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短編
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「ん、っ、あっ、んっ」
私と彼しか居ない他の誰も居ない6畳の長方形の部屋の壁側には、一面の鏡と壁についたカウンターみたいに細長いテーブル、部屋の真ん中に置かれた6人は座れる大きな焦茶の座敷テーブルと6つの座布団のセットが部屋の大半をしめる。出入口付近のドアの横に洗面台と上着を掛けておくシルバーのハンガーラックと靴を脱ぐスペースがある。
楽屋ーーと呼ばれる、出番までここで待つ控室みたいなこの部屋の名前だ。出入口の扉を施錠して入ってすぐの靴を脱ぐ場所で、性急に繋がっている私はミニスカートをたくし上げた下半身に、このスーツ姿の男の昂りを受け止めていた。
ガンガンと遠慮なく蜜壺の中を出たり入ったりする黒髪短髪の男ーー藤原誠と言って、私ーーまりりんという芸名の今話題の歯に衣着せぬキャラで売れっ子の芸能人(20歳になった)のマネージャーだ。今年28歳となった藤原は、いつでも上下の黒か紺のスーツ姿で、一緒に現場入りしてくれる寡黙だがガタイのいい身体で、幼い頃から柔道をしていたらしく、筋肉に覆われて身長180センチを越える。私のマネージャー兼ボディーガードも担っている。
そんな彼とは秘密の恋人同士で、こうして忙しい合間に愛し合う事も少なくない。
「あっ、はっ、ん、んっん」
「っ、ぐっ、まぁ、ぐっ」
彼はグルグリと蜜壺に入った昂りを、最奥へと埋めたまま押しつけると、一気に絶頂へと近づいていく。蜜壺いっぱいに埋まった彼の昂りを、ぎゅうっと締め付け身体に力が入らなくなってきた。彼の肩に頭をのせると、すぐさま私の蜜壺の中へと注がれた熱い証を感じとり、敏感になった身体が反応して絶頂へと達した。
はぁっ、はぁっ、と荒い息のまま顔を近づけたら、舌を絡めるキスが始まる。
「っ、ん、あと、どのくらいっ、あっ、っ」
「…あと、10分でヘアメイクさんが、くる」
ーーあと10分
そう思うと下半身がきゅんとなり、彼の昂りを包み込んでしまう。
「っ」
彼は短い声を出し私の腰を掴むと、いつの間にか太く固くなっていた昂りを動かし始めて、最後の一回が始まった。
**************
「…はいっ!カット!お疲れ!」
カラフルなスタジオで行った撮影も無事に終わり、すれ違う人々と挨拶をして楽屋へと戻る。
楽屋へと入ると藤原が既に居て、楽屋の隅に纏まった私の1泊用の手荷物のキャリーケースを持っていた。最後に忘れ物がないか確認した後、藤原のあとをついて歩くと、テレビ局の地下駐車場へと向かう。
地下駐車場の奥にあったロケバスーーロケーションバスの略で、補助席を出すと20人程が乗れる車が駐車していた。その周りには5人位のスタッフと、床に置かれた機材。
「お疲れ様です、まりりん到着しました」
藤原がロケバスの周りにいるスタッフに声を掛けると、スタッフの指示のもと私のキャリーケースを運ぶ藤原。
「よろしくお願いします」
と駐車場の周りにいる数人のスタッフに声を掛けて、ロケバスの中の1番後ろのカーテンが閉まって外が見えない窓際の席に座り、移動時間に読むように貰った台本を座席に備え付けられた折り畳み式のテーブルの上へと置いた。するとマネージャーの藤原が、ロケバスの中に入ってきて私の横に座った。
「この後2時間移動した後、主要の観光地を巡り料理を食べて、そのまま一泊します…あとは」
とこの後の予定を説明し始めた彼を遮るように、ロケバスの中に大きな声が響いた。
「お疲れーっ!まりりんちゃん!最近どう?」
片手を上げてロケバスの中を歩く男、これからやる番組のプロデューサーだ。白いポロシャツの肩にはピンクのセーターを掛けていて、黒いサングラスと典型的なスタイルだ。
「お疲れ様です、今日もよろしくお願いします」
立ち上がって彼に向かって頭を下げると、藤原も一緒になって頭を下げていた。
「はは、いいってことよ!今日泊まりで明日の朝は早いけど、ぱぱっと撮って終わらせよう」
ガハハと乱暴な笑い方をしてロケバスの外へと出た、プロデューサーを見送ったら、2人で座り直した。
この後は前から言われていた泊まりの仕事で、ゴールデンタイムと言われている19時からの昔からやっている国民的番組の中で放送される"ぶらり夕方散歩"のコーナーを撮影するため現地へと向かう予定だ。
「道案内するガイドと、この番組のMCは現地集合なのでそれまでは休んでください」
外にはまだ人がいるしロケバスの扉が開いて人の目があるからか、敬語のままの藤原が少しだけ恨めしくなり、私の左隣に座る藤原の太ももに手を置いた。
「っ、まぁ」
"まぁ"と言うのは、彼が2人きりでいる時に呼ぶ私の愛称だ。私の本名は真中莉乃。苗字の頭を取った"ま"と名前の頭を取った"り"を合わせて、語呂の良い"りん"を付けて、まりりんの芸名となった。肩より少し長いキューティクルが出ている綺麗にお手入れされていたカフェモカの髪色で、今も20代の読者層の雑誌の専属モデルをやっている。自分で言うのも何だけど、スタイルは抜群で某雑誌では特集を組まれたり、【なりたい顔ランキング】1位を取ったり、ちょこちょこ男性向け雑誌でも表紙を飾っている。
そんな私の秘密の恋人が彼、藤原だ。仕事の前に熱い時間を過ごしていたのに、飄々とするのは体力が有り余っているからか分からないけど、つれない態度で悲しいやら悔しいやら。
