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番外編 誕生日を知る 投稿35ヶ月記念小説 蝶正義
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果南は、無表情な顔をしていたが、内心とっても困っていた。
幼い時から感情を露わにするのが苦手だったが、オシャレが好きで髪をスタイリングしたりカットする仕事に憧れていた私は、美容師として若者の街で働いていた。
腰までの長さの黒い髪は手入れが毛先まで行き届いてツヤが出ているし、卵のように小さくつるんとした輪郭の顔、日に焼けていない肌とぱっちりとした大きな瞳、スッと伸びた鼻、ぷっくりとした唇はリップを塗らなくても紅くて小さかった。165センチの身長は、そんなに低くないと思っていたけど、最近出来た彼氏を見上げないといけないのが少しだけ大変だ。
彼氏。
彼──正義は、その名の通り、警察官なのだ。そう無口で可愛げがないと思っていた私に、彼氏が出来たのだ。しかも警察官で、24歳の私よりも6歳年上の彼氏で…それから…
──えっちが少し長い
そう、長いのだ。制服警官として勤務するから、シフト制で働き、たまに夜勤をしたりしている。パトロールをしたり、通報されたら現場に駆けつけないといけないから、他の人よりも体力が必須だ。毎日鍛えているせいか、分厚い胸板と太い手脚、私が乗ってもびくともしない強靭な身体をしている。
そんな彼と付き合うきっかけになったのは、夏に行われたスプラッシュアクアのイベントでお互い一目惚れで気がついたらキスをして…その日のうちにその先もした。
毎日会うし、仕事が終われば私の住む家まで来る。反対に彼の住む家は安さを重視した結果、治安が良くないから私が仕事終わりに彼の家へと行く事を禁止されている。最初は家も教えてくれなかったから、恋人か最悪既婚者で妻子持ちかと思った。
が、彼の家に呼ばれた時に、築50年ってぐらいの二階建てのボロアパートと壁に落書きや缶ビールの散乱する敷地を見て、なるほどと、妙に納得してしまった。
正義なら私が襲われてもすぐに反撃出来そうだが、私がこの家で正義の帰りを待つ…となると、怖さもある。
無事彼の疑惑も解決して幸せいっぱいの私に、また試練がやってきたのだ。
それは──
「だからさ、言ったじゃん、マジで警官と付き合ってるの…いや、職業堅いと便利かも…いやいや!待って待って、駐禁とかってチャラにして貰えるの?ほら、海外ドラマとかでよくあるさ…えっ?私は駐禁とられた事ないよ、だって免許ないもん」
と、1人ノリツッコミをしているのは、私の親友の未知だ。黒髪の私と正反対の髪色にしている金髪の彼女の頭を染めたのは私だ。
未知が私の家にいるのにはワケがあって、スプラッシュアクアで付き合う事になった正義との事を報告するためと、今週末は私の誕生日だからプレゼントを届けに来てくれたのだ。
「そうだっ忘れないうちに…これプレゼント!ハッピーバースデー!果南!」
そう言って未知から渡されたのは、自宅でヘッドスパが出来る頭皮ケアブラシだ。『今年はこれだよ!』と、事前に画像付きでスマホを見せられてネタバレされていたから、サプライズではなかった。シンプルな白い包装紙に包まれていた正方形の箱の蓋を開けると、手のひらサイズの丸い白い本体が出てきた。充電ケーブルと説明書も入っていて、本体の下は大きな4つのゴム性の突起物とその突起物に一つ一つに小さな棘のようなゴムが無数についていて、本体の横にあるボタンを押すと一つ一つがぐるぐると回る仕様になっている。
「ありがと未知」
「もーちょー可愛いー」
私は未知にお礼を言うと、彼女は私を抱きしめた。
「はー癒されるー」
未知は私の頬に自分の頬を重ねて、顔を上下に動いてすりすりと擦るように動かした。
「そうだ、今日泊まってもいい?」
「もちろん」
「…でもあのいかつい彼氏は…?」
未知に言われ、嬉しくて即答すると、未知はあっ、と何かに気がついたみたいに青ざめると、私の顔を覗き込んだ。
「…平気、言っとくし」
不安そうな彼女を安心させるために、何でもないとにっこりと笑うと、未知はほっとした。
「良かったー今日は朝まで語ろうよ!久しぶりだしね!」
「あははっ、うん!」
未知はいつものテンションに戻って、買ってきた飲み物をテーブルに広げた。
私は忘れないうちに、スマホを取り出して彼氏に連絡をした。
未知との話が盛り上がって──ほとんど未知が話して私が頷くのが多かったが、ピンポーンと、玄関のチャイムが鳴ると、私は予定のない来訪者に頭を傾げた。
「大丈夫?私行く?」
「ううん、私が出るよ」
未知が心配して言ってくれたが、家主の私が出ないとおかしいから玄関に向かうと、未知も私の後ろに付いてきた。
2人が玄関に着くと、ちょうどドアの鍵が勝手に開錠した。
「ん?開いたじゃん」
未知が不思議そうに言ったけど、私の家の鍵を持っているのは1人しかいない。
「あれー?盛り上がってるじゃん」
「おいっ塩川っ」
勝手にドアが開くと、まずは茶髪の大柄な男が入ってきて、彼の肩を掴む大きな手と聞き慣れた声がした。
「げっ!なんでコイツがっ」
心底嫌そうな声を出した未知が、私の後ろに隠れると、コイツと言われた大柄な男が口元を緩めた。
