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番外編 王女の悩み 熊男の国挙げ
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朝の日差しが少しずつ室内に入り、部屋を照らしている。
特注で作らせた大きなベッドに、身を寄せ合う2つの山が規則正しく上下に動いていた。
金色の髪の小さな頭がシーツから出ていて、逞しい鍛えられた太い腕を枕にして眠っていた。左の目元にある泣き黒子、瞼が閉じられている寝顔はまだ成人してない少女のように幼く、あまり外出しないためか肌が白く、首回りには点々とある愛されている所有印。彼女はこのフウモ王国第3王女として生きていたのだが、色々あって出産結婚したミネルヴァ・ベア夫人だ。
彼女のその枕となっている逞しい腕は、彼女の夫ーーエルフラン・ベアが眠っている。彼は日焼けした肌、黒い短髪と顔の右眉から頬にかけて傷跡があり、キリッとした眉は今は和らいでいる。
このフウモ王国第3王女として生まれたミネルヴァは、病弱という設定で母親と隠居生活を続けていたのだが、父である国王に噂のよくない他国の王子と結婚させられそうになっていた。慌てて町へと向かい一夜限りの相手を求めていたら、このエルフラン・ベアーー通称熊男と出会ったのだった。
熱い一夜を過ごした後に姿を眩ませたミネルヴァを国中探し、倒した蛮族達が副産物で功績となり将軍にまで昇り詰め、ミネルヴァの兄の婚約のお披露目で再会したのだった。
**************
微かな音が聞こえてゆっくりと目を開けると、目の前にあったのは夫のエルフランの胸板だ。無数の傷跡が残る彼の身体は戦ってきた勲章とも言えるし、デコボコした肌はいつの間にかミネルヴァにとって眠っている間に触れると、彼という存在を確かめられるモノになっていた。
彼の腕に乗せていた頭を少しだけ動かすと、頬に大きな手が置かれた。
「ミル、起きたのか?」
寝起きだからなのか、エルフランの掠れた声が頭上から聞こえてきた。
「…すいません、起こしてしまいましたか?」
頬に触れられた彼の左手の上に自分の左手を重ねると、彼の左薬指にある結婚指輪に当たる。私の指を絡めたエルフランは、枕にされていた右肘を曲げてミネルヴァを引き寄せた。
額にキスをされて、彼の吐息が顔に当たる。
「いや、起きていたさ」
そう囁いた彼は私の肩に右手を置き、絡めた指先のまま私の顎を持ち上げると、唇に触れるだけのキスをした。
「おはよう、愛しい妻」
「おはようございます、熊男さん」
ふふふ、と笑うと、彼の表情も柔らかくなり、お互いベッドの上でキスをしたり、お互いの身体に触れて戯れ合う。
もう起きなくてはいけない時間だが、どうしても離れ難かった。
笑うミネルヴァがベッドに仰向けになり、起きようとするエルフランを見上げると、視線が絡まり引き寄せられるようにお互いの唇が重なり、舌が絡まった。2人だけの軽い戯れ合いだったはずが、明るい室内で交わす口づけは濃厚でねっとりとしつこい。
「んっ、ぁ、っ」
ミネルヴァの腰をゆっくり撫で始めたエルフランの手は、いつも情事が始まる合図なのだ。
「ミル…」
低音の声の彼が私の名を呼ぶと同時に、コンコンと主寝室の扉がノックされた。
「ご主人様、奥様、おはよう御座います、朝のお時間です」
咄嗟に彼の身体に身を寄せると、エルフランの舌打ちが聞こえた。
「…5分待て」
そう言ってベッドから起き上がったエフランは、床に落とされたミネルヴァの黒いバスローブを拾い、素早く彼女に着せた。自分も同じ色のバスローブを羽織り前を結ぶと、固まるミネルヴァの唇を塞いだのであった。
**************
「お父様、お母様、おはようございます」
大きな黒い瞳をきらきらと輝かせ、金色のサラサラの髪が、ぴょこぴょこ動いて可愛い。白いYシャツと黒いズボンを履いた、エルフランとミネルヴァの息子のエルヴァが食堂に到着した2人に挨拶をする。
「おはよう、エルヴァ」
「おはよう私の天使」
いつものように息子の頭をひと撫でしたエルフランと、エルヴァの頬にそっとキスをするミネルヴァ。もうすぐ5歳になるエルヴァは嬉しそうに、控えめに笑いミネルヴァに抱きついた。
「お母様、ぼく夢を見ました!」
「あら、どんな夢?」
母の腰に抱きつきながら、食事が用意されている席に近づくまで、エルヴァは夢の内容を話続けた。
昨日の夜に別れたばかりなのに、エルヴァはお話しするのが大好きで何でもにこにことおしゃべりをする。そんな息子の話を聞きながら、席に着きメイドの給仕が始まる。