「…ホテル…は?」
「隣同士になるように取ってます、あと夜の繁華街へは…」
「うん、行かない」
彼の太ももに置いた手を離し、人差し指で文字を書くようにスーツの下の太ももに押し当てなぞると、彼の足がピクっと反応した。太ももに"好き"と指文字で書けば、彼の右手が私の太ももに置かれて撫でられる。
「…私…俺もだ」
熱い吐息と共に返事をされ、このままキスしたい衝動に駆られるが、ぐっと抑えた。この車内には2人きりだが、どこで誰が見ているのか分からないためだ。そして、キスをしたらすぐに離れられないとも分かっていた。
「…今日、部屋に来て…すぐに」
「ぐっ、ぅ」
甘えた声を出して小声でそう言うと、彼は唸り声を上げながら私の太ももに置いた手に力を入れた。
**************
城のライトアップされた夜景を見ながら、番組のために置かれた長椅子の上に、赤い布を被せその上に2つの紫色の座布団が置かれた。2つの座布団の間に置かれた丸い大きなお盆の上には、緑茶とみたらし団子、きな粉餅、あんみつの和菓子も置かれた。
「ん~何これ、めちゃくちゃ美味しい!」
「すごい贅沢な時間だね、こうして美味しいものを食べてさ」
と言いながら、メイン司会者の40代のタレントの男性と一緒に和菓子を食べて、仕事が終わった。
お疲れ様でしたー、と頭を下げて、タクシーを手配された場所まで歩き始めると、背後から声を掛けられた。
「まりりんちゃん!この後どう?」
と、メイン司会者の人が口の前でコップを、ぐぃっと持ち上げる動作をして、私をこの後行われる番組の打ち上げに誘われるのだが、
「すいません、20歳過ぎたのですが社長に禁止されてまして」
あはは、と私は行きたいですけど、と角が出ないように断ると、メイン司会者は私の所属する芸能事務所の社長を知っているのか、
「あ~そうか…そうだよね、うん、今度社長と一緒に行こう」
と、あっさり離してくれた。我が芸能事務所は、老舗の大手と言われているが、実際には打ち上げ参加禁止をそこまで厳格に定めていない。社長に月に数回会うたびに、
『飲み会行きたくないなら、俺の名前を出すように』
この社長の言葉がそもそも事務所の外に出る事はない。
ーーだって出たら、その人の信用も無くなるし
社長の考えは昔気質の飲み会必須ではなく、メディアで活躍し仕事を取ってくる事を良しとする人なのだ。反対に言わなくてもいい事をベラベラと喋ってしまうようでは、信用が無くなるとも言っているし、何人かそう言って仕事が無くなった人を見てきた。
『成人を迎えたからって飲み会に行かなくてもいいし、行きたいなら常識の範囲内で』
年に数回開かれる事務所内のコンプライアンス講座では、毎回決まった事しか言わない事務員も、
『毎回同じでつまらないと思うけど、この業界で生きるためには最低限の知識は思い出させないとね』
と社長に同意しているのだ。
その他にもSNSの利用活用方法とかも合わせて教わっているけど。
「まりりんさん、こちらです」
と、いつの間にか私のそばに来ていた藤原も、タクシーの場所へと誘導しながら一緒に手配されたホテルへと向かった。
**************
ーー藤原は、私の気持ちの深さを甘く見てるのよっ!
1人ぷんぷんと怒っている私は今、チェックインしたビジネスホテルに居た。薄いベージュの壁紙と、小さなTVミニ冷蔵庫と壁の半分程しかない窓ガラスにはすでにカーテンを閉めている。シンプルなシングルベッドと小さなテーブルと椅子の8帖もない部屋に1人。あれほどホテルに着いたらすぐに来てって言ったのに、彼は仕事の電話がーとか言って、隣の自分の部屋へと行ってしまった。
ベッドに備え付けられている、デジタル時計を見るとP.M20:08で、マネージャーの彼には仕事の電話を無視する事などできないのであろう。社会人の彼の立場も分かるが、明日からまた休みなく働く私にご褒美をくれてもいいと強く思う!
部屋の出入口にあるまだ手をつけていないキャリーケースをチラッと見て、私は盛大なため息を吐いた。
ーーお風呂入ろ…
怒っていたら、折角の時間が気まずく終わってしまう。それだけは阻止したかった。
ーーだって、私藤原の事大大大好きなのだから
彼、藤原誠との出会いは、私が芸能事務所のスタッフにスカウトされた時から始まる。お洒落の意味もよく分かって居なかった私を支え、時には仕事を取ってきて、私を他の人からも守ってくれる彼に、まだ16歳だった私は恋に落ちた。何年も掛けて何度も何度も告白して、やっと彼と結ばれた時はマジ泣きした。人気が出始めた頃に隠し事をして、週刊誌にすっぱ抜かれるより一応社長にだけ報告したら、何故か歓迎された。
『仕事をいい加減にしないなら認める、それに社内恋愛の方が対処しやすい』
としか言ってくれなかったけど、きっと私の知らない所で藤原がフォローしてくれたのだろう。
ーー19歳の時からだから、付き合い始めて…もうすぐ1年くらいかな
その頃からほぼ無休の忙しさになった私は、彼が現場に同行する事を条件に文句も言わずに仕事に明け暮れているのだ。
ーーマジえらい、真面目すぎるわ~
と自画自賛しながらバスローブ姿でお風呂から上がると、私のスマホが鳴っていた。発信者を見ると今まさに想っていた藤原で、今から私の部屋に来るとの連絡だった。
