結婚したくない王女は一夜限りの相手を求めて彷徨ったら熊男に国を挙げて捜索された

狭山雪菜

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番外編 結婚式前夜 投稿34ヶ月記念小説 熊男の国挙げ

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王城で開かれた第3王女の結婚式を祝うパーティーは会場では、主役の2人が消えていても誰も気にしなかった。

明かりも付いていない部屋のベッドの側にある大きな窓からは月の明かりで、2つの大きな影があった。
手入れのされた美しい金色の髪をベッドに広げて、潤む瞳と左目の下の泣き黒子が強烈な色気を出す姿を見下ろして、フウモ王国最強と呼ばれる将軍は早くも、ぐるっ、と唸り降参しそうになった。

フウモ王国第3王女として、王城に住む彼女──ミネルヴァは、第一子を産んだとは思えないくらい若々しく美しかった。むしろ初めて出会った時よりも、を知ったから、色気を醸し出して艶っぽさも出ている気がして、元々彼女に対して少ない余裕しかなかったのに、今はまだ離れて暮らすから頭がおかしくなりそうだと俺、エルフラン・ベアは思った。
──俺の美しいミネルヴァ、ミル
初めて会ったのは、盗賊を追いかけた時、その次に浮浪者がいると通報を受けた時、そして最後に会ったのは仕事終わりに一杯飲んでから帰ろうと酒屋に行った時だった。
見てくれは熊──幼い頃から父と同じで国を侵入者から守るために鍛えていた俺は、身長が伸びるにつれ筋肉がどんどん大きくなり、自身の怪我をも気にしない戦い方をしてきたから顔の右眉から頬にかけて傷跡が残っていた。日焼けした肌、黒い短髪と鋭い眼差しもあって、野生の熊──ベアと言う名も合間って、熊男だと揶揄されるようになるのは必然だった。
その熊男と結婚してくれる女などいるはずもなく、父の爵位を引き継いでも貴族の女性どころか平民ですら恐れられていたところ出会ったのがミルだった。
信じられないくらい幸福で快楽に耽った一夜を共にし、目が覚めたら彼女の姿が綺麗さっぱり無くなっていた時の絶望感は、今後一生忘れる事のない。
逃げられた女を探し出すのに、部下に指示して聞いて回るのは、まどろっこしいと自分が先頭に立ち国中の家という家、それこそ森の中まで徹底的に調べたが、ついには彼女を見つける事が出来なかった。

「ふふっ、熊男さん…結婚式は明日よ?待ては出来ないの?」
くすくす笑う彼女の声に我に返った俺は、彼女といるのに他の事を考えるなんて、と己を強く叱咤する。

国中を探しても見つからないし、決していないはずだ──だって彼女は、フウモ王国の王城に閉じ籠っていた王女だったからだ。
「ミル、早く俺のものにしたい」
「もう貴方のものよ?」
子供のように駄々をこねる俺に、彼女は日に焼けていない白い細い腕を上げて俺の頬に手を添えた。彼女の手の上に自分の手を重ね、口をズラして彼女の手のひらにキスを一つした。
元々悪い目つきでギロリと彼女を見ると、怯えるどころか彼女の頬は赤くなって瞳が潤むから、余計に俺を夢中にさせる。
──誰もこんな見てくれのに近寄らないのに、ミルは俺の全てを愛おしいと思っているから、俺も気をよくしてやりたいようにしてしまう