「久しぶり、未知ちゃん」
片手を上げた茶髪の大柄の男の人──それは正義と出会うきっかけとなったスプラッシュアクアで、正義と一緒にいた塩川って人で、後半はもうずっと未知と一緒にいた人だった。正義とは正反対に日に焼けてない肌と茶髪で、運動が苦手なのかと思ったが、正義と同じ警察官として働いてるの同僚だ。
「悪い、果南の友達来てるって塩川にスマホ見られてさ」
「なんだよそれ、たまたまだからね?いつもはこんな男のスマホなんか見ないから」
口を尖らせ、ぶーぶーと文句を言う姿は幼く見えるが、正義と同い年である。軽薄そうなイメージを与える人──うそだ、実はあんまり出会った時のことを覚えていない。正義にばかり目がいっちゃって、他はどうでもよくなっていたからだ。
「…」
「ほら、果南もドン引きしてるじゃん、早く帰りなよ」
元々口数は多い方じゃないから、ほぼ初対面の人の言葉に器用に返せるワケじゃない。私の代わりに未知が私の肩に手を置きながら、背後から顔を出しながら話す。
「またまたー俺たちの仲じゃん、仲良くしようよ」
「ぎゃー離して!」
わいわい騒ぐ2人が仲良くて楽しそうだ。
「…悪い果南、すぐ連れてくから」
「ううん…少し入る?」
正義は騒ぐ2人を無視して、私の前にやってきた。
「えー、果南いいよー、帰らせて」
「本当?嬉しいなー仲良くしようよ未知ちゃん」
「未知…少しだけだから」
嫌そうな顔をする未知には悪いけど、今日は正義と会えるとは思ってなかったから嬉しい。
「もーこの借りは高くつくからね!」
「おっ、なら俺が返すよ」
「いらんっ!話に入ってくんな」
未知は渋々納得すると部屋の中に入り、塩川って人も未知にべったりくっついて続いた。
「…ご飯食べた?」
「さっき、アイツと」
食べたよと最後まで言わず、私の左頬を指で撫でた。私が気持ち良くて目を細めると、正義は私の頬に手のひらを置いて屈んだ。私は顔を上げて私の頬を触る腕に手を添えた。
重なるだけのキスで、すぐに離れた彼はまた私の口にキスをすると、今度は少し長くキスをした。唇を甘噛みされると、薄く口を開けた私も正義の唇を甘噛みした。そこから正義の手が私の後頭部に回り、私の口内に彼の舌が入った。ちゅう、と吸うと、リップ音がする。
「ん…正義」
彼は額をくっつけたまま、私の上唇をもう一度甘噛みすると、私を抱きしめた。
「明日は何時から仕事?」
「8時には出るよ…今日は友達が泊まるんだっけ」
「ん、そう」
そう言いながら、彼は私の頬や耳をぺろりと舐めてキスをした。
「そうか、ならすぐに帰るよ、せっかく友達といるのに邪魔してるし」
「ううん」
そんな事はない、と言おうとしたが、未知には悪いが、まさか彼が来るとは思ってなくて、わざわざ会いに来てくれて嬉しい気持ちの方が今は勝っている。
「そろそろ入るか」
もう少しだけこうしていたかったけど、さすがに客を放って抱き合ってるのも変だと頷いた。離れがたくて短い廊下を手を繋いで歩いた。
──ああ、やっぱり私変だ…こんなに好きなの、初めてだ
誰といてもずっと一緒に居たいと思った事なんてなかったのに、正義に甘えたいし、大きな腕で抱きしめていて欲しい。SNSのメッセージのやり取りでは普通にむしろ素っ気なくも出来るのに、実際に会ってしまうとくっついていたくなる。
顔も怖い部類に入るのに、私の中では世界で一番カッコいいと思っちゃうからもう重症なのかもしれない。
「ひゅー仲良いー羨ましい、俺たちも仲良くなりたいね」
「はっ?無理なんだけど」
もうすぐ部屋に入るってなった時に、塩川が顔を出して手を繋いでる私達を見て、肩に腕を回してる未知に言った。未知は本当に嫌そうに言っているが、肩に回された腕を振り落としてないから満更でもないのかもしれない。
「…どうした?」
「ちょっーと、飲み物が足りないから未知ちゃんと買いに行ってくるよ」
正義の問いかけに、塩川は未知を連れて行くと、未知の肩を自分の方に引き寄せた。
「…飲み物?」
「はい?やなんだけどっ!」
「ちょっとだけ、ね」
冷蔵庫には正義の飲む缶ビールは入っているけど、みんなをもてなす位は入っていなかったのを思い出した。未知と私はさっきスーパーで買ったし、塩川の分はない。
「塩川」
「大丈夫、少し遠くの行くから、まっゆっくりしていってよ」
正義が玄関に向かう塩川を呼ぶと、彼は手をひらひらさせながら未知を連れて行ってしまった。
「…とりあえず入るか」
玄関のドアが閉められ、ため息をついた正義が私を部屋に行くように背中を押した。
「…なんだこれ?」
私がさっきまで未知といたテーブルの上に散らかった包装紙を片付けていると、玄関のドアの鍵を掛けに行った正義がテーブルの上にある箱を見て聞いてきた。
「未知から貰ったプレゼント」
「プレゼント?またなんで?」
「今週末…誕生日だから」
「えっ…そうなのか」
「うん」
何でもないにプレゼントを貰った理由を聞かれたので、素直に伝えると、正義はすごくびっくりした。
名前と住む所、仕事とかは話したけど、誕生日までは言っていなかったと気がついた時には、正義は私を抱き上げてベッドへと向かっていた。
「他は?何かない?俺に伝えた方がいいこと」
「……正義の誕生日は?」
「ふっ、12月31日」