部屋の扉に耳を付けて隣の扉が閉まった音が聞こえたので、少しだけ扉を開けると彼が入ってきた。扉が完全に閉じるまでは無言だった私達だけど、閉まった音が聞こえて鍵の掛かる音がすると、お互いの唇を貪るように求めた。スーツのジャケットのボタンを外した彼が、自分の服を乱暴に脱ぎ捨て床へと落ちる。私は彼の頬を両手で挟み、彼の舌を自分の舌と絡めてちゅうちゅうと吸っていた。
Yシャツのボタンもほぼ外し、カチャカチャとズボンの前をくつろげた彼の固くなった熱い昂りが私のお腹に当たり、擦り付けられる。
ちゅうっと、名残惜しく離れた2つの唇。顔の半分の肌が触れ合ったまま、少しだけ荒くなった息をお互いの口へと掛けた。
「…もう、いいの?」
この後は2人きりの時間だろうかと、期待で掠れた声が出てしまう。
「…折り返しの電話があるが…それ以外は離れない」
まだ仕事は終わって居なかったみたいだが、そんな事はどうでも良かった。だって、電話だけなら別に何でもないから。
「そう…なら愛して」
そう言って最後の1つのYシャツのボタンが留まっていたボタンを外すと、彼の肩からYシャツを脱がせて床へと落とした。
「っ、あっ、ん、っぅ」
ベッドの上に四つん這いにされ、背後から彼の昂りが容赦なく私の蜜壺を攻める。私のお尻と彼の腰が激しくぶつかり、ぱんぱんっと肌の音が響いていく。激しすぎる攻めに腕の力が抜けてベッドシーツを握り頬が付く。喘ぎ声はベッドの中へと消えて、啜り泣く声しか聞こえない。
「はっ、ぐっ、っ」
たまに彼の感じている声を認識してしまうと、身体の奥ーー蜜壺がきゅんと反応してしまい彼を締め付けてしまう。そんな私を咎めるように、さらに激しく責められて快感が増えていく。ギシッギシッと軋むベッドの上で、獣のように身体を繋げている私と藤原。最後のひと突きで彼の昂りが、私の蜜壺の最奥へと留まっていると、じわじわと下半身の中が熱くなったのを感じ、ぎゅうぎゅうと注がれた彼の証に同調するように私も呆気なく達した。
彼が私の上へと覆い被さると、ベッドへとうつ伏せに重なる身体。それでも彼が休む間もなく、肩や頸にキスを落とし舌を這わしていく。怠い身体を叱咤して振り向くと、動いた私に気がついて口を塞がれる。
「はっあ、ん、んふっ」
息も絶え絶えで、後ろを振り向いているので苦しい体勢のキスは辛いのだけど、やめたくなくて彼の舌を一生懸命に自分の舌に絡めた。
彼の左手が私の乳房を鷲掴みして、ゆっくりこね始めると自然と蜜壺がきゅんと締まる。その中にいる彼の昂りも包み込み締め付けてしまい、彼の昂りがむくむくと大きく固く、熱くなっていくのを感じた。
舌を絡めたまま乳房をいじられ、親指と人差し指で摘まれてぐりぐりと半回転させられると、乳房の粒がツンと存在感が増していく。乳房から手が離れると、反対の乳房へと同じようにいじられ愛撫されて、彼の口から自ずと離れてしまい、甘い声が漏れ始めた。
両手をシーツに付けて上体起こしみたいに背が仰反ると、彼の胸板に頭が当たる。彼は私の肩や首の後ろに舌を這わしながら甘噛みをしていき、乳房から手を離すと私の手の横に置き、蜜壺から昂りを引き抜き、また打ちつける。結合した部分からヌチャヌチャとした粘音が聞こえ始めて、またベッドが軋み始める。
「あっ、っん、っ、おっきいっ、ぃ」
「締まるっ、畝ってっ、離さなっ…っ」
私の両足の外側を彼の足が跨って腰を動かしているので、私はされるがまま、ただただ喘ぐ事しか出来ない。
身体を支えている腕がぷるぷると震え、力が入らなくなると、シーツに上体を沈めてしまう。それでもなお、彼の動きは止まる事なく続いていく。動きずらいのか、彼の腰の動きが止まると、太ももの後ろに彼の手が置かれて、足が上がると足首を掴み、繋がったままぐるりとうつ伏せから仰向けにされた。彼は上体を屈むと私の手を掴み、私の顔の横に置くと、手を重ねて指を絡めた。彼の顔も私に近づき唇が重なる。口を開けて彼の舌を受け入れると、くちゅっと唾液の音がして、彼の口から溢れている唾液を舌で掻き出し、ちゅうちゅうと吸いゴクンと飲み込む。キスに夢中になっていると、彼の下半身が動き出したので、脚を上げて彼の太ももの裏に足を掛けると、彼の太ももの表面が私のお尻と太ももの後ろに触れた。
顔の横に置かれた手が解くと私は彼の首のうしろへと腕を回し、彼は私の背中に手を入れて肘をつけたら、私の顔の横に両腕をつけて腰の動きを本格化させた。
「ん、ん、んっぁっ、あ、っあん、っ」
「はっ、まぁっ、ま…ぁ、っぐ」
揺さぶられながら口を塞がれ舌を絡めては、頬や額、こめかみの顔全体に舌を這わしキスを落としていく。彼の吐息と熱い舌に気分が高ぶり、下から突き上げられていく身体は、絶頂へと向かっていき続ける。
「あっ、いっちゃ…ぅぅっ、まだっ、んんっ、あ」
「何ッ…度でも、イケばいいっ、まぁ、ま…ぁっ」
まだ彼を感じていたいのに、私をイカせたいこの憎たらしい男は、何度でもイケばいいと腰の速さを緩める事なく、ガンガンと遠慮もせずに激しい欲情をぶつける。
「ん、好きってっ、言って、ねっ、ねっっ、っああああああっ!」
ピリッとした快感が起こり絶頂がやってくると感じた瞬間、身体中に巡った快感は足の先から頭のてっぺんまで突き抜けて、ぎゅぅぅぅっと自分の意思に反して蜜壺が締まり、蜜壺の中にあった彼の昂りを締め付けてしまった。
ぐっ、と低く唸った彼の声が聞こえ、ドクンドクンと蜜壺の中が満たされていくのを感じた。
「ええ、かしこまりました、っ…ぐ、ええ、っでは、はい」
ベッドの上に座り手帳片手に電話をする彼の声が、時々止まる。ベッドに座る彼の足の間に身体を入れているのは私で、落ち着いた声で電話している彼とは別の生き物みたいに、彼の昂りは天井に向かって勃ち上がっている。キャンディーを舐めるように昂りの付け根から上へねっとりと舌を這わせ、
