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辺境の当主4
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荒い息も落ち着き名残惜しげに離れたキースは、ソフィアの蜜壺から自身を抜いた。それから少ししてから、中へ注がれた証が溢れ、ソフィアは頬を染めた。
無表情で彼女のを拭うと、彼女に腕枕をして横になった。
「…身体は辛くないか?」
まだ日も高く、室内を明るく照らす。キラキラと宝石のように輝く赤い彼女の髪に指を絡め口づけをした。
「…ええ」
シーツで胸元を隠し、気怠げに私に身を寄せる彼女は、美しく儚い。
「少し休もう、お腹は減っていないか?昨日は食べなかったみたいだが」
ついつい構いたくなり、あれこれ口に出すと彼女は、クスクスと優しく笑う。
「大丈夫です、しばらく休んだら一緒に」
そう言って私の胸板に頬をつけ目を閉じると、あっという間に眠ってしまう。
ーーやはり、彼女を離したくない
そう誓い彼女の頭にキスをすると、私も彼女を抱いて眠った。
******************
「代々ムール家では、この花嫁衣裳を着て式をあげる決まりとなっております」
首元から胸までレースの白いウェディングドレスは、プリンセスラインと呼ばれるらしい。
「キース様いかがですか?」
大きな鏡の前で身体をくるくると回し全身チェックをするソフィアに、可愛らしくてつい微笑む。
「ああ、美しい」
「…先程のAラインデザインのドレスの時もそう言ってましたわ」
珍しく髪をアップにして、口を尖らせ拗ねるソフィアに、侍女のショウは
「お嬢様、殿方に言ってもダメですわ、全て美しく見えるのですから」
と変なフォローをされた。
私はこの主寝室でソファーに座り、彼女のウェディングドレスの試着を見ていた。
本当なら式当日に見るものなのだが、離れ難く目をキラキラさせてドレスの裾をあげたり広げたりしているソフィアを見ていたかったからだ。
「試着用のドレスでお好きなラインが決まりましたら、この花嫁衣裳で一度お直しいたします、とても華奢でどのラインも美しいですわ」
側にいるデザイナーがひと言添える。
しばらく鏡の前で悩んでいたソフィアは、くるりと私の方へ向くと、ドレス姿のまま私の元へやってきて隣に座る。2人以上座れるソファーだが、私の身体が大きいためにピッタリと足がくっつく。
「キース様はどちらがお好きですか?」
頬を赤くして私の返事を待つソフィアに、自然と頬が緩む。ひっとソフィアの後ろにいたデザイナーは声を漏らすが、ソフィアはキラキラとした瞳で私を見つめる。
「私は…どちらも美しく似合っていて迷う…そうだなこのプリンセスラインとやらが首筋を隠せるからいいな」
彼女の首筋に指を這わすと、ボンッと真っ赤になる。
「っっ!そっそれはっ」
先程Aラインのドレスを試着した時に、首から肩にかけて赤い印が露わになっていたのだが、侍女もデザイナーも顔色ひとつ変えなかったために、ソフィアも気にしなかったのだが…指摘すると違うらしい。
「それに、胸元が少し開き過ぎているのも、な」
こんなデザインを持ってくるなんてと睨むように、背後に視線を送ると、デザイナーが慌てた。
「ソッソフィア様!これは是非にもプリンセスラインでいきましょう!Aラインですと華やかな結婚式にならないかとっ」
デザイナーの声に、うーん、と顎に手を付けて悩むソフィアの耳の横に垂れた髪で弄ぶ私。
2人に流れる空気は、とても甘いのに気がつかないのは2人だけ。
チラリと私に視線を向けるソフィアは、
「…そう…ですね、せっかくの結婚式ですから華やかにしたいです…このドレスのデザインにします」
にっこりと私に微笑むと、立ち上がるソフィアは、私の頬を両手で挟み私の額にキスをする。
「ありがとうございます、キース様」
そう言ってデザイナーの元へ行くソフィアを呆然と眺めていた私は、今何が起こったのか理解するのに時間が掛かった。
無表情で彼女のを拭うと、彼女に腕枕をして横になった。
「…身体は辛くないか?」
まだ日も高く、室内を明るく照らす。キラキラと宝石のように輝く赤い彼女の髪に指を絡め口づけをした。
「…ええ」
シーツで胸元を隠し、気怠げに私に身を寄せる彼女は、美しく儚い。
「少し休もう、お腹は減っていないか?昨日は食べなかったみたいだが」
ついつい構いたくなり、あれこれ口に出すと彼女は、クスクスと優しく笑う。
「大丈夫です、しばらく休んだら一緒に」
そう言って私の胸板に頬をつけ目を閉じると、あっという間に眠ってしまう。
ーーやはり、彼女を離したくない
そう誓い彼女の頭にキスをすると、私も彼女を抱いて眠った。
******************
「代々ムール家では、この花嫁衣裳を着て式をあげる決まりとなっております」
首元から胸までレースの白いウェディングドレスは、プリンセスラインと呼ばれるらしい。
「キース様いかがですか?」
大きな鏡の前で身体をくるくると回し全身チェックをするソフィアに、可愛らしくてつい微笑む。
「ああ、美しい」
「…先程のAラインデザインのドレスの時もそう言ってましたわ」
珍しく髪をアップにして、口を尖らせ拗ねるソフィアに、侍女のショウは
「お嬢様、殿方に言ってもダメですわ、全て美しく見えるのですから」
と変なフォローをされた。
私はこの主寝室でソファーに座り、彼女のウェディングドレスの試着を見ていた。
本当なら式当日に見るものなのだが、離れ難く目をキラキラさせてドレスの裾をあげたり広げたりしているソフィアを見ていたかったからだ。
「試着用のドレスでお好きなラインが決まりましたら、この花嫁衣裳で一度お直しいたします、とても華奢でどのラインも美しいですわ」
側にいるデザイナーがひと言添える。
しばらく鏡の前で悩んでいたソフィアは、くるりと私の方へ向くと、ドレス姿のまま私の元へやってきて隣に座る。2人以上座れるソファーだが、私の身体が大きいためにピッタリと足がくっつく。
「キース様はどちらがお好きですか?」
頬を赤くして私の返事を待つソフィアに、自然と頬が緩む。ひっとソフィアの後ろにいたデザイナーは声を漏らすが、ソフィアはキラキラとした瞳で私を見つめる。
「私は…どちらも美しく似合っていて迷う…そうだなこのプリンセスラインとやらが首筋を隠せるからいいな」
彼女の首筋に指を這わすと、ボンッと真っ赤になる。
「っっ!そっそれはっ」
先程Aラインのドレスを試着した時に、首から肩にかけて赤い印が露わになっていたのだが、侍女もデザイナーも顔色ひとつ変えなかったために、ソフィアも気にしなかったのだが…指摘すると違うらしい。
「それに、胸元が少し開き過ぎているのも、な」
こんなデザインを持ってくるなんてと睨むように、背後に視線を送ると、デザイナーが慌てた。
「ソッソフィア様!これは是非にもプリンセスラインでいきましょう!Aラインですと華やかな結婚式にならないかとっ」
デザイナーの声に、うーん、と顎に手を付けて悩むソフィアの耳の横に垂れた髪で弄ぶ私。
2人に流れる空気は、とても甘いのに気がつかないのは2人だけ。
チラリと私に視線を向けるソフィアは、
「…そう…ですね、せっかくの結婚式ですから華やかにしたいです…このドレスのデザインにします」
にっこりと私に微笑むと、立ち上がるソフィアは、私の頬を両手で挟み私の額にキスをする。
「ありがとうございます、キース様」
そう言ってデザイナーの元へ行くソフィアを呆然と眺めていた私は、今何が起こったのか理解するのに時間が掛かった。
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