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33 気分転換に3泊目1
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身体の節々が動かすたびに、ちょっとした痛みを起こした。寝起きには辛い朝だったけど、目を覚ますと目の前に薫が私の寝顔を見ていた。
「おはよ」
「…おはよう」
今までも何度かすっぴんの寝起きを見られているから、慣れたけど本当はあんまり見て欲しくない気持ちもある。
「大丈夫か」
「うん、なんとか」
私の頬を彼の指がなぞり、体調を聞いてくる。薫は大丈夫か聞こうと思ったけど、私よりも体力があるしきっと大丈夫だろうと勝手に解釈した。
「朝の準備が終わったら朝食に行こう、その後は少し観光しよう」
私の体調次第だけどと付け足した薫はその言葉の通り今日は外出するつもりらしく、身体は怠かったけど外出が出来るのが嬉しくなった。
***************
朝食ブッフェは最高のひと言に尽きた。朝からオレンジやフルーツジュースやコーヒーや紅茶など豊富な飲み物と、定番の味噌汁からオムレツまでの和洋の種類が豊富すぎる朝食は、どれも美味しそうで目移りしちゃって全部食べたくなった。
「こんな事なら昨日も来ればよかったな」
なんて、来れなかった原因を作った薫本人が、テンションが上がっている私を揶揄いながら言う。
むぅっ、と私が拗ねると、薫は
「嘘嘘っ」
そう言って笑う。
正方形のテーブルで向かい合わせで座り、持ってきた料理を食べながらこれが美味しい、あれも美味しいよ、とシェアをしていく。
涼しい室内とはいえ、夏なのに薄手の白いカーディガンと、襟付きのふくらはぎが隠れる淡い水色のワンピースを着る茉白はブッフェ会場にいる男女から熱い視線を独身する。顔の造作もそうだが、茉白から漂う気だるげで一緒にいる男に向かって極上の笑顔を向ける姿に、自分に笑いかけられたと勘違いして頬を染める女性も多い。しばらく周りの様子を見ていた薫はだんだんと面白くなくなって、結局大きな身体をフル活用して、壁の役割をさせて茉白の姿を他の人から見えないようにしている事など、楽しく食事をしていた茉白は気がつかなかった。
1日目は水族館と海辺の散歩をした。2日目はホテルにいたから、3日目は一番大きなアウトレットへとホテルから徒歩圏内だったので向かった。宝飾から服のブランド品が並ぶ、国内最大級のブランド店があるアウトレットへと着くと、混雑していた。
「今度は避暑地でもいいな…来年辺りに」
「そうだね」
薫と未来の約束をするのは嬉しい。まるで来年まで一緒にいようも言われているみたいで、単純な私はすぐにご機嫌になる。
薫とウィンドーショッピングをしていると、薫が仕事に使うネクタイを選んだり、私のためにブランドのキーケースを購入したりする。
「…ここも入るか」
そう言った薫が足を止めると、私はお店の看板を見た。
「…ジュエリー店?」
有名な宝飾品店で、指輪やネックレスやピアスなどの小物が売っている。まるで最初からここにくる予定だったみたいに薫は迷いを見せずに中に入ると、お店の中央にある指輪のコーナーで足を止めた。
「いらっしゃいませ、矢須川様」
白いブラウスと黒いスーツ姿の女性が、指輪を見ている私たちのところにやって来た。
「よろしくお願いします」
薫は近づいてきた女性にそう言えば、
「こちらへどうぞ」
と別室へと案内される。
「…薫?」
ジュエリー店に入ったかと思ったら、店員に声をかけられてお店の奥に案内される。急な展開に不安になって薫に小声で話掛けると、薫は私の手を取り繋ぐ。
「大丈夫だ、予約していたんだ…この時間に来るって」
私を安心させるように、薫も小声で返した。
──何で予約しているの?