昂りの先端から溢れるツユを口に入れ、太くて口に入り切らない部分は両手を使い揉んでいく。
「ん、っ、っ」
私が彼の昂りを口に入れたり舐めたりすると、ピクピクと動いたり少し大きくなったりするのが、私のせいなんだと思うとすごく愛おしくなり、もっともっと感じてほしいと思って熱心に触れてしまう。
頭を撫でられたのに気がついて、彼の昂りを口に入れたまま見上げると、電話が終わったのか熱の篭った鋭い眼差しが私を見ていた。脇に手を入れた彼は私を持ち上げると、噛み付くようにキスをして、彼の足の上へと座らされた。彼とのキスはいつも、どんな時も嬉しい私は彼の舌に自分の舌を絡めていたら、お尻を掴んだ彼に持ち上げられベッドの縁に膝をつけた。腰を掴まれ腰を落とすように彼の手が誘導すると、昂りが私の蜜壺にぴたりとあたり、ミチミチと蜜壺の中へと入っていった。
「あ、あ…ん、ああ」
彼の口から自分の舌を出すと、溢れる喘ぎ声が止まらない。
「っ、熱い…く」
目の前にある彼の頬を両手で挟み、濃厚なキスを続けると、下からズンッズンッと腰が進み、昂りが完全に蜜壺の中へと埋まった。額を合わせて無理矢理口づけを終わらせると、彼の眉が寄って不機嫌になる。
「…どうした」
「好き」
そう告げただけで、蜜壺の中にある昂りがぐんっと大きくなった気がして、蜜壺がパンパンに満たされる。
「好き、ね、藤原っ、っ」
「まぁ、ああ、俺も好きだ」
2人きりしか居ないホテルの一室なのに、小声で囁き合う私達。どっぷりと2人の世界に浸かり、お互いしか見えない。
額を合わせたまま下からの突き上げが始まると、唇を喰みながらも1センチも、少しも離れたくない思いが勝ってぴたりと上半身が密着する。彼から流れて私に移る汗も、熱く吐かれる息も、苦しそうな声も私のモノだと思うと優越感と幸福感に溢れて快感も倍増となっていく。
「わ、っ、私、の、ん、ん、っ、ぁっ」
「まぁ、まぁっ、はっ、んぐっ」
私の首元と肩に顔を埋めた彼は、ラストスパートを掛けるべくベッドのスプリングを利用して私の腰を掴んだので、逃げ場もなくなり下からの突き上げが重くなる。彼の背に手を回して、喘ぐ事しか出来なくなる。
「あっんぅっ、ああっんんん!」
強烈な快感に耐えきらずに彼の背に爪を立てて快感を和らげようとするが、結局和らぐ事なく目の前が真っ白になり達した。
ぎゅぅぅぅっと蜜壺が締め付けた彼の昂りは、締め付けに耐えきれずに弾け、ドクッドクッと蜜壺の中へと叩きつけるように注がれ、収まりきれずに溢れた証が彼の腰にも伝う。
「ん、ぅう…はっぁ」
彼の肩に頭を乗せると、彼は私の首元から顔を上げた。
「っ…すまない、跡が」
と言って詫びるように先程まで顔を埋めていた箇所を舐めては、ちゅっと触れるだけのキスを落とす。
私は顔を上げるのも、声を出すのも怠くて、ただ彼の腕の中で酷使した身体を休めていた。
朝から始まった朝食の食べれる純喫茶でのロケも終わり、ロケバスに乗って帰る事になった。今日は首元が隠れる白のハイネックと、ハイウエストのロングスカートとシンプルな服装だったが、彼女自身のスタイルの良さでまるでパリコレの舞台みたいにすれ違う人々が見惚れている。メイン司会者はひと足先に帰っていたので、時間厳守ではなかった。が、昨日の夜からの倦怠感が抜けなかったので、ロケバスに乗り込むことにした。行きの時と同じ、1番後ろの窓際の側の席だ。
「まりりんさん、こちら」
と私の倦怠感の原因を作った張本人が、私の好きなジャスミン茶のペットボトルを私に渡す。
「…もう、ありがと」
嬉しいやら恥ずかしいやら、心の中の感情がぐちゃぐちゃだ。誰も居ないのをいいことに、私の左隣に座った彼の腕に寄りかかり、彼の右太ももに手を置いた。
「…次…は?」
彼は私の手の上に自分の手を重ねられて、指を絡められた。
「次は事務所に戻り、雑誌のインタビューとその後にテレビ局へと行ってゲストで出演する番組の打ち合わせと…」
次に2人きりの時間が持てる時間を聞いたのに、この後の仕事を喋り出したので、口を尖らせてしまう。すると目の前が真っ暗になり、唇にカサカサとした乾いたモノが押し付けられて、すぐに離れた。びっくりして彼を見上げると、いたずらが成功したと、にっと笑った彼。
「その後は、2人で…な」
と低く喋る声にドキドキと胸が高鳴り、ぽうっと見惚れてしまう。
「…うん…お仕事…頑張るね」
胸がいっぱいでそれだけしか言えなかったけど、彼は気づいてくれたと思う。
ーー本当に、私大好きっ
って私が思っている事を。
芸能事務所一の稼ぎ頭と付き合う事なんて、スキャンダルにより名誉が落ちるためご法度だった。しかし入念な根回しをしていた敏腕マネージャー兼ボディーガードにより、まぁが社長に付き合っていると告げる前には、社長に直談判して交際の許可をもぎ取っていた。
まぁは、自分の方が藤原を好きだと思っているが、それは間違いである。彼女と初めて会った時から彼女に目を奪われ、この歳になって一目惚れをするのかと、淡白だと思っていた燃えるような激情に自分自身驚いた。彼女の仕事を手助けし、支える幸せだけでいいと思っていたのに、いつからかそれだけじゃモノ足りなくなっていた。
ーーこれからもずっと彼女を支え、守って愛していく
そう決めたら彼女の告白を受け止めて今に至る。まだ彼女とは、そう簡単にデートは出来ないけれども、それでもいいとも思っている。
