記憶喪失になった私を訳あり後輩くんが離さない

狭山雪菜

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壱哉に明日は抱くと宣言されていたのに、結局はそれは叶わなかった。
壱哉が私を迎えに来た後、夕飯を食べながら親と話していたら帰るのが遅くなって、私の明日の仕事に響くと言われたからだ。どうせ仕事に行ったら次の日は休みだから、我慢すると言われた。かといってキスをしたり抱き合ったりしなかったわけじゃなかったけど、それ以上の触れ合いはしなかった。



「お先に失礼します、お疲れ様です」
「お疲れー」
全く覚えていないわけじゃなかったが…少しずつ仕事の作業をすると、いつもよりは時間が少し掛かったがマニュアルや自分のメモを見ながら出来た。先輩達も私を急かせたりせず、見守ってくれたからちゃんと出来て嬉しい。
多分、壱哉は私の記憶喪失の事を、職場の人に言ってないから、私が慎重な性格なんだと誤解されていると思いながら時間が過ぎた。
定時になって事務所を出ると、いつもなら事務所に顔を出していた壱哉が、事務所の建物沿いにある喫煙所で1人、タバコを吸っていた。
「おお、まいお疲れ様」
無表情に近い変わらない顔なのに、いつもよりも固い声の壱哉を見て壱哉も緊張しているんだと気がついた。
「お疲れ様、他の人は?」
「まだ作業後片付けしてる」
「帰って大丈夫なの?」
「おお、いつもまいと帰る時はそうしてるから」
「えっ?そうなのっ⁈それ大丈夫…?」
「別にいいだろ…社長から許可貰ってるし、俺がまい中心の生活してるの皆にバレてるし」
「はっ?…えっ?!」
さらっと爆弾発言され、びっくりしていると、壱哉は私の肩を抱いて歩き出した。
「ほら帰るぞ、あー疲れたー早くまい・・で癒されたい」
壱哉は大袈裟に話しながら、事務所の駐車場に停めていた車の前に着くと、私の腰に手を回して耳元で私の名前を強調した。
「はっ?」
私がギロッと睨むと、にっと口元を歪ませた。
「当たり前だろ?昨日我慢したし、やっと本当の意味・・・・・でまいと両想いになったんだからな」
本当の意味とは、私が記憶を取り戻したからだと言いたいんだと思うけど、明け透けに言われると、何言ってるんだと呆れる。
「ほら入って」
紳士のように車の助手席側のドアを開くと、私は助手席に座った。






***************



ご飯は何にするかと車内で話した時、壱哉は移動と飲食店でご飯を食べて会計とかすると時間が掛かるから外では食べない、こんな事もあろうかと一昨日冷凍食品買ったと言って、真っ直ぐ家に帰ることになった。
いつもなら確か…そう、私がご飯を作ってる間に壱哉がお風呂に入って、ご飯を一緒に食べて、壱哉が片付けてる間に私がお風呂に入るルーティンだったはずなのに、壱哉は先にご飯と言った。電子レンジでチンレンチンの冷凍の大盛りチャーハンと餃子、私のクリームパスタを順番に温めたら、出来た順に食べ始めた。大した言葉を交わすのもなく黙々と食べ、私が先に食べ終わったのでお風呂へと向かった。食べ終わった壱哉が、服を脱いでいる私のいる脱衣所に割り込んできた。
「ちょっ、と…待っ…て、んっ」
「無理、もう限界」
そう言って下着姿になっていた私が抗議をすると、壱哉は私を背後から抱きしめて口を塞いだ。今日はキスをしてないと思うと、キスに夢中になった。
「あっ、待って」
「まい、髪上げて、洗うのは身体だけだから」
背後を向いてするキスは焦ったくて、壱哉の舌に夢中になっていたら、壱哉から言われたから何の疑問も浮かばずに手首に付けていたヘアゴムで髪をお団子にしてまとめた。その間にも、壱哉は私の肩に両手で撫でながら、キスを落としていく。
「あっ、まだ早いって」
壱哉は私の胸をブラの上から鷲掴みにして、最初は揉んでいたのに、私のブラのカップを下ろすと、乳房を取り出して直接揉むようになった。
肩をすくめて壱哉の手を乳房から退かそうとすると、壱哉は私の頬や首の後ろの頸に舌を這わす。
「あっ、壱哉っ」
「早く入ろっ、まい」
壱哉は私から離れると服を脱ぎ始め、私はその間に下着を脱いだ。お互いすっぽんぽんになると、2人が入るのには少しだけ狭い浴室に入った。
シャワーのコックをひねると、生温かい水が出た。壱哉は私を背後からまた抱きしめると、私の身体を触って私のお尻に自分の腰を押し付ける。
「うそっもう?」
まだ私の胸を触っただけなのに、ガチガチに大きく固くなった昂りをお尻に感じて驚くと、壱哉は、今更だよと開き直った。
「まいで欲情しない時ない」
それはそれでやばいのでは…と口を開こうとしたら、壱哉は私の乳房から下半身へと両手を下ろして、下半身のVラインから太ももの付け根を両手で撫でた。
「あっ…はっ、ん」
甘ったるい声が浴室に響くと、壱哉は私の首筋から肩に舌を這わし、キツく吸い付いたかと思ったら、遅れてチクリ、と痛みが起こった。
お尻にあった昂りが私の太ももの内側に挟まれ、壱哉がボディーソープのボトルに手を伸ばして数プッシュして、薄ピンクの液体を出すと、私の身体に塗りたくった。最初は冷たかったのに、壱哉の手が私の身体の表面に付けるから、ヌルリと滑り泡を立てながら温かくなっていく。
「っ、まい、壁に手…ついて」
「…ん」
壱哉に言われるがまま、目の前にある大きな鏡に手をつけるたら、壱哉にお尻を突き出す格好となった。
お尻にピッタリと重なった昂りをそのままに、壱哉は私の背中からお尻にボディソープを手を這わせ伸ばした。
「まい、身体こっち」
壱哉に言われ身体を起こしたら、彼はシャワーを取ると私や自分の身体に付いたボディソープを流した。
彼がボディソープを流し終わってシャワーを元の位置に戻したのを確かめたら、壱哉の首の後ろに腕を回して抱きついた。
壱哉の頬やこめかみにキスをし、壱哉は私の肩に顔を埋めて舌を這わしながら下半身に手を伸ばして私の蜜口に指先を付けた。ぐるりと蜜口の縁を触り、蜜壺から蜜が溢れているのに気がつくと、蜜壺の中へと指を入れた。
「ん、っ…はっ、あっ」
壱哉の首に抱きつくと、私の上半身が彼の逞しい胸板に当たり、柔らかな乳房が形を変えた。壱哉が私の蜜壺の中に指を入れて中をほぐしていると、私は迫り来る快感に身体が反応して腰が左右横に動く。
「あ…んっ、んっ…はっ」
「まい、っ」
私の口から甘い声が零れると、壱哉は蜜壺の中に入れていた指を抜き私の右足を上げた。壱哉の昂りの先端が蜜口に当てがわれると、壱哉は腰を落として私の蜜壺の中へとスムーズに入れるように、腰を上げた。すると、ずずっと太い昂りが私の蜜壺の中へと入り、彼は私のお尻を掴むと、私を抱き上げた。
「っ、ぁあっ!」
「く…ぅっ、っ」
重量には逆らえられなく、自分の体重で壱哉の昂りを全て受け入れてしまうと、全身に巡った強い快感で身体が強張った。壱哉は私の肩に額を押し付けると、私の体の強張りが弱くなるのを待つ。

