セフレはバツイチ上司

狭山雪菜

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番外編 まだ2人が結婚する前のお話 投稿18ヶ月記念小説 セフレはバツイチ上司

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大体いつも振られるのこっちだった。
「ごめん、俺は優奈ゆうなにこれ以上応えることが出来ない」
社会人の彼は遠回しにオブラートに包んでくれたが、実際にはえっちの回数の事をいっていたんだと思う。気がついたら好きになった人と気持ちよくなるのに抵抗なんてなくて、体力の続く限り求めてしまっていたが、よくよく考えてみたら普通のカップルは毎日じゃなくて週に一回やればいい方みたいだった。
『少なくない?』
そう思っていた時期もあった、彼――峰崎みねざき優太郎ゆうたろうと意気投合する前までは。



ギシギシッと安物のベッドを使用しているホテルは、少し激しくされるだけで大きな音を立てる。仕事の後に待ち合わせして彼の車に乗った時から愛撫をされ、彼の目に止まった適当なホテルで入ってすぐ求められ、シャワーもお風呂も入らずに繋がった。
久しぶり――といっても、先週の金曜日の夜から土日一緒に過ごしていた。水曜日の今日、SNSメッセージアプリから連絡が入って、また会うことになったんだけど…彼の様子が少しだけおかしい。2人が会う時は、水曜日と金曜日の週末と暗黙のルールとなっているのに、改めて午前中に"会いたい"だなんて、始業時間中に連絡がくるのがおかしい。
別に無体を働いてるわけじゃないし、部屋の中に入った瞬間に繋がったけど…移動している車の中で、彼の指先がちゃんと・・・・ほぐしてくれたのだ。
そのままベッドに移動して、また求められているわけだけど…
「…っ…考え事か?…気持ちよくない?飽きた?」
「あっ、違うっ…っ」
ただ彼の様子がいつもと違うから戸惑っているだけなのに、怒ったような不機嫌な声が彼の口から出る。安心させるように彼の頬を両手で挟み、彼の腰に足を巻き付けると、屈んだ彼が私の口を塞いだ。




***************



「峰崎係長って、最近離婚して余裕の大人って感じでかっこいいよね」
「わかる!同期の男みてると、本当低レベルだなって思うよ」
「どうしても比べちゃうよね」
ランチが終わりお化粧室で話される内容は、到底他の男の人達には聞かせられないほどの本音が出てしまう。私も盛り上がる彼女の話を聞いて激しく頷いてしまうが、次第にムッと面白くない感情が心の中をぐるぐると回る。
――峰崎係長が大人の余裕があるのは元からそうだけど、それは私が彼の欲を一身に受けているから、より余裕が出来たって言ってたし!
むくむくと湧き上がる感情は、もう嫉妬だとわかっているのだ。
――私…セフレなのに、こんな事でヤキモチやくのおかしい

同僚が体調を崩して私が同僚の代わりに出張する事になって、その後ひょんな事でセフレとなった私たち。セフレとして自分も納得して始まった関係だったのに、いつの間にか彼は私の物だと独占欲…までもいかないが、出てきてしまっている。
――彼の前では、頑張って・・・・気持ちを抑えているけど…
なんせ身体の相性が良すぎるのだ。普通の人より無尽に溢れる彼の性欲も私の性欲も、我慢しないでお互いにぶつけても、ドン引きしたりしない…むしろお互い嬉々として受け止めてくれている節がある。
――どうすればいいの
素直に好きです、と言ったら、彼氏彼女になれるのか。


「お疲れ様です」
「お疲れ様ー、お先」
木曜日中にやらなければいけない事を終わらせるために、残業をしていると、次々と同じ課の人達は自分の仕事を終わらせて先に帰っていく。
「…よしっ」
パソコン上に今日作った資料を保存している間に背を伸ばすと、資料作成で集中していたからか、身体が固くなっていて伸びをすると気持ちいい。辺りを見渡すと節電のために切られたライトが私のいるデスクの列にしかついてなくて、薄暗いフロアに私しかいない。
「終わった…もう20時か」
デスクに置いたスマホを取り出して、メールのチェックをした後、SNSのメッセージアプリを開くと、峰崎係長から18時頃にメッセージが届いていた事に気がついた。
『終わったら連絡して、残業してるから』
もう20時過ぎてしまったから、もしかしたら居ないかもしれないと思いつつ、
『今資料作りを終わらせました、まだ会社にいますか?』
というメッセージを送った後に、保存の終わった資料を閉じて電源も消して帰る支度をしていたら、マナーモードにていたスマホが震えてSNSのメッセージアプリに新着のメッセージが届いたのを知らせた。


