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誘い
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舞踏会での事件から2ヶ月ーーー
傾国の女神は、婚約破棄された
その嘘と事実とが混じった噂は、アンジェラル王国に瞬く間に広がり、スワローズ家には見合いの紹介状が大量に届くようになった
スワローズ家当主マリアの父含め家族全員と執事使用人までもが口を固く閉ざし、日々届く紹介状の存在を隠匿した
その紹介状が届いた事さえ、マリアには伝わらず
ーー大勢の前で、あんな風に婚約破棄されたら嫁に来て欲しい好奇な人はいない筈だわ
友人からは、美しい、可憐な華と言われていたマリアは、1件はお見合いの話が来るだろうと思っていたのだが全くそんな気配もなく、軽くショックを受けていた
ーーやっぱり褒められる事自体社交辞令だったんだわ
マリアは学園卒業後も安定した職探しのために、勉強に勤しんでいた
婚約者候補だったため、王妃教育は受けていたが就職活動は禁止されていたのでそのまま卒業をしてしまったのだ
今現在婚約者候補から外れたため無職なのだ
何故なら母は父と結婚した年が25歳の恋愛結婚で、それまで家に閉じこもっていたらダメ人間になると思っていたからだ
今日も家庭教師の先生が午前中に来るので支度のために重い腰を上げた
*******************
家庭教師も帰り、暇になった午後
突然同じ王太子の婚約者候補だった、エリカがやってきた
「久しぶりですわ、マリア」
「いらっしゃい、エリカ」
お互い王太子の候補ではあったが妙に馬が合い、よくお茶会や勉強会と称して遊んでいた
エリカを私の部屋に通し、お茶の用意が終わった侍女を下がらせた
「…しっかし災難だったね、今急ピッチであの婚約者のミナ様の王妃教育してるみたい」
「…それならエリカもじゃない?今…何してるの?」
「…大ごとになったマリアとは違って、候補から静かに外されただけだし、別に平穏だよ…今は何件かお見合い中だよ」
ミナが婚約者になった事で一度言った発言は消されることはなく、数名いた婚約者候補は秘密裏に王妃教育に参加した分と慰謝料的なお金を貰い、元の生活に戻された
私もあの場で言われなければ、今頃…お見合いが…と何度思ったことか
エリカが持ってきたお菓子を食べながら、雑談をしていたら
「そうだ!今度我が家主催の慰労会に顔を出さない?」
「慰労会…?」
「そう、5年ぶりにアンジェラル騎士団が遠征から戻ってくるんだけど、サポートしていたのうちの家だったから、軽い労いを会催する事になったの」
アンジェラル王国にいる騎士団は、5年前討伐と視察を兼ねて王国を周っていた
何でも大型の野獣が出たために、騎士団長自ら指揮を取り数十人連れ行ったとか
今は騎士団長代理が街を守っているが、噂では騎士団長が帰還する事により元の役職ー副団長に戻るとか
伝聞なので詳しいことは分からないが…
それで飲食などの物資を届けたのはエリカの実家で営む商会だったらしい
「…でも私が行ってもいいのかな?」
完全に部外者なのに参加してもいいのか不安になる
「夜会と言っても人嫌いの団長は挨拶するだけだし、私…副団長様に会いたいけど1人じゃ寂しいから話し相手になってよ」
「…本音は騎士団長代理に会うのに、私というクッションがいるのね」
「…へへへ、令嬢ひとりが質問責めしたらはしたないでしょ?」
「もう…これで上手くいかなかったら笑うからね」
顔を見つめ合い、あはははと笑う
エリカの本心を隠さない喋りが令嬢の立場から解放されて気楽になれる瞬間だ
傾国の女神は、婚約破棄された
その嘘と事実とが混じった噂は、アンジェラル王国に瞬く間に広がり、スワローズ家には見合いの紹介状が大量に届くようになった
スワローズ家当主マリアの父含め家族全員と執事使用人までもが口を固く閉ざし、日々届く紹介状の存在を隠匿した
その紹介状が届いた事さえ、マリアには伝わらず