その疑問は、個室に案内された後に選んだ飲み物をテーブルに置かれた時に分かった。
「矢須川様本日はご来店ありがとうございます、本日対応させていただきます名取と申します」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
個室に案内された女性とは違って今度は薫と同年代くらいのスーツの男性が私達の前に座り、私の左隣にいる薫と雑談を始めた。しばらくすると自分のことを名取と名乗った男性は、綿手袋をはめた手で持っていたアクセサリートレーを私達の前に置いた。
「こちらがお電話でお伝えしました、リングでごさいます、中央を飾るのはダイヤモンドでごさいます」
薫が事前に連絡をしていたことにも驚いたけど、目の前に出された指輪にも驚いた。ピンクゴールドの細い指輪の中央に小粒のダイヤモンドがついている指輪とピンクゴールドより太いシルバーの指輪にもダイヤモンドがついていたが、その粒はすごく大きかった。
どういう事なのか知りたくて薫の顔を見ると、薫は頷いて口を開いた。
「このピンクは普段使いにしてもらって、こっちのはたまに付けるのにする?」
「…でも」
「気に入らない?他のにする?」
「ううん!すごく可愛いよ」
嫌だと言ったら違うデザインの指輪を持ってきそうで、すぐに否定すると、私達を見守っていた名取さんが
「…でしたら、こちらはいかがでしょうか…こちらは大変珍しい宝石のついた指輪でして当社のブランドのロゴとしてアルファベットのKがついております」
ともう一つ出して来たものは、付けると指の上が繋がっていない珍しいタイプのシルバーの指輪だった。片方の指輪の終わりにピンクダイヤモンドの粒がちょこんと添えられ、もう片方の指輪の終わりにはアルファベットのKが筆記体で形になっていた。
「…気に入ったか?」
あまりに美しいフォルムに見惚れていると、薫の声がした。
「うん…すごく可愛い」
「そうか、ならこの3つをください…どれを付けてく?」
「このKので」
私が指輪を決めると早いもので、サイズや指輪に彫る文字を選ぶ。
「かしこまりました、文字彫印の準備いたしますのでお待ちくださいませ」
ある程度決まってくると指輪が乗ったトレーを持って、名取さんは一度退席した。
個室で2人きりとなると薫は、ふぅっと息を吐いた。
「最後ので良かったのか?ピンクの方が人気のデザインだって言ってたぞ」
事前にお店の人と打ち合わせていたのか、とんとん拍子に話が進んだのは、そういう事なのかと納得する。だけど、
「どれも可愛くて好き…だけど最後のは薫のイニシャルみたいだったから」
「……そうか」
私が薫に言うと、彼は照れたように目元を赤らめた。私はテーブルの上に手を乗せた薫の右腕に抱きつくと、彼の肩に頬を乗せた。
「…本当にいいの?すごい高そうだけど」
値札なんて付いていなかったけど、個室に案内されるぐらいだ、きっと高いに違いない。
「いいんだよ、金額なんて」
そう言ってくれたから、テーブルの上にある彼の手のひらに自分の手を伸ばすと、彼の指が曲がり手を繋いだ。
「…ありがと、大事にする」
「ああ」
そう言って彼はそれきり黙ってしまったが、自分の指に薫のイニシャルがついた指輪をはめるだけで、きっと私はいつでも薫といると感じられると思うと私の胸はずっと高鳴っていた。
***************
指輪も受け取った後は、2人で散歩がてら歩いた。
「おっ、ブライダル会場だな」
彼の見る先を見ると、確かに大きな真っ白な教会のような建物があった。歩く足が止まると、大きな塀に黒い半楕円形の柵が閉じている。柵にはブライダル会社のプレートが付いている。
「…本当だ」
流石にもうここまで来たら、私は今日は予定もなくぷらぷら歩いているだけだと思っていたけど、ちゃんと薫のプラン通りで偶然じゃないことだとわかった。薫の考えている事はわからないけど、私に何かを伝えたいのかなと思ってしまう。
「薫?」
「…ちょっと見に行く…か?」
自信のない声がして、嫌なら断ってもいいと言っているみたいだ。好きだし毎日一緒にいたいとかは思っていたけど、薫との結婚なんてまだ考えた事がなかった。
「…軽い気持ちでいいんだ…レストランやショップを回るみたいな気持ちで、さ」
黙ってしまった私を見て、彼は色々と言ってくる。
「…薫…私」
「茉白」
私が何か言おうとすると、彼は私の言葉を遮った。
顔を上げて彼の顔を見ると、真剣な眼差しの彼が私を見下ろしていた。