なんせ毎日毎日一緒に行動している、マネージャーなんだから。
私と彼しか居ない他の誰も居ない6畳の長方形の部屋の壁側には、一面の鏡と壁についたカウンターみたいに細長いテーブル、部屋の真ん中に置かれた6人は座れる大きな焦茶の座敷テーブルと6つの座布団のセットが部屋の大半をしめる。出入口付近のドアの横に洗面台と上着を掛けておくシルバーのハンガーラックと靴を脱ぐスペースがある。
楽屋ーーと呼ばれる、出番までここで待つ控室みたいなこの部屋の名前だ。出入口の扉を施錠して入ってすぐの靴を脱ぐ場所で、性急に繋がっている私はミニスカートをたくし上げた下半身に、このスーツ姿の男の昂りを受け止めていた。
ガンガンと遠慮なく蜜壺の中を出たり入ったりする黒髪短髪の男ーー藤原誠と言って、私ーーまりりんという芸名の今話題の歯に衣着せぬキャラで売れっ子の芸能人(20歳になった)のマネージャーだ。今年28歳となった藤原は、いつでも上下の黒か紺のスーツ姿で、一緒に現場入りしてくれる寡黙だがガタイのいい身体で、幼い頃から柔道をしていたらしく、筋肉に覆われて身長180センチを越える。私のマネージャー兼ボディーガードも担っている。
そんな彼とは秘密の恋人同士で、こうして忙しい合間に愛し合う事も少なくない。
「あっ、はっ、ん、んっん」
「っ、ぐっ、まぁ、ぐっ」
彼はグルグリと蜜壺に入った昂りを、最奥へと埋めたまま押しつけると、一気に絶頂へと近づいていく。蜜壺いっぱいに埋まった彼の昂りを、ぎゅうっと締め付け身体に力が入らなくなってきた。彼の肩に頭をのせると、すぐさま私の蜜壺の中へと注がれた熱い証を感じとり、敏感になった身体が反応して絶頂へと達した。
はぁっ、はぁっ、と荒い息のまま顔を近づけたら、舌を絡めるキスが始まる。
「っ、ん、あと、どのくらいっ、あっ、っ」
「…あと、10分でヘアメイクさんが、くる」
ーーあと10分
そう思うと下半身がきゅんとなり、彼の昂りを包み込んでしまう。
「っ」
彼は短い声を出し私の腰を掴むと、いつの間にか太く固くなっていた昂りを動かし始めて、最後の一回が始まった。
**************
「…はいっ!カット!お疲れ!」
カラフルなスタジオで行った撮影も無事に終わり、すれ違う人々と挨拶をして楽屋へと戻る。
楽屋へと入ると藤原が既に居て、楽屋の隅に纏まった私の1泊用の手荷物のキャリーケースを持っていた。最後に忘れ物がないか確認した後、藤原のあとをついて歩くと、テレビ局の地下駐車場へと向かう。
地下駐車場の奥にあったロケバスーーロケーションバスの略で、補助席を出すと20人程が乗れる車が駐車していた。その周りには5人位のスタッフと、床に置かれた機材。
「お疲れ様です、まりりん到着しました」
藤原がロケバスの周りにいるスタッフに声を掛けると、スタッフの指示のもと私のキャリーケースを運ぶ藤原。
「よろしくお願いします」
と駐車場の周りにいる数人のスタッフに声を掛けて、ロケバスの中の1番後ろのカーテンが閉まって外が見えない窓際の席に座り、移動時間に読むように貰った台本を座席に備え付けられた折り畳み式のテーブルの上へと置いた。するとマネージャーの藤原が、ロケバスの中に入ってきて私の横に座った。
「この後2時間移動した後、主要の観光地を巡り料理を食べて、そのまま一泊します…あとは」
とこの後の予定を説明し始めた彼を遮るように、ロケバスの中に大きな声が響いた。
「お疲れーっ!まりりんちゃん!最近どう?」
片手を上げてロケバスの中を歩く男、これからやる番組のプロデューサーだ。白いポロシャツの肩にはピンクのセーターを掛けていて、黒いサングラスと典型的なスタイルだ。
「お疲れ様です、今日もよろしくお願いします」
立ち上がって彼に向かって頭を下げると、藤原も一緒になって頭を下げていた。
「はは、いいってことよ!今日泊まりで明日の朝は早いけど、ぱぱっと撮って終わらせよう」
ガハハと乱暴な笑い方をしてロケバスの外へと出た、プロデューサーを見送ったら、2人で座り直した。
この後は前から言われていた泊まりの仕事で、ゴールデンタイムと言われている19時からの昔からやっている国民的番組の中で放送される"ぶらり夕方散歩"のコーナーを撮影するため現地へと向かう予定だ。
「道案内するガイドと、この番組のMCは現地集合なのでそれまでは休んでください」
外にはまだ人がいるしロケバスの扉が開いて人の目があるからか、敬語のままの藤原が少しだけ恨めしくなり、私の左隣に座る藤原の太ももに手を置いた。
「っ、まぁ」
"まぁ"と言うのは、彼が2人きりでいる時に呼ぶ私の愛称だ。私の本名は真中莉乃。苗字の頭を取った"ま"と名前の頭を取った"り"を合わせて、語呂の良い"りん"を付けて、まりりんの芸名となった。肩より少し長いキューティクルが出ている綺麗にお手入れされていたカフェモカの髪色で、今も20代の読者層の雑誌の専属モデルをやっている。自分で言うのも何だけど、スタイルは抜群で某雑誌では特集を組まれたり、【なりたい顔ランキング】1位を取ったり、ちょこちょこ男性向け雑誌でも表紙を飾っている。
そんな私の秘密の恋人が彼、藤原だ。仕事の前に熱い時間を過ごしていたのに、飄々とするのは体力が有り余っているからか分からないけど、つれない態度で悲しいやら悔しいやら。
「…ホテル…は?」
「隣同士になるように取ってます、あと夜の繁華街へは…」
「うん、行かない」
