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10月 知り合いと会う
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土日は必ず壱哉に会う。それは退院してから変わらない事だが、ベッドを買うと土曜日に壱哉の家に泊まるようになった。
それでも彼は最後の一線を越える事はしなかった。だが、全く触らないという事もしない。平日とは違い、壱哉が帰ってきたら、ご飯を食べた後にお風呂に入るルーチンが出来ている。彼は私とお風呂に入る事を半ば義務化し、私が自分の身体を洗う事さえさせてくれなくなった。私の髪の毛も嬉々として洗い、それなのに自分の身体はテキトーに洗い流していた。
──ここまでくると、挿れられてないだけでえっちしてるだけのような気もする…いやえっちしてる
彼に見られていない所なんてないのに、毎回あちこち触るから、今まで何とも思ってなかった自分の背骨のラインが弱いと知るきっかけにもなった。
「ああ、可愛い、好き」
決して夜の触り方のように、ねちっこくなかったけど、背後から抱きしめられボディーソープの付いた身体に彼の大きな手のひらを這わせられながら、彼の囁く声は熱が籠って私を快感へと誘った。
「…壱哉っここっ触っ」
「だめ、お風呂場でしちゃったら、出れない自信あるから、まいさ、そんな可愛い声でおねだりしないで…俺だって辛いんだよ?」
私が触って欲しいと言う前に、彼はなおも私の身体を直接手で洗った。背後から抱きしめられているから、彼の身体と私の身体はぴたりと重なっているから、壱哉の昂りが固い事なんて分かるのに彼は私のお尻に当たるだけに留まった。
お風呂から上がると、壱哉は私の身体をバスタオルで拭く。彼は私の髪をターバンのように巻いてタオルでまとめると、ささっと私の身体を拭く。その間も私は見ているだけだが、何度か一緒にお風呂に入って慣れてくると、壱哉の身体に抱きつき綺麗になった壱哉の鎖骨辺りをキスをしたり舐めるようになった。私の身体には大きなサイズの壱哉の白いTシャツを着せられ、もちろん下着なんぞ身につけない。彼はパパッと自分の身体を拭くと、ボクサーパンツとグレーのスウェットのズボンを手早く履いて私を抱き上げた。そのままソファーまで行くと私を床に下ろして、事前に準備してあったドライヤーで私の髪を乾かし始める。大きな音を立てながら暖かい風が髪をある程度乾かすと、私は私の横にある壱哉の足に自分の頭を乗せた。しばらくすると私の頭から暖かい風がなくなり、壱哉が自分の髪を乾かし終わるとドライヤーの音が止んだ。
「終わった?」
「ああ、ばっちり」
そう言って私の首筋に顔を埋めながら、背後から私を抱きしめながら壱哉は床に座る。
私が振り向くと口を塞がれて、舌の絡まる濃厚なキスの時間となる。
お風呂後30分くらいしたら歯を磨いて、22時と早い時間にベッドに入りいちゃいちゃタイムに入るのだ。
壱哉の家には敷布団はあってもベッドなんてなかったのに、シングルサイズのこれも購入したばかりだ。ベッドフレームのデザインとか大きさは壱哉が決めたが、マットレスと掛け布団と枕とかの寝具は2人でお店で決めた。平日もゆっくり壱哉が休めるように、深い濃緑のお布団とそれに合わせたベットカバーと枕にした。シングルサイズだから2人で寝るには窮屈だが、抱き合って眠れば寝れなくはない。
彼の腕枕で横になると、肘を曲げた壱哉の二の腕に頭を乗せて、上半身裸の彼の胸に抱きつく。壱哉は私の頭のてっぺんに手のひらを乗せると、私の頭を片腕で抱きしめた。
「まだ…ダメ?」
「ふふっ、だめ」
くすくすと笑いながらキスをして、Tシャツの中に手を入れる壱哉は、私の太ももを下から上へと撫で始めた。私がまだこの楽しい時間を終わらせたくなくて、壱哉の手を止めるてダメと言うと、彼は私の足を持ち上げて自分の腰に私の足を掛けた。文字通り絡み合って横になっている私達は、しばらくお布団の中で戯れていたが、壱哉の胸にブラをつけていない私の胸が当たった拍子に2人を纏う雰囲気が一変した。
「なんか固いの当たったよ」
そう囁いた壱哉は、私の首筋に舌を這わし始め、ブラをつけていない胸をTシャツの上から揉み始めた。大きな手が私の乳房を触ると、ぐにゃっと形が変わって彼の手の間からはみ出す。
「やっぱりまいのおっぱいは柔らかくて、極上だね、ずっとこうして触っていたい」
壱哉は艶のある低音を私に聞かせながら囁くと、私の首の下から腕を抜き、仰向けに寝かせると私の上へと覆い被さった。彼は私の唇に一度啄むだけのキスをすると、揉んでいた手を退かして、Tシャツの上から私の乳房を口にして強く吸い付く。
「あっ…んっ、っ」
口にしていない方の乳房は彼の手によって揉まれ、壱哉の唾液で濡れたTシャツが私の乳房に張り付く。すると、私の肌とは違う色の乳房の粒が浮き出て、壱哉は愛おしいそうにそれをまたTシャツごと口にして、ちゅうちゅうと吸い付く。壱哉の頭を抱きしめ、口からとめどなく溢れる甘い声が次第に大きくなっていて部屋に響いていく。乳房を充分に堪能したらしい壱哉はお布団に潜ると、Tシャツの裾を上げて直接乳房を口にするが、今度はそんな長い時間をかけず、だんだんと私の下半身へと近づけていく。
「ぁあっ!はっ」
もうくる、とあらかじめ枕に手を伸ばして掴むと、ちょうど壱哉が私の下半身に顔を埋めて強く吸い始めた。一瞬のうちに身体中に流れた電流のような強い快感に達すると、壱哉の下が私の蜜口を舌で辿る。啜るような音が聞こえて、蜜口の縁を丁寧に舐められると、達していた私の身体の火照りが治らないどころか余計に熱くなる。快感から逃れようと腰を引くと、壱哉は私の下半身を追いかけて、腰をガッチリと掴み固定した。ねっとりとした舌遣いに、気がおかしくなりそうな快感が続く。チラッと視線を向けると、私の胸の下から掛かっている布団がもぞもぞと動いていた。
「はぅっ!壱っ、やっ」
壱哉の舌が私の蜜壺に入ると、熱くて柔らかいのに芯がある物が私の中を蠢く。その時にはもう快感で蕩けた身体は、恥じらいを捨て貪欲に快感を求め始める。壱哉の肩に太ももを置くと、自然と腰が快感が強く起こる場所へ壱哉の舌を誘導するように動き出した。枕から手を離して布団の中に手を入れて彼の頭に手を置いて自分の下半身に顔を埋める壱哉を、今触れて欲しい所に少しずつズラした。
彼は私が触れて欲しいと感じた所を丹念に舐めると、私の身体をひっくり返して今度はお尻と太ももを舐めたり手のひらで触る。その後にお尻を上げさせられると、壱哉に向かってお尻を突き出す格好となると、壱哉はお布団から出ると私の突き上げたお尻に自身の昂りを添えた。
「…壱哉」
「平気、怖くないから」
そう言って私の背中にキスを落とすと、私がベッドの上についた膝の外側に自分の膝を立てると、腰を掴みお尻の間に昂りを擦り付けて、抽送しているように腰を前後に動かし始めた。熱い昂りが蜜口や太ももの付け根に当たり、快感と似たムラムラとした変な気分になっていく。