「…俺は…俺は茉白にどんな返事をされても、どのみち別れる気なんてないんだよ…結婚が早くなるか遅くなるかの違いだけで、今の返事はどっちでもいい」
目の前にブライダル会社が作った教会みたいな外観の建物があって、まるで結婚式を挙げているような錯覚を覚える。永遠の愛を誓うみたいに、薫に告げられる。
「…愛してるんだ、茉白…俺は真剣なんだ」
繋いだ手を持ち上げられ、手の甲に薫の唇が寄せられた。鋭い眼差しで見つめられ、身体が金縛にあったみたいに動かないし、口がくっついてしまったみたいに動かない。
「…行こう茉白、未来の結婚式場候補の見学に行こう」
そう告げる彼の口調は軽いけど、言っている内容は私の一生が掛かっている。
「…もう決定事項なの?」
言っても意味がないと分かっていても、念のために聞く。
「…ああ、俺は絶対に別れない」
改めて言われると、今ここで返事をしたらダメなような気がして黙ってしまうと、
「…ほら、行こう」
「…うん」
薫が繋いだ手を引くと、私達はブライダル会場へと歩き出した。
「おはよ」
「…おはよう」
今までも何度かすっぴんの寝起きを見られているから、慣れたけど本当はあんまり見て欲しくない気持ちもある。
「大丈夫か」
「うん、なんとか」
私の頬を彼の指がなぞり、体調を聞いてくる。薫は大丈夫か聞こうと思ったけど、私よりも体力があるしきっと大丈夫だろうと勝手に解釈した。
「朝の準備が終わったら朝食に行こう、その後は少し観光しよう」
私の体調次第だけどと付け足した薫はその言葉の通り今日は外出するつもりらしく、身体は怠かったけど外出が出来るのが嬉しくなった。
***************
朝食ブッフェは最高のひと言に尽きた。朝からオレンジやフルーツジュースやコーヒーや紅茶など豊富な飲み物と、定番の味噌汁からオムレツまでの和洋の種類が豊富すぎる朝食は、どれも美味しそうで目移りしちゃって全部食べたくなった。
「こんな事なら昨日も来ればよかったな」
なんて、来れなかった原因を作った薫本人が、テンションが上がっている私を揶揄いながら言う。
むぅっ、と私が拗ねると、薫は
「嘘嘘っ」
そう言って笑う。
正方形のテーブルで向かい合わせで座り、持ってきた料理を食べながらこれが美味しい、あれも美味しいよ、とシェアをしていく。
涼しい室内とはいえ、夏なのに薄手の白いカーディガンと、襟付きのふくらはぎが隠れる淡い水色のワンピースを着る茉白はブッフェ会場にいる男女から熱い視線を独身する。顔の造作もそうだが、茉白から漂う気だるげで一緒にいる男に向かって極上の笑顔を向ける姿に、自分に笑いかけられたと勘違いして頬を染める女性も多い。しばらく周りの様子を見ていた薫はだんだんと面白くなくなって、結局大きな身体をフル活用して、壁の役割をさせて茉白の姿を他の人から見えないようにしている事など、楽しく食事をしていた茉白は気がつかなかった。
1日目は水族館と海辺の散歩をした。2日目はホテルにいたから、3日目は一番大きなアウトレットへとホテルから徒歩圏内だったので向かった。宝飾から服のブランド品が並ぶ、国内最大級のブランド店があるアウトレットへと着くと、混雑していた。
「今度は避暑地でもいいな…来年辺りに」
「そうだね」
薫と未来の約束をするのは嬉しい。まるで来年まで一緒にいようも言われているみたいで、単純な私はすぐにご機嫌になる。
薫とウィンドーショッピングをしていると、薫が仕事に使うネクタイを選んだり、私のためにブランドのキーケースを購入したりする。
「…ここも入るか」
そう言った薫が足を止めると、私はお店の看板を見た。
「…ジュエリー店?」
有名な宝飾品店で、指輪やネックレスやピアスなどの小物が売っている。まるで最初からここにくる予定だったみたいに薫は迷いを見せずに中に入ると、お店の中央にある指輪のコーナーで足を止めた。
「いらっしゃいませ、矢須川様」
白いブラウスと黒いスーツ姿の女性が、指輪を見ている私たちのところにやって来た。
「よろしくお願いします」
薫は近づいてきた女性にそう言えば、
「こちらへどうぞ」
と別室へと案内される。
「…薫?」
ジュエリー店に入ったかと思ったら、店員に声をかけられてお店の奥に案内される。急な展開に不安になって薫に小声で話掛けると、薫は私の手を取り繋ぐ。
「大丈夫だ、予約していたんだ…この時間に来るって」
私を安心させるように、薫も小声で返した。
──何で予約しているの?