ミルの兄が結婚すると開かれたパーティーで見た時の彼女は氷に漬かっているかのように表情を凍らせ、他人との交流──主に男だが──を拒絶していたのに、俺といる時は花が咲くように笑顔を絶やさない。
「ミル…愛しのミル」
「なぁに?熊男さん」
ついには我慢が出来なくなって、彼女の首筋に顔を埋めてしまうと、彼女は俺の頭を優しく撫でた。
「結婚式の前のパーティーを開いたというのに、こんなところに今日の主役が2人とも抜けたら…だめよね」
「…挨拶は終わらせたし、あとは無礼講だ…俺達が居なくても勝手に飲んでいるさ部下達アイツらは」
「またそんな事を言って」
困ったように話すミルだったが、俺の頭を撫でる手を止めないし、彼女に覆い被さる俺を退かせようと押すわけじゃないから、俺が大丈夫と言った言葉を疑いもせずに信じていた。
明日はついに渇望していたミルと、自分のモノにするべく結婚する日だ。国中を挙げてミルを探していただけだったのに、家の地下や森の奥に隠れていた蛮族達を倒したものだから、あれよあれよといつの間にか国の防衛の将軍トップについていたし、褒賞として爵位と領地を賜り、フウモ王国建国以来、前代未聞になっている未婚なのに子持ちの王女ミルを娶ったのだ。
「明日から3人で暮らせる」
2人が過ごした熱い夜の結晶の息子は、エルヴァと名付けられ、今はミルと暮らしていた。
そもそもの始まりがほんのひと時で、離れている間に息子は育っていた。無論、子供が出来ていたなどと俺は知らなかったが…あの夜ならあり得ると今はそう思っていても、当時は思いもしなかった。彼女が俺の子を宿してから再会する前の子供の様子は聞く事でしかわからないが、これからは違う。ともに暮らして生きていくのだ。焦がれたミルと愛おしい子供と一緒に。
「ええ、やっと好きな人と結婚が出来るわ」
うっとりと俺を見つめる彼女は、俺の頭を撫でるのをやめて抱きしめた。
「ミル」
「あら…ふふっ、そういうのは初夜に取っておくものじゃないの?」
スン、と彼女の首筋の匂いを嗅いだ後に甘噛みをしたら、彼女は笑いながら甘い吐息を吐いた。
「初夜とはまた別に取ってある」
バツが悪くて、ついぶっきらぼうに答えてしまうと、ミルは我慢が出来なくなったのか、ついには、あはは、も笑い出してしまった。
「そうね…もし誰も・・・私達の邪魔をしないのなら…したいわ」
「それは大丈夫だ、抜け出す時に部下に知らせたからな」
と言っても知らせた時には、彼女の腰を掴み、無言で威圧する俺の姿を見て、すくみ上がっていた部下達が首を縦に動かしていただけだったが。
「もういいだろう?もう5日も我慢したのだ」
「ふふっ、そうね…熊男さんにしては我慢した方ね」
彼女と再会した翌日から1日も空けずに、彼女の住む離宮に忍び込み逢瀬を重ねた。その傍ら地位だけが高くなった職務をこなし、国王陛下へのミルとの結婚を取り付けていた。
未婚の子持ちを引き取る将軍、早すぎる結婚の準備に、国王陛下との密約があったのではないか、と貴族達は好き勝手に噂話をしていた…が、国王陛下もミルの産んだ子供を見て、俺と同じ黒い瞳である俺の子供だと察すると苦虫を噛み潰したような顔をして結婚を承諾した…ってのが真相だ。あと、ただ単に結婚式の準備を3ヶ月の異例の速さで進めたのは、早く彼女を俺のものにしたかったからでもある。
「愛してる」
「…私もです…エルフ…んっ、っ」
この後の彼女から紡ぎ出される愛の言葉を聞きたいのに、俺の中にある強欲が勝手に身体を動かして彼女の口を塞いだ。どの果物よりも極上で柔らかくて甘く甘美な味、香水を付けなくても十分に甘い匂いで誘い俺を狂わす彼女。手のひらを彼女の身体に這わせば、磁石のようにくっついて永遠に触ってられる。一度でも彼女の中に入れば、甘い声で俺を快楽の底へと落とし、彼女が先か俺の身体が限界が訪れるまで求めすぎてしまう。
ちゅっ、ちゅっ、と彼女の唇を音を立てて啄めば、彼女は俺の短い髪をそっと撫でる。
──俺は狂ってるな
何度求めても満たされないこれは何だと自問しても、ついには答えを出す事は叶わない。彼女を求め頭よりも先に身体が動いてしまうからだ。
日中での息子を交えた少しばかりの会話も、夜の恋人同士になる時間でさえ満足出来ないというのに。
この先一生過ごすつもりでも、家族を置いて果たして仕事にちゃんと行けるのだろうかと、結婚前から早速部下に心配されている。
「明日からは、もう帰らないのよね…?」
「ああ、もちろんだ…俺の帰る場所は2人がいる所だ」
不安そうに揺れる瞳で彼女も、俺と同じ気持ちだと知り嬉しくなる。
離れ離れになっていた日々は、どんな戦よりも拷問よりもキツい事をもう知ってしまった。今だに終わりの見えない日々を思い起こすと、胸が苦しくなり叫びそうになる。