「はっ、っ」
時々聞こえる壱哉の気持ち良さそうな声と、ぱんぱんっとお尻に当たる壱哉の固い腰が私の頭の中をいっぱいにしていく。
──何これっ、何にも考えられない
壱哉が私に欲情していると思うと、たまらなく嬉しいし、この時間は彼のする事全てが私が余計な不安や心配を無くしてくれる。手をベッドにつけて上体を上げて左に振り向くと、壱哉は私の腰を掴んだまま屈み、私の口を塞いだ。舌を出すと舌を強く吸われて、ジンッと頭が痺れる。
「あっ、んぅっ」
「もう、イくからもうしばらく待って」
壱哉は私の口から名残惜しく離れると、私の腰から手を離し私を起き上がらせて、私のお腹に手をクロスして置き直し、私の左肩に顎を乗せて鼻先を首筋に埋めると腰の動きを再開させた。ぴたりと私の背中にくっついた彼の体温が心地よくて、壱哉の手の上に自分の手を重ねると、彼は私の指先を自分の指先と絡めた。
彼の昂りの先端と側面の間の凸凹した所が私の蜜口の粒に当たり、私も気持ち良くて蜜が溢れて滑りが良くなっていく。
「ぐっ、っ、まいっ…それっやばいって」
低く唸った彼が私のお尻にくっつくと腰が重なり、熱い証が私の内股を濡らしていく。私の蜜口もきゅんと締まり、彼のドクドクと血管が波打つ側面に吸盤みたいにくっついた。
歯を食いしばり苦しそうな壱哉に、骨が折れそうなくらい力いっぱい抱きしめられながら私も快感の波がやってきた。
「ああっ!…っ」
徐々に抱きしめられる腕の強さも弱まると、私の息も荒いまま顎を掴まれ後ろを向けさせられた。歯が少しぶつかるが、それもお構いなしにヌルッとした分厚い舌が私の口内に入り、口内を舌が蹂躙した。私は左腕を上げて壱哉の頭に添えると、壱哉の両手が私の乳房を揉み始めた。
「…ンッ、っ」
「もう一回だけ付き合って」
壱哉はそれだけ言うと、私の首筋を舐め始めた。一度で終わるはずがないと分かっていたから、私は壱哉の愛撫に身を委ねた。
***************
「あれ?まい?」
日曜日に壱哉と大型ショッピングモールを歩いていると、突然見知らぬ男から声をかけられた。男を見ると、金髪の頭と腰に履いた足の横にハイビスカスの花があるスウェットと同じデザインのパーカーを着ていた。見覚えはないのだけど、声を掛けてきたって事は私の知り合いなのだろう。どうしようと固まって返事をしない私に近づいてくると、私の前にまで来て止まった。
「久しぶりじゃん、何してるの?」
「あ…えっと、買い物を」
「何その感じー引いてんの?あははっ」
気さくに話しかけてくる彼は、私の返答がおかしかったのかいきなり爆笑した。
「最近見ないし、連絡もないからどうしたのかと思ってたよ、っつーかすごい見た目変わったな…やっぱり諦めたの?」
私の頭から足の先まで見ると、不思議な物を見たような眼差しを私に向ける。そして、一言ポツリと言った言葉が、聞き捨てならなくて私も彼に聞き返した。
「…諦めた?」
「そそ、しつこい後輩いたじゃん、なんだっけー、えーっとえー…」
「…もしかして、壱哉のこと?」
「そーそー、それそれ!イチヤ、イチヤ!」
明世も言っていた言い寄ってくる男──壱哉の名前を出すと、男は大袈裟に頷いた。
「そっかー、ついにか…粘り勝ちだな…それもその感じもイチヤの趣味なの?」
「それ?」
私が首を傾げると、私の服装を指差した。
「その服装だよ、いつも派手だっからさ、知らない人かと思ったや、本当、いやー、その服も似合うなー」
「あ…ありがとう」
褒められて嫌な気持ちにならなくてお礼を言うと、
「おー、まいがお礼を言ったよー!んじゃそろそろ行くわ!後で連絡するよ、またなー」
と言って、笑いながら早口で喋り私の前からいなくなってしまった。
弾丸のように喋りまくる男の人は結局最後まで名前がわからなかったけど、私が記憶喪失なのを知らなかったみたいだった。
──明世から聞いてないのかな…?
そもそも私の交友関係と明世の交友関係は同じなのだろうか、と思っていると、突然後ろから抱きしめられた。
「…うわっ」
「お待たせ、1人にしてごめん」
私を強く抱きしめて私のこめかみにキスをした壱哉の声は、心なしか固くなっている。
「ううん…もう終わった?」
「ああ、あとは今週中にくる発送日の連絡を待つだけだよ」
今日このショッピングモールに来たのは、壱哉が新たにスタンドの照明を買うと言っていたからだ。保安灯の灯りが暗いから、まいの身体がよく見えないと、インテリアとしても置けるフロアライトを購入しに来たのだ──かといって私が電気を付けるなんて言うはずがないのを彼は知っている。
だが壱哉が店頭に在庫がないから、直接自宅への配送手続きをスタッフとしているときに、私がお手洗いに行きたくなったから壱哉から離れて、さっき歩いている時に知らない人に声をかけられたのだった。
「…もう帰ろうか、ご飯は帰り道でもいい?」
「あ、うん」
毎回ショッピングモールに来ると、ご飯はフードコートかレストランに行くのに、今日は違うらしい。壱哉に手を引かれて歩き出すと、私は私に声を掛けてきた人が消えた方角を見た。
──なんだか、私は大事なことを忘れてるのかもしれない
親や友人も忘れちゃうのも問題だが、他にも何か大事なことを忘れていると、この時思った。
それから口数の少なくなった壱哉とステーキハウスでご飯を食べて、壱哉の家へと帰った。
家に帰る頃には壱哉はいつもの彼になって、他愛のない話も始まる。そして私が帰る時間となると、家まで送ってくれた。
***************
次の日の月曜日、なんだか昨日の知らない人から言われた事が気になってしまって、明世に連絡をすると明世とその日の夜に会う約束をした。
明世と会うために着る服やバッグの準備をしていると、宅配便が届いた。私宛の壊れたスマホの修理が終わったから、送られてきたのだ。
──すごいタイムリーじゃん
明世に聞きたいと思っていた事が他にはないかと、修理されたスマホの中を見ようと充電をした。
その間に修理会社が同封した紙を見て、何が直ったのかを確認した。
──バックアップはもう取っていた分は今のスマホにあるから…私が見たいのは…
バックアップした直後から事故直前にあったデータを見たいのだ。スマホ自体が壊れて──専門家じゃないから、画面のヒビが凄くて電源が付かないとしかわからないけど、どうにか電源が付くようにして欲しかったのだ。幸いにも、事故の時のスマホはバッグの中だったから、粉々になる事はなかったが、バッグの中でもヒビが入って電源が消えるなんて、相当すごい事故だったんだなと改めて思った。事故前後の記憶がないのが不幸中の幸いかもしれない。だって覚えていたら、今以上に車が怖くなって外に出歩かなくなるからだ。
スマホの起動する音がして画面をタップして操作をすると、初期化された最初の画面となった。スマホ画面から案内された手順を辿って操作すると、無事にログインが出来て、自動で再起動する。『ようこそ、まいさん』と表情された後は、今持っているスマホと同期が始まる。