ベッドに仰向けに寝かされ、彼の左腕が私の顔の横に付いて私に覆い被さると、右手で私の頬に掛かった髪を退かした。私が腕を挙げて彼の首の後ろに回すと、正義は私の疑問に笑って顔を近づけて唇を重ねた。
脚の間に片足を入れた彼は、私の顔や首筋にキスをする。
「お風呂入った?…って、いい匂いしてるから入ったか」
鼻先を耳の後ろの髪に埋めて、息を吸っているのが分かって頬が赤くなってしまう。
「…それヤダ…はずかしい」
「なんで?果南の匂い好きだよ」
お風呂に入ってなくてもね、と2人しかこの部屋にいないのに、私の耳元で小声で囁く彼の後半の言葉はなんだかえっちすぎる。
「プレゼント何がいい?甘い…のは好きだよな」
甘党ではない彼が、甘いものばかり食べる私を見て、よく眉を顰めたりしている。
「外で祝うか…家か…まっ、後で決めよう」
「正義っ、未知達が帰ってきちゃう」
私の首筋を舐めて、服の中に手を入れた正義の手を止めると、彼は私の手を逆に掴んで自分の首の後ろへと回させた。
「来る前に連絡くるだろ」
「でもっ…あっ」
「こっち集中して果南」
私と彼のスマホは近くにないから、連絡来ても気がつかないと言おうとしたけど、正義の方が早くて私の乳房をブラの上から揉み始めた。
シンプルなTシャツとハーフパンツ姿を正義の友達に見られてしまったと、今更ながら気がついても彼も友達も気にした様子はない。
「やっぱ…塩川に見られたの、ムカつくな…なに部屋の中勝手に上がってんだよ」
むしろ急に低い声で機嫌が下降していく。
「後で怒っとくわ」
と言って彼は愛撫を再開させると、私のTシャツをたくし上げた。胸元まで上がったシャツの下はブラだけで、正義の眼下に晒されてしまったが、彼は私の左胸をブラの上から揉み始めると、本格的に私の身体にキスをして舌を使って這う。
「んっ、っ」
彼の首に回した手を解かれ、私のシャツを脱がせてベッドの隅に置いた。万歳するようにベッドに付けられた腕と手にも正義は舌を這わす。
「あっ…んっ、やっ」
脇の下を舐めらた時は流石に抵抗して身を捩るつもりが、彼は私の胸に置いた腕のせいで身動きがとれなかった。ねっとりと下から上へと舐められた脇の下は、生温かい舌のせいでぞくぞくする。
思わず膝を曲げると、それに気がついた彼が私の足に手を置くと摩る。
「可愛いな」
「やっだっそこでしゃべらないでっ…あっ」
たとえ呟いただけの小さな声でも私の脇に息を吹きかけられていて、過敏に反応してしまう。腕を少し下ろして潤む瞳で睨むと、いじめ過ぎたと彼は私の額にキスをした。首筋に顔を埋めた彼の愛撫が再開すると、私は彼の下半身に手を伸ばすと、手を止められた。
「それもいいけど、また今度、なっ」
と有無を言わせず私は腕を彼の肩に置いて額を合わせた。
「…今日は私だけ?」
「そ」
啄むキスをして彼はブラのホックを外すと、締め付けられていた乳房はぷるんっ、と勢いよく揺れた。右胸を掴まれ、そのまま彼の口に入ると、ちゅうと強く吸われて乳房が引っ張られた。歯を立てないで唇で甘噛みされ、分厚い舌が私の乳房の先端にある粒を舐めて舌で転がす。
「ん…っあっ」
口に入ってない方の乳房は、彼の大きな手によって揉まれていて、快感がだんだん強くなる。
「あっ、正義っ、あっ」
腰が僅かに揺れただけでも、彼は目ざとく気がつき嬉しそうに笑う。
「ふっ、腰揺れてる」
性欲なんてないと思っていたのに、彼と出会ってから私の身体はおかしくなった。愛撫されてキスをされ、そのこれからえっちする雰囲気を感じると、身体が疼くようになった。
正義は私の変化に喜び応えようと気合いをいれるが、そもそも普段から鍛えて体力もある彼とは違って、私は彼が満足するその前にバテてしまうが。
彼は私の乳房を口にして愛撫を続けたまま、両手で私のハーフパンツと下着を手品のように素早く脱がすと、私の身体から離れて起き上がった。
「果南のおっぱいもココもずっと触っていたいな」
ココ、と言った時に私のおへそと下生えの間に左手で押し、私の口の前に右人差し指と中指の2本指をくっつけて出すと、私は躊躇いもなく彼の指に舌を這わした。
「そう、濡らして、すぐに気持ち良くなるから」
目を細めた彼は私の口の中に入る自分の指をじっと見ている。それが面白くなくて、口内に入れた指をちゅうと吸うと、彼は指先を曲げた。いつも私の蜜壺の中にしているのうに、口内の内側を指先で擦り、ぱらぱらと動かす。たまに私の舌を器用に掴むから、私は舌を動かして舐めた。
「果南」
彼の指が口から抜けていくのが嫌で、ちゅうと強く吸うけど彼の指は私の口内からいなくなってしまう。名残惜しく彼が動かす手に視線を追っていると、顎を掴まれて彼の方を向けさせられた。
「正義っ」
やっと彼の顔に気がついた──正義に愛撫されていたのは分かっていたのに、私を気持ち良くさせてくれる手として認識していたから、彼の顔を見て不思議と込み上げてくる愛おしさがある。手を伸ばして抱きながら、キスを求めれば与えられる。その間にも、彼から視線を変えられた手は、私の下半身に移動して、私の蜜口になんの前触れもなく指が触れたと思ったら、ヌプッと蜜壺の中へと入った。
「っ、あ…っ」
「キツイな」
突然やってきた異物に身体が拒否をするかのように、力が入ってしまうと、私の口を塞ぎキスに集中するように舌を絡めてきた。少しずつ蜜壺に入る指は、指を前後に動かして奥へと侵入していく。快感が生まれていくと蜜で溢れ、気持ちよさに身体の力が抜けていく。