将軍となって間もなく4年となるエルフランは、軍服に着替えると城へと向かう準備を始める。 前回の一斉討伐で今や平和となったいるこのフウモ王国で、遠征に行くこともなくなり日が暮れると帰ってくる。そんな彼の服を皺がないように直し、ボタンを留めるのがミネルヴァの仕事だ。
妻がボタンを直すのを、彼女の腰を掴み引き寄せながら腕の中に閉じ込めるのがエルフランの日課だった。
一生懸命エルフランの見栄えを良くしているミネルヴァだが、エルフランは特に気にしていなく、ただ妻がくっついてくれるために彼女の好きにさせていた。
「…はい、出来ました」
満足してにっこりと笑う彼女は、まだまだ出会った頃と同じで美しく眩しい存在だ。目を細めたエルフランは、妻の顎を上に上げると、出発時間を過ぎても来ないこの屋敷の主人に、痺れを切らした執事が部屋に迎えにくるまで、そのまま口づけをしたのだった。
旦那様が仕事へと向かうと、エルヴァと遊びながら一緒に物事を学びマナーなどを教える。言葉や仕草、世界の成り立ちを楽しく学ぶと頭に入りやすくなると知ってからは、家庭教師の協力を得て遊び中心となって、エルヴァは嬉しそうだ。
すくすくと育っていくエルヴァに、嬉しさと寂しさが混じり変な気持ちだ。
今日は、天気がいいのでベア家自慢の庭園で花の鑑賞の勉強だ。ベア家の屋敷や庭園は、エルフランが過ごしやすくするようにと、私とエルヴァのために整えられ、今ではフウモ王国で美しい場所として名を連ねるようになったとエルフランから言われた。
ーー滅多に敷地の外に出ないので、本当かどうかはわからないけど
「ねえ、お母様、今度の誕生日プレゼントは弟か妹が欲しいなっ!」
無邪気に笑うエルヴァに、和んでいた空気が凍った。
「ぼっ…ぼっ…坊ちゃま、そっ、そそそ、そうだわ、あちらにあるのは蝶々はしっ…新種かもしれませんわっ」
「本当!?見に行かないとっっ」
新種の蝶々を探してかけていくエルヴァの後ろ姿を見送ると、家庭教師も気まずげにエルヴァに付いて行き、私1人取り残された。
「…弟か、妹…か」
ポツリと漏れた独り言は、誰にも聞かれず重たい空気だけがミネルヴァを包み込んだ。
**************
数日後、帰宅した当主にを執務室へと誘い、執事は困惑した顔を見せた。
「旦那様、最近奥様の様子が気になるのですが、何か心配事でも起きましたか?」
この屋敷の執事から日中の様子についての報告を受けていたのだが、塞ぎ込む事が増え部屋から出ないこともあるらしい。
「…いや、そんなはずはーー」
と返事をして、そういえば今週は月のモノがきたからと抱き合って眠るだけだったが、いつものようににこにこと話していた笑顔に何か違和感を覚えた。
「そう…だな、少し調べてみるとしよう…エルヴァは?」
「エルヴァ様は先程お部屋に戻ったので、まだ起きていると思います」
「寝る前にエルヴァの元へと行くよ」
今日はいつもより仕事が長引いたために、息子の顔をまだ見ていなかったのだ。
「かしこましました」
「お父様っ!おかえりなさい!」
「ただいま、エルヴァ」
枕元の明かりしかない薄暗い子供部屋のベッドに入り、父の姿を見て笑顔を見せる息子のエルヴァ。彼のベッドの横に椅子を持って座ると、息子は俺の方へと身体を横に向けた。
息子の頭を撫でていると、嬉しそうに微笑むエルヴァを見て、1日の疲れが吹き飛ぶのを感じた。
「…お母様は、もう大丈夫なの?」
「お母様?どうして」
「だって、最近部屋から出ないんだ…お外に行こうと言っても、体調が悪いって…僕のせいかな」
「…何故そう思う?」
「だってこの間お庭で家庭教師の先生と蝶々を探していたんだけど、僕誕生日プレゼントは弟か妹がいいって言っちゃったんだ…そうしたら具合が悪くなっちゃったし…」
悲しそうな顔をする息子を見て、この数日の違和感の正体を知った。
ーーそういうことか
安心させるように、息子の頭を撫で続けているうちに、エルヴァの瞼が少しずつ閉じていく。
「いや、エルヴァは悪くないよ、お母様は季節の変わり目によく体調を崩すだろう…すぐに良くなるさ」
エルヴァにそう告げると、エルヴァは、よかったぁ、と言った後すやすやと眠りについた。
**************
「ミネルヴァ、もう寝たのか」
しんと静まり返った私達の主寝室に響く彼の声。扉に背を向けていたけど、ピクっと身体を反応させた私は、ギュッと瞼を閉じて寝たふりを続けた。
ギシッとベッドのスプリングが下がり、身体が揺れた。私がかけているシーツが持ち上げられると、彼の身体が入ったのがわかる。背後からぴたりと密着し、背中がじわじわと熱くなっていく。