彼の太ももに置いた手を離し、人差し指で文字を書くようにスーツの下の太ももに押し当てなぞると、彼の足がピクっと反応した。太ももに"好き"と指文字で書けば、彼の右手が私の太ももに置かれて撫でられる。
「…私…俺もだ」
熱い吐息と共に返事をされ、このままキスしたい衝動に駆られるが、ぐっと抑えた。この車内には2人きりだが、どこで誰が見ているのか分からないためだ。そして、キスをしたらすぐに離れられないとも分かっていた。
「…今日、部屋に来て…すぐに」
「ぐっ、ぅ」
甘えた声を出して小声でそう言うと、彼は唸り声を上げながら私の太ももに置いた手に力を入れた。
**************
城のライトアップされた夜景を見ながら、番組のために置かれた長椅子の上に、赤い布を被せその上に2つの紫色の座布団が置かれた。2つの座布団の間に置かれた丸い大きなお盆の上には、緑茶とみたらし団子、きな粉餅、あんみつの和菓子も置かれた。
「ん~何これ、めちゃくちゃ美味しい!」
「すごい贅沢な時間だね、こうして美味しいものを食べてさ」
と言いながら、メイン司会者の40代のタレントの男性と一緒に和菓子を食べて、仕事が終わった。
お疲れ様でしたー、と頭を下げて、タクシーを手配された場所まで歩き始めると、背後から声を掛けられた。
「まりりんちゃん!この後どう?」
と、メイン司会者の人が口の前でコップを、ぐぃっと持ち上げる動作をして、私をこの後行われる番組の打ち上げに誘われるのだが、
「すいません、20歳過ぎたのですが社長に禁止されてまして」
あはは、と私は行きたいですけど、と角が出ないように断ると、メイン司会者は私の所属する芸能事務所の社長を知っているのか、
「あ~そうか…そうだよね、うん、今度社長と一緒に行こう」
と、あっさり離してくれた。我が芸能事務所は、老舗の大手と言われているが、実際には打ち上げ参加禁止をそこまで厳格に定めていない。社長に月に数回会うたびに、
『飲み会行きたくないなら、俺の名前を出すように』
この社長の言葉がそもそも事務所の外に出る事はない。
ーーだって出たら、その人の信用も無くなるし
社長の考えは昔気質の飲み会必須ではなく、メディアで活躍し仕事を取ってくる事を良しとする人なのだ。反対に言わなくてもいい事をベラベラと喋ってしまうようでは、信用が無くなるとも言っているし、何人かそう言って仕事が無くなった人を見てきた。
『成人を迎えたからって飲み会に行かなくてもいいし、行きたいなら常識の範囲内で』
年に数回開かれる事務所内のコンプライアンス講座では、毎回決まった事しか言わない事務員も、
『毎回同じでつまらないと思うけど、この業界で生きるためには最低限の知識は思い出させないとね』
と社長に同意しているのだ。
その他にもSNSの利用活用方法とかも合わせて教わっているけど。
「まりりんさん、こちらです」
と、いつの間にか私のそばに来ていた藤原も、タクシーの場所へと誘導しながら一緒に手配されたホテルへと向かった。
**************
ーー藤原は、私の気持ちの深さを甘く見てるのよっ!
1人ぷんぷんと怒っている私は今、チェックインしたビジネスホテルに居た。薄いベージュの壁紙と、小さなTVミニ冷蔵庫と壁の半分程しかない窓ガラスにはすでにカーテンを閉めている。シンプルなシングルベッドと小さなテーブルと椅子の8帖もない部屋に1人。あれほどホテルに着いたらすぐに来てって言ったのに、彼は仕事の電話がーとか言って、隣の自分の部屋へと行ってしまった。
ベッドに備え付けられている、デジタル時計を見るとP.M20:08で、マネージャーの彼には仕事の電話を無視する事などできないのであろう。社会人の彼の立場も分かるが、明日からまた休みなく働く私にご褒美をくれてもいいと強く思う!
部屋の出入口にあるまだ手をつけていないキャリーケースをチラッと見て、私は盛大なため息を吐いた。
ーーお風呂入ろ…
怒っていたら、折角の時間が気まずく終わってしまう。それだけは阻止したかった。
ーーだって、私藤原の事大大大好きなのだから
彼、藤原誠との出会いは、私が芸能事務所のスタッフにスカウトされた時から始まる。お洒落の意味もよく分かって居なかった私を支え、時には仕事を取ってきて、私を他の人からも守ってくれる彼に、まだ16歳だった私は恋に落ちた。何年も掛けて何度も何度も告白して、やっと彼と結ばれた時はマジ泣きした。人気が出始めた頃に隠し事をして、週刊誌にすっぱ抜かれるより一応社長にだけ報告したら、何故か歓迎された。
『仕事をいい加減にしないなら認める、それに社内恋愛の方が対処しやすい』
としか言ってくれなかったけど、きっと私の知らない所で藤原がフォローしてくれたのだろう。
ーー19歳の時からだから、付き合い始めて…もうすぐ1年くらいかな
その頃からほぼ無休の忙しさになった私は、彼が現場に同行する事を条件に文句も言わずに仕事に明け暮れているのだ。
ーーマジえらい、真面目すぎるわ~
と自画自賛しながらバスローブ姿でお風呂から上がると、私のスマホが鳴っていた。発信者を見ると今まさに想っていた藤原で、今から私の部屋に来るとの連絡だった。
部屋の扉に耳を付けて隣の扉が閉まった音が聞こえたので、少しだけ扉を開けると彼が入ってきた。扉が完全に閉じるまでは無言だった私達だけど、閉まった音が聞こえて鍵の掛かる音がすると、お互いの唇を貪るように求めた。スーツのジャケットのボタンを外した彼が、自分の服を乱暴に脱ぎ捨て床へと落ちる。私は彼の頬を両手で挟み、彼の舌を自分の舌と絡めてちゅうちゅうと吸っていた。
