婚約破棄された令嬢は騎士団長に溺愛される

狭山雪菜

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新居

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お披露目も終わり、ホーク様はまだ少し残ると言うので先に新しく住む事になった屋敷に着いた
スワローズ家に住んでいた時の侍女も頼もしくもついてきてくれたので、少しばかりホッとした

「広いですね」
「広いわね」

流石騎士団長というべきか、門からの道の木々の風情ある配置と2階建ての建物と広く手入れされた庭が懐かしくも上品に感じた

「…スワローズ家とは違いますが、少し似てますね、雰囲気とか」
「…そうね」
そうだ、懐かしいのは似ているからなのか

私が寂しくないようにしてくれたのかしら
そうだったら嬉しい

そんな事思いながら玄関前に馬車が止まる
御者が扉を開け、手を借りておりると
執事とメイドが並んで立ち待っていた


「奥様、この屋敷の執事をやっておりますアークと申します、何か分からないことがありましたら、何なりと申し付けください」
アークと言った人は、グレーの髪を後ろに撫で付け燕尾服をピシリと着こなしていた
「マリアです、至らない点ばかりだと思うけど、アークよろしくお願いします…こちらは私の侍女のハンナよ」
ハンナは軽くお辞儀をして「よろしくお願いします」と、挨拶をした
「「「「奥様よろしくお願いいたします」」」」
一斉に挨拶されたのは背後に仕えていたメイド達

「よろしくお願いします」
笑顔で返事をするときゃーきゃーと騒がしくなる
「…申し訳ありません、奥様…社交界噂の女性を目の当たりにして高揚しております」
執事のアークがメイドを窘め、持ち場へ着くように指示し私とハンナを案内するため歩き出した

階段を上がり曲がるとひとつの扉の前で止まった

「こちらはご夫婦の寝室です」
アークが扉を開け、中に入ると
大きな窓が一面にあり、3畳くらいのベランダにはミニテーブルと椅子がある
部屋は20畳くらいの広さで、床はふかふかの絨毯、可愛らしい花柄のソファーに、大理石のテーブルと大人が5人くらい寝れそうなベッドには赤と白の天蓋カーテンが付いていた
クローゼットはドレス、バッグ、靴が所狭しと並んでいて明らかに多いし、見た事ない物ばかりだ
「…アーク私の荷物は?」
背後にいる執事に問いかけると
「奥様の荷物は隣の部屋にもございます、こちらは奥様のために旦那様が選んだものです」
「……そっ……そう」
このクローゼットだけで一生ドレスや靴は買わなくてもいいかもしれない、と密かに思った

「しばらく休むわ」
と告げると下がるアークと、お茶の準備をしますとハンナも部屋から出て行った

朝から結婚式を挙げ、軽い披露宴をしてもう日が暮れている
窓に近づき寄りかかり、唇を指でなぞる

初めてキスしたわ…柔らかくてカサついていたわ

今日から一緒に住む…夫婦なんだから…


外の庭を上から眺めハンナが戻るまで、幸せな余韻に浸っていた
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