「ん、ふっ、ぅ…んっ」
口を開いて舌を絡めるから、唾液が彼の口内から生まれて私の口内へと流される。ごくんと飲むと、正義の舌に吸い付く格好となって、彼もお返しするかのように私の舌に吸い付いた。
「ん、んーーーっ!」
何度か舌を吸い合っていると、彼の指がパラパラと蜜壺の中で動いた。さっきよりも大きな快感を感じ取って勝手に腰が引けると、彼の親指が私の蜜口にある豆粒を潰して動きを封じた。
達した身体はぴくぴくと痙攣しているのに、正義は私の両足を持ち上げて太ももを私の胸の上に置くと、下半身に顔を埋めた。
「あっ、はっ、あぁっ」
太ももの裏を押さえられて動けないのに、気持ちよさにまた快感が続く。蜜口に重なる分厚い舌と、彼の鼻息が下生えに掛かり擽ったくて身体の体温があがる。
舌を這わしてない所など作る気ないみたいで、蜜口の縁の内側を舐められたら背中がのけ反る。掴む所が欲しくて伸びた手が太ももの裏に当たり、まるで私が自分の意思で足を持っているみたいだ。蜜壺から蜜が溢れるのを感じ、頭を横に振ってただ甘い声しか出てこない。
「果南、入れるぞ」
正義が私の下半身から顔を上げ、私が持つ太ももから手を離すと、彼は私の足を大きく広げた。下生えの上に置かれたヤケドしそうなくらい熱いモノを数度擦られ、思わず正義を見ると、彼は眉を寄せて苦しそうにしていた。
「…ん、欲しいっ、んぅっ」
荒々しく口を塞がれだかと思ったら、蜜口がありえないくらい広がる。苦しくて息も上手く出来ないのに、じわじわと快感がくる。一番太い昂りの先端が蜜壺の中に入ると、あとは一気に貫いたと思ったら、そのまま腰を引いた彼は私の腰を掴んで抽送を始めた。
「はっぁっ!はっ…あっあ、っ!」
「づ、っ、は…ぁっ、っ」
ギシッギシッと2人分の重さにベッドが軋み、いきなり激しくて気持ちいい。
「まさっ、んっ、っ…あっ、ぅぅっ」
シーツを掴み前後に揺さぶられて乳房が揺れる、汗を掻き潤む瞳で彼氏を見つめ、血色がよくなって真っ白な肌がピンクになったその破壊的な姿に彼は目を逸らして天井に顔を向けた。
「あー、もう…イく、イく」
「はっぁぁぁっ…っ!」
そう言って腰にあった手がお尻を持ち上げ、膝立ちになった彼は動きやすくなったのか思いっきり腰を動かした。エロい、とか言って私の腰にある蝶のタトゥーを摘まれ、私はいきなり絶頂に達してしまった。
「はっ、ぐっ…っ」
彼は私の下半身に自分の下半身を押し付けると、腰を緩く動かした。
しばらく留まっていたが、彼が腰を引いて蜜口から昂りを取り出すと注がれた証が溢れた。
「ん、もう終わり?」
「んな声を出すな、またしたくなるだろ」
丁寧に後始末をされるのを見ていた私は、彼が私に下着から服を着せた所で、一度で終わるなんて珍しいと思って聞くと低い唸り声を上げた。知らず知らずのうちに甘えた声を出していたらしい。自分も服を着ると、ベッドの側の床に座って私を足の間に座らせた。私の肩に顎を乗せた彼は、背後から私を抱きしめる。
「果南、好きだ」
「ふふっ、私も」
振り向くと唇をくっつけるだけのキスをした。
「土日は空けろよ」
当たり前に私の予定など無視をする俺様な正義に、他の人にやられたらムカつくのに嬉しいと思ってしまう。
「…土日?」
「ああ、仕事あるなら終わったら迎えにいく」
「ふふっ分かった…待ってる」
18時に迎えに来て、と正義の首に腕を巻き付けながら彼の耳元で囁くと、彼はそろそろ帰ると言った。
「未知がくるまで待てばいいのに」
もう帰っちゃうのが寂しくて私が、引き留めると、
「友達帰るまで居たらまたしたくなるだろ?…塩川は部屋に入れんから、その可愛い顔見せちまったら、ムカつくしな…電話する」
「…ん…分かった」
確かにまた一緒にいたら、またしたくなる。それは付き合い始めたからもあるし、好きだからだ。
「鍵締めろよ」
「ん、またね」
名残惜しくも彼は私にキスをすると、出て行ってしまった。
しばらく玄関の前で彼との余韻に浸っていたが、彼に言われた通り鍵を締めて部屋に戻った。
1時間ほどすると未知は白いビニール袋に入った飲み物とお菓子を、1人で持って帰ってきた。
マンションの入り口まで塩川に送ってもらったらしい。
「──お前キモいな」
「うるせ」
マンションの前の植木の側で、最近出来た彼女の部屋を見上げる同僚を見て、塩川はガチでドン引きした。
「本当に女の友達なのかどうか確かめに来るとはね…はー、俺が居なかったらお前マジで嫌われてたぞ?」
塩川の言葉を無視して、しばらく部屋を見ていたが、立ち上がった。
「帰るぞ」
「へいへーい、全く人遣い荒いぜ」
「塩川」
ガシガシと頭を掻いた塩川に、俺が呼ぶと渋々歩き始めた。
「わーってるって、ラーメン奢れよ、あとビール!未知ちゃんと飲みたかったなぁ」
「買い物行けたからいいだろ」
「それはそれだよなー、はぁ」
ため息を吐いた友達を無視して、俺は今週末に訪れる彼女の誕生日のプランを考え始めた。
──初めてのだからな、付き合って初めてはちゃんとしないと、この後の関係に響くしな
「春山ってばー上手いラーメン出すとこ知ってるんだよー」
