体育館倉庫での秘密の恋

狭山雪菜

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お泊まり4

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朝早くから、イチャイチャとくっついていた日も終わり夜も更けた頃。
ぐちゃぐちゃになったベッドとは違うもう一つのベッドで、彼の右腕に頭を乗せ枕にしていた香苗と、彼女の腰に手を置く夏樹。
他愛のない話をしては見つめ合いキスをして、身体がクタクタでもうこれ以上は出来ない…けど目が冴えて眠れないからと向き合って足を絡めて横になる。
彼の腕や胸には香苗が付けた赤い印が、香苗の身体中には夏樹が付けた赤い印が、それぞれの身体ーー無数に付いていた。

「このお盆休み、何するの?」
普通に寝るには近い距離にいる夏樹と顔を寄せて話していた。
「お盆は、今年帰らないつもりだったので…特に予定はないです」
見つめ合い話をしていると、キスしたくなるのが不思議だ。彼の顔に顔をぐいっと寄せて触れるだけのキスをする。
「そうか…なら、明日は車で帰っても、まだ一緒に居ていいか?」

今日はーーというか日付が変わったのでもう昨日だけど、もう一泊する事になった。お昼と夜はルームサービスでご飯も食べ、少し外出しようと言われた時、着替える下着も服もないと言ったら、地下にあるコインランドリーに彼が行ってくれた。ずっと離れずそばにいたので、彼のいない1時間半は寂しくて帰ってきた瞬間抱きつくと、なぜかそのままベッドへと雪崩れ込んだ。ゴムが足りないからついでに買ってきたと言った彼の言葉を理解するよりも前に快感に溺れ、気が付いたら夜でルームサービスを取ったのだ。


腰にあった彼の手が、私の肩に触れ頬に掛かる髪をどかす。
「私は大丈夫ですけど…夏樹さんは大丈夫ですか?」
どうせ一人暮らしだし、今年は社会人1年生のためイレギュラーな事が起こるかもと、実家には帰らないとすでに伝えてある。
「それ、"さん"付けで呼ばないでって言ったよな…あと敬語」
ムッと唇を結ぶ彼に、苦笑する。
「夏樹さん…年上ですし…先輩ですから…それに職場で間違えてタメ口聞いたら、2人の関係、バレちゃいますよ」
「…俺は別に…まぁ責められるのは、俺だし、な」
ため息混じりでそう言った夏樹に、香苗は首を傾げる。
「…?なんで夏樹さんが責められるのですか?」
「まぁ、いずれな」
私の疑問を躱し私に覆い被さると、口づけが降ってくる。
「ん、もう…出来ないですよ?」
優しい触れるだけのキスに、うっとりとしながらも、はっきりと告げた。
「キスだけ」
ちゅっちゅっと重なる淡いキスが、だんだんと深く濃厚なキスに変わるのに、そう時間は掛からず。疲れて眠るまで2人の戯れあいは、続いたのであった。
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