけて、ふんっ、と息の吐いた彼が、私の身体を上げては重力で元の場所へ戻る私を攻めた。
「あっ、ダメっ、あっ、あ、あっ」
トランポリンの上にいるみたいに身体が上下に揺れ、私の蜜壺の奥深くに入る昂りに我慢が出来ない。頭が痺れ、倒れそうになるのを堪えられずに、勇人さんの胸元に上体が倒れた。ぱんぱんっと肌がぶつかり、声にならない喘ぎが部屋中に響き渡る。
「んん、っ!!!」
ぐりっと中を抉られて一気に頭が真っ白になると、全身が硬直して蜜壺の中の昂りをぎゅうぅっ、と締め付けた。ほぼ同時に蜜壺の中に注がれた証を感じ、溢れる幸福感に意識が遠のいた。
『間もなく、新年ですね、ではカウントダウンに参りましょうか…5、4、3、2!…1!』
「あぁっ!」
『ハッピーニューイヤー!!』
新年のカウントダウンを始めたテレビに合わせて、下から突き上げると、目の前の女は身体をしならせ髪を乱した。もうへとへとだろう彼女の身体は、それでも俺のモノをぎゅうぎゅうに締め付け離さない。薄く開いた口も、潤んだ瞳も、感じすぎて流した涙の跡も、冬なのに汗をかいて濡れた首筋につく髪も、全てが美しく魅力される。
――なんだ、これは
もう彼女を愛していると、分かっていて認めているのに、日々募る想いにやり場のない感情を彼女にぶつけてしまう。
はぁ、はぁっ、と俺の胸の上に倒れた彼女を抱きとめ、意識を失った彼女の頭を撫でた。
『ここのシーンでね、愛の告白をするの』
作られた物語を目をキラキラとさせて観ている彼女に、画面の中の男に嫉妬する自分がいた。
「…俺もヤキが回ったか」
よく2日も耐えたと思う。会合が終わったらまた彼女を抱くと思っていたが、思いの外彼女の声がガラガラで、らしくもない心配をしたのだ。
――まだ休みは始まったばかりだ
そう思いながらも、彼女の蜜壺から出ようとしない女々しい自分に呆れた事から、新しい一年が始まったのだ。
「…ああ」
黒塗りの車に乗り込む俺に、この日本最大の組の幹部を送り出す一列に並ぶ部下たちが頭を下げた。年末の組の一致団結会も終わり、次の集まりはもう年が明けてからになる。
「…出せ」
「かしこまりました」
いつもなら運転席にいるヤツに声も掛けないのに、普段と違う事をしてしまうのは……急いで行きたい場所があるからだ。
***************
「…勇人さんおかえりなさい」
今日は誰も家には来なかったから喋る必要もなくて、彼――勇人さんが私が今さっきまで眠っていた部屋の扉を開けて初めて声を出したから掠れていた。
確か行事で遅くなると言っていたのに、枕元にあるデジタル時計を見るとまだP.M23:23と表示をされていた。
年末の挨拶とか言っていた様な気もするし、違う気もする。だって出かけるギリギリまで抱かれていて、もう何がなんだか分からなかった時だったから。
「まだ寝てたのか」
ベッドルームに入る前に取ったのか、朝はピシッと決まっていた黒のオーダーメイドのスーツは、今はネクタイを外し首元のボタンも数個取れていた。
「…うん」
倦怠感が酷い疲れた身体を起こせず頭を枕に戻せば、勇人さんは何も言わずに部屋から出て行ってしまった。
私――河合絵梨奈は、新卒で入った会社で――今思うとセクハラだったと思う――嫌な目に遭っている所を、無言で居なくなった勇人さんに助けて貰った。落ち着いた物腰と無口で寡黙だとあっという間に恋に落ちた私は、次第に彼がヤクザという事を知った。だけど彼のことを好きだと思っていたから、別れるつもりはなかったのだけど、ある時婚約者と名乗る女性から現れ身を引いた。
約3年という期間、彼が私を探しているなんて思わなかったけど、いつでも辞められるように職や住処を転々としていたのは、今となっては彼が私を攫いに来てくれるのを待っていたのかもしれない。
見つかってからは本当に一瞬の出来事で、自由に外出も出来ない軟禁状態となっている。だけど、不満があるわけじゃない。
――衣食住、全て高級品で完璧
例えば、私が横になっているベッド、高級老舗メーカーのモノで柔らかすぎず硬すぎず、毛布も枕も一級品で、過去に使っていた寝具などには戻れないし、勇人さんがいなかったら秒で寝れるのだ。そして普段使用する服、ランジェリー、バスタオルからフェイスタオル、スリッパまで使用心地は抜群だし、この家にきた当初は使わないのにブランド品のバッグなども買って貰っていた。その中でも一番の高級なものといえば、やはりこの家だろう。家と言っても一戸建てではなく、地上数十メートルの以上あるタワーマンションの一室だ。朝日が上ると雲の上にいる様な気がするし、夜は街灯や人々の住む家の明かりで数回しか見たことないけど一面光り輝き絶景だ。