気合いを入れないと、と思っていた所に、塩川に肩を抱かれて邪魔をされながら、こいつのオススメのラーメン屋へと連れて行かれたのだった。
もちろん、そこは俺の奢りで。
幼い時から感情を露わにするのが苦手だったが、オシャレが好きで髪をスタイリングしたりカットする仕事に憧れていた私は、美容師として若者の街で働いていた。
腰までの長さの黒い髪は手入れが毛先まで行き届いてツヤが出ているし、卵のように小さくつるんとした輪郭の顔、日に焼けていない肌とぱっちりとした大きな瞳、スッと伸びた鼻、ぷっくりとした唇はリップを塗らなくても紅くて小さかった。165センチの身長は、そんなに低くないと思っていたけど、最近出来た彼氏を見上げないといけないのが少しだけ大変だ。
彼氏。
彼──正義は、その名の通り、警察官なのだ。そう無口で可愛げがないと思っていた私に、彼氏が出来たのだ。しかも警察官で、24歳の私よりも6歳年上の彼氏で…それから…
──えっちが少し長い
そう、長いのだ。制服警官として勤務するから、シフト制で働き、たまに夜勤をしたりしている。パトロールをしたり、通報されたら現場に駆けつけないといけないから、他の人よりも体力が必須だ。毎日鍛えているせいか、分厚い胸板と太い手脚、私が乗ってもびくともしない強靭な身体をしている。
そんな彼と付き合うきっかけになったのは、夏に行われたスプラッシュアクアのイベントでお互い一目惚れで気がついたらキスをして…その日のうちにその先もした。
毎日会うし、仕事が終われば私の住む家まで来る。反対に彼の住む家は安さを重視した結果、治安が良くないから私が仕事終わりに彼の家へと行く事を禁止されている。最初は家も教えてくれなかったから、恋人か最悪既婚者で妻子持ちかと思った。
が、彼の家に呼ばれた時に、築50年ってぐらいの二階建てのボロアパートと壁に落書きや缶ビールの散乱する敷地を見て、なるほどと、妙に納得してしまった。
正義なら私が襲われてもすぐに反撃出来そうだが、私がこの家で正義の帰りを待つ…となると、怖さもある。
無事彼の疑惑も解決して幸せいっぱいの私に、また試練がやってきたのだ。
それは──
「だからさ、言ったじゃん、マジで警官と付き合ってるの…いや、職業堅いと便利かも…いやいや!待って待って、駐禁とかってチャラにして貰えるの?ほら、海外ドラマとかでよくあるさ…えっ?私は駐禁とられた事ないよ、だって免許ないもん」
と、1人ノリツッコミをしているのは、私の親友の未知だ。黒髪の私と正反対の髪色にしている金髪の彼女の頭を染めたのは私だ。
未知が私の家にいるのにはワケがあって、スプラッシュアクアで付き合う事になった正義との事を報告するためと、今週末は私の誕生日だからプレゼントを届けに来てくれたのだ。
「そうだっ忘れないうちに…これプレゼント!ハッピーバースデー!果南!」
そう言って未知から渡されたのは、自宅でヘッドスパが出来る頭皮ケアブラシだ。『今年はこれだよ!』と、事前に画像付きでスマホを見せられてネタバレされていたから、サプライズではなかった。シンプルな白い包装紙に包まれていた正方形の箱の蓋を開けると、手のひらサイズの丸い白い本体が出てきた。充電ケーブルと説明書も入っていて、本体の下は大きな4つのゴム性の突起物とその突起物に一つ一つに小さな棘のようなゴムが無数についていて、本体の横にあるボタンを押すと一つ一つがぐるぐると回る仕様になっている。
「ありがと未知」
「もーちょー可愛いー」
私は未知にお礼を言うと、彼女は私を抱きしめた。
「はー癒されるー」
未知は私の頬に自分の頬を重ねて、顔を上下に動いてすりすりと擦るように動かした。
「そうだ、今日泊まってもいい?」
「もちろん」
「…でもあのいかつい彼氏は…?」
未知に言われ、嬉しくて即答すると、未知はあっ、と何かに気がついたみたいに青ざめると、私の顔を覗き込んだ。
「…平気、言っとくし」
不安そうな彼女を安心させるために、何でもないとにっこりと笑うと、未知はほっとした。
「良かったー今日は朝まで語ろうよ!久しぶりだしね!」
「あははっ、うん!」
未知はいつものテンションに戻って、買ってきた飲み物をテーブルに広げた。
私は忘れないうちに、スマホを取り出して彼氏に連絡をした。
未知との話が盛り上がって──ほとんど未知が話して私が頷くのが多かったが、ピンポーンと、玄関のチャイムが鳴ると、私は予定のない来訪者に頭を傾げた。
「大丈夫?私行く?」
「ううん、私が出るよ」
未知が心配して言ってくれたが、家主の私が出ないとおかしいから玄関に向かうと、未知も私の後ろに付いてきた。
2人が玄関に着くと、ちょうどドアの鍵が勝手に開錠した。
「ん?開いたじゃん」
未知が不思議そうに言ったけど、私の家の鍵を持っているのは1人しかいない。
「あれー?盛り上がってるじゃん」
「おいっ塩川っ」
勝手にドアが開くと、まずは茶髪の大柄な男が入ってきて、彼の肩を掴む大きな手と聞き慣れた声がした。
「げっ!なんでコイツがっ」
心底嫌そうな声を出した未知が、私の後ろに隠れると、コイツと言われた大柄な男が口元を緩めた。
「久しぶり、未知ちゃん」
片手を上げた茶髪の大柄の男の人──それは正義と出会うきっかけとなったスプラッシュアクアで、正義と一緒にいた塩川って人で、後半はもうずっと未知と一緒にいた人だった。正義とは正反対に日に焼けてない肌と茶髪で、運動が苦手なのかと思ったが、正義と同じ警察官として働いてるの同僚だ。