「まい、あがるぞ」
しばらくして低く唸りながら歩き始めた壱哉が、脱衣所にあったタオルで私の背中に掛け、浴室から出て一歩ずつ進むと、ずん、ずん、と蜜壺の最奥にある所に壱哉の昂りが当たり、快感が快感を産み頭が痺れる。
「あっ、あっ…んぅっ、っ…あっ!」
無意識のうちに壱哉の腰に足を絡め、両手を思いっきり広げて強く抱きつくと、荒い息を吐いた壱哉が止まって私のお尻を持って上下に揺らして動かした。
「はぁっ、あっんっ、ぅ」
「ぐっ、つ、はっ、思いっきり動かしたいっ、っ」
このままイッてしまいそうになると、壱哉が己の欲望を口にしてまた歩き出した。

「あっ、壱哉っ、ん、んっ、ん」
「はっ、締めるなっ!まいっ、…も…たん」
ベッドに重なって倒れると、私の足を壱哉の腰に巻いていたから彼の重さが加わったのと、軽い衝撃に私は我慢出来なくなってイッてしまった。壱哉は私の上に覆い被さりながら腰を動かして、抽送が始まる。ぴたりと重なった身体は、さっきのお風呂で濡れていたままなのか、どちらかの汗かもわからない。耳元で聞こえる壱哉の余裕のない吐息に、ピークだと思っていた快感が上書きされていく。
「壱つ、あっ、あぁっ、ん」
「まいっ、ま…っ、はっ、ぐっ」
気持ち良くて甘い声を出すことしか今はできない。壱哉の限界も近く、私の肩に口を押し付けたかと思ったら薄く口を開いて肩を噛んだ。
「あっあっぁあっ!」
「まい、っまい、まいっ!」
噛まれた後は頭が真っ白になり、私は絶頂へと達した。すぐに壱哉が私の名を叫ぶように呼ぶと、私をぎゅうぎゅうと強く抱きしめてイッた。


「…まい」
「ん…っ」
壱哉が私の上に乗ったまましばらく時間が経つと、壱哉は私の首筋に顔を埋めた。倦怠感があったけど、腕を上げて壱哉の頭を撫でていたら、彼は私の乳房に手を置いて揉み始めた。
「もう…またするの?…休憩したい」
「終わったらな」
すでに私の蜜壺の中に入っていた彼の昂りが大きくなるのに気がついたから、私はもう少し休みたかったので壱哉の肩を押してみたら、
「…一日2回の約束でしょ?」
その・・約束は平日だけのな」
と、すげなく断られてしまった。
「壱哉」
「まい、後で聞く」
そして壱哉は私の口を塞ぐと、私の言葉を遮った。

抽送が始まった所で、私の意識も壱哉に向かって溺れた。




記憶を取り戻した私は、以前の私が見たらびっくりするくらい壱哉の隣にいるのが当たり前になった。
彼も私が隣に──または、壱哉自分が私のそばにいるのが当然の態度をしていた。いつもは仲良く上手く過ごしていたのに、たまの喧嘩も起こることが増えた。
「信じられないっ!もう別れるっ!」
「んなの無理だし」
「私のスマホを見るなんてっ」
「まいも俺のを見ればいいだろ」
悪びれる様子もない壱哉に怒れば、壱哉は私を背後から抱きしめながら、屈んで私の口に触れるだけのキスをする。
「そういう問題じゃなっ…い」
「…じゃあどういう問題?」
ワントーン低くなった壱哉の声にドキドキして、もう一度唇が重なると、さっきの喧嘩の怒りはどこかへと消えて無くなってしまった。

「まい、しよ」
「う…ん」
だって壱哉から誘われたら、もう断れないほど好きになっていたのだから。
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