――夜は勇人さんが居ると見ないし、1人でいる時もつまらないから早く寝ちゃって結局見ないんだけど
広いリビングに広いベッドルーム、勇人さんの洋服や小物が置いてあるウォークインクローゼット、2人でも広いお風呂場と勇人さんの仕事部屋、私の洋服や靴とバックはベッドルームのすぐ横だ。24時間止まる事がない換気と、自動で捨てられるゴミ捨てのシステム、全てが最先端で最高の設備が整っているのだ。
そうだ、ご飯も老舗のフレンチやイタリアン、無国籍料理や和食までお店の味が家でも味わえる。それは私が動けなくて寝込む時に限るんだけど、普段はちゃんと料理もしている。配達されるみずみずしい野菜や新鮮で高価なお肉を使っている。あんまり料理は上手じゃなかったけど、勇人さんの部下のテツさんの奥さん――文香さんに日中教えて貰っている。
「…まだ起きてたのか」
またベッドルームの扉が開いて、先ほどのスーツ姿とは真逆のいつもと同じ紺色のバスローブ姿の勇人さんがやってきた。キツい眼差しはそのまま変わらず髪も濡れてはいるが、少し伸びた黒の前髪が下ろされ、人当たりは良くなさそうだけど、私しか見ないからいいだろう。
「寝ようと思っていた所!」
まるでいつも寝ているように言う彼に、私は可愛くない返答をして、ぷいっと彼に背を向けてしまった。
特に何も言わずにやって来た彼は、私の横になっているベッドへと入ってきた。背後側のベッドが凹み、彼が横になったのに気がついた。振り返ると勇人さんは仰向けになっていた。彼の側に近寄り彼の右胸元に頬を寄せると、勇人さんの右腕が伸びて私の肩を抱いた。自ずと彼の腕が枕代わりになり、だからもう少し頭を上げると彼の肩にこめかみを当てて、私よりも分厚い腰に抱きつき彼の足に――というか胴体から下に自分の足を巻きつけた。
「今日は…しないの?」
寝やすい格好になって、ふぅっと、息を吐くと、勇人さんは
「声ガラガラだろ、これ以上したら喋れなくなる」
それ以上は何も言わなくなり、彼は瞼を閉じた。
――今日は、しないのか…
規則正しい彼の吐息を聞きながら、そんなことを考えていた私もいつの間にか眠ってしまったのだった。
***************
28日に仕事納めをした勇人さんと、仕事休みに入ってから特に何をするでもなく一緒に過ごした。29日起きたら彼もまだ寝ていて、勇人さんが起きるまでじっと寝顔を見ていたら呆れられ、27日まで激務で不在がちだった彼へ話したかった事をずっと言っていて1日が終わった。30日にはリビングにある特大のテレビから私のおすすめのドラマを一緒に観て――明らかにつまらなそうに観ていたが、私が真剣に観ていたから、私の横のソファーにただ座っていた。
30日も同じように何にもないまま終わり、いよいよ31日になると、流石に何にもしなすぎだったと、お昼を過ぎたあたりで少し遅いけどおせちを作ろうとキッチンへと向かうと、
「何してる」
と不機嫌な声をかけられた。
「今日の夜食べる蕎麦と、おせちを作ろうと思って」
蕎麦は茹でるだけだから別に下準備とか要らないけど、あまりに不機嫌な声だったからびっくりして余計な事も言ってしまった。
「そんなのはいい」
私がキッチンから動けないでいると、勇人さんがやってきて私の前に立った。彼の方が身長が高いしタッパもあるから、見下ろされると天井の明かりが逆光となって勇人さんの表情がよく見えない。
「…勇人…さん…?」
何も言わず私を見下ろす彼に不安になって彼の名を呼ぶと、彼は屈み私の首筋に顔を寄せた。
「もう、元気みたいだな」
どこか含みのある低い声を耳元で囁かれ、ゾクゾクとする。
「…あ」
思わず彼の顔のある方を向くと、不機嫌な声はなくなりキツい眼差しを私に向けていた。
――この顔…めちゃくちゃにされる時に見せる顔だ
ほとんど表情はいつもと変わらないのに、僅かな変化を感じ取れるまでになったみたいだ。私の腰に腕を回し乱暴に引き寄せられると、彼の胸板に手を置いて身体が密着した。
「2日もしなかったんだ、覚悟はいいか」
くくっ、と珍しく上機嫌で笑う勇人さんに、私はドキドキと胸が高鳴るのを感じた。
「あっぅっ、あっあっ」
四つん這いにされ、腰を掴まれ背後から貫かれていた。激しく攻められているから腕の力が入らなくて、腕を曲げて顔がベッドのシーツに当たると、腕を取られて上体を起こされた。私の背中に勇人さんの胸板が当たると、上を向かされて口を塞がれた。慣れない体制での口づけは辛く、息もままならないのに止めようとは思わなかった。口を解放されると、勇人さんの腰が動き出して抽送が再開する。ぱんぱんっと彼の腰と私のお尻がぶつかり、繋がった箇所から私の蜜と先ほど出された熱い証が絡まる粘音も聞こえる。