「…今日、執事からミルの報告を受け…エルヴァからも聞いた」
その言葉に私は、目を開けて思わず背後を振り向いてしまった。
「あ…旦那様っ」
優しい眼差しで私を見ていた彼の顔が、そこにあった。
彼の顔を見て、途端に泣きたい気持ちが溢れてしまい、涙が溢れてくる。横に流れる涙を彼は優しい手つきで、拭っていく。
「ミル…何をそんなに不安になっているんだ」
「…っ…本当はっ、知ってましたわ…私もう子供産めないんでしょうっ…毎日っ…旦那様に愛されてっ…いるのにっ…私はっ!!」
溢れる涙を止める事が出来なくて、泣く事しか出来なくて情けなくなる。
「…熊男さん…ってまた言ってくれ」
ポツリと呟いたエルフランに、びっくりして涙が止まる。
「…旦那様…?」
身体を反対に動かし、エルフランと向き合うと、顔が近づき私の額にぶつかる。
「…一夜だけの関係だった…そしてエルヴァが生まれた…結婚出来たが、後悔はしてないか…?」
今まで聞いたこともないような、苦しい声で私に問いかけるエルフランに、私は何故そんな事を言うのかわからなくなる。
「後悔…後悔なんてした事ありませんわっ…まさか私の気持ちを疑って…?」
「いや、それはない…ほぼ毎日抱き合っていたら流石に気がつく…ただ始まりが…」
「始まり…?」
「ああ、再会した時ミルとの時間を持つ…その会えなかった時間だな…2人の時間を過ごしたかったから、ずっと避妊の薬を飲んでいる」
「…避妊薬…?ですか…?男の人用の?」
「そうだ、毎回飲んでる」
「じゃあ…私に子供が出来ないのは…」
「俺が避妊薬飲んでるからだ」
まさかの告白に、思考が停止してしまった。この数年悩まされていた、子供が授かれない問題。もう後継者はエルヴァがいるからいいと思っていたが、月のモノがくる日以外はほぼ毎日愛し合って、避妊具をつけていないのに妊娠の兆候も見られなくて、もう子供は産めないと決めつけてしまっていた。
それなのに…
「ミル、子供が欲しいか」
「……ええ…いえ…こればかりは…」
「素直に言ってくれ」
「………欲しい…です…貴方との子供…エルヴァは少し成長してからの再会でしたが…本当に可愛いのよ…貴方にもあの感動を知って欲しいの」
「…そうか」
と、エルフランは私の唇を啄むと、私のお腹を摩り始めたので、私が彼の首に腕を回したら、彼の手が腰に移動して私の身体のラインを確かめるように撫でる。
「んっ…今日は…ちゃんとした夜着じゃないっ…わっ」
「たまにはいいさ…もう終わったのだろう?」
「っ…はい」
月のモノを言っているのだろう、頬が赤くなっていくのが分かる。そんな私の様子にエルフランは、くくっと笑う。
「もう何回夜を共にしたら、慣れる?」
「こればっかりは…本当に…無理よ」
お互いの鼻先が当たり、お互い喋るたびに唇がぶつかるが顔をずらそうとはしない。そしてだんだんと、フランクな喋り方になっているのに気がつかないミネルヴァに、エルフランは口元を綻ばせた。
ミネルヴァは結婚してからは、公の場でもこうして2人きりの時も敬語を使っているのだが、時折気持ちの余裕のない時には、出会った頃と同じフランクな喋り方になる事がある。
「…ミル」
エルフランが私の名を呼ぶのを合図に、2人を纏う空気は一変した。
噛みつかれるようにキスをされ、性急にエルフランによって脱がされる寝衣。ミネルヴァもいつものように素肌にバスローブ姿のエルフランを脱がせるのは、簡単であっという間にお互い裸になっていく。口から首に移ったエルフランは、舌を這わし強く吸って、薄くなった赤い印を上書きしていく。
大きな手のひらで彼女の乳房に手を置いて、ゆっくりと揉んでいく。ほぼ毎日愛撫しているためか、出会った頃よりも大きくなっていた。ミルの乳房は柔らかくて極上だ、と一度夢中になりすぎて一晩中弄られてしまったことがある。
ーーその時は泣いても止めてくれなくて、辛かったわ
彼に乳房を触られると毎回あの出来事を思い出してしまい、期待と羞恥でむず痒い思いをしてしまう。
「っ…んっ、ぁ」
鎖骨のラインを彼の舌がなぞり乳房の膨らみに彼の舌がおりていく、腕が自然と上がり彼の短い短髪に絡まり抱きしめる。エルフランは、乳房の先にあるツンとなった粒を口に含み舌で転がすと、ちゅうちゅうと吸い付く。甘く喰み両方の乳房を交互に手と口で愛撫されて、身体が勝手にもぞもぞと動いてしまう。動いた隙に彼の手が私の太ももを持ち上げ、彼は身体を私の足の間に入れた。
