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リクエスト 記念日 マシュマロボディと運ちゃん

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やっとお互いの休みが重なり、久しぶりにデートに出かける日が明日に迫る。2人で示し合わせて、指定した日を休みにした。だって、その日は―――



2人が出会って付き合い始めた日だったから。



私――牧田詩央里まきたしおり、25歳。大学卒業後に就職したのは、中小企業の食品スーパーの裏方の事務。普通なら事務職は土日が休みの事が多いのだけど、私の彼氏――安藤浩二あんどうこうじは違う。彼は運送会社のトラックの運転手なので、全国…は言い過ぎかもしれないが、要望があれば365日24時間どこへでも荷物を運ぶ。彼が運送会社の運転手だったおかげで、パーキングエリアに置き去りにされた私と出会ったし、こうして恋人関係にもなれた。今や同棲もしているから、人生何が起きるかわからない。
――ネックなのは…なかなか休みが被らない事だけど
土日休みの私と、シフト制の浩二くんとは、有給を使わない限りなかなか休みが合わない。

「お疲れ様です、お先に失礼します」
入社してもうすぐ1年半。週の真ん中、定時の18時に退社した私は、割り当てられた女子更衣室で、制服である白いブラウスに黒のベストとスカート、黒いパンプスから、白いニットとワインのような濃い赤色のボルドーのプリーツスカート、黒のミニブーツを履いて、濃い緑色のミニバッグともこもこの白い上着を持って会社を後にした。



***************


「詩央里」
「浩二くんっ」
相変わらず浩二くんのシフトは4勤2休で、私が出勤した後に入れ違いで帰ってきた彼は、もう明日から2日間休みだ。そのため、今日は私の会社の最寄りの駅で待ち合わせをした。
駅に到着すると、東口と書かれた黄色い看板の下、"キヨスキ"という名の駅の売店の出入り口のそばで立っていた浩二くんは、私を見ると軽く手を上げた。
今年39歳となった浩二くんは、顎のラインに沿って顎髭を生やし、黒のブルゾンと黒のジーンズと黒と白のスニーカーのシンプルな姿だ。
「お待たせっ」
「おっと」
彼の元へ小走りに走って向かい、そのまま勢いよく抱きつくと、バランスを崩した彼が1、2歩後退るが、しっかりと私を抱きしめ返してくれる。大きく深呼吸をして彼の匂いを嗅ぐと、どこかで煙草を吸ったのか、微かに香る彼の好きな煙草の銘柄の匂いがして落ち着く。彼も私の髪に鼻をつけて匂いを嗅ぐ。仕事終わりは汗臭いから止めてと言っても、いい匂いだと言って止めてくれない。
「…ふっ…あははっ」
ちくちくと額に当たる浩二くんの顎髭が、だんだんと擽ったくなって、我慢していた笑いが口から出てしまう。
すると浩二くんも笑い出して、余計にぐりぐりと顎髭を押し付けるから、笑いが止まらない。
しばらく笑っていたが、このままじゃ拉致があかないと、戯れ合いは終わってしまったが、彼の胸板に顔をつけた。
「そろそろ行くか」
彼の声でまだ待ち合わせ場所で会っただけなのに、異様にテンションが上がってしまったと、私は少しだけ反省をした。


ガチャガチャと乱暴に開けられた扉の隙間から、体を擦り込ませ、浩二くんの手を引いた。すぐに入った玄関で、彼の首の後ろへと腕を回し引き寄せると、彼が私の身体を壁に押しつけ腰に手を置き、口を塞がれる。
「んっぁっ…ふっ」
舌の絡む濃厚なキスをして、口内の奥へと入れるように、口内全部に舌を這わすように顔の角度を何度も変えては、お互い貪欲に求め合う。

外で浩二くんの好きなステーキ専門店でご飯を食べて、そのまま帰ってきた。本当はお酒を呑もうか、と言われたけど、それはいつでも出来るから私は首を横に振った。
――だって明日は…明日は2人の記念日だから
2人の住む家に近づくにつれ、手を繋いでいたのが彼の腕に自分の腕を巻き付け、彼の腕が私の腰に回り身体を密着させていった。
エレベーターでは我慢出来なくて抱きついたけど、到着するまで指を絡められた。

もう付き合って3年近くなるのに、いつまでも付き合いたてのカップルみたいに甘ったるい関係が続いてる。
――こんなに続いたのも初めてだし、こんなに好きになったのも初めてだ
いつも変な男に捕まると友達に笑われてはネタにされていたけど、私史上最高の男と付き合えて本当に幸せだ。
眉を寄せてヤキモチで怒った顔も、お互い好きなアイドルグループの推しの話をする時、今日みたいに外で待ち合わせをして会った時、優しく啄むキスや濃厚なヤツをする時、大食いで同じ量を頼むと私のを食べてくれる時(でも出会った時より私だけが太った)、私を求めて大きくなる彼の昂りを感じる時、低い声で囁かれたり話す時も、好きあらば私の身体を触る時、ぱっと頭にぽんぽんと浮かぶのは彼の好きな所。
もちろん、くつ下や洋服を脱ぎっぱなしにしたり嫌だなって思う所もあるけど、結局好きだなぁ、と感じるのだ。

