今日(こんにち)まで独身を貫いた漢は新入社員に惚れる

狭山雪菜

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25 成澤駿平という男に誘われた主任 3※

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金曜日の夜一人で、ずっと楽しみにしていたシリーズの完結編の映画を観に行き、そこで新入社員に会ったら席も隣になってご飯兼飲みに行って、それから…




成澤くん…もとい、駿平がお風呂から上がると、入れ替わりで私がお風呂に入った。彼も髪を洗っていなかったから、乾かすのが面倒で私も洗わないで出ることにした。バスルームを見て、普段からなるべく気にしているけど、よく見るととても綺麗なバスルームとはいえない。
──またこれも見られたのか
と、泣きそうになったけど、これも普段の自分の不摂生のせいだと開き直るしかない。落ち込みながら鏡を見ると、化粧も落ちてないし、なんなら映画館で泣いて崩れたアイシャドウとかが涙の跡を少し残していた。
──えっ…この状態で私は成澤くんに抱かれたの
よくこの顔を見て抱けると思ったと、我ながら感心していたが、
──もしかして、欲求不満で誰でも良かった?
と頭をよぎるが、すぐに考えを打ち消した。
──成澤くんクラスのイケメンが女に不自由してるなんてありえない
と。


「おやすみ由紀ちゃん」
使ってない新品の歯ブラシを渡して、歯も磨いてベッドに入ると、日を跨ぎ1時になっていた。シングルサイズの幅の狭いベッドの壁際を私が眠ることになり、彼は外側で横になった。
シングルサイズだから狭いベッドの上では、向かい合わせになっているから暗くした部屋でも彼の顔もばっちりとわかる。
スーツ姿で働いているはずだから、普段からYシャツの下に着ていた白いシャツと、ズボンないやと言って私のLのスウェットを貸したらまさかのピッタリとしたサイズで、ショックを受けた。
色々あって眠れないかもと、思っていたけど、規則正しい寝息を聞いていたら、だんだんと私も眠くなってきてそのまま眠ってしまった。




***************




起きた時にという夢を見たと言いたかったけど、目が覚めたらイケメンは私の前で寝ていたし、腰の違和感もあった。
「おはよう由紀ちゃん」
「…おはよう、成…っ、駿平」
起きたばかりなのに爽やかな駿平に見惚れ、彼の苗字で呼ぼうとすると、んっ?とにこにこと彼は私の顔に近づいた。
慌てて昨日言われた名前をいうと、そうそうと、彼は頷いて私の額にキスをする。
──なっ何?この朝から甘ったるい雰囲気っ
そのまま目の下にも唇を押し当てられ、口にもするのかと思ったら口の端にだけされた。
「…歯磨いてからね」
と、彼は笑う。
まるで私が彼の唇を求めたみたいに言われ、心外だと思ったが、口にされるかと思っていたからあながち間違えではない。
「…うん」
今まで聞いたことのない甘ったるい声が私の口から出て、キモいと思ったけど、彼は気にしていないみたいだ。
駿平が起きると、私もベッドから起き上がった。
「朝ごはん食べる?」
「うん、食べる…もう9時か」
朝ごはんって言っても軽いものだけど、って言うと、今何時だろうと駿平はスマホを取り出して時刻を確認した。
「簡単なものしか作れないけど…先に顔とか歯を磨いてきて」
「そう?手伝うよ」
「ううん、本当に大丈夫だから歯を磨いてきて」
手伝うと言ってきた駿平に、強めに拒否をしてしまったのは、昨日机の上に置きっぱなしになっていた食器をシンクに移動させて隠したのだ。それを見られたら、ズボラな女だと思われてしまう…もう手遅れかもしれないけど。
私の言いたいことがわかったのか駿平は、分かったと苦笑した。
彼がバスルームに向かうのを見て、私は急いで起きた。