「悪い、果南の友達来てるって塩川にスマホ見られてさ」
「なんだよそれ、たまたまだからね?いつもはこんな男のスマホなんか見ないから」
口を尖らせ、ぶーぶーと文句を言う姿は幼く見えるが、正義と同い年である。軽薄そうなイメージを与える人──うそだ、実はあんまり出会った時のことを覚えていない。正義にばかり目がいっちゃって、他はどうでもよくなっていたからだ。
「…」
「ほら、果南もドン引きしてるじゃん、早く帰りなよ」
元々口数は多い方じゃないから、ほぼ初対面の人の言葉に器用に返せるワケじゃない。私の代わりに未知が私の肩に手を置きながら、背後から顔を出しながら話す。
「またまたー俺たちの仲じゃん、仲良くしようよ」
「ぎゃー離して!」
わいわい騒ぐ2人が仲良くて楽しそうだ。
「…悪い果南、すぐ連れてくから」
「ううん…少し入る?」
正義は騒ぐ2人を無視して、私の前にやってきた。
「えー、果南いいよー、帰らせて」
「本当?嬉しいなー仲良くしようよ未知ちゃん」
「未知…少しだけだから」
嫌そうな顔をする未知には悪いけど、今日は正義と会えるとは思ってなかったから嬉しい。
「もーこの借りは高くつくからね!」
「おっ、なら俺が返すよ」
「いらんっ!話に入ってくんな」
未知は渋々納得すると部屋の中に入り、塩川って人も未知にべったりくっついて続いた。
「…ご飯食べた?」
「さっき、アイツと」
食べたよと最後まで言わず、私の左頬を指で撫でた。私が気持ち良くて目を細めると、正義は私の頬に手のひらを置いて屈んだ。私は顔を上げて私の頬を触る腕に手を添えた。
重なるだけのキスで、すぐに離れた彼はまた私の口にキスをすると、今度は少し長くキスをした。唇を甘噛みされると、薄く口を開けた私も正義の唇を甘噛みした。そこから正義の手が私の後頭部に回り、私の口内に彼の舌が入った。ちゅう、と吸うと、リップ音がする。
「ん…正義」
彼は額をくっつけたまま、私の上唇をもう一度甘噛みすると、私を抱きしめた。
「明日は何時から仕事?」
「8時には出るよ…今日は友達が泊まるんだっけ」
「ん、そう」
そう言いながら、彼は私の頬や耳をぺろりと舐めてキスをした。
「そうか、ならすぐに帰るよ、せっかく友達といるのに邪魔してるし」
「ううん」
そんな事はない、と言おうとしたが、未知には悪いが、まさか彼が来るとは思ってなくて、わざわざ会いに来てくれて嬉しい気持ちの方が今は勝っている。
「そろそろ入るか」
もう少しだけこうしていたかったけど、さすがに客を放って抱き合ってるのも変だと頷いた。離れがたくて短い廊下を手を繋いで歩いた。
──ああ、やっぱり私変だ…こんなに好きなの、初めてだ
誰といてもずっと一緒に居たいと思った事なんてなかったのに、正義に甘えたいし、大きな腕で抱きしめていて欲しい。SNSのメッセージのやり取りでは普通にむしろ素っ気なくも出来るのに、実際に会ってしまうとくっついていたくなる。
顔も怖い部類に入るのに、私の中では世界で一番カッコいいと思っちゃうからもう重症なのかもしれない。
「ひゅー仲良いー羨ましい、俺たちも仲良くなりたいね」
「はっ?無理なんだけど」
もうすぐ部屋に入るってなった時に、塩川が顔を出して手を繋いでる私達を見て、肩に腕を回してる未知に言った。未知は本当に嫌そうに言っているが、肩に回された腕を振り落としてないから満更でもないのかもしれない。
「…どうした?」
「ちょっーと、飲み物が足りないから未知ちゃんと買いに行ってくるよ」
正義の問いかけに、塩川は未知を連れて行くと、未知の肩を自分の方に引き寄せた。
「…飲み物?」
「はい?やなんだけどっ!」
「ちょっとだけ、ね」
冷蔵庫には正義の飲む缶ビールは入っているけど、みんなをもてなす位は入っていなかったのを思い出した。未知と私はさっきスーパーで買ったし、塩川の分はない。
「塩川」
「大丈夫、少し遠くの行くから、まっゆっくりしていってよ」
正義が玄関に向かう塩川を呼ぶと、彼は手をひらひらさせながら未知を連れて行ってしまった。
「…とりあえず入るか」
玄関のドアが閉められ、ため息をついた正義が私を部屋に行くように背中を押した。
「…なんだこれ?」
私がさっきまで未知といたテーブルの上に散らかった包装紙を片付けていると、玄関のドアの鍵を掛けに行った正義がテーブルの上にある箱を見て聞いてきた。
「未知から貰ったプレゼント」
「プレゼント?またなんで?」
「今週末…誕生日だから」
「えっ…そうなのか」
「うん」
何でもないにプレゼントを貰った理由を聞かれたので、素直に伝えると、正義はすごくびっくりした。
名前と住む所、仕事とかは話したけど、誕生日までは言っていなかったと気がついた時には、正義は私を抱き上げてベッドへと向かっていた。
「他は?何かない?俺に伝えた方がいいこと」
「……正義の誕生日は?」
「ふっ、12月31日」
ベッドに仰向けに寝かされ、彼の左腕が私の顔の横に付いて私に覆い被さると、右手で私の頬に掛かった髪を退かした。私が腕を挙げて彼の首の後ろに回すと、正義は私の疑問に笑って顔を近づけて唇を重ねた。
脚の間に片足を入れた彼は、私の顔や首筋にキスをする。
