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我が家に招待2
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熱く強い日差しが、敷地の地面に降り注ぐ。
公式ではなく個人的な訪問だけど、騎士団の紋章がついている馬車でやってきたハル様。
金色の紋章がついた黒い馬車には、焦茶の綱が黒い艶髪の馬に繋がっていた。
ゆっくり入ってくる敷地内に入ってくる馬車にヤキモキしながら、彼の到着を玄関先で待つ。
滑らかに玄関先に寄せられた黒い馬が、私の立つ位置から数メートル先に停まる。
黒い馬に気を取られていると、御者を待つ事なく馬車の扉が開き、中からハルが出てくる。
濃紺の軍服に身を包んだハルの胸元には沢山の勲章バッジ、肩から腕に沿って金のラインが2本袖口までのびる。
「アリ…カ様、外で待つとはっ身体が冷えてしまいます」
今は夏である。
「ハル…モンド騎士団長様、ようこそいらっしゃいました…この日をとってもとっても、楽しみにしておりました」
カーテシーをして出迎えると、彼は私の背を押し屋敷の中へと移動させる。屋敷内に入ると外とは違い日差しを和らげ、体感温度が下がった。ホッと息を吐いた私は改めて彼を見上げると、私を見下ろした黒い瞳と視線が絡まる。
「ようこそいらっしゃいました、デーモン騎士団長様、執事のノマと申します」
我が家の筆頭執事のノマが、ハル様の斜め横前に現れお辞儀をする。本当は一緒に玄関先で他のメイド達と出迎えていて一緒に挨拶するはずが、ハル様が私を中へと連れて行ったので挨拶が遅れたのだ。
「こちらこそ、招待感謝する」
変わりない落ち着いた低い声が、ひと言喋る姿に見惚れてしまう。
ーー下から見上げるハル様…とってもかっこいいわ
うっとりとしていると、執事のノマがコホンと咳払いをした。
「…ではこちらへ」
******************
「…ですので、私は言ったのです、そんな事はありえない!と…って…申し訳ありません…ずっと喋っていますね」
庭先のテラスに準備されたテーブルと椅子に向かい合って座る私達。テーブルの上には甘いお菓子と甘さ控えめのお菓子、どのお菓子を食べても口に合うように吟味された紅茶。テーブルの真ん中には花瓶に飾られた私の好きな花のひまわり。天候にも恵まれハル様といれて、嬉しすぎてずっと喋っていた事に気がついた私は、しゅんと反省をする。
「…いいえ、貴方の声は永遠に聞いていたいほど美しく澄んでおります」
一口飲んだ紅茶のカップを置いたハル様は、そう言って優しく微笑む。
「まっ…まぁ!ハル様ったらっ…」
ボボッと頬が赤くなるのが分かり、頬に手を当てる。するとハル様は、チラリと私の背後に視線を向け私に戻すと
「アリ、2人っきりになりたい…散歩しないか」
と切ない眼差しで私を庭園へと誘った。
公式ではなく個人的な訪問だけど、騎士団の紋章がついている馬車でやってきたハル様。
金色の紋章がついた黒い馬車には、焦茶の綱が黒い艶髪の馬に繋がっていた。
ゆっくり入ってくる敷地内に入ってくる馬車にヤキモキしながら、彼の到着を玄関先で待つ。
滑らかに玄関先に寄せられた黒い馬が、私の立つ位置から数メートル先に停まる。
黒い馬に気を取られていると、御者を待つ事なく馬車の扉が開き、中からハルが出てくる。
濃紺の軍服に身を包んだハルの胸元には沢山の勲章バッジ、肩から腕に沿って金のラインが2本袖口までのびる。
「アリ…カ様、外で待つとはっ身体が冷えてしまいます」
今は夏である。
「ハル…モンド騎士団長様、ようこそいらっしゃいました…この日をとってもとっても、楽しみにしておりました」
カーテシーをして出迎えると、彼は私の背を押し屋敷の中へと移動させる。屋敷内に入ると外とは違い日差しを和らげ、体感温度が下がった。ホッと息を吐いた私は改めて彼を見上げると、私を見下ろした黒い瞳と視線が絡まる。
「ようこそいらっしゃいました、デーモン騎士団長様、執事のノマと申します」
我が家の筆頭執事のノマが、ハル様の斜め横前に現れお辞儀をする。本当は一緒に玄関先で他のメイド達と出迎えていて一緒に挨拶するはずが、ハル様が私を中へと連れて行ったので挨拶が遅れたのだ。
「こちらこそ、招待感謝する」
変わりない落ち着いた低い声が、ひと言喋る姿に見惚れてしまう。
ーー下から見上げるハル様…とってもかっこいいわ
うっとりとしていると、執事のノマがコホンと咳払いをした。
「…ではこちらへ」
******************
「…ですので、私は言ったのです、そんな事はありえない!と…って…申し訳ありません…ずっと喋っていますね」
庭先のテラスに準備されたテーブルと椅子に向かい合って座る私達。テーブルの上には甘いお菓子と甘さ控えめのお菓子、どのお菓子を食べても口に合うように吟味された紅茶。テーブルの真ん中には花瓶に飾られた私の好きな花のひまわり。天候にも恵まれハル様といれて、嬉しすぎてずっと喋っていた事に気がついた私は、しゅんと反省をする。
「…いいえ、貴方の声は永遠に聞いていたいほど美しく澄んでおります」
一口飲んだ紅茶のカップを置いたハル様は、そう言って優しく微笑む。
「まっ…まぁ!ハル様ったらっ…」
ボボッと頬が赤くなるのが分かり、頬に手を当てる。するとハル様は、チラリと私の背後に視線を向け私に戻すと
「アリ、2人っきりになりたい…散歩しないか」
と切ない眼差しで私を庭園へと誘った。
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