しばらくすると、自由に操作出来るようになって、私はSNSのメッセージアプリを開いたが、やはりこれはバックアップ後から事故直前までのやり取りは残っていなかった。
それならと、通話記録を見たら、初めからやったから誰にも発信していない新規のページしか表示されない。
「うーん、あとは」
と、悩みながら写真のあるフォルダーを何気なく見たら、数枚だけ奇跡的に残っていた。私が撮ったらしきご飯の写真と、どこかの海に日が沈む所の赤い太陽の夕焼けの風景、そして一枚だけのSNSのメッセージアプリのトーク画面のスクリーンショットがあり、スクショを見てみると壱哉とのやり取りが写真に収まっていた。
『また嫌がらせをするの?』
と始まった私の怒りのスタンプと共に送ったコメントの数時間後に、壱哉からは
『まいを大事にしなそうな変なやつだったから』
とシンプルな絵文字もない文字が送られ、私がすぐに返信をしている。
『なんなのよっ、私が何をしたっていうのっ?!』
送ると、壱哉もすぐに返信を返してくる──しかも二つの文を送って、
『俺を怒らせた』『二度と許さない』
それに私は涙のスタンプを送っていた。
『だから謝るって何度も言ったよ』
『謝罪なんかいらない 俺は許す気がないから 謝られても意味なんかない 俺はまいを』
途中で途切れた言葉の続きはもう写真には載っていなくて、次の写真を見ようと画面を動かしても、出てこない。
「…どういうこと?」
過去の私が分かるどころか、余計に混乱してしまう結果となった。何度も何度もスクショした画像を見ても、これ以上の情報も得られないと判断した私はこのスマホに入っていた貴重な数枚をバックアップデータに移行した。
***************
「…私ってさ、もしかして人様に迷惑かけてた?」
「ぶっ、何それ」
おしゃれなカフェに来た私と明世は、テラス席でそれぞれ頼んだカフェラテを飲んでいた。私が明世に話しかけると、明世は飲んでいたカフェラテを吹き出してしまう。
「それはない…と思うけど…それは…どうしてそう思ったの?」
「別に…なんかそんな気がして」
「あははっ!また何かあったのね?」
具体的な何かはわからないけど、壱哉に許さないとメッセージで送られて来たのだ。何か恨まれる事をしたのだと思う。壱哉にもやっているなら、他の人にもやっている可能性が捨てきれなくて、それとなく明世に聞いたら笑われた。
「…直ったスマホ見てたら…なんか怒らせちゃったトーク画面のスクショがあったから」
「ふむふむ、それは後輩君のことね」
誰のとか分からないように濁して言ったのに、明世には一発でわかってしまい意味がない。バレたのならしょうがないと、明世に実際のスクショを見せると、うーむ、と悩む。
「変な部分をスクショしちゃったから、そう見えるだけで、実はそんな怒ってないんじゃないかな」
「でも許さないって書いてあったし」
「…直接後輩君に聞かないとわからないけど…まいは絶対に後輩君の電話に出てなかったから…やり取りが残ったのかもしれないね」
「そうなの?」
私が壱哉の電話に出なかった事実を知って驚いた。だって壱哉からは、私が壱哉に怒っていると聞いたが、電話に出ないとかそんな話を聞いた事がない。
「そそ、まいは『壱哉と話すと丸め込まれる』って言ってたし」
「…まぁ、確かに」
決して壱哉から強要されたわけじゃないが、彼はにこにこ笑いながらも自分の我を通す。私がバイトをしないのも、彼の家に泊まるのも結局は壱哉の希望通りになっているのに気がついた。
「まあ、いいんじゃない?まいに不満がないなら」
「…不満…か」
むしろ私のために色々買ってくれるし、料理や掃除などもしなくていいとまで言われているから不満なんて感じた事なんか一度もない。壱哉の家に行くのはリハビリも兼ねていたけど、私は嫌だなとか思った事がなかった。
「そそ、まいはぐるぐる考えて行動しないし、してもいつも変な方向へと行くしね」
「それ酷いー」
「あははっ」
悩む私を見て明世が揶揄って、私が口を尖らせると、思わず2人して笑った。その後にお互いの近況や次に会う約束をして明世と別れた。
実家の方に帰ろうと歩いていると、私のスマホがブルブルと震えてマナーモード中の着信を知らせた。発信者を見ると壱哉からで、時計を見ると15時3分だった。
「はい、うんもう帰る…ん?実家の方…でも今日は…わかった、うん、壱哉の家に行くよ…はーい、仕事頑張ってね」
壱哉に言われたのは、今日は彼の家に行って欲しいとの連絡だった。電話を切った後に母に電話して壱哉の家に行く事にしたのと、もしかしたら泊まるかもしれないと伝えた。明世と話すのが楽しかったけど、やっぱり道中歩いてると無意識のうちに神経を尖らせてしまうからどっと疲れた。今日は平日だけど、急に彼の家に行く事になったから壱哉に実家に送って貰うのも申し訳ないと思いつつ、とにかく安全な場所で休みたくなった。
「悪い…起きた?」
「うう…ん、ごめん寝ちゃってた…おかえり」
歩く音と何かを置いたりした音が聞こえて、閉じていた瞼を上げると壱哉が私の眠るベッドの横の床に座っていた。お風呂を入ったのか、いつもの白いTシャツとグレーのスウェット姿と若干頭が濡れているのかしっとりとしていた。私は起き上がると、壱哉の座っている右横に座ると壱哉の腕に頭をつけた。
「…お風呂も借りた」
「ははっ、好きに使っていいって」
壱哉と私の前には小さなサイズのローテーブルがあって、いつから飲み始めていたのか、その上には缶ビールと注いだビールが半分に減ったグラスが載っていた。
「ご飯も作ってないや」
「いいって、ならデリバリー頼むか」
壱哉はスマホを取り出すと、デリバリー専用のアプリを開いた。
彼の姿を見ながら、この家に来てからの自分の行動を思い出した。壱哉の家に着いてすぐにシャワーを浴びて、あらかじめこの家に置いていた自分の下着と壱哉の紺のスウェットとズボンに着替えて、少しだけ横になるはずが…がっつり寝てしまっていた。
「ピザでいい?」
「…うん」
壱哉が私の方を向いた時、彼を見ていた事に気づかれ、私が返事をすると、壱哉の顔が私の顔に近づいて触れるだけの唇が重なるキスをした。一度だけじゃ足りるはずはなく、もう一度重なると壱哉の首に右腕を上げて抱きついた。口を薄く開けると、壱哉の好きな苦いビールの味と一緒に厚い舌が私の口内に入った。私の歯列、頬の内側や上顎に舌を這わされ、私は壱哉の舌をちゅうと吸った。壱哉はスマホを置いて身を乗り出すと、私をベッドの側面に背中をくっつけ、私の頬に左手を添えた。左腕を上げて、今度は壱哉の首に抱きついた。
「…っ、ん」
顔の角度を何度も何度も変えて、口内隅々まで壱哉の分厚くて熱い舌が這う。
お互いある程度キスに満足すると口が離れて、額が重なる。
「…っ、どうする?ご飯」
2人きりの夜にしか聞けない壱哉の濡れた声が、私の耳から腰に直撃する。
「私は…壱哉が食べるなら…っ食べる」
私が返事をしている間にも、壱哉は私の髪を掻き上げて首筋を露わにすると、顔を埋めて舌を這わす。そして私の身体には大きなスウェットの中に手を入れて、私の肌に直接触れた。