「明日は起き上がれるようにしたいわ…だって」
「ああ、わかってる…少しは抑えるさ」
王女だとのもあって、彼女の服装は会場一豪華で美しかった。胸元にある大粒のダイヤモンドのネックレスもイヤリングも、彼女の元の素材がいいだけに霞んで見える。白と薄ピンクのラインが入ったドレスは、参加した女性貴族の視線を釘付けにし、羨望の眼差しを向けられていた。1人産んだとは思えないプロポーションに、実はエルヴァは王女がどこからか連れてきた子供なんじゃないか、とも噂されていた。しかし一目息子を見れば、ミルと俺との子供だとわかるものを、貴族っていうのは本当に噂話が大好きだと辟易していた。
『首には跡を付けないでくださいませっ!』
『式に参列する方々もいるのですから、花嫁が体調を崩したら元もこうもないですわっ!』
『女性の一生に一回しかない結婚式をぶち壊す気ですかっ!』
『ベア将軍、寵愛が過ぎますわ、そうだミネルヴァ様だけでなく、もっと他の方と交流されては…』
などと、ミネルヴァに付く侍女に泣きながら説得され、渋々この5日間は彼女に手を出さなかったのだ。だが、それも明日でお終い。でも…その前に彼女と2人きり、しかも俺のために──本当は婚約パーティーなのだが、どっちでもよい──着飾った彼女を見て、我慢が出来るはずない。だから少しだけ…のつもりが、もうその気になってしまっていた。
「これからもずっと愛してくださいね」
「ずっとミルだけだ」
当たり前だ、と続けようとしたが、ミルが俺の頬を両手で挟み顔に残る傷跡に唇をつけた──子供にもしている、愛おしいと思っての行動だ。
わーっと心の中で叫びたくなる感情を押し殺すために、眉を寄せた俺にミルはもう一度俺の口の端に唇を寄せた。
そのまま唇を合わせて、唇を啄みながらミルの腰辺りを撫でると、彼女は俺の頬から肩に手を置いた。額を重ねて鼻先をくっつけ、胸の中から込み上げてくる言葉を口にした。
「健やかなる時も…俺の命が尽きるまで永遠に愛する」
「それは…明日でしょ?…明日もまた誓うの?」
「毎日でも」
ふふっ、と鈴の音のように笑い、俺の最後の一言で俺の首の後ろに腕を回して、ベッドで仰向けになっている自分の方へと寄せた。
「…なら私も、永遠の愛を貴方に誓います…エルフラン…っ」
俺の下唇を甘噛みすると、俺の唇のラインに舌を這わした。俺は吸い込まれるように彼女の唇に自分の唇を合わせ、舌を出して彼女の口内へとするりと入れた。彼女の舌を出すように舌で促すと、彼女は舌を出した。俺は彼女の舌を吸うと、今度は彼女の口内に舌を這わし堪能した。
ベッドに付けた足を曲げて、上体を起こして彼女の手も引くと、彼女も俺につられて起き上がった。口から頬や顎のラインにキスをしながら、背後にある彼女のドレスのボタンを取ると、キツく絞められていた彼女の胸が少しばかり大きくなった。
彼女のドレスを上から順に脱がして、白い肌が露わになると、俺は見えた肌に口を寄せた。
「ぁ…っ、ん」
一枚、一枚と丁寧に脱がしてはベッドに投げ、重なったドレスはバランスを崩して床に落ちた。この真っ白な肌に跡を付けるのはダムだとキツく言われているから、舌を這わすだけに留めているが、明日からは遠慮はしないと固く決意する。彼女のドレスを全て脱がせると、真っ白な肌に白い下着姿の彼女が横たえ、俺は自分が着ていた服は乱暴な手つきで全て脱ぐと、ミルの上へと覆い被さった。
呆れてしまうほど固くなった昂りは、彼女の中へと入りたいと主張するかのようにぴくぴくと反応した。元々少しだけ睦みたいと思っていたが、5日も肌も触れ合えていなかった反動が今来た。
待ち焦がれたようにミルは俺の唇を求め、俺はその間に彼女の足を開いて己の昂りを、彼女の蜜口らへんがあるであろう下半身に下着越しから押し付けて腰を揺らした。
「あっ、あっ」
彼女の耳を口に入れて吸い付いたり、彼女が甘い声を上げると、腰の速さをあげた。彼女の肌に跡を残さずする行為は酷く難しく、噛みつき強く吸って自分のものだという印を刻みたくてしょうがない。
──明日までっだっ
彼女の頭の横に肘をつき、一枚の布で隔たれていた下着を脱がすと、今度は直接彼女の蜜口に自分の昂りの側面を合わせた。
「明日はうんと可愛がってくださいね」
俺が最後までする気がないと彼女は察すると、俺の頬に手を添えて切なく呟いた。
「ああ、明日からはうんと可愛がる」
入れなければセーフだろう、と解釈した俺は、彼女のイき疲れ体力が切れてしまうまで、彼女の足の間に欲情の証をぶつけ彼女の全身を隅々まで舐めた。