『もう少しで終わる、誰もいないからおいで』



***************

「峰崎係長、お疲れ様です」
「お疲れ、もう少しで終わるから、こっち座って」
「ありがとうございます」
峰崎係長の席は全面ガラス張りの窓際の隅に近いデスクで、真っ白なブラインドが下りていた。本当なら夜景も見えるけど、窓際に座る人には日中の日差しは強いらしく、ほとんどブラインドは下りている。峰崎係長が自分の椅子を引いて部屋の隅にある背もたれのない椅子を持ってくると、自分の椅子の隣に置いた。置かれた椅子に私が座ると、パソコンに文字を打ち始めた彼は仕事を再開させた。
「もう終わる」
そう言って時々私の方を見てにっこり笑ったり他愛のない話をしていたが、次第にそれは唇同士が触れる軽い口づけに変わり、彼の椅子に自分の椅子を近づけて隣同士にして彼の二の腕に頬を付けて、舌の絡まるディープな口づけへと変わっていった。
「…っ…優奈」
濃厚な口づけの途中で切ない声になっている事に気がついた私は、最早条件反射のように彼の身体に手を滑らせた。ネクタイの上から、ジャケットの中に手を入れて淡いブルーのYシャツの胸元に触れて一回揉んで、お腹へと順に手のひらを這わせた。そのベルトから彼の座った時に出来るズボンの膨らみに触ると、彼は身を捩り椅子の背もたれに身体を預けた。熱の籠った期待の眼差しを向けられ、彼にキスをしながら手を休める事なくズボンの上からだんだん・・・・固くなっていく彼のモノを揉んだ。キスを繰り返していると、彼の手が自分のズボンのベルトをカチャカチャと外してズボンを寛げ終わると、私の手は彼のズボンの中に入った。布地越しでもわかるくらい大きくなった昂りに、ボクサーパンツの中に手を入れると、ぴくっと反応するのが嬉しい。彼の昂りの先端から溢れたツユ・・を、指先に絡めて昂りの側面へと塗り付けていると、キスの合間に彼が先に根を上げた。
「優奈っ…口でっ」
彼に言われるがまま屈もうとした時、2人しかいないフロアに音がした。
身体が勝手に座っていた椅子から床へと身体を下ろして、係長の手が私の肩をデスクの下へと移るように促された。椅子を入れた彼が、デスクの中で隠れている私の顔の両脇に彼の脚が入った。
目の前にある昂りが少しだけボクサーパンツからはみ出ているのに気がついて、誘われるように私は近づいた。
「あれ?まだお仕事ですか?」
「ああ…そうなんです、見回りですか?」
「ええ、あと2時間ほどで扉にロックが掛かりますので、それまでに退社お願いします」
「わかりました、お疲れ様です…っぐっ」
さっきまで触っていて固くなった昂りが収まってしまいそうで机の下にいた私は、彼の昂りに顔を寄せて口の中へと彼の昂りをいれた。
「…大丈夫ですか?具合が悪いのですか?」
「あ、いや…っ…大丈夫です…ちょっとお腹が空いたな…って」
一度口にしてしまうと、夢中になってしまう。先端に舌を這わし、溢れるツユを、ちゅぅ、と軽く吸い取る。彼の足の間にいたし天井があって狭いから、片手のみしか自由に動かせないから、口に入らない分の昂りの側面を空いた手で握って、ぎゅっぎゅっと揉んでは、親指の腹で撫でた。
「はは、そりゃそうですよ、もうすぐ22時ですからね」
「全く残務処理してると…っ…時間を忘れますな…ッ」
「ええ、ではほどほどにお仕事してください」
「ありがとう…っ…ございます、0時前には上がります」
「よろしく頼みます、では」
「お疲れ様です…っ…っ」
部屋を一回りして見る警備員に気づかれないように、口から零れそうになる吐息を噛み殺した係長は、デスクに両肘を置いて耐えている。先端から側面へと口を移動させると、腰を上げた彼はズボンを少しずつ下ろした。そのおかげで彼の昂りは全て丸裸となって、怒っているかのように昂りの側面に血管を浮かび上がらせ天井を向いていた。飽きる事なくまた彼の昂りに口を寄せると、彼の手が私の頭を撫でてくれた。嬉しくてもっと彼の昂りを愛すると、今度は私の頭を掴んで顔を上下に動かした。まるで係長の昂りが私の口内を抽送しているみたいに。
「は…っ、ぐっ…はっ」
短くなる切ない声を聞きながら、歯が当たらないように細心の注意を払って、彼の昂りに舌を這わしたり軽く吸い付くと、彼の手が止まって私の頭を股間に押さえつけた。それと同時に一段と膨れた昂りが口内で弾けて、熱い飛沫が私の口に満たされた。
「はぁ…はぁ」
肩で息をする彼は、私の頭から手を退けた。自由になった私の頭は、口の中に放たれた証を少しずつ飲み込み、また昂りに残っている証を綺麗に舐めとった。
すると、一度放出したから柔らかくなってた昂りが、むくむくと固くなって大きくなっていった。
「次は…優奈の番だよ」
そう言って彼の声に誘われるがまま、私は彼の上へと乗った――






「どうでした?」
「最高だった…君は?」
「…最高でした…もう骨抜きです」
「はは、骨抜きか…いいね」
イッたばかりだから怠くて、少しだけ舌ったらずになってしまい、彼の肩に頭を乗せた。頭を優しく撫でられ、まったりとした時間が流れた。
でももうすぐで、このフロアに鍵が掛かってしまうため、あんまりのんびりできないんだけど、2人は離れ難くて身を寄せ合っている。
――きっと…このままどこかのホテルか…私の家か係長の家かな
2回しかまだ繋がっていない。それは性欲の強い私達からしたら物足りない回数で、過去のすまなそうな、もう無理と言っていた彼氏の顔がよぎる。
――最高の相手を見つけたよ…むしろ振ってくれてありがとう
彼氏がいたら、出張先で峰崎係長とこんな関係にはならなかった。人生は何が起こるか分からないな、と思っていたら、
デスクの上にあった係長のパソコンの画面が明るく光った。



のちに私達の関係が断固たる繋がりになる、メールが入ったのだ。
『不具合が出たから、研修も兼ねて部下の杉村を連れて出張へ行くように』
と――
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みんなの感想(1件)

なつみ
2022.02.07 なつみ

体からの関係だけど係長が優奈の事を
大事にしてるところがイイ♡
生理の時も係長が素敵過ぎる♡

解除
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