辺境の侯爵家に嫁いだ引きこもり令嬢は愛される

狭山雪菜

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少しだけ

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馬車から降りても下ろす事はしないキースは、私を横抱きに持ち上げたまま歩き始めた。
驚く使用人達を視線で留め、屋敷の主寝室へと足早に向かうキース。
「ご主人様っ」
キースの後に続き珍しく慌てるアガサに、返事をすることなく進むキースの肩越しから、大丈夫です、と口をぱくぱくと動かすと、ホッとしたアガサは立ち止まり一礼した。

部屋に入ると、優しくベッドへと私を座らせたキース。跪き私の手を取り口付けをする。
「愛してる、ソフィア」
噛み締めるように呟き、何度も何度も口付けをしては、愛の言葉を囁く。
「…キース様」
胸がいっぱいになり、声が詰まる。彼の手から自分の手を抜き、彼の頬に手を添えた。

「…私…お父様…父に、結婚を破棄するように言われておりました」
静かに告げる言葉に、キースは声を出すわけでも、顔色を変えるわけでもなくただ聴いている。
「しかし…私はこの…数週間…ずっと一緒に居て、キース様の、キース様の側に居たいと…支えたいと思っておりました…私も…私も愛しております…キース様」
呆然とする彼の額に触れるだけのキスをして、顔を離すと一気に視界が暗くなり、キースに抱きしめられている事に気がついた。彼の背に手を回し自分からも抱きつくと、キースの抱きしめる力も強くなった。
「…ソフィア、愛してる」



器用に首の留め具を外し、首筋に顔を埋め舌を這わすキースの髪に指を絡める。盛り上がる胸に吸い付き甘噛みする彼は、大きな手のひらでもう片方の胸を優しく揉んでいく。
「ん、ぁ…キース様っ、このあと披露宴が…っ」
甘い声が漏れこのあとの予定を伝えるが、私も離れたくなくて彼の頭を抱きしめる。
「少しだけだ」
低い声が愛撫の手を止めずに告げる。服をずらされる度に、ちゅっちゅっとキースの唇が全ての肌に触れる。パットを外すと乳房が揺れ、直接触っていく。
膝を立てると白いストッキングが見えて、彼の手が足首から太ももへと撫でながら移動し、ドレスの裾をたくし上げる。腰にある白いレースのガーターベルトがストッキングと繋がっており、キースは上体を起こすと膝を立てる私のドレスの影へと隠れた。
お腹にあるまだ脱げていないドレスと腰にスカートが纏まっているために、彼の身体が見えない。
それなのに、息だけが太ももの内側にかかるのが分かり、見えなくても敏感になった身体が震えた。
「あっ!っ!」
ぴちゃっとすでに濡れていた下着越しに蜜壺の付近を舐められては、吸われる。蜜壺を熱心に舐めたり下着をズラし指先を蜜壺へと埋めていく。同時に太ももの付け根を甘噛みする。
「んっぁ、あ」
彼の身体で膝を閉じる事も出来ない私は、ただ喘ぐだけだ。

十分に解れた蜜壺から指を抜くと、彼の昂りが充てられる。
腰に手をつき、押さえる。
「ん、キース様」
彼の名を呼ぶと、屈んだキースが私の口を塞ぎ舌を絡める。
その間にも蜜壺の中へと進む彼の昂り。全て入った時には、息も絶え絶えで私の足から手を外すと、両手の手を繋ぎ指を絡めた。
ゆっくり動き始めた律動に、痺れる快感が私を襲う。
「ぁっ、んん、あ」
背がのけ反り彼の昂りをぎゅうぎゅうと締めつけていく。
「く…搾り取られそう…だ」
絡まる指を解き、私の腰を掴み、もう片方の手で私の顔の横に腕をついたキースは、動きを激しくしていく。
ガンガンッと遠慮なく責められていく私は、衝撃を受け取るだけでいっぱいいっぱいで、顔の横にあるキースの手首を掴み離れないように、顔を寄せる。
「ぁっ、ンッンッ、好きっ」
「ソフィア、愛してるっ」
肩に顔を埋めたキースはぐりぐりと腰を押し付けると、蜜壺に注がれた証が勢いよく満ちていくのを感じ、彼の昂りの形を確かめるようにぎゅうぎゅうと締め付け私も達した。

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