乳房を口に含み可愛がりながら、彼の両手が私の背中、脇腹、腰、お尻が撫でられ揉まれる。金色の下生えに指に巻き付け軽く引っ張り弄ぶ。そのまま蜜壺の縁の周りをぐるりとひと撫でして、ヌチュッとした音と同時に蜜壺の中へと人差し指を埋めた。
「あ、あっ…あ、あ」
太くて固い指が中へと進むたびに広がる蜜壺は、侵入してくる指をぎゅうぎゅうに締め付けて離さない。エルフランは構わず奥へ奥へと進めて、溢れる蜜を掻き出す。ぐちゅっぐちゅっとワザと音を立てて出し入れすると、もう1本入れられ同じように蜜壺の中を広げて指をバラバラに動かす。
「んっ、っ、あっ、あ、あ…っ」
いつも彼の指が蜜壺に入る瞬間は、愛撫よりも強い快感と圧迫感が同時に来て、軽くイッてしまう。
乳房から顔を上げた漆黒の瞳のエルフランと視線が絡む。彼の頬を両手で挟み、右側にある頬の傷を親指の腹で撫でる。目を細めたエルフランの瞳は欲情に溢れいている。
「ミル」
「私の、熊男さん」
いつもキリッとした顔も素敵だけど、こうして余裕のない顔も好きだ。顔を近づけ唇を重ねると、舌が激しく絡みつく。
夢中で彼の舌に自分の舌を絡めていると、口づけをしながらエルフランの手が私の腰の横に置かれて起き上がる。
蜜壺から指が抜かれ、彼の昂りが私の蜜壺に充てがわれる。
「ん、っ、んんっ」
貪る口づけの間に彼の昂りが蜜壺の中へと入り、指の太さとは比べ物にならない程の太さや昂りが蜜壺の入り口をミチミチと広げた。蜜壺は昂りを包み込み、ぎゅうぎゅうと締め付ける。
「ぐっ…ミルッ、力を…っ、つ」
口を離したエルフランは熱い吐息をミルに吐きながら、堪らずに腰を強引にすすめていく。
「あっ、あっ、あ、あっ…熱いのっ」
彼の裏腿に足を付けて、彼の首に手を回し掴まる。腰が引けてしまうのを避けるために、彼の片手が私の腰を掴み固定する。ズズッと入っていく感覚は、いつまで経っても慣れない。ぴたりと下半身が重なると、エルフランはいつもなら蜜壺が彼の昂りを馴染むのを待つのに、動き出す。
「っ…エルッ、フランッ…ぁ」
いきなり最初から激しく、パンパンッと肌のぶつかる音が響き、太く固い昂りが蜜壺の中を抉る。
「ぅ、っ…ぐっ」
歯を食いしばり止まる事なく攻められ続けて、落ちないようにしがみつくのが精一杯だ。
「激しっ…あ、っ、あっ…エルっ、んんっ」
たった数日、身体を重ねなかっただけなのに、まるで何年も会っていない2人のように。少しの隙間も作りたくないかのように、身体を密着させ欲をぶつけられ、彼のでこぼことした固い肌が私の柔らかな乳房に当たり、別の快感もやってくる。
「あっ、イッく、っ、あっ、気持ちいいっ…っぁ、ああああぅっっ」
目の前にある彼の胸に抱かれながら、呆気なくイッてしまった私は、蜜壺の中にいる昂りをぎゅぅぅぅっと締め付ける。目の前が真っ白になっていく中、全身が強張っているのに、彼の動きは止まらない。
「ぐっ、狭い、っ、つ…ミルッ、ミルッ…っつ」
と漏れた低い声と共に、彼はグイグイッと私の蜜壺の最奥へと昂りを押し付けて白い証を、叩きつけるように注いだ。
「ああ、熱いッ…熱い」
注がれる白い証の熱さに、思わず声が漏れた。彼の首から腕を解き、ベッドへと背を預けると、彼の手が私の頭の横につく。まだぼうっとしているのに、私の口を塞ぎ絡みつく舌に翻弄される。
「ん、んっ、ん」
怠い腕を動かすと、彼の手が私の腕をベッドへと縫いつける。腕から私の手のひらにエルフランの手が重なると指が絡まる。
「っ…ミル、愛してる」
「私の、エルッ、エルフランッ…熊男さんっ、愛してますっ」
お互い見つめ合いながら愛の言葉を囁くと、いつの間にか蜜壺の中に入ったままの昂りが固くなっていた。なんで、とか、また、とか思う前に揺すられて、また快感の波がやってくる。
日が明けても、終わることのない情事。気絶したミネルヴァから名残惜しく繋がっていた身体を離したエルフランは、執事が部屋をノックする前に部屋に篭る事を執事に告げ、誰一人入室する事を禁止したのであった。
数週間後、ベッドから起き上がれない程酷い体調不良となってしまったミネルヴァを、エルフランとエルヴァは青ざめ彼女のそばから離れたがらなかった。
すぐに医者を手配され、診断されたのは妊娠というニュース。
数ヶ月後には、なかなか終わらない悪阻と大きなお腹に重篤な病気では、と心配したエルフランは、医者を拉致をするように無理矢理連れ込んだ屋敷で診断させた。
「これは…双子ですね、お腹の中のお子さんもすくすくと育っています」
と言った言葉にエルフランは呆然と立ちすくみ、エルヴァは喜びの舞を踊ったのだった。
特注で作らせた大きなベッドに、身を寄せ合う2つの山が規則正しく上下に動いていた。