「ふっ、なら今日は俺はいいや」
どっちでもいいといいながら、壱哉の首に回した手に力を入れると壱哉は笑う。彼が笑うと私の首に、壱哉の息と彼の歯が当たる。
腰を上げると壱哉が私を抱き上げて、彼の足の上に跨って向かい合わせで座った。
壱哉の頬に両手を添えると、彼の口に自分の口を付けて、舌の絡まるキスを再開させた。彼は私の服をたくし上げるとキスを中断させて脱がせ、もう一度口が重なってしばらくすると、今度は自分の服を脱ぐためにキスが中断された。
「っ、ふふ…ごめんもうないよ」
「っばか」
キスを中断させられて不満だったのがバレたのか、壱哉が私を揶揄うと口を尖らせてしまう。それすら面白いのか、壱哉は私を抱きしめながら胸に顔を埋めた。
壱哉の少し濡れた髪を撫でると、壱哉は谷間を舐め始める。彼がブラを付けた背中に手を回してブラのフックを外すと、私は締め付けがなくなって緩くなったブラの肩紐を取ると脱いで、私達の足の横にある2人分の脱いだ服の上に落とした。壱哉は私の乳房を大きな手のひらで包むと、優しく揉み始める。そのまま私の胸を寄せて、谷間になって盛り上がった乳房に舌を這わしながら、時々強く吸うものだからチクリとした痛みを感じた。跡をつけられていると気がついたが、壱哉の髪の中に手を入れて彼の頭のてっぺんに唇を押し付けた。
「っ、は…っ…んっ」
乳房を揉まれ、吸われて跡をつけられながら熱い舌が這う。壱哉の指先もバラバラに私の乳房を押して、指先を曲げて乳房の中央にある粒を爪でカリカリと掻かれる。じわじわと快感が身体の中から生まれていくと、他の所も触って欲しくなって浅ましく腰が動いてしまう。私が膝を立てて腰を上げると、壱哉の口の前に移動した乳房の粒を彼は口の中に入れ、壱哉の右手が背骨のラインを辿ってスウェットと下着の間に忍び込む。彼の大きな右手の指が私のお尻の割れ目をなぞると、きゅんと下半身が疼くのを感じてしまう。思わず彼の肩に手を置いて、快感を求めて壱哉の手に自分のお尻を追いかけた。そうすると、お尻を突き出して壱哉の顔に胸を押し付けてしまう格好となった。壱哉は私の胸から顔を上げると、私の口を塞ぐ。荒々しく余裕のないキスに私も夢中になって返すと、お尻の割れ目を上下になぞっていた彼の指が私の下着の中に入り、指がお尻から蜜口へと吸い込まれるように移動した。
「あっ…はっん…っ」
「気持ちいい?これ、好きだよね?」
蜜口を2本の指先で広げた壱哉は、溢れてきた蜜を他の指につけながら前後に擦り始める。蜜壺から溢れる蜜がぬるぬると彼の指を濡らして、滑らかに蜜口を擦る動く指を感じて、羞恥よりも気持ちよさが勝つ。じわじわと広がる快感から、一気に身体中を巡る快感は強烈で、合わさっていた唇を離すと、壱哉は私の首筋を甘噛みをする。
壱哉の肩から手を離して、私の身体の真下にある彼の腰当たりのスウェットのズボンに触れたら固いものがそこにあった。指先でズボンのゴムの隙間から手を入れると、壱哉のボクサーパンツに当たり、指先でボクサーパンツのフロント部分にある隙間に手を入れたら、彼の昂りが熱を持っていた。私が昂りを握ると彼の肩は反応して、昂りを握ると壱哉から腰が少し上がり私の手のひらに押し付けられた。
「っぁ、はっ…あっ!」
彼の昂りを上下に擦ると、壱哉が私の蜜壺の中に指先を埋めていく。急に入ってきた指先をぎゅう、と締め付けると、彼はもう一つ指を増やした。指の腹で蜜壺の内側をこすりながら、奥へと進む。そうなると、もう快感で力の入らない膝で立つのが辛くなり、壱哉の座る横に手をつけた。
「…っ、まいっ、舐めて」
壱哉はズボンをズラすと、昂りを取り出した。天井にそそり立つ赤黒い昂り。側面は血管が浮き出て凸凹していて、先端からは透明なツユが出ている。
「ん、っ」
チラッと壱哉を見ると、彼は眉を寄せて苦しそうなのに、瞳の奥に欲情の色が見えた。彼の足の間で正座して壱哉の下半身に顔を近づけて、昂りの側面を右手で握り、先端を口にすると、独特の味が口内に広がった。舌で先端を舐めると、壱哉の唸る声がする。手のひらにある昂りの側面にある血管が、ドクドクと脈を打ち、手の中が熱くなっていく。下から上へと舌を這わせ、手のひらで、ぎゅっと軽く握ったり、全ては口に入らないから先端を口の中に入れて吸い付いてみる。
「まいっ、こっち…も」
低い余裕のない声に嬉しくなって、彼の昂りに集中していると、彼の手が私の身体を触る。壱哉に言われるがまま、正座していた足を崩すと、彼は私の足の方に頭を先に身体を倒した。
「…っこれっ」
「まいにばっかり気持ち良くしてもらうのは悪いから」
などと言っているが、私の戸惑いなんて彼は無視をして、私のスウェットをズラして、下着ごと右脚から脱がした。
「まい、舐めて」
と、彼は私の足の間に頭を入れると、下半身に直接口をつけた。ヘソから下生えのある所まで丁寧に舐められ、下生えに壱哉の鼻が埋まる。下生えに隠れた蜜口を甘噛みされたあとに、彼の舌が私の蜜口の縁を辿り溢れる蜜を啜る。
「っ、んっんんっ」
全身が痺れて思うように身体が動かせないが目の前にある昂りを口にすると、ちゅうと吸い付く。歯が当たらないようにしていると、舌の奥に昂りの先端が入った。彼の昂りが私の口内をいっぱいにして、苦しいのになぜか愛おしいと思ってしまうのから不思議だ。吸い付きながら舌を動かして、昂りの側面に舌を這わしていると、壱哉の腰が緩やかに動き始める。
「はっ、あっあぅっ、んっ」
壱哉はというと、私の腰に腕を回してガッツリと掴み、私の蜜口に舌を入れていた。2本の指を入れ、蜜をかき混ぜるように指先をぐるぐると回して、溢れる蜜を啜り続ける。気持ち良過ぎて壱哉の昂りを口から離すと、壱哉の昂りの付け根に鼻を寄せて昂りを握ったまま甘い声が口から溢れた。私の声が上がるたび、壱哉の指が蜜壺の奥へと入って抜き差しを行う。私の腰も揺れ始めると、壱哉が私の下半身から顔を上げた。
「まいっ」
起き上がった壱哉は私の方を向いて、上体を屈めてキスをする。壱哉の舌で私の舌をなぞり、お互いの舌を貪るように求めたら、そのまま壱哉に背を向けるように誘導されてベッドに上半身をつけると、お尻の間から太ももの付け根に彼の昂りが入った。お互いの舌を求めていたが、壱哉の腰が前後に動き出すと、昂りの先端が太ももに擦り付けられた。壱哉が両手で、私の乳房を背後から揉みながら腰を打ちつける。乳房を刺激され凸凹した昂りの側面が蜜口を行き来し、熱いし蜜口から出た粒を掠めるから気持ちよくてしょうがない。
「あっ、ん、ん」
「はっ、まいっ…くっ」
ぱんぱんっ、と激しく私のお尻に壱哉の腰がぶつかる。次第に早くなっていくと、壱哉が唸る声をあげて私を背後から強く抱きしめる。しばらくすると内ももに熱い飛沫を感じ、繋がっていないのに私も壱哉に遅れて達した。
「ん、まい」
壱哉は私の上に覆い被さると、私の顎を掴み背後を向けさせてキスをした。啄むキスと重なるキスが続くと、頭が冷静になっていた。
──どうして…私の事許さないの…?