羽交締めのようにされていたけど、次第に勇人さんの左手が私の乳房に、もう片方の手は2人が繋がる結合部に移動した。
「あっ、それっ!やっ…だっ、んんっ」
もうすでに蜜壺に勇人さんの昂りが入っているのに、結合部にある粒を触られて、同時に攻められ快感で一瞬だけ意識が飛ぶ。絶頂に達した私はピクピクと動いていたのに、ラストスパートをかける勇人さんのせいで、ずっと快感が続いて終わらない。
「はっ、ぐっ」
私の肩に噛みつきながら彼の短い唸り声が聞こえると、痛みと快感が混ざり下半身に熱い証が注がれるのを感じた。
「動いてっ、ねっ、動っ…て、イけないっ、イけないっ」
水分を摂ろうとリビングに移動した私達は、大きなL字のソファーの上で繋がった。ソファーの横にあるミニテーブルの上には彼の好きな銘柄のウォッカのボトルとグラス、私のミネラルウォーターのグラスもある。彼はウォッカのグラスを持ち、優雅に口に運び喉を潤す。繋がったままだから彼は動かないし、動こうともしない。散々ベッドルームで抱き合ってリビングに来て初めて夜になっていたのに気がついたが、私と自分の飲み物を準備した勇人さんが座ると私は彼の上に乗った。2人しかいないからお互い裸で、勇人さんが準備してくれたミネラルウォーターを飲んでいたら、彼のが大きくなったのに気が付き、嬉しくて自分から勇人さんのを入れたんだけど、ベッドルームでの情熱的な行為が嘘の様に動かない勇人さんに困惑していた。
彼の肩に両手をつけて、彼の足の横に付けた足に力を入れるが、いつもやってくれるように動いてもくれないから、ずっと焦らされているのだ。私が彼の上で上下に動くのを目を細め堪能する姿が、すごくカッコよくて、何で動いてくれないのか疑問しか出てこない。
「なんでっ、なんでっ、っ」
「俺を焦らすからだろ」
私の顎に右手を置いた勇人さんは、親指で私の唇のラインをなぞり、親指を私の口の中へと入れた。
「じっ、焦らしてなんかっ」
勇人さんの言っている意味が分からなかったが、彼の指が私の口内にあるのが気になり無意識のうちに舌で彼の親指を舐めて吸い付いた。
「してたら、無防備に隣に座って」
「…隣…?」
勇人さんの隣に座ったのは今日じゃないし、昨日と一昨日の2日間だ。だけど空調も効いているし、家の中だったからキャミソールワンピースと薄手のカーディガン、もこもこの靴下を履いていただけだったけど…それがダメだったのだろうか。
「…俺といる時は俺から離れるな」
「そんな…ご飯だって」
「出前でいい」
「えっ…ぁっ!」
勇人さんはそれ以上喋るつもりはないらしく、手に持っていたグラスをテーブルの上へと置くと、私の腰を掴み下から突き上げ始めた。自分で動いても淡い快感しか起きなかったのに、彼が動き出しただけで途端に全身に巡る強烈な快感が起きた。腰を浮かせてソファーに後頭部を押しつけて、ふんっ、と息の吐いた彼が、私の身体を上げては重力で元の場所へ戻る私を攻めた。
「あっ、ダメっ、あっ、あ、あっ」
トランポリンの上にいるみたいに身体が上下に揺れ、私の蜜壺の奥深くに入る昂りに我慢が出来ない。頭が痺れ、倒れそうになるのを堪えられずに、勇人さんの胸元に上体が倒れた。ぱんぱんっと肌がぶつかり、声にならない喘ぎが部屋中に響き渡る。
「んん、っ!!!」
ぐりっと中を抉られて一気に頭が真っ白になると、全身が硬直して蜜壺の中の昂りをぎゅうぅっ、と締め付けた。ほぼ同時に蜜壺の中に注がれた証を感じ、溢れる幸福感に意識が遠のいた。
『間もなく、新年ですね、ではカウントダウンに参りましょうか…5、4、3、2!…1!』
「あぁっ!」
『ハッピーニューイヤー!!』
新年のカウントダウンを始めたテレビに合わせて、下から突き上げると、目の前の女は身体をしならせ髪を乱した。もうへとへとだろう彼女の身体は、それでも俺のモノをぎゅうぎゅうに締め付け離さない。薄く開いた口も、潤んだ瞳も、感じすぎて流した涙の跡も、冬なのに汗をかいて濡れた首筋につく髪も、全てが美しく魅力される。
――なんだ、これは
もう彼女を愛していると、分かっていて認めているのに、日々募る想いにやり場のない感情を彼女にぶつけてしまう。
はぁ、はぁっ、と俺の胸の上に倒れた彼女を抱きとめ、意識を失った彼女の頭を撫でた。
『ここのシーンでね、愛の告白をするの』
作られた物語を目をキラキラとさせて観ている彼女に、画面の中の男に嫉妬する自分がいた。
「…俺もヤキが回ったか」
よく2日も耐えたと思う。会合が終わったらまた彼女を抱くと思っていたが、思いの外彼女の声がガラガラで、らしくもない心配をしたのだ。
――まだ休みは始まったばかりだ
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