Yシャツのボタンもほぼ外し、カチャカチャとズボンの前をくつろげた彼の固くなった熱い昂りが私のお腹に当たり、擦り付けられる。
ちゅうっと、名残惜しく離れた2つの唇。顔の半分の肌が触れ合ったまま、少しだけ荒くなった息をお互いの口へと掛けた。
「…もう、いいの?」
この後は2人きりの時間だろうかと、期待で掠れた声が出てしまう。
「…折り返しの電話があるが…それ以外は離れない」
まだ仕事は終わって居なかったみたいだが、そんな事はどうでも良かった。だって、電話だけなら別に何でもないから。
「そう…なら愛して」
そう言って最後の1つのYシャツのボタンが留まっていたボタンを外すと、彼の肩からYシャツを脱がせて床へと落とした。
「っ、あっ、ん、っぅ」
ベッドの上に四つん這いにされ、背後から彼の昂りが容赦なく私の蜜壺を攻める。私のお尻と彼の腰が激しくぶつかり、ぱんぱんっと肌の音が響いていく。激しすぎる攻めに腕の力が抜けてベッドシーツを握り頬が付く。喘ぎ声はベッドの中へと消えて、啜り泣く声しか聞こえない。
「はっ、ぐっ、っ」
たまに彼の感じている声を認識してしまうと、身体の奥ーー蜜壺がきゅんと反応してしまい彼を締め付けてしまう。そんな私を咎めるように、さらに激しく責められて快感が増えていく。ギシッギシッと軋むベッドの上で、獣のように身体を繋げている私と藤原。最後のひと突きで彼の昂りが、私の蜜壺の最奥へと留まっていると、じわじわと下半身の中が熱くなったのを感じ、ぎゅうぎゅうと注がれた彼の証に同調するように私も呆気なく達した。
彼が私の上へと覆い被さると、ベッドへとうつ伏せに重なる身体。それでも彼が休む間もなく、肩や頸にキスを落とし舌を這わしていく。怠い身体を叱咤して振り向くと、動いた私に気がついて口を塞がれる。
「はっあ、ん、んふっ」
息も絶え絶えで、後ろを振り向いているので苦しい体勢のキスは辛いのだけど、やめたくなくて彼の舌を一生懸命に自分の舌に絡めた。
彼の左手が私の乳房を鷲掴みして、ゆっくりこね始めると自然と蜜壺がきゅんと締まる。その中にいる彼の昂りも包み込み締め付けてしまい、彼の昂りがむくむくと大きく固く、熱くなっていくのを感じた。
舌を絡めたまま乳房をいじられ、親指と人差し指で摘まれてぐりぐりと半回転させられると、乳房の粒がツンと存在感が増していく。乳房から手が離れると、反対の乳房へと同じようにいじられ愛撫されて、彼の口から自ずと離れてしまい、甘い声が漏れ始めた。
両手をシーツに付けて上体起こしみたいに背が仰反ると、彼の胸板に頭が当たる。彼は私の肩や首の後ろに舌を這わしながら甘噛みをしていき、乳房から手を離すと私の手の横に置き、蜜壺から昂りを引き抜き、また打ちつける。結合した部分からヌチャヌチャとした粘音が聞こえ始めて、またベッドが軋み始める。
「あっ、っん、っ、おっきいっ、ぃ」
「締まるっ、畝ってっ、離さなっ…っ」
私の両足の外側を彼の足が跨って腰を動かしているので、私はされるがまま、ただただ喘ぐ事しか出来ない。
身体を支えている腕がぷるぷると震え、力が入らなくなると、シーツに上体を沈めてしまう。それでもなお、彼の動きは止まる事なく続いていく。動きずらいのか、彼の腰の動きが止まると、太ももの後ろに彼の手が置かれて、足が上がると足首を掴み、繋がったままぐるりとうつ伏せから仰向けにされた。彼は上体を屈むと私の手を掴み、私の顔の横に置くと、手を重ねて指を絡めた。彼の顔も私に近づき唇が重なる。口を開けて彼の舌を受け入れると、くちゅっと唾液の音がして、彼の口から溢れている唾液を舌で掻き出し、ちゅうちゅうと吸いゴクンと飲み込む。キスに夢中になっていると、彼の下半身が動き出したので、脚を上げて彼の太ももの裏に足を掛けると、彼の太ももの表面が私のお尻と太ももの後ろに触れた。
顔の横に置かれた手が解くと私は彼の首のうしろへと腕を回し、彼は私の背中に手を入れて肘をつけたら、私の顔の横に両腕をつけて腰の動きを本格化させた。
「ん、ん、んっぁっ、あ、っあん、っ」
「はっ、まぁっ、ま…ぁ、っぐ」
揺さぶられながら口を塞がれ舌を絡めては、頬や額、こめかみの顔全体に舌を這わしキスを落としていく。彼の吐息と熱い舌に気分が高ぶり、下から突き上げられていく身体は、絶頂へと向かっていき続ける。
「あっ、いっちゃ…ぅぅっ、まだっ、んんっ、あ」
「何ッ…度でも、イケばいいっ、まぁ、ま…ぁっ」
まだ彼を感じていたいのに、私をイカせたいこの憎たらしい男は、何度でもイケばいいと腰の速さを緩める事なく、ガンガンと遠慮もせずに激しい欲情をぶつける。
「ん、好きってっ、言って、ねっ、ねっっ、っああああああっ!」
ピリッとした快感が起こり絶頂がやってくると感じた瞬間、身体中に巡った快感は足の先から頭のてっぺんまで突き抜けて、ぎゅぅぅぅっと自分の意思に反して蜜壺が締まり、蜜壺の中にあった彼の昂りを締め付けてしまった。
ぐっ、と低く唸った彼の声が聞こえ、ドクンドクンと蜜壺の中が満たされていくのを感じた。
「ええ、かしこまりました、っ…ぐ、ええ、っでは、はい」
ベッドの上に座り手帳片手に電話をする彼の声が、時々止まる。ベッドに座る彼の足の間に身体を入れているのは私で、落ち着いた声で電話している彼とは別の生き物みたいに、彼の昂りは天井に向かって勃ち上がっている。キャンディーを舐めるように昂りの付け根から上へねっとりと舌を這わせ、
昂りの先端から溢れるツユを口に入れ、太くて口に入り切らない部分は両手を使い揉んでいく。