「あっ…嘘っ…っ」
「きっつ…いな」
まだキスしかしていなかったのに、プリーツスカートをたくし上げ、彼の手が私の下着の中へと入り彼の指先が私の蜜口に当たる。グチュグチュとかき混ぜながら蜜壺に入る彼の太い右手の指。腰についていたもう片方の左手が離れ、自分のジーンズを脱がす浩二さん。彼の首に回した手を離し、片手で寛げるのに苦戦している彼のズボンのボタンとチャックを下ろしてあげた。見慣れたボクサーパンツを下ろすと、ぷるんと揺れる昂りが、すでに天井を向いて勃ち上がっている。昂りの先端からは透明なツユが、薄暗い玄関でもわかるくらい溢れ始めてる。彼も私の下着を膝まで下ろし、自分のズボンを脱ぎ捨てると、私は彼が私から離れている隙に、スカートの留め具を外し足元へ落とした。パサッと床に落ちる音がしたと同時にまた身体が密着し、口づけが始まる。彼の左手によって揉んで遊ばれていた太ももを、促されるまま右足を動かされ足が少し開く。そうすると、彼の昂りが私の下生えに押しつけられお腹に当たる。
「んっ…大っきい」
甘えた吐息が漏れて少し腰を突き出すと、彼の先端の昂りが下生えの下へ隠れてしまう。彼の右手が自身の昂りを握ったと思ったら、蜜口がいっぱいに広がる感覚と痺れるような快感が一気に押し寄せた。
「あ、あ…っ……っ!」
背がのけ反り壁に頭を付けると、彼の両手が私の腰についた。ズズッと蜜に助けられながら滑らかに入っていくのは、彼の昂りを覚えた蜜壺が、彼のを飲み込んでいるからだ。
一気に貫かれ私が軽く達すると、ぐぐっ、と浩二くんの唸り声が聞こえる。ギリッと奥歯を噛み締める音が聞こえ、始まる抽送。ズンッ、ズンッ、と一拍置いて始まった抽送から、2人の結合部から聞こえる粘性の水音。そして、ぱんぱんって腰がぶつかる音も加わり、甘い吐息と苦しそうな吐息が混ざる。
「あっ、あっ、あ、あっ……っっ!」
呆気なく達すると、ぎゅぅぅぅっと蜜壺に力が入り、昂りを締め付ける。
「っ…っ!」
声にならない音を出した浩二くんは、私の蜜壺なかで一度大きく膨らんだ昂りが弾けさせ、熱い証を勢いよく注いだ。

「んっ、あっ…こぼしちゃう」
蜜壺から抜けそうになる昂りを、名残惜しくきゅんきゅんと締め付けると、むくむくと大きくなる昂り。
「ああ…そうだな」
一段と低くなった彼の声の変化に気づかず私は、彼のブルゾンを脱がせて床に落とす。彼も私の上着も床に落とすと、今度は右足を上げさせられ下着が脱げる。太ももに伝う液体を感じながら、彼の背に手を回す。
私のお尻を持ち上げ、繋がったまま歩き出した彼から落ちないように、頬を肩に付けた。
「ぅっ、っ…う」
一歩、また一歩歩くたびに、蜜壺の奥へと昂りが突き刺さり、気持ちよくて彼の腰に足を巻き付けた。
我慢出来なくなったのか廊下の途中で止まった彼は、両手で掴んだ私のお尻を持ち上げ離し、また掴み離して抽送が始まる。お尻を支える手が無くなり、重力によって落ちたお尻を彼の昂りが下から突き上げ、また彼の手がお尻を持ち上げる。何度か繰り返していると、お互い快感が勝り呆気なく達する。
はぁ、はあっと息を荒げながらも、また歩き出した浩二くんに、詩央里はただただ喘ぐ事しか出来ない。しかも彼の耳元で喘ぐものだから、浩二もすぐに欲情を解放したくなり、なかなか目的地の寝室まで進まなかった。

「浩二くん…好き」
「詩央里、可愛いッ…好きだ」
寝室へと入った時には、立ち止まるたびに絶頂に達し服を脱ぎ散らかして、2人の歩いた跡が残っていた。
いつもより…いつも以上に盛り上がった2人は、求め合い気絶するように眠るまで続いた。


「…今頃…出会ってたね」
ピリリリッと鳴ったアラーム音で起きたのは、初めてパーキングエリアのフードコートで声を掛けられた時間帯。数時間しか寝てなかったが、今日は特別な日なので目が冴える。
掠れた声が出て、喘ぎすぎて喉がヒリヒリとする。浩二くんの胸板の乳首を弄びながらそういえば、アラーム音で起きた彼が、そうだな、と言っている。
「詩央里」
「…ん?」
名前を呼ばれて顔を上げると、私の唇に軽く触れる彼の唇。
そのまま深い口づけになると、朝からくちゅくちゅとお互いの口から水音が響く。
名残惜しく離れた唇は、私の頬へと移る。ちゅっ、ちゅっ、とキスをされ、チクチクと鎖骨に当たる顎髭に肩をすくめた。
「詩央里と出会えて良かった」
「…浩二くん」
滅多にそんな事言わないのに、記念日に言うなんて反則だ。
「私…も…私も浩二くんと出会えて…すごく幸せ」
涙が溢れてポロリと零れると、浩二くんは苦笑する。
「愛してる…詩央里」
そう言ってまた私の唇に自分の唇を重ねた浩二くんは、2人が掛けていた布団を持ち上げた。私に覆い被さる浩二くんは既に勃ち上がっている昂りを私の身体に寄せ、私は身体をズラして足を開いて彼を受け止めた。
付き合った記念日はベッドから出る事はなく、付き合い始めた時の話をしては盛り上がってしまい、また求め合ってしまうのだった。

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