だけど…頭によぎったスクショしたSNSのメッセージアプリの壱哉の返信は、内ももにある昂りが太くて固くなっていくのを感じると頭の隅へと追いやられた。
それでも彼は最後の一線を越える事はしなかった。だが、全く触らないという事もしない。平日とは違い、壱哉が帰ってきたら、ご飯を食べた後にお風呂に入るルーチンが出来ている。彼は私とお風呂に入る事を半ば義務化し、私が自分の身体を洗う事さえさせてくれなくなった。私の髪の毛も嬉々として洗い、それなのに自分の身体はテキトーに洗い流していた。
──ここまでくると、挿れられてないだけでえっちしてるだけのような気もする…いやえっちしてる
彼に見られていない所なんてないのに、毎回あちこち触るから、今まで何とも思ってなかった自分の背骨のラインが弱いと知るきっかけにもなった。
「ああ、可愛い、好き」
決して夜の触り方のように、ねちっこくなかったけど、背後から抱きしめられボディーソープの付いた身体に彼の大きな手のひらを這わせられながら、彼の囁く声は熱が籠って私を快感へと誘った。
「…壱哉っここっ触っ」
「だめ、お風呂場でしちゃったら、出れない自信あるから、まいさ、そんな可愛い声でおねだりしないで…俺だって辛いんだよ?」
私が触って欲しいと言う前に、彼はなおも私の身体を直接手で洗った。背後から抱きしめられているから、彼の身体と私の身体はぴたりと重なっているから、壱哉の昂りが固い事なんて分かるのに彼は私のお尻に当たるだけに留まった。
お風呂から上がると、壱哉は私の身体をバスタオルで拭く。彼は私の髪をターバンのように巻いてタオルでまとめると、ささっと私の身体を拭く。その間も私は見ているだけだが、何度か一緒にお風呂に入って慣れてくると、壱哉の身体に抱きつき綺麗になった壱哉の鎖骨辺りをキスをしたり舐めるようになった。私の身体には大きなサイズの壱哉の白いTシャツを着せられ、もちろん下着なんぞ身につけない。彼はパパッと自分の身体を拭くと、ボクサーパンツとグレーのスウェットのズボンを手早く履いて私を抱き上げた。そのままソファーまで行くと私を床に下ろして、事前に準備してあったドライヤーで私の髪を乾かし始める。大きな音を立てながら暖かい風が髪をある程度乾かすと、私は私の横にある壱哉の足に自分の頭を乗せた。しばらくすると私の頭から暖かい風がなくなり、壱哉が自分の髪を乾かし終わるとドライヤーの音が止んだ。
「終わった?」
「ああ、ばっちり」
そう言って私の首筋に顔を埋めながら、背後から私を抱きしめながら壱哉は床に座る。
私が振り向くと口を塞がれて、舌の絡まる濃厚なキスの時間となる。
お風呂後30分くらいしたら歯を磨いて、22時と早い時間にベッドに入りいちゃいちゃタイムに入るのだ。
壱哉の家には敷布団はあってもベッドなんてなかったのに、シングルサイズのこれも購入したばかりだ。ベッドフレームのデザインとか大きさは壱哉が決めたが、マットレスと掛け布団と枕とかの寝具は2人でお店で決めた。平日もゆっくり壱哉が休めるように、深い濃緑のお布団とそれに合わせたベットカバーと枕にした。シングルサイズだから2人で寝るには窮屈だが、抱き合って眠れば寝れなくはない。
彼の腕枕で横になると、肘を曲げた壱哉の二の腕に頭を乗せて、上半身裸の彼の胸に抱きつく。壱哉は私の頭のてっぺんに手のひらを乗せると、私の頭を片腕で抱きしめた。
「まだ…ダメ?」
「ふふっ、だめ」
くすくすと笑いながらキスをして、Tシャツの中に手を入れる壱哉は、私の太ももを下から上へと撫で始めた。私がまだこの楽しい時間を終わらせたくなくて、壱哉の手を止めるてダメと言うと、彼は私の足を持ち上げて自分の腰に私の足を掛けた。文字通り絡み合って横になっている私達は、しばらくお布団の中で戯れていたが、壱哉の胸にブラをつけていない私の胸が当たった拍子に2人を纏う雰囲気が一変した。
「なんか固いの当たったよ」
そう囁いた壱哉は、私の首筋に舌を這わし始め、ブラをつけていない胸をTシャツの上から揉み始めた。大きな手が私の乳房を触ると、ぐにゃっと形が変わって彼の手の間からはみ出す。
「やっぱりまいのおっぱいは柔らかくて、極上だね、ずっとこうして触っていたい」
壱哉は艶のある低音を私に聞かせながら囁くと、私の首の下から腕を抜き、仰向けに寝かせると私の上へと覆い被さった。彼は私の唇に一度啄むだけのキスをすると、揉んでいた手を退かして、Tシャツの上から私の乳房を口にして強く吸い付く。
「あっ…んっ、っ」
口にしていない方の乳房は彼の手によって揉まれ、壱哉の唾液で濡れたTシャツが私の乳房に張り付く。すると、私の肌とは違う色の乳房の粒が浮き出て、壱哉は愛おしいそうにそれをまたTシャツごと口にして、ちゅうちゅうと吸い付く。壱哉の頭を抱きしめ、口からとめどなく溢れる甘い声が次第に大きくなっていて部屋に響いていく。乳房を充分に堪能したらしい壱哉はお布団に潜ると、Tシャツの裾を上げて直接乳房を口にするが、今度はそんな長い時間をかけず、だんだんと私の下半身へと近づけていく。
「ぁあっ!はっ」
もうくる、とあらかじめ枕に手を伸ばして掴むと、ちょうど壱哉が私の下半身に顔を埋めて強く吸い始めた。一瞬のうちに身体中に流れた電流のような強い快感に達すると、壱哉の下が私の蜜口を舌で辿る。啜るような音が聞こえて、蜜口の縁を丁寧に舐められると、達していた私の身体の火照りが治らないどころか余計に熱くなる。快感から逃れようと腰を引くと、壱哉は私の下半身を追いかけて、腰をガッチリと掴み固定した。ねっとりとした舌遣いに、気がおかしくなりそうな快感が続く。チラッと視線を向けると、私の胸の下から掛かっている布団がもぞもぞと動いていた。
「はぅっ!壱っ、やっ」
壱哉の舌が私の蜜壺に入ると、熱くて柔らかいのに芯がある物が私の中を蠢く。その時にはもう快感で蕩けた身体は、恥じらいを捨て貪欲に快感を求め始める。壱哉の肩に太ももを置くと、自然と腰が快感が強く起こる場所へ壱哉の舌を誘導するように動き出した。枕から手を離して布団の中に手を入れて彼の頭に手を置いて自分の下半身に顔を埋める壱哉を、今触れて欲しい所に少しずつズラした。
彼は私が触れて欲しいと感じた所を丹念に舐めると、私の身体をひっくり返して今度はお尻と太ももを舐めたり手のひらで触る。その後にお尻を上げさせられると、壱哉に向かってお尻を突き出す格好となると、壱哉はお布団から出ると私の突き上げたお尻に自身の昂りを添えた。
「…壱哉」
「平気、怖くないから」
そう言って私の背中にキスを落とすと、私がベッドの上についた膝の外側に自分の膝を立てると、腰を掴みお尻の間に昂りを擦り付けて、抽送しているように腰を前後に動かし始めた。熱い昂りが蜜口や太ももの付け根に当たり、快感と似たムラムラとした変な気分になっていく。
「はっ、っ」
時々聞こえる壱哉の気持ち良さそうな声と、ぱんぱんっとお尻に当たる壱哉の固い腰が私の頭の中をいっぱいにしていく。
──何これっ、何にも考えられない