一生独り身だと思っていた。だってなかなか彼氏も出来なかったからだ。
だから自分の住むところだけは、こだわり抜こうと決めていた。会社から駅で1個隣の駅で、駅から徒歩5分圏内の築浅のマンションを借りた。13階の角部屋で一人暮らしにしては部屋の多い2DK、キッチンは対面でカウンター付きのオール電化の最新型のマンションだ。
自炊をするから少し大きめの冷蔵庫に入っていた食材を見て、即席の味噌汁と白いご飯、卵焼きとソーセージを焼いた。作り置きしていた副菜をお皿に入れて、カウンターの横に置いた二人用のテーブルに並べていくと、駿平がやってきた。
「おー、美味しそう」
「もうできるよ座ってて」
駿平が座ったのを見てお箸を出すと、彼はいただきます、と言ってご飯を食べ始めた。



『せっかくだから出かけよう』
朝食を食べている時に駿平が言っていたはずなのに、彼の着ていた服を洗濯して乾燥させる事になった。駿平に貸したスウェットのズボン以外身につけていない、もちろん下着もだ。
「あと1時間くらいで終わると思う」
バスルームの前にある洗濯機の前で、洗剤と柔軟剤を入れボタンを押すとセッティング完了だ。そうしてる間に私のシャツを貸そうとしたら、駿平に背後から抱きしめられた。
「…それよりも、ねっ」
ペロリと頬を舐められ、驚いて振り向くと口を塞がれた。
目を閉じて彼の舌を唇で挟むと、お腹の前にあった彼の手が私のシャツの中に入ってきた。一応ブラは付けていたけど、彼は両手でブラの上から胸を揉む。
「部屋に戻ろう」
懇願するように言われ、
「…うん」
と、私の口から出たのは甘い声色だった。