「お風呂入った?…って、いい匂いしてるから入ったか」
鼻先を耳の後ろの髪に埋めて、息を吸っているのが分かって頬が赤くなってしまう。
「…それヤダ…はずかしい」
「なんで?果南の匂い好きだよ」
お風呂に入ってなくてもね、と2人しかこの部屋にいないのに、私の耳元で小声で囁く彼の後半の言葉はなんだかえっちすぎる。
「プレゼント何がいい?甘い…のは好きだよな」
甘党ではない彼が、甘いものばかり食べる私を見て、よく眉を顰めたりしている。
「外で祝うか…家か…まっ、後で決めよう」
「正義っ、未知達が帰ってきちゃう」
私の首筋を舐めて、服の中に手を入れた正義の手を止めると、彼は私の手を逆に掴んで自分の首の後ろへと回させた。
「来る前に連絡くるだろ」
「でもっ…あっ」
「こっち集中して果南」
私と彼のスマホは近くにないから、連絡来ても気がつかないと言おうとしたけど、正義の方が早くて私の乳房をブラの上から揉み始めた。
シンプルなTシャツとハーフパンツ姿を正義の友達に見られてしまったと、今更ながら気がついても彼も友達も気にした様子はない。
「やっぱ…塩川に見られたの、ムカつくな…なに部屋の中勝手に上がってんだよ」
むしろ急に低い声で機嫌が下降していく。
「後で怒っとくわ」
と言って彼は愛撫を再開させると、私のTシャツをたくし上げた。胸元まで上がったシャツの下はブラだけで、正義の眼下に晒されてしまったが、彼は私の左胸をブラの上から揉み始めると、本格的に私の身体にキスをして舌を使って這う。
「んっ、っ」
彼の首に回した手を解かれ、私のシャツを脱がせてベッドの隅に置いた。万歳するようにベッドに付けられた腕と手にも正義は舌を這わす。
「あっ…んっ、やっ」
脇の下を舐めらた時は流石に抵抗して身を捩るつもりが、彼は私の胸に置いた腕のせいで身動きがとれなかった。ねっとりと下から上へと舐められた脇の下は、生温かい舌のせいでぞくぞくする。
思わず膝を曲げると、それに気がついた彼が私の足に手を置くと摩る。
「可愛いな」
「やっだっそこでしゃべらないでっ…あっ」
たとえ呟いただけの小さな声でも私の脇に息を吹きかけられていて、過敏に反応してしまう。腕を少し下ろして潤む瞳で睨むと、いじめ過ぎたと彼は私の額にキスをした。首筋に顔を埋めた彼の愛撫が再開すると、私は彼の下半身に手を伸ばすと、手を止められた。
「それもいいけど、また今度、なっ」
と有無を言わせず私は腕を彼の肩に置いて額を合わせた。
「…今日は私だけ?」
「そ」
啄むキスをして彼はブラのホックを外すと、締め付けられていた乳房はぷるんっ、と勢いよく揺れた。右胸を掴まれ、そのまま彼の口に入ると、ちゅうと強く吸われて乳房が引っ張られた。歯を立てないで唇で甘噛みされ、分厚い舌が私の乳房の先端にある粒を舐めて舌で転がす。
「ん…っあっ」
口に入ってない方の乳房は、彼の大きな手によって揉まれていて、快感がだんだん強くなる。
「あっ、正義っ、あっ」
腰が僅かに揺れただけでも、彼は目ざとく気がつき嬉しそうに笑う。
「ふっ、腰揺れてる」
性欲なんてないと思っていたのに、彼と出会ってから私の身体はおかしくなった。愛撫されてキスをされ、そのこれからえっちする雰囲気を感じると、身体が疼くようになった。
正義は私の変化に喜び応えようと気合いをいれるが、そもそも普段から鍛えて体力もある彼とは違って、私は彼が満足するその前にバテてしまうが。
彼は私の乳房を口にして愛撫を続けたまま、両手で私のハーフパンツと下着を手品のように素早く脱がすと、私の身体から離れて起き上がった。
「果南のおっぱいもココもずっと触っていたいな」
ココ、と言った時に私のおへそと下生えの間に左手で押し、私の口の前に右人差し指と中指の2本指をくっつけて出すと、私は躊躇いもなく彼の指に舌を這わした。
「そう、濡らして、すぐに気持ち良くなるから」
目を細めた彼は私の口の中に入る自分の指をじっと見ている。それが面白くなくて、口内に入れた指をちゅうと吸うと、彼は指先を曲げた。いつも私の蜜壺の中にしているのうに、口内の内側を指先で擦り、ぱらぱらと動かす。たまに私の舌を器用に掴むから、私は舌を動かして舐めた。
「果南」
彼の指が口から抜けていくのが嫌で、ちゅうと強く吸うけど彼の指は私の口内からいなくなってしまう。名残惜しく彼が動かす手に視線を追っていると、顎を掴まれて彼の方を向けさせられた。
「正義っ」
やっと彼の顔に気がついた──正義に愛撫されていたのは分かっていたのに、私を気持ち良くさせてくれる手として認識していたから、彼の顔を見て不思議と込み上げてくる愛おしさがある。手を伸ばして抱きながら、キスを求めれば与えられる。その間にも、彼から視線を変えられた手は、私の下半身に移動して、私の蜜口になんの前触れもなく指が触れたと思ったら、ヌプッと蜜壺の中へと入った。
「っ、あ…っ」
「キツイな」
突然やってきた異物に身体が拒否をするかのように、力が入ってしまうと、私の口を塞ぎキスに集中するように舌を絡めてきた。少しずつ蜜壺に入る指は、指を前後に動かして奥へと侵入していく。快感が生まれていくと蜜で溢れ、気持ちよさに身体の力が抜けていく。
「ん、ふっ、ぅ…んっ」