金色の髪の小さな頭がシーツから出ていて、逞しい鍛えられた太い腕を枕にして眠っていた。左の目元にある泣き黒子、瞼が閉じられている寝顔はまだ成人してない少女のように幼く、あまり外出しないためか肌が白く、首回りには点々とある愛されている所有印。彼女はこのフウモ王国第3王女として生きていたのだが、色々あって出産結婚したミネルヴァ・ベア夫人だ。
彼女のその枕となっている逞しい腕は、彼女の夫ーーエルフラン・ベアが眠っている。彼は日焼けした肌、黒い短髪と顔の右眉から頬にかけて傷跡があり、キリッとした眉は今は和らいでいる。
このフウモ王国第3王女として生まれたミネルヴァは、病弱という設定で母親と隠居生活を続けていたのだが、父である国王に噂のよくない他国の王子と結婚させられそうになっていた。慌てて町へと向かい一夜限りの相手を求めていたら、このエルフラン・ベアーー通称熊男と出会ったのだった。
熱い一夜を過ごした後に姿を眩ませたミネルヴァを国中探し、倒した蛮族達が副産物で功績となり将軍にまで昇り詰め、ミネルヴァの兄の婚約のお披露目で再会したのだった。
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微かな音が聞こえてゆっくりと目を開けると、目の前にあったのは夫のエルフランの胸板だ。無数の傷跡が残る彼の身体は戦ってきた勲章とも言えるし、デコボコした肌はいつの間にかミネルヴァにとって眠っている間に触れると、彼という存在を確かめられるモノになっていた。
彼の腕に乗せていた頭を少しだけ動かすと、頬に大きな手が置かれた。
「ミル、起きたのか?」
寝起きだからなのか、エルフランの掠れた声が頭上から聞こえてきた。
「…すいません、起こしてしまいましたか?」
頬に触れられた彼の左手の上に自分の左手を重ねると、彼の左薬指にある結婚指輪に当たる。私の指を絡めたエルフランは、枕にされていた右肘を曲げてミネルヴァを引き寄せた。
額にキスをされて、彼の吐息が顔に当たる。
「いや、起きていたさ」
そう囁いた彼は私の肩に右手を置き、絡めた指先のまま私の顎を持ち上げると、唇に触れるだけのキスをした。
「おはよう、愛しい妻」
「おはようございます、熊男さん」
ふふふ、と笑うと、彼の表情も柔らかくなり、お互いベッドの上でキスをしたり、お互いの身体に触れて戯れ合う。
もう起きなくてはいけない時間だが、どうしても離れ難かった。
笑うミネルヴァがベッドに仰向けになり、起きようとするエルフランを見上げると、視線が絡まり引き寄せられるようにお互いの唇が重なり、舌が絡まった。2人だけの軽い戯れ合いだったはずが、明るい室内で交わす口づけは濃厚でねっとりとしつこい。
「んっ、ぁ、っ」
ミネルヴァの腰をゆっくり撫で始めたエルフランの手は、いつも情事が始まる合図なのだ。
「ミル…」
低音の声の彼が私の名を呼ぶと同時に、コンコンと主寝室の扉がノックされた。
「ご主人様、奥様、おはよう御座います、朝のお時間です」
咄嗟に彼の身体に身を寄せると、エルフランの舌打ちが聞こえた。
「…5分待て」
そう言ってベッドから起き上がったエフランは、床に落とされたミネルヴァの黒いバスローブを拾い、素早く彼女に着せた。自分も同じ色のバスローブを羽織り前を結ぶと、固まるミネルヴァの唇を塞いだのであった。
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「お父様、お母様、おはようございます」
大きな黒い瞳をきらきらと輝かせ、金色のサラサラの髪が、ぴょこぴょこ動いて可愛い。白いYシャツと黒いズボンを履いた、エルフランとミネルヴァの息子のエルヴァが食堂に到着した2人に挨拶をする。
「おはよう、エルヴァ」
「おはよう私の天使」
いつものように息子の頭をひと撫でしたエルフランと、エルヴァの頬にそっとキスをするミネルヴァ。もうすぐ5歳になるエルヴァは嬉しそうに、控えめに笑いミネルヴァに抱きついた。
「お母様、ぼく夢を見ました!」
「あら、どんな夢?」
母の腰に抱きつきながら、食事が用意されている席に近づくまで、エルヴァは夢の内容を話続けた。
昨日の夜に別れたばかりなのに、エルヴァはお話しするのが大好きで何でもにこにことおしゃべりをする。そんな息子の話を聞きながら、席に着きメイドの給仕が始まる。
将軍となって間もなく4年となるエルフランは、軍服に着替えると城へと向かう準備を始める。 前回の一斉討伐で今や平和となったいるこのフウモ王国で、遠征に行くこともなくなり日が暮れると帰ってくる。そんな彼の服を皺がないように直し、ボタンを留めるのがミネルヴァの仕事だ。