壱哉が私に欲情していると思うと、たまらなく嬉しいし、この時間は彼のする事全てが私が余計な不安や心配を無くしてくれる。手をベッドにつけて上体を上げて左に振り向くと、壱哉は私の腰を掴んだまま屈み、私の口を塞いだ。舌を出すと舌を強く吸われて、ジンッと頭が痺れる。
「あっ、んぅっ」
「もう、イくからもうしばらく待って」
壱哉は私の口から名残惜しく離れると、私の腰から手を離し私を起き上がらせて、私のお腹に手をクロスして置き直し、私の左肩に顎を乗せて鼻先を首筋に埋めると腰の動きを再開させた。ぴたりと私の背中にくっついた彼の体温が心地よくて、壱哉の手の上に自分の手を重ねると、彼は私の指先を自分の指先と絡めた。
彼の昂りの先端と側面の間の凸凹した所が私の蜜口の粒に当たり、私も気持ち良くて蜜が溢れて滑りが良くなっていく。
「ぐっ、っ、まいっ…それっやばいって」
低く唸った彼が私のお尻にくっつくと腰が重なり、熱い証が私の内股を濡らしていく。私の蜜口もきゅんと締まり、彼のドクドクと血管が波打つ側面に吸盤みたいにくっついた。
歯を食いしばり苦しそうな壱哉に、骨が折れそうなくらい力いっぱい抱きしめられながら私も快感の波がやってきた。
「ああっ!…っ」
徐々に抱きしめられる腕の強さも弱まると、私の息も荒いまま顎を掴まれ後ろを向けさせられた。歯が少しぶつかるが、それもお構いなしにヌルッとした分厚い舌が私の口内に入り、口内を舌が蹂躙した。私は左腕を上げて壱哉の頭に添えると、壱哉の両手が私の乳房を揉み始めた。
「…ンッ、っ」
「もう一回だけ付き合って」
壱哉はそれだけ言うと、私の首筋を舐め始めた。一度で終わるはずがないと分かっていたから、私は壱哉の愛撫に身を委ねた。
***************
「あれ?まい?」
日曜日に壱哉と大型ショッピングモールを歩いていると、突然見知らぬ男から声をかけられた。男を見ると、金髪の頭と腰に履いた足の横にハイビスカスの花があるスウェットと同じデザインのパーカーを着ていた。見覚えはないのだけど、声を掛けてきたって事は私の知り合いなのだろう。どうしようと固まって返事をしない私に近づいてくると、私の前にまで来て止まった。
「久しぶりじゃん、何してるの?」
「あ…えっと、買い物を」
「何その感じー引いてんの?あははっ」
気さくに話しかけてくる彼は、私の返答がおかしかったのかいきなり爆笑した。
「最近見ないし、連絡もないからどうしたのかと思ってたよ、っつーかすごい見た目変わったな…やっぱり諦めたの?」
私の頭から足の先まで見ると、不思議な物を見たような眼差しを私に向ける。そして、一言ポツリと言った言葉が、聞き捨てならなくて私も彼に聞き返した。
「…諦めた?」
「そそ、しつこい後輩いたじゃん、なんだっけー、えーっとえー…」
「…もしかして、壱哉のこと?」
「そーそー、それそれ!イチヤ、イチヤ!」
明世も言っていた言い寄ってくる男──壱哉の名前を出すと、男は大袈裟に頷いた。
「そっかー、ついにか…粘り勝ちだな…それもその感じもイチヤの趣味なの?」
「それ?」
私が首を傾げると、私の服装を指差した。
「その服装だよ、いつも派手だっからさ、知らない人かと思ったや、本当、いやー、その服も似合うなー」
「あ…ありがとう」
褒められて嫌な気持ちにならなくてお礼を言うと、
「おー、まいがお礼を言ったよー!んじゃそろそろ行くわ!後で連絡するよ、またなー」
と言って、笑いながら早口で喋り私の前からいなくなってしまった。
弾丸のように喋りまくる男の人は結局最後まで名前がわからなかったけど、私が記憶喪失なのを知らなかったみたいだった。
──明世から聞いてないのかな…?
そもそも私の交友関係と明世の交友関係は同じなのだろうか、と思っていると、突然後ろから抱きしめられた。
「…うわっ」
「お待たせ、1人にしてごめん」
私を強く抱きしめて私のこめかみにキスをした壱哉の声は、心なしか固くなっている。
「ううん…もう終わった?」
「ああ、あとは今週中にくる発送日の連絡を待つだけだよ」
今日このショッピングモールに来たのは、壱哉が新たにスタンドの照明を買うと言っていたからだ。保安灯の灯りが暗いから、まいの身体がよく見えないと、インテリアとしても置けるフロアライトを購入しに来たのだ──かといって私が電気を付けるなんて言うはずがないのを彼は知っている。
だが壱哉が店頭に在庫がないから、直接自宅への配送手続きをスタッフとしているときに、私がお手洗いに行きたくなったから壱哉から離れて、さっき歩いている時に知らない人に声をかけられたのだった。
「…もう帰ろうか、ご飯は帰り道でもいい?」
「あ、うん」
毎回ショッピングモールに来ると、ご飯はフードコートかレストランに行くのに、今日は違うらしい。壱哉に手を引かれて歩き出すと、私は私に声を掛けてきた人が消えた方角を見た。
──なんだか、私は大事なことを忘れてるのかもしれない
親や友人も忘れちゃうのも問題だが、他にも何か大事なことを忘れていると、この時思った。
それから口数の少なくなった壱哉とステーキハウスでご飯を食べて、壱哉の家へと帰った。
家に帰る頃には壱哉はいつもの彼になって、他愛のない話も始まる。そして私が帰る時間となると、家まで送ってくれた。
***************
次の日の月曜日、なんだか昨日の知らない人から言われた事が気になってしまって、明世に連絡をすると明世とその日の夜に会う約束をした。
明世と会うために着る服やバッグの準備をしていると、宅配便が届いた。私宛の壊れたスマホの修理が終わったから、送られてきたのだ。
──すごいタイムリーじゃん
明世に聞きたいと思っていた事が他にはないかと、修理されたスマホの中を見ようと充電をした。
その間に修理会社が同封した紙を見て、何が直ったのかを確認した。
──バックアップはもう取っていた分は今のスマホにあるから…私が見たいのは…
バックアップした直後から事故直前にあったデータを見たいのだ。スマホ自体が壊れて──専門家じゃないから、画面のヒビが凄くて電源が付かないとしかわからないけど、どうにか電源が付くようにして欲しかったのだ。幸いにも、事故の時のスマホはバッグの中だったから、粉々になる事はなかったが、バッグの中でもヒビが入って電源が消えるなんて、相当すごい事故だったんだなと改めて思った。事故前後の記憶がないのが不幸中の幸いかもしれない。だって覚えていたら、今以上に車が怖くなって外に出歩かなくなるからだ。
スマホの起動する音がして画面をタップして操作をすると、初期化された最初の画面となった。スマホ画面から案内された手順を辿って操作すると、無事にログインが出来て、自動で再起動する。『ようこそ、まいさん』と表情された後は、今持っているスマホと同期が始まる。
しばらくすると、自由に操作出来るようになって、私はSNSのメッセージアプリを開いたが、やはりこれはバックアップ後から事故直前までのやり取りは残っていなかった。
それならと、通話記録を見たら、初めからやったから誰にも発信していない新規のページしか表示されない。
「うーん、あとは」