口を開いて舌を絡めるから、唾液が彼の口内から生まれて私の口内へと流される。ごくんと飲むと、正義の舌に吸い付く格好となって、彼もお返しするかのように私の舌に吸い付いた。
「ん、んーーーっ!」
何度か舌を吸い合っていると、彼の指がパラパラと蜜壺の中で動いた。さっきよりも大きな快感を感じ取って勝手に腰が引けると、彼の親指が私の蜜口にある豆粒を潰して動きを封じた。
達した身体はぴくぴくと痙攣しているのに、正義は私の両足を持ち上げて太ももを私の胸の上に置くと、下半身に顔を埋めた。
「あっ、はっ、あぁっ」
太ももの裏を押さえられて動けないのに、気持ちよさにまた快感が続く。蜜口に重なる分厚い舌と、彼の鼻息が下生えに掛かり擽ったくて身体の体温があがる。
舌を這わしてない所など作る気ないみたいで、蜜口の縁の内側を舐められたら背中がのけ反る。掴む所が欲しくて伸びた手が太ももの裏に当たり、まるで私が自分の意思で足を持っているみたいだ。蜜壺から蜜が溢れるのを感じ、頭を横に振ってただ甘い声しか出てこない。
「果南、入れるぞ」
正義が私の下半身から顔を上げ、私が持つ太ももから手を離すと、彼は私の足を大きく広げた。下生えの上に置かれたヤケドしそうなくらい熱いモノを数度擦られ、思わず正義を見ると、彼は眉を寄せて苦しそうにしていた。
「…ん、欲しいっ、んぅっ」
荒々しく口を塞がれだかと思ったら、蜜口がありえないくらい広がる。苦しくて息も上手く出来ないのに、じわじわと快感がくる。一番太い昂りの先端が蜜壺の中に入ると、あとは一気に貫いたと思ったら、そのまま腰を引いた彼は私の腰を掴んで抽送を始めた。
「はっぁっ!はっ…あっあ、っ!」
「づ、っ、は…ぁっ、っ」
ギシッギシッと2人分の重さにベッドが軋み、いきなり激しくて気持ちいい。
「まさっ、んっ、っ…あっ、ぅぅっ」
シーツを掴み前後に揺さぶられて乳房が揺れる、汗を掻き潤む瞳で彼氏を見つめ、血色がよくなって真っ白な肌がピンクになったその破壊的な姿に彼は目を逸らして天井に顔を向けた。
「あー、もう…イく、イく」
「はっぁぁぁっ…っ!」
そう言って腰にあった手がお尻を持ち上げ、膝立ちになった彼は動きやすくなったのか思いっきり腰を動かした。エロい、とか言って私の腰にある蝶のタトゥーを摘まれ、私はいきなり絶頂に達してしまった。
「はっ、ぐっ…っ」
彼は私の下半身に自分の下半身を押し付けると、腰を緩く動かした。
しばらく留まっていたが、彼が腰を引いて蜜口から昂りを取り出すと注がれた証が溢れた。
「ん、もう終わり?」
「んな声を出すな、またしたくなるだろ」
丁寧に後始末をされるのを見ていた私は、彼が私に下着から服を着せた所で、一度で終わるなんて珍しいと思って聞くと低い唸り声を上げた。知らず知らずのうちに甘えた声を出していたらしい。自分も服を着ると、ベッドの側の床に座って私を足の間に座らせた。私の肩に顎を乗せた彼は、背後から私を抱きしめる。
「果南、好きだ」
「ふふっ、私も」
振り向くと唇をくっつけるだけのキスをした。
「土日は空けろよ」
当たり前に私の予定など無視をする俺様な正義に、他の人にやられたらムカつくのに嬉しいと思ってしまう。
「…土日?」
「ああ、仕事あるなら終わったら迎えにいく」
「ふふっ分かった…待ってる」
18時に迎えに来て、と正義の首に腕を巻き付けながら彼の耳元で囁くと、彼はそろそろ帰ると言った。
「未知がくるまで待てばいいのに」
もう帰っちゃうのが寂しくて私が、引き留めると、
「友達帰るまで居たらまたしたくなるだろ?…塩川は部屋に入れんから、その可愛い顔見せちまったら、ムカつくしな…電話する」
「…ん…分かった」
確かにまた一緒にいたら、またしたくなる。それは付き合い始めたからもあるし、好きだからだ。
「鍵締めろよ」
「ん、またね」
名残惜しくも彼は私にキスをすると、出て行ってしまった。
しばらく玄関の前で彼との余韻に浸っていたが、彼に言われた通り鍵を締めて部屋に戻った。
1時間ほどすると未知は白いビニール袋に入った飲み物とお菓子を、1人で持って帰ってきた。
マンションの入り口まで塩川に送ってもらったらしい。
「──お前キモいな」
「うるせ」
マンションの前の植木の側で、最近出来た彼女の部屋を見上げる同僚を見て、塩川はガチでドン引きした。
「本当に女の友達なのかどうか確かめに来るとはね…はー、俺が居なかったらお前マジで嫌われてたぞ?」
塩川の言葉を無視して、しばらく部屋を見ていたが、立ち上がった。
「帰るぞ」
「へいへーい、全く人遣い荒いぜ」
「塩川」
ガシガシと頭を掻いた塩川に、俺が呼ぶと渋々歩き始めた。
「わーってるって、ラーメン奢れよ、あとビール!未知ちゃんと飲みたかったなぁ」
「買い物行けたからいいだろ」
「それはそれだよなー、はぁ」
ため息を吐いた友達を無視して、俺は今週末に訪れる彼女の誕生日のプランを考え始めた。
──初めてのだからな、付き合って初めてはちゃんとしないと、この後の関係に響くしな
「春山ってばー上手いラーメン出すとこ知ってるんだよー」
気合いを入れないと、と思っていた所に、塩川に肩を抱かれて邪魔をされながら、こいつのオススメのラーメン屋へと連れて行かれたのだった。
もちろん、そこは俺の奢りで。
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