妻がボタンを直すのを、彼女の腰を掴み引き寄せながら腕の中に閉じ込めるのがエルフランの日課だった。
一生懸命エルフランの見栄えを良くしているミネルヴァだが、エルフランは特に気にしていなく、ただ妻がくっついてくれるために彼女の好きにさせていた。
「…はい、出来ました」
満足してにっこりと笑う彼女は、まだまだ出会った頃と同じで美しく眩しい存在だ。目を細めたエルフランは、妻の顎を上に上げると、出発時間を過ぎても来ないこの屋敷の主人に、痺れを切らした執事が部屋に迎えにくるまで、そのまま口づけをしたのだった。
旦那様が仕事へと向かうと、エルヴァと遊びながら一緒に物事を学びマナーなどを教える。言葉や仕草、世界の成り立ちを楽しく学ぶと頭に入りやすくなると知ってからは、家庭教師の協力を得て遊び中心となって、エルヴァは嬉しそうだ。
すくすくと育っていくエルヴァに、嬉しさと寂しさが混じり変な気持ちだ。
今日は、天気がいいのでベア家自慢の庭園で花の鑑賞の勉強だ。ベア家の屋敷や庭園は、エルフランが過ごしやすくするようにと、私とエルヴァのために整えられ、今ではフウモ王国で美しい場所として名を連ねるようになったとエルフランから言われた。
ーー滅多に敷地の外に出ないので、本当かどうかはわからないけど
「ねえ、お母様、今度の誕生日プレゼントは弟か妹が欲しいなっ!」
無邪気に笑うエルヴァに、和んでいた空気が凍った。
「ぼっ…ぼっ…坊ちゃま、そっ、そそそ、そうだわ、あちらにあるのは蝶々はしっ…新種かもしれませんわっ」
「本当!?見に行かないとっっ」
新種の蝶々を探してかけていくエルヴァの後ろ姿を見送ると、家庭教師も気まずげにエルヴァに付いて行き、私1人取り残された。
「…弟か、妹…か」
ポツリと漏れた独り言は、誰にも聞かれず重たい空気だけがミネルヴァを包み込んだ。
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数日後、帰宅した当主にを執務室へと誘い、執事は困惑した顔を見せた。
「旦那様、最近奥様の様子が気になるのですが、何か心配事でも起きましたか?」
この屋敷の執事から日中の様子についての報告を受けていたのだが、塞ぎ込む事が増え部屋から出ないこともあるらしい。
「…いや、そんなはずはーー」
と返事をして、そういえば今週は月のモノがきたからと抱き合って眠るだけだったが、いつものようににこにこと話していた笑顔に何か違和感を覚えた。
「そう…だな、少し調べてみるとしよう…エルヴァは?」
「エルヴァ様は先程お部屋に戻ったので、まだ起きていると思います」
「寝る前にエルヴァの元へと行くよ」
今日はいつもより仕事が長引いたために、息子の顔をまだ見ていなかったのだ。
「かしこましました」
「お父様っ!おかえりなさい!」
「ただいま、エルヴァ」
枕元の明かりしかない薄暗い子供部屋のベッドに入り、父の姿を見て笑顔を見せる息子のエルヴァ。彼のベッドの横に椅子を持って座ると、息子は俺の方へと身体を横に向けた。
息子の頭を撫でていると、嬉しそうに微笑むエルヴァを見て、1日の疲れが吹き飛ぶのを感じた。
「…お母様は、もう大丈夫なの?」
「お母様?どうして」
「だって、最近部屋から出ないんだ…お外に行こうと言っても、体調が悪いって…僕のせいかな」
「…何故そう思う?」
「だってこの間お庭で家庭教師の先生と蝶々を探していたんだけど、僕誕生日プレゼントは弟か妹がいいって言っちゃったんだ…そうしたら具合が悪くなっちゃったし…」
悲しそうな顔をする息子を見て、この数日の違和感の正体を知った。
ーーそういうことか
安心させるように、息子の頭を撫で続けているうちに、エルヴァの瞼が少しずつ閉じていく。
「いや、エルヴァは悪くないよ、お母様は季節の変わり目によく体調を崩すだろう…すぐに良くなるさ」
エルヴァにそう告げると、エルヴァは、よかったぁ、と言った後すやすやと眠りについた。
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「ミネルヴァ、もう寝たのか」
しんと静まり返った私達の主寝室に響く彼の声。扉に背を向けていたけど、ピクっと身体を反応させた私は、ギュッと瞼を閉じて寝たふりを続けた。
ギシッとベッドのスプリングが下がり、身体が揺れた。私がかけているシーツが持ち上げられると、彼の身体が入ったのがわかる。背後からぴたりと密着し、背中がじわじわと熱くなっていく。