と、悩みながら写真のあるフォルダーを何気なく見たら、数枚だけ奇跡的に残っていた。私が撮ったらしきご飯の写真と、どこかの海に日が沈む所の赤い太陽の夕焼けの風景、そして一枚だけのSNSのメッセージアプリのトーク画面のスクリーンショットがあり、スクショを見てみると壱哉とのやり取りが写真に収まっていた。
『また嫌がらせをするの?』
と始まった私の怒りのスタンプと共に送ったコメントの数時間後に、壱哉からは
『まいを大事にしなそうな変なやつだったから』
とシンプルな絵文字もない文字が送られ、私がすぐに返信をしている。
『なんなのよっ、私が何をしたっていうのっ?!』
送ると、壱哉もすぐに返信を返してくる──しかも二つの文を送って、
『俺を怒らせた』『二度と許さない』
それに私は涙のスタンプを送っていた。
『だから謝るって何度も言ったよ』
『謝罪なんかいらない 俺は許す気がないから 謝られても意味なんかない 俺はまいを』
途中で途切れた言葉の続きはもう写真には載っていなくて、次の写真を見ようと画面を動かしても、出てこない。
「…どういうこと?」
過去の私が分かるどころか、余計に混乱してしまう結果となった。何度も何度もスクショした画像を見ても、これ以上の情報も得られないと判断した私はこのスマホに入っていた貴重な数枚をバックアップデータに移行した。
***************
「…私ってさ、もしかして人様に迷惑かけてた?」
「ぶっ、何それ」
おしゃれなカフェに来た私と明世は、テラス席でそれぞれ頼んだカフェラテを飲んでいた。私が明世に話しかけると、明世は飲んでいたカフェラテを吹き出してしまう。
「それはない…と思うけど…それは…どうしてそう思ったの?」
「別に…なんかそんな気がして」
「あははっ!また何かあったのね?」
具体的な何かはわからないけど、壱哉に許さないとメッセージで送られて来たのだ。何か恨まれる事をしたのだと思う。壱哉にもやっているなら、他の人にもやっている可能性が捨てきれなくて、それとなく明世に聞いたら笑われた。
「…直ったスマホ見てたら…なんか怒らせちゃったトーク画面のスクショがあったから」
「ふむふむ、それは後輩君のことね」
誰のとか分からないように濁して言ったのに、明世には一発でわかってしまい意味がない。バレたのならしょうがないと、明世に実際のスクショを見せると、うーむ、と悩む。
「変な部分をスクショしちゃったから、そう見えるだけで、実はそんな怒ってないんじゃないかな」
「でも許さないって書いてあったし」
「…直接後輩君に聞かないとわからないけど…まいは絶対に後輩君の電話に出てなかったから…やり取りが残ったのかもしれないね」
「そうなの?」
私が壱哉の電話に出なかった事実を知って驚いた。だって壱哉からは、私が壱哉に怒っていると聞いたが、電話に出ないとかそんな話を聞いた事がない。
「そそ、まいは『壱哉と話すと丸め込まれる』って言ってたし」
「…まぁ、確かに」
決して壱哉から強要されたわけじゃないが、彼はにこにこ笑いながらも自分の我を通す。私がバイトをしないのも、彼の家に泊まるのも結局は壱哉の希望通りになっているのに気がついた。
「まあ、いいんじゃない?まいに不満がないなら」
「…不満…か」
むしろ私のために色々買ってくれるし、料理や掃除などもしなくていいとまで言われているから不満なんて感じた事なんか一度もない。壱哉の家に行くのはリハビリも兼ねていたけど、私は嫌だなとか思った事がなかった。
「そそ、まいはぐるぐる考えて行動しないし、してもいつも変な方向へと行くしね」
「それ酷いー」
「あははっ」
悩む私を見て明世が揶揄って、私が口を尖らせると、思わず2人して笑った。その後にお互いの近況や次に会う約束をして明世と別れた。
実家の方に帰ろうと歩いていると、私のスマホがブルブルと震えてマナーモード中の着信を知らせた。発信者を見ると壱哉からで、時計を見ると15時3分だった。
「はい、うんもう帰る…ん?実家の方…でも今日は…わかった、うん、壱哉の家に行くよ…はーい、仕事頑張ってね」
壱哉に言われたのは、今日は彼の家に行って欲しいとの連絡だった。電話を切った後に母に電話して壱哉の家に行く事にしたのと、もしかしたら泊まるかもしれないと伝えた。明世と話すのが楽しかったけど、やっぱり道中歩いてると無意識のうちに神経を尖らせてしまうからどっと疲れた。今日は平日だけど、急に彼の家に行く事になったから壱哉に実家に送って貰うのも申し訳ないと思いつつ、とにかく安全な場所で休みたくなった。
「悪い…起きた?」
「うう…ん、ごめん寝ちゃってた…おかえり」
歩く音と何かを置いたりした音が聞こえて、閉じていた瞼を上げると壱哉が私の眠るベッドの横の床に座っていた。お風呂を入ったのか、いつもの白いTシャツとグレーのスウェット姿と若干頭が濡れているのかしっとりとしていた。私は起き上がると、壱哉の座っている右横に座ると壱哉の腕に頭をつけた。
「…お風呂も借りた」
「ははっ、好きに使っていいって」
壱哉と私の前には小さなサイズのローテーブルがあって、いつから飲み始めていたのか、その上には缶ビールと注いだビールが半分に減ったグラスが載っていた。
「ご飯も作ってないや」
「いいって、ならデリバリー頼むか」
壱哉はスマホを取り出すと、デリバリー専用のアプリを開いた。
彼の姿を見ながら、この家に来てからの自分の行動を思い出した。壱哉の家に着いてすぐにシャワーを浴びて、あらかじめこの家に置いていた自分の下着と壱哉の紺のスウェットとズボンに着替えて、少しだけ横になるはずが…がっつり寝てしまっていた。
「ピザでいい?」
「…うん」
壱哉が私の方を向いた時、彼を見ていた事に気づかれ、私が返事をすると、壱哉の顔が私の顔に近づいて触れるだけの唇が重なるキスをした。一度だけじゃ足りるはずはなく、もう一度重なると壱哉の首に右腕を上げて抱きついた。口を薄く開けると、壱哉の好きな苦いビールの味と一緒に厚い舌が私の口内に入った。私の歯列、頬の内側や上顎に舌を這わされ、私は壱哉の舌をちゅうと吸った。壱哉はスマホを置いて身を乗り出すと、私をベッドの側面に背中をくっつけ、私の頬に左手を添えた。左腕を上げて、今度は壱哉の首に抱きついた。
「…っ、ん」
顔の角度を何度も何度も変えて、口内隅々まで壱哉の分厚くて熱い舌が這う。
お互いある程度キスに満足すると口が離れて、額が重なる。
「…っ、どうする?ご飯」
2人きりの夜にしか聞けない壱哉の濡れた声が、私の耳から腰に直撃する。
「私は…壱哉が食べるなら…っ食べる」
私が返事をしている間にも、壱哉は私の髪を掻き上げて首筋を露わにすると、顔を埋めて舌を這わす。そして私の身体には大きなスウェットの中に手を入れて、私の肌に直接触れた。
「ふっ、なら今日は俺はいいや」
どっちでもいいといいながら、壱哉の首に回した手に力を入れると壱哉は笑う。彼が笑うと私の首に、壱哉の息と彼の歯が当たる。
腰を上げると壱哉が私を抱き上げて、彼の足の上に跨って向かい合わせで座った。