「ん、っ、っ」
私が彼の昂りを口に入れたり舐めたりすると、ピクピクと動いたり少し大きくなったりするのが、私のせいなんだと思うとすごく愛おしくなり、もっともっと感じてほしいと思って熱心に触れてしまう。
頭を撫でられたのに気がついて、彼の昂りを口に入れたまま見上げると、電話が終わったのか熱の篭った鋭い眼差しが私を見ていた。脇に手を入れた彼は私を持ち上げると、噛み付くようにキスをして、彼の足の上へと座らされた。彼とのキスはいつも、どんな時も嬉しい私は彼の舌に自分の舌を絡めていたら、お尻を掴んだ彼に持ち上げられベッドの縁に膝をつけた。腰を掴まれ腰を落とすように彼の手が誘導すると、昂りが私の蜜壺にぴたりとあたり、ミチミチと蜜壺の中へと入っていった。
「あ、あ…ん、ああ」
彼の口から自分の舌を出すと、溢れる喘ぎ声が止まらない。
「っ、熱い…く」
目の前にある彼の頬を両手で挟み、濃厚なキスを続けると、下からズンッズンッと腰が進み、昂りが完全に蜜壺の中へと埋まった。額を合わせて無理矢理口づけを終わらせると、彼の眉が寄って不機嫌になる。
「…どうした」
「好き」
そう告げただけで、蜜壺の中にある昂りがぐんっと大きくなった気がして、蜜壺がパンパンに満たされる。
「好き、ね、藤原っ、っ」
「まぁ、ああ、俺も好きだ」
2人きりしか居ないホテルの一室なのに、小声で囁き合う私達。どっぷりと2人の世界に浸かり、お互いしか見えない。
額を合わせたまま下からの突き上げが始まると、唇を喰みながらも1センチも、少しも離れたくない思いが勝ってぴたりと上半身が密着する。彼から流れて私に移る汗も、熱く吐かれる息も、苦しそうな声も私のモノだと思うと優越感と幸福感に溢れて快感も倍増となっていく。
「わ、っ、私、の、ん、ん、っ、ぁっ」
「まぁ、まぁっ、はっ、んぐっ」
私の首元と肩に顔を埋めた彼は、ラストスパートを掛けるべくベッドのスプリングを利用して私の腰を掴んだので、逃げ場もなくなり下からの突き上げが重くなる。彼の背に手を回して、喘ぐ事しか出来なくなる。
「あっんぅっ、ああっんんん!」
強烈な快感に耐えきらずに彼の背に爪を立てて快感を和らげようとするが、結局和らぐ事なく目の前が真っ白になり達した。
ぎゅぅぅぅっと蜜壺が締め付けた彼の昂りは、締め付けに耐えきれずに弾け、ドクッドクッと蜜壺の中へと叩きつけるように注がれ、収まりきれずに溢れた証が彼の腰にも伝う。
「ん、ぅう…はっぁ」
彼の肩に頭を乗せると、彼は私の首元から顔を上げた。
「っ…すまない、跡が」
と言って詫びるように先程まで顔を埋めていた箇所を舐めては、ちゅっと触れるだけのキスを落とす。
私は顔を上げるのも、声を出すのも怠くて、ただ彼の腕の中で酷使した身体を休めていた。
朝から始まった朝食の食べれる純喫茶でのロケも終わり、ロケバスに乗って帰る事になった。今日は首元が隠れる白のハイネックと、ハイウエストのロングスカートとシンプルな服装だったが、彼女自身のスタイルの良さでまるでパリコレの舞台みたいにすれ違う人々が見惚れている。メイン司会者はひと足先に帰っていたので、時間厳守ではなかった。が、昨日の夜からの倦怠感が抜けなかったので、ロケバスに乗り込むことにした。行きの時と同じ、1番後ろの窓際の側の席だ。
「まりりんさん、こちら」
と私の倦怠感の原因を作った張本人が、私の好きなジャスミン茶のペットボトルを私に渡す。
「…もう、ありがと」
嬉しいやら恥ずかしいやら、心の中の感情がぐちゃぐちゃだ。誰も居ないのをいいことに、私の左隣に座った彼の腕に寄りかかり、彼の右太ももに手を置いた。
「…次…は?」
彼は私の手の上に自分の手を重ねられて、指を絡められた。
「次は事務所に戻り、雑誌のインタビューとその後にテレビ局へと行ってゲストで出演する番組の打ち合わせと…」
次に2人きりの時間が持てる時間を聞いたのに、この後の仕事を喋り出したので、口を尖らせてしまう。すると目の前が真っ暗になり、唇にカサカサとした乾いたモノが押し付けられて、すぐに離れた。びっくりして彼を見上げると、いたずらが成功したと、にっと笑った彼。
「その後は、2人で…な」
と低く喋る声にドキドキと胸が高鳴り、ぽうっと見惚れてしまう。
「…うん…お仕事…頑張るね」
胸がいっぱいでそれだけしか言えなかったけど、彼は気づいてくれたと思う。
ーー本当に、私大好きっ
って私が思っている事を。
芸能事務所一の稼ぎ頭と付き合う事なんて、スキャンダルにより名誉が落ちるためご法度だった。しかし入念な根回しをしていた敏腕マネージャー兼ボディーガードにより、まぁが社長に付き合っていると告げる前には、社長に直談判して交際の許可をもぎ取っていた。
まぁは、自分の方が藤原を好きだと思っているが、それは間違いである。彼女と初めて会った時から彼女に目を奪われ、この歳になって一目惚れをするのかと、淡白だと思っていた燃えるような激情に自分自身驚いた。彼女の仕事を手助けし、支える幸せだけでいいと思っていたのに、いつからかそれだけじゃモノ足りなくなっていた。
ーーこれからもずっと彼女を支え、守って愛していく
そう決めたら彼女の告白を受け止めて今に至る。まだ彼女とは、そう簡単にデートは出来ないけれども、それでもいいとも思っている。
なんせ毎日毎日一緒に行動している、マネージャーなんだから。
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