「…今日、執事からミルの報告を受け…エルヴァからも聞いた」
その言葉に私は、目を開けて思わず背後を振り向いてしまった。
「あ…旦那様っ」
優しい眼差しで私を見ていた彼の顔が、そこにあった。
彼の顔を見て、途端に泣きたい気持ちが溢れてしまい、涙が溢れてくる。横に流れる涙を彼は優しい手つきで、拭っていく。
「ミル…何をそんなに不安になっているんだ」
「…っ…本当はっ、知ってましたわ…私もう子供産めないんでしょうっ…毎日っ…旦那様に愛されてっ…いるのにっ…私はっ!!」
溢れる涙を止める事が出来なくて、泣く事しか出来なくて情けなくなる。
「…熊男さん…ってまた言ってくれ」
ポツリと呟いたエルフランに、びっくりして涙が止まる。
「…旦那様…?」
身体を反対に動かし、エルフランと向き合うと、顔が近づき私の額にぶつかる。
「…一夜だけの関係だった…そしてエルヴァが生まれた…結婚出来たが、後悔はしてないか…?」
今まで聞いたこともないような、苦しい声で私に問いかけるエルフランに、私は何故そんな事を言うのかわからなくなる。
「後悔…後悔なんてした事ありませんわっ…まさか私の気持ちを疑って…?」
「いや、それはない…ほぼ毎日抱き合っていたら流石に気がつく…ただ始まりが…」
「始まり…?」
「ああ、再会した時ミルとの時間を持つ…その会えなかった時間だな…2人の時間を過ごしたかったから、ずっと避妊の薬を飲んでいる」
「…避妊薬…?ですか…?男の人用の?」
「そうだ、毎回飲んでる」
「じゃあ…私に子供が出来ないのは…」
「俺が避妊薬飲んでるからだ」
まさかの告白に、思考が停止してしまった。この数年悩まされていた、子供が授かれない問題。もう後継者はエルヴァがいるからいいと思っていたが、月のモノがくる日以外はほぼ毎日愛し合って、避妊具をつけていないのに妊娠の兆候も見られなくて、もう子供は産めないと決めつけてしまっていた。
それなのに…
「ミル、子供が欲しいか」
「……ええ…いえ…こればかりは…」
「素直に言ってくれ」
「………欲しい…です…貴方との子供…エルヴァは少し成長してからの再会でしたが…本当に可愛いのよ…貴方にもあの感動を知って欲しいの」
「…そうか」
と、エルフランは私の唇を啄むと、私のお腹を摩り始めたので、私が彼の首に腕を回したら、彼の手が腰に移動して私の身体のラインを確かめるように撫でる。
「んっ…今日は…ちゃんとした夜着じゃないっ…わっ」
「たまにはいいさ…もう終わったのだろう?」
「っ…はい」
月のモノを言っているのだろう、頬が赤くなっていくのが分かる。そんな私の様子にエルフランは、くくっと笑う。
「もう何回夜を共にしたら、慣れる?」
「こればっかりは…本当に…無理よ」
お互いの鼻先が当たり、お互い喋るたびに唇がぶつかるが顔をずらそうとはしない。そしてだんだんと、フランクな喋り方になっているのに気がつかないミネルヴァに、エルフランは口元を綻ばせた。
ミネルヴァは結婚してからは、公の場でもこうして2人きりの時も敬語を使っているのだが、時折気持ちの余裕のない時には、出会った頃と同じフランクな喋り方になる事がある。
「…ミル」
エルフランが私の名を呼ぶのを合図に、2人を纏う空気は一変した。
噛みつかれるようにキスをされ、性急にエルフランによって脱がされる寝衣。ミネルヴァもいつものように素肌にバスローブ姿のエルフランを脱がせるのは、簡単であっという間にお互い裸になっていく。口から首に移ったエルフランは、舌を這わし強く吸って、薄くなった赤い印を上書きしていく。
大きな手のひらで彼女の乳房に手を置いて、ゆっくりと揉んでいく。ほぼ毎日愛撫しているためか、出会った頃よりも大きくなっていた。ミルの乳房は柔らかくて極上だ、と一度夢中になりすぎて一晩中弄られてしまったことがある。
ーーその時は泣いても止めてくれなくて、辛かったわ
彼に乳房を触られると毎回あの出来事を思い出してしまい、期待と羞恥でむず痒い思いをしてしまう。
「っ…んっ、ぁ」
鎖骨のラインを彼の舌がなぞり乳房の膨らみに彼の舌がおりていく、腕が自然と上がり彼の短い短髪に絡まり抱きしめる。エルフランは、乳房の先にあるツンとなった粒を口に含み舌で転がすと、ちゅうちゅうと吸い付く。甘く喰み両方の乳房を交互に手と口で愛撫されて、身体が勝手にもぞもぞと動いてしまう。動いた隙に彼の手が私の太ももを持ち上げ、彼は身体を私の足の間に入れた。
乳房を口に含み可愛がりながら、彼の両手が私の背中、脇腹、腰、お尻が撫でられ揉まれる。金色の下生えに指に巻き付け軽く引っ張り弄ぶ。そのまま蜜壺の縁の周りをぐるりとひと撫でして、ヌチュッとした音と同時に蜜壺の中へと人差し指を埋めた。