その疑問は、個室に案内された後に選んだ飲み物をテーブルに置かれた時に分かった。
「矢須川様本日はご来店ありがとうございます、本日対応させていただきます名取と申します」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
個室に案内された女性とは違って今度は薫と同年代くらいのスーツの男性が私達の前に座り、私の左隣にいる薫と雑談を始めた。しばらくすると自分のことを名取と名乗った男性は、綿手袋をはめた手で持っていたアクセサリートレーを私達の前に置いた。
「こちらがお電話でお伝えしました、リングでごさいます、中央を飾るのはダイヤモンドでごさいます」
薫が事前に連絡をしていたことにも驚いたけど、目の前に出された指輪にも驚いた。ピンクゴールドの細い指輪の中央に小粒のダイヤモンドがついている指輪とピンクゴールドより太いシルバーの指輪にもダイヤモンドがついていたが、その粒はすごく大きかった。
どういう事なのか知りたくて薫の顔を見ると、薫は頷いて口を開いた。
「このピンクは普段使いにしてもらって、こっちのはたまに付けるのにする?」
「…でも」
「気に入らない?他のにする?」
「ううん!すごく可愛いよ」
嫌だと言ったら違うデザインの指輪を持ってきそうで、すぐに否定すると、私達を見守っていた名取さんが
「…でしたら、こちらはいかがでしょうか…こちらは大変珍しい宝石のついた指輪でして当社のブランドのロゴとしてアルファベットのKがついております」
ともう一つ出して来たものは、付けると指の上が繋がっていない珍しいタイプのシルバーの指輪だった。片方の指輪の終わりにピンクダイヤモンドの粒がちょこんと添えられ、もう片方の指輪の終わりにはアルファベットのKが筆記体で形になっていた。
「…気に入ったか?」
あまりに美しいフォルムに見惚れていると、薫の声がした。
「うん…すごく可愛い」
「そうか、ならこの3つをください…どれを付けてく?」
「このKので」
私が指輪を決めると早いもので、サイズや指輪に彫る文字を選ぶ。
「かしこまりました、文字彫印の準備いたしますのでお待ちくださいませ」
ある程度決まってくると指輪が乗ったトレーを持って、名取さんは一度退席した。
個室で2人きりとなると薫は、ふぅっと息を吐いた。
「最後ので良かったのか?ピンクの方が人気のデザインだって言ってたぞ」
事前にお店の人と打ち合わせていたのか、とんとん拍子に話が進んだのは、そういう事なのかと納得する。だけど、
「どれも可愛くて好き…だけど最後のは薫のイニシャルみたいだったから」
「……そうか」
私が薫に言うと、彼は照れたように目元を赤らめた。私はテーブルの上に手を乗せた薫の右腕に抱きつくと、彼の肩に頬を乗せた。
「…本当にいいの?すごい高そうだけど」
値札なんて付いていなかったけど、個室に案内されるぐらいだ、きっと高いに違いない。
「いいんだよ、金額なんて」
そう言ってくれたから、テーブルの上にある彼の手のひらに自分の手を伸ばすと、彼の指が曲がり手を繋いだ。
「…ありがと、大事にする」
「ああ」
そう言って彼はそれきり黙ってしまったが、自分の指に薫のイニシャルがついた指輪をはめるだけで、きっと私はいつでも薫といると感じられると思うと私の胸はずっと高鳴っていた。
***************
指輪も受け取った後は、2人で散歩がてら歩いた。
「おっ、ブライダル会場だな」
彼の見る先を見ると、確かに大きな真っ白な教会のような建物があった。歩く足が止まると、大きな塀に黒い半楕円形の柵が閉じている。柵にはブライダル会社のプレートが付いている。
「…本当だ」
流石にもうここまで来たら、私は今日は予定もなくぷらぷら歩いているだけだと思っていたけど、ちゃんと薫のプラン通りで偶然じゃないことだとわかった。薫の考えている事はわからないけど、私に何かを伝えたいのかなと思ってしまう。
「薫?」
「…ちょっと見に行く…か?」
自信のない声がして、嫌なら断ってもいいと言っているみたいだ。好きだし毎日一緒にいたいとかは思っていたけど、薫との結婚なんてまだ考えた事がなかった。
「…軽い気持ちでいいんだ…レストランやショップを回るみたいな気持ちで、さ」
黙ってしまった私を見て、彼は色々と言ってくる。
「…薫…私」
「茉白」
私が何か言おうとすると、彼は私の言葉を遮った。
顔を上げて彼の顔を見ると、真剣な眼差しの彼が私を見下ろしていた。
「…俺は…俺は茉白にどんな返事をされても、どのみち別れる気なんてないんだよ…結婚が早くなるか遅くなるかの違いだけで、今の返事はどっちでもいい」
目の前にブライダル会社が作った教会みたいな外観の建物があって、まるで結婚式を挙げているような錯覚を覚える。永遠の愛を誓うみたいに、薫に告げられる。
「…愛してるんだ、茉白…俺は真剣なんだ」
繋いだ手を持ち上げられ、手の甲に薫の唇が寄せられた。鋭い眼差しで見つめられ、身体が金縛にあったみたいに動かないし、口がくっついてしまったみたいに動かない。
「…行こう茉白、未来の結婚式場候補の見学に行こう」
そう告げる彼の口調は軽いけど、言っている内容は私の一生が掛かっている。
「…もう決定事項なの?」
言っても意味がないと分かっていても、念のために聞く。
「…ああ、俺は絶対に別れない」
改めて言われると、今ここで返事をしたらダメなような気がして黙ってしまうと、
「…ほら、行こう」
「…うん」
薫が繋いだ手を引くと、私達はブライダル会場へと歩き出した。
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