朝起きて少しだけ乱れた掛け布団を直しただけの部屋に、指先を絡めて手を繋いで戻ってきた。時々キスをしながら、イチャイチャとはこの事なの、と知らなかった甘いバカップルのやり取りに頭がついていかない。
──キャラじゃないのにっ
頭がそう思っているのに、心はときめき身体は彼の行動を受け入れ喜ぶ。
──私なんかに
と頭の中で否定しても
──でも駿平がしたい事だから
と納得させ、
──心の中で嘲笑っているはず
とマイナス思考の頭が彼の心の内を決めつけても、
──そう思っているようには見えない…でも…そうでもいい
だって今は彼がしたい事に私が合わせてる・・・・・
からと、意地の悪い足掻きをみせる
キスをしながらベッドに座らされ、ベッドのそばの床に膝を付いた彼は、私の首に舌を這わしながらシャツの裾を掴み脱がせる。お互いの舌を絡めながら、腰を浮かすとズボンも脱がされてペアの・・・白い下着姿となった私。
足を広げると、彼は私の足の間に入ってきた。膝立ちになっていた彼は私の上半身に手を這わせると、私のブラを脱がせながら顔を上げて私の唇を奪う。頬や首筋、鎖骨のラインを舌でなぞり、甘噛みしてはちゅぅ、と強く吸ってキスの跡を残していく。何か行動した後は、私の唇に戻ってくるから、ずっと熱にうなされたようにぼうっとしてしまう。
私以上の経験値があるとわかる彼の行動に、過去に見える女にチリッと嫉妬してしまう。
「…由紀ちゃん、こっちに集中して」
そう言われたら、足を上げて彼の腰に足を巻き付ける。すると、私は下着姿なのに彼がズボンを履いているのが面白くなくなる。足の指を使って彼のズボンをずらすと、意図せず彼の腰からお尻のラインを足の底が撫でた。
「由紀ちゃんっ」
「あっ、駿平…っ、ん」
私のお尻を掴み床に足をつけた彼が、私をベッドから引きずり落とすと彼の足の上に座らされた。足を広げた私の間に彼のズボンがあって、中央が盛り上がっている。
「もう、おっきくなってる」
目で見たものが口からするりと零れた。
「ゔ…言わないで」
と駿平は情けない声を出す。私が彼の足の上に座っているにも関わらず少し腰を浮かせた彼はズボンを下ろすと、下着など履いていなかったズボンの下から太くなった昂りを出した。
「由紀ちゃん、あんまり見ないで」
「ごめ…ん、っぅ…ん」
と、じっと彼の昂りを凝視している私に、彼は見られて恥ずかしいのか私の口を塞いだ。
──こんな大きいのが、昨日私の中に入ったの?!
舌を強く吸われながら軽くパニックになる。だって昨日は駿平の・・・を見る前に、始まって終わったのだ。そんな頭の中が混乱している私の気持ちなど知らない駿平は、彼の手が動き出すと私の蜜口のある付近の下着をズラした。
「んっ、ぅむ、んっ」
下から2本の指を入れられ、その指から逃げるように腰が上がると、姿勢が良くなる。昨日は一度しか使っていないが、それでも快感を覚えている下半身は彼の指を受け入れて蜜を溢れ出していく。されるがままだった私は、彼の舌に自分の舌を絡めつつ、腰の中央にあるそそり立つ昂りに手を伸ばした。大きくて太い昂りを握り、上下に擦ると彼のキスから解放された。
「由紀ちゃん、そろそろいれるね」
うん、と返事をする前に、もう一度口を塞がれた。彼はベッド隅の床に雑に置かれ、口の開いたカバンから物が飛び出していた内の一つの財布を取り出すと、中から正方形の英字がプリントされたグレーのパッケージを取った。
歯でそのパッケージを挟み、乱暴な手つきでパッケージの封を外すと、中身を取り出して空になったパッケージも財布も横へと投げた。
彼が自分の昂りにゴムをつけていると、彼の指が蜜壺からなくなった身体は快感を求めてしまう。無防備な彼がそこにいると、私はチャンスは今しかないと、彼が私によくやっている頬や首筋を舐めたり甘噛みをしたりするのを真似して彼にやる。
「由紀っ、ちゃん」
煽らないでと、余裕のない声に嬉しくなって、彼の鎖骨まで調子に乗って舌を這わせたら、彼の手が私の腰に回り腰を引き寄せられた。
「はっ!ぅん…っ、っぁ!」
「はっ、キッツー、由紀子っ」
チカチカと目の前が白くひかる、腰を引き寄せられただけじゃなくて、彼の昂りが蜜壺を一気に貫いたのを知る。身体が突然やってきた快感に耐えられなくて強張り、彼の昂りを締め付けると、駿平の声が一段と低くなって唸る。
──由紀子って
ずっと由紀ちゃんって言っていたのに、呼び捨てにされて胸が高鳴る。そういえば昨日の夜も由紀子って呼ばれた気がしたけど、気のせいだと思って気にしていなかった。
久しく家族以外の誰にも言われた事ない名前を愛おしげに、または私を追い詰める獣のように襲う直前に言われて何にも感じない方が変だ。
「あっ、駿っ、平っ、あっ、あっ、っん」
私の膝裏を持ちながら、下から突き上げられ、私よりも細身の彼のどこにそんな力があるのか不思議なんだけど、激しい抽送に甘い声が口から出て舌を噛みそうになる。
膝立ちになって起き上がった彼にベッドの上へと置かれ、腰を掴まれ蜜壺の中を入る昂りが変わって内側を擦り付ける抽送になってねちっこくなる。
キスがしたくなり彼の首の後ろへと腕を回すと、私がしたい事がわかるのか、欲しかったものを与えられる。
「はっ、昨日したからっ、俺の形っ、覚えてるね」
「ぁっ、あっ、駿っ、駿っ!」
耳の中を舐められ、荒い息と共に彼の声が聞こえる。彼の首に回した手の力を込めて、彼の腰に足を巻き付けて全身で彼に抱きつくと、彼も私の背中に腕を回して抱きしめた。
「はっぁ…由紀子っ」
絶頂に達した彼の声を聞きながら、肩を噛まれた私もあっさりと絶頂へといった。



何故だかわからないけど、映画を観た後のご飯の後で、駿平と付き合うことになったらしいと私は確信を持った。
だって

──セフレと呼ぶには、まるで恋人同士のやり取りなんだもん

セフレなんていた事ないからわからないけど、事後もこうして慈しむように私の頬や唇にキスをする駿平を見て、今の関係はドライな関係ではない事だけは分かるから。
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