「あ、あっ…あ、あ」
太くて固い指が中へと進むたびに広がる蜜壺は、侵入してくる指をぎゅうぎゅうに締め付けて離さない。エルフランは構わず奥へ奥へと進めて、溢れる蜜を掻き出す。ぐちゅっぐちゅっとワザと音を立てて出し入れすると、もう1本入れられ同じように蜜壺の中を広げて指をバラバラに動かす。
「んっ、っ、あっ、あ、あ…っ」
いつも彼の指が蜜壺に入る瞬間は、愛撫よりも強い快感と圧迫感が同時に来て、軽くイッてしまう。
乳房から顔を上げた漆黒の瞳のエルフランと視線が絡む。彼の頬を両手で挟み、右側にある頬の傷を親指の腹で撫でる。目を細めたエルフランの瞳は欲情に溢れいている。
「ミル」
「私の、熊男さん」
いつもキリッとした顔も素敵だけど、こうして余裕のない顔も好きだ。顔を近づけ唇を重ねると、舌が激しく絡みつく。
夢中で彼の舌に自分の舌を絡めていると、口づけをしながらエルフランの手が私の腰の横に置かれて起き上がる。
蜜壺から指が抜かれ、彼の昂りが私の蜜壺に充てがわれる。
「ん、っ、んんっ」
貪る口づけの間に彼の昂りが蜜壺の中へと入り、指の太さとは比べ物にならない程の太さや昂りが蜜壺の入り口をミチミチと広げた。蜜壺は昂りを包み込み、ぎゅうぎゅうと締め付ける。
「ぐっ…ミルッ、力を…っ、つ」
口を離したエルフランは熱い吐息をミルに吐きながら、堪らずに腰を強引にすすめていく。
「あっ、あっ、あ、あっ…熱いのっ」
彼の裏腿に足を付けて、彼の首に手を回し掴まる。腰が引けてしまうのを避けるために、彼の片手が私の腰を掴み固定する。ズズッと入っていく感覚は、いつまで経っても慣れない。ぴたりと下半身が重なると、エルフランはいつもなら蜜壺が彼の昂りを馴染むのを待つのに、動き出す。
「っ…エルッ、フランッ…ぁ」
いきなり最初から激しく、パンパンッと肌のぶつかる音が響き、太く固い昂りが蜜壺の中を抉る。
「ぅ、っ…ぐっ」
歯を食いしばり止まる事なく攻められ続けて、落ちないようにしがみつくのが精一杯だ。
「激しっ…あ、っ、あっ…エルっ、んんっ」
たった数日、身体を重ねなかっただけなのに、まるで何年も会っていない2人のように。少しの隙間も作りたくないかのように、身体を密着させ欲をぶつけられ、彼のでこぼことした固い肌が私の柔らかな乳房に当たり、別の快感もやってくる。
「あっ、イッく、っ、あっ、気持ちいいっ…っぁ、ああああぅっっ」
目の前にある彼の胸に抱かれながら、呆気なくイッてしまった私は、蜜壺の中にいる昂りをぎゅぅぅぅっと締め付ける。目の前が真っ白になっていく中、全身が強張っているのに、彼の動きは止まらない。
「ぐっ、狭い、っ、つ…ミルッ、ミルッ…っつ」
と漏れた低い声と共に、彼はグイグイッと私の蜜壺の最奥へと昂りを押し付けて白い証を、叩きつけるように注いだ。
「ああ、熱いッ…熱い」
注がれる白い証の熱さに、思わず声が漏れた。彼の首から腕を解き、ベッドへと背を預けると、彼の手が私の頭の横につく。まだぼうっとしているのに、私の口を塞ぎ絡みつく舌に翻弄される。
「ん、んっ、ん」
怠い腕を動かすと、彼の手が私の腕をベッドへと縫いつける。腕から私の手のひらにエルフランの手が重なると指が絡まる。
「っ…ミル、愛してる」
「私の、エルッ、エルフランッ…熊男さんっ、愛してますっ」
お互い見つめ合いながら愛の言葉を囁くと、いつの間にか蜜壺の中に入ったままの昂りが固くなっていた。なんで、とか、また、とか思う前に揺すられて、また快感の波がやってくる。
日が明けても、終わることのない情事。気絶したミネルヴァから名残惜しく繋がっていた身体を離したエルフランは、執事が部屋をノックする前に部屋に篭る事を執事に告げ、誰一人入室する事を禁止したのであった。
数週間後、ベッドから起き上がれない程酷い体調不良となってしまったミネルヴァを、エルフランとエルヴァは青ざめ彼女のそばから離れたがらなかった。
すぐに医者を手配され、診断されたのは妊娠というニュース。
数ヶ月後には、なかなか終わらない悪阻と大きなお腹に重篤な病気では、と心配したエルフランは、医者を拉致をするように無理矢理連れ込んだ屋敷で診断させた。
「これは…双子ですね、お腹の中のお子さんもすくすくと育っています」
と言った言葉にエルフランは呆然と立ちすくみ、エルヴァは喜びの舞を踊ったのだった。
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