壱哉の頬に両手を添えると、彼の口に自分の口を付けて、舌の絡まるキスを再開させた。彼は私の服をたくし上げるとキスを中断させて脱がせ、もう一度口が重なってしばらくすると、今度は自分の服を脱ぐためにキスが中断された。
「っ、ふふ…ごめんもうないよ」
「っばか」
キスを中断させられて不満だったのがバレたのか、壱哉が私を揶揄うと口を尖らせてしまう。それすら面白いのか、壱哉は私を抱きしめながら胸に顔を埋めた。
壱哉の少し濡れた髪を撫でると、壱哉は谷間を舐め始める。彼がブラを付けた背中に手を回してブラのフックを外すと、私は締め付けがなくなって緩くなったブラの肩紐を取ると脱いで、私達の足の横にある2人分の脱いだ服の上に落とした。壱哉は私の乳房を大きな手のひらで包むと、優しく揉み始める。そのまま私の胸を寄せて、谷間になって盛り上がった乳房に舌を這わしながら、時々強く吸うものだからチクリとした痛みを感じた。跡をつけられていると気がついたが、壱哉の髪の中に手を入れて彼の頭のてっぺんに唇を押し付けた。
「っ、は…っ…んっ」
乳房を揉まれ、吸われて跡をつけられながら熱い舌が這う。壱哉の指先もバラバラに私の乳房を押して、指先を曲げて乳房の中央にある粒を爪でカリカリと掻かれる。じわじわと快感が身体の中から生まれていくと、他の所も触って欲しくなって浅ましく腰が動いてしまう。私が膝を立てて腰を上げると、壱哉の口の前に移動した乳房の粒を彼は口の中に入れ、壱哉の右手が背骨のラインを辿ってスウェットと下着の間に忍び込む。彼の大きな右手の指が私のお尻の割れ目をなぞると、きゅんと下半身が疼くのを感じてしまう。思わず彼の肩に手を置いて、快感を求めて壱哉の手に自分のお尻を追いかけた。そうすると、お尻を突き出して壱哉の顔に胸を押し付けてしまう格好となった。壱哉は私の胸から顔を上げると、私の口を塞ぐ。荒々しく余裕のないキスに私も夢中になって返すと、お尻の割れ目を上下になぞっていた彼の指が私の下着の中に入り、指がお尻から蜜口へと吸い込まれるように移動した。
「あっ…はっん…っ」
「気持ちいい?これ、好きだよね?」
蜜口を2本の指先で広げた壱哉は、溢れてきた蜜を他の指につけながら前後に擦り始める。蜜壺から溢れる蜜がぬるぬると彼の指を濡らして、滑らかに蜜口を擦る動く指を感じて、羞恥よりも気持ちよさが勝つ。じわじわと広がる快感から、一気に身体中を巡る快感は強烈で、合わさっていた唇を離すと、壱哉は私の首筋を甘噛みをする。
壱哉の肩から手を離して、私の身体の真下にある彼の腰当たりのスウェットのズボンに触れたら固いものがそこにあった。指先でズボンのゴムの隙間から手を入れると、壱哉のボクサーパンツに当たり、指先でボクサーパンツのフロント部分にある隙間に手を入れたら、彼の昂りが熱を持っていた。私が昂りを握ると彼の肩は反応して、昂りを握ると壱哉から腰が少し上がり私の手のひらに押し付けられた。
「っぁ、はっ…あっ!」
彼の昂りを上下に擦ると、壱哉が私の蜜壺の中に指先を埋めていく。急に入ってきた指先をぎゅう、と締め付けると、彼はもう一つ指を増やした。指の腹で蜜壺の内側をこすりながら、奥へと進む。そうなると、もう快感で力の入らない膝で立つのが辛くなり、壱哉の座る横に手をつけた。
「…っ、まいっ、舐めて」
壱哉はズボンをズラすと、昂りを取り出した。天井にそそり立つ赤黒い昂り。側面は血管が浮き出て凸凹していて、先端からは透明なツユが出ている。
「ん、っ」
チラッと壱哉を見ると、彼は眉を寄せて苦しそうなのに、瞳の奥に欲情の色が見えた。彼の足の間で正座して壱哉の下半身に顔を近づけて、昂りの側面を右手で握り、先端を口にすると、独特の味が口内に広がった。舌で先端を舐めると、壱哉の唸る声がする。手のひらにある昂りの側面にある血管が、ドクドクと脈を打ち、手の中が熱くなっていく。下から上へと舌を這わせ、手のひらで、ぎゅっと軽く握ったり、全ては口に入らないから先端を口の中に入れて吸い付いてみる。
「まいっ、こっち…も」
低い余裕のない声に嬉しくなって、彼の昂りに集中していると、彼の手が私の身体を触る。壱哉に言われるがまま、正座していた足を崩すと、彼は私の足の方に頭を先に身体を倒した。
「…っこれっ」
「まいにばっかり気持ち良くしてもらうのは悪いから」
などと言っているが、私の戸惑いなんて彼は無視をして、私のスウェットをズラして、下着ごと右脚から脱がした。
「まい、舐めて」
と、彼は私の足の間に頭を入れると、下半身に直接口をつけた。ヘソから下生えのある所まで丁寧に舐められ、下生えに壱哉の鼻が埋まる。下生えに隠れた蜜口を甘噛みされたあとに、彼の舌が私の蜜口の縁を辿り溢れる蜜を啜る。
「っ、んっんんっ」
全身が痺れて思うように身体が動かせないが目の前にある昂りを口にすると、ちゅうと吸い付く。歯が当たらないようにしていると、舌の奥に昂りの先端が入った。彼の昂りが私の口内をいっぱいにして、苦しいのになぜか愛おしいと思ってしまうのから不思議だ。吸い付きながら舌を動かして、昂りの側面に舌を這わしていると、壱哉の腰が緩やかに動き始める。
「はっ、あっあぅっ、んっ」
壱哉はというと、私の腰に腕を回してガッツリと掴み、私の蜜口に舌を入れていた。2本の指を入れ、蜜をかき混ぜるように指先をぐるぐると回して、溢れる蜜を啜り続ける。気持ち良過ぎて壱哉の昂りを口から離すと、壱哉の昂りの付け根に鼻を寄せて昂りを握ったまま甘い声が口から溢れた。私の声が上がるたび、壱哉の指が蜜壺の奥へと入って抜き差しを行う。私の腰も揺れ始めると、壱哉が私の下半身から顔を上げた。
「まいっ」
起き上がった壱哉は私の方を向いて、上体を屈めてキスをする。壱哉の舌で私の舌をなぞり、お互いの舌を貪るように求めたら、そのまま壱哉に背を向けるように誘導されてベッドに上半身をつけると、お尻の間から太ももの付け根に彼の昂りが入った。お互いの舌を求めていたが、壱哉の腰が前後に動き出すと、昂りの先端が太ももに擦り付けられた。壱哉が両手で、私の乳房を背後から揉みながら腰を打ちつける。乳房を刺激され凸凹した昂りの側面が蜜口を行き来し、熱いし蜜口から出た粒を掠めるから気持ちよくてしょうがない。
「あっ、ん、ん」
「はっ、まいっ…くっ」
ぱんぱんっ、と激しく私のお尻に壱哉の腰がぶつかる。次第に早くなっていくと、壱哉が唸る声をあげて私を背後から強く抱きしめる。しばらくすると内ももに熱い飛沫を感じ、繋がっていないのに私も壱哉に遅れて達した。
「ん、まい」
壱哉は私の上に覆い被さると、私の顎を掴み背後を向けさせてキスをした。啄むキスと重なるキスが続くと、頭が冷静になっていた。
──どうして…私の事許さないの…?
だけど…頭によぎったスクショしたSNSのメッセージアプリの壱哉の返信は、内ももにある昂りが太くて固くなっていくのを感じると頭の隅へと追いやられた。
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※ただただ『すずなり。』の世界を楽しんでいただければ幸いにございます。
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