パーティが終わると、残ったのはまだ酒を飲んでいる部下達だけであった。この王城の警備も俺の部下がしているから、ある程度の居残りも大目に見てもらったらしい。この後他の所へ飲み直そうと呑気に話していたところ、俺が彼女との逢瀬から戻ったところだった。
「おっ!今日の主役!どこに行ってた!」
酒で出来上がった部下を隊員が所属する寮へと連れて行き、数名の幹部で酒盛りが始まる。

「明日は結婚か…早いな」
むしろ遅いくらいだ、と口を出そうとして、俺がただの隊員だった時を知る同僚が涙ぐんでいるのを見て、手元のビールに施設を落とした。
ミルとの出会いと別れから、ヤケになって強硬手段に出た俺に『必ずいるさ』と、励ましていたのもこの同僚だった。
「しかしえらい美人やったな」
「王城の勤務が多い俺でさえ、お目に掛かったことなかったよ」
ミルは離宮から出る事はなかったらしく、本当に王子の婚約の催しがなかったら俺も再会出来たか怪しい。
「それよりもベア!あんなべっぴんを嫁にするんだ!万全の警備なんだろうな」
「それはもちろんだ、腕っぷしのいい男を数十名集めた」
1人の幹部が俺に話しかけてきたので、ミルと結婚するにあたり、俺自身の目で確かめて集めた精鋭部隊の選考が始まった。
「…えっ?数十名?…数人じゃなくて…か?」
「当たり前だ、ないとは思うが遠征や泊まりの仕事がないとも言えん、俺が不在の間は彼女を守ってもらう」
「ないとは思うって…もう隠居する気かっ!」
「…まぁそうだよな、将軍の討伐によって恨まれてるかもしれんしな」
ズッコケルヤツもいれば、俺が一網打尽にした蛮族の残党がいる可能性も示唆していた。
「確かにな、警備も万全じゃないとおかしいわな」
「ありえないと思うが…もし屋敷を襲われたらどうする?」
ミルの美貌を見て頷く幹部達に、1人がぽつりと、考えたくもないもしもの場合を聞いてきた。
「そうだな、まずは目玉をくり抜いて」
「待て待ていきなり物騒だな」
「ふむ、そうだな…ならまずは腕をへし折り…いや、ミルに触れたんだったら指を一本ずつ」
「いやいや何で拷問前提なんだよ」
俺は真剣に言ってるのに、途中から突っ込まれた宴会は、明け方まで続いた。




「健やかなる時も、病の時も一緒にいます」
ミルは王女とあって豪華絢爛の式になったが、ミルはこの式よりもこの世に舞い降りた女神のように美しく輝いていた。
「愛してます」
誓いのキスで口が離れた時に、ミルは俺だけに聞こえる告白を不意打ちで呟いた。俺はミルの告白に驚いて頭が真っ白になってしまうと、ミルはあの酒場で見せた満面の笑みをした。



この日を持って、フウモ王国ミネルヴァ第3王女は息子と共に、最強の将軍と後世に残るエルフラン・ベアへと嫁いでいったのであった。
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