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お出かけ1
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初めて頬にキスをされてから変わった日常。
彼が私の部屋に入り、しばらく話した後頬や額に軽く口づけをして帰る。最初は戸惑っていた触れ合いにも大分慣れてきた。
今日はキースの休みの為、2人でお出かけをする予定だ。体調が良くなかった場合には行かないと散々言われてきたので、早めに寝たし暖かい格好になっている。
何重にも着ている服に、足元までスッポリと隠れるコート、首にはマフラーがぐるぐる巻きにされモコモコの帽子を被っている。靴もファーのついてるため冷える事はないだろう。
玄関ホールへと着くと既に待っているキースが、コートを着ている所だった。
「キース様、お待たせしまして申し訳ありません」
私を上から下まで何度も視線を送り、満足したのか頷いた。
「うむ、では行こう」
当たり前のようにエスコートをされ、風邪をひくからと外出禁止にされていた私は、久しぶりに出る屋敷の外の眩しさに目を瞑った。
「足元、気をつけるように」
歩き出した彼に滑らないように注意して続く。何故か周りの人達もハラハラしながら見守る。そんな様子にくくっとキースが笑う。
「酷いですわ、いくら身体が弱いからって私は全く歩かない訳じゃないです」
ムッと拗ねて口を尖らせる。
「そうだな…みんなの心をあっという間に掴んだな」
目を細め柔らかな表情を見せる事が多くなったキースに、胸がドキドキとする事が増えて戸惑う
ーーキース様ってとってもカッコよくて、本当心臓がいくつあっても足りないと思うわ…それに…
チラチラと彼の唇に視線がいってしまう。カサついた唇にいつも、頬に、額にキスをされている。異性との接触が皆無だった私には免疫がなく、たまに挙動不審になってしまうが…みんなの視線が優しい。
「ソフィア様、どうぞお気をつけて」
寒いはずなのに、外まで出てきたアガサや使用人達に「ありがとう」と伝えた。
「ソフィア殿、段差に気をつけて」
「っあっ!はいっ!」
ぼぅっと彼を見惚れているのに、気が付かれたくなくて元気な声を出すが、多分バレているのだろう。
「ソフィア殿、外で大きな声を出したら、冷えて喉を痛めてしまうよ」
それなのに、注意をされてしまったのだ。
初めて乗るムール家の馬車は、広く豪華で暖かくされていた。ふかふかの赤いクッションは長時間の移動でも身体が疲れにくく、足元には私のふくらはぎぐらいの大きさのミニ暖炉が設置されており、薪がパチパチと赤く燃えている。ミニ暖炉の上には小窓があり、空気の入れ替えが出来ていた。
私の前に座った彼は、膝の上に手を置き拳を作っていた。
「すごいですわ…暖かくて足元も冷えないですね」
「ああ、この日のために準備をさせた…寒くないか?お尻は痛くないか?」
感動している私を他所に彼は不便はないかと聞いてくる。
「この日のため…ですか?普段外出なされてますよね?」
「ああ…普段私が使う馬車はもっとシンプルで、ただ移動するだけだからな…寒さも着込めばなんとかなる」
驚いて目を見開き、彼を見る。
「大丈夫なんですか…?その…私のためにお金を使用してしまって…?」
困惑する私に彼は、ふっと笑う。
「貴方はこのムール家の花嫁ですので」
ボンッと顔が赤くなる私に彼は、私の頬に手を触れた。
親指の腹で頬を撫でて、楽しそうに笑っている。
「~~~~~~っっ!揶揄っているんですかっ!」
私の声が馬車内に響いた。
彼が私の部屋に入り、しばらく話した後頬や額に軽く口づけをして帰る。最初は戸惑っていた触れ合いにも大分慣れてきた。
今日はキースの休みの為、2人でお出かけをする予定だ。体調が良くなかった場合には行かないと散々言われてきたので、早めに寝たし暖かい格好になっている。
何重にも着ている服に、足元までスッポリと隠れるコート、首にはマフラーがぐるぐる巻きにされモコモコの帽子を被っている。靴もファーのついてるため冷える事はないだろう。
玄関ホールへと着くと既に待っているキースが、コートを着ている所だった。
「キース様、お待たせしまして申し訳ありません」
私を上から下まで何度も視線を送り、満足したのか頷いた。
「うむ、では行こう」
当たり前のようにエスコートをされ、風邪をひくからと外出禁止にされていた私は、久しぶりに出る屋敷の外の眩しさに目を瞑った。
「足元、気をつけるように」
歩き出した彼に滑らないように注意して続く。何故か周りの人達もハラハラしながら見守る。そんな様子にくくっとキースが笑う。
「酷いですわ、いくら身体が弱いからって私は全く歩かない訳じゃないです」
ムッと拗ねて口を尖らせる。
「そうだな…みんなの心をあっという間に掴んだな」
目を細め柔らかな表情を見せる事が多くなったキースに、胸がドキドキとする事が増えて戸惑う
ーーキース様ってとってもカッコよくて、本当心臓がいくつあっても足りないと思うわ…それに…
チラチラと彼の唇に視線がいってしまう。カサついた唇にいつも、頬に、額にキスをされている。異性との接触が皆無だった私には免疫がなく、たまに挙動不審になってしまうが…みんなの視線が優しい。
「ソフィア様、どうぞお気をつけて」
寒いはずなのに、外まで出てきたアガサや使用人達に「ありがとう」と伝えた。
「ソフィア殿、段差に気をつけて」
「っあっ!はいっ!」
ぼぅっと彼を見惚れているのに、気が付かれたくなくて元気な声を出すが、多分バレているのだろう。
「ソフィア殿、外で大きな声を出したら、冷えて喉を痛めてしまうよ」
それなのに、注意をされてしまったのだ。
初めて乗るムール家の馬車は、広く豪華で暖かくされていた。ふかふかの赤いクッションは長時間の移動でも身体が疲れにくく、足元には私のふくらはぎぐらいの大きさのミニ暖炉が設置されており、薪がパチパチと赤く燃えている。ミニ暖炉の上には小窓があり、空気の入れ替えが出来ていた。
私の前に座った彼は、膝の上に手を置き拳を作っていた。
「すごいですわ…暖かくて足元も冷えないですね」
「ああ、この日のために準備をさせた…寒くないか?お尻は痛くないか?」
感動している私を他所に彼は不便はないかと聞いてくる。
「この日のため…ですか?普段外出なされてますよね?」
「ああ…普段私が使う馬車はもっとシンプルで、ただ移動するだけだからな…寒さも着込めばなんとかなる」
驚いて目を見開き、彼を見る。
「大丈夫なんですか…?その…私のためにお金を使用してしまって…?」
困惑する私に彼は、ふっと笑う。
「貴方はこのムール家の花嫁ですので」
ボンッと顔が赤くなる私に彼は、私の頬に手を触れた。
親指の腹で頬を撫でて、楽しそうに笑っている。
「~~~~~~っっ!揶揄っているんですかっ!」
私の声が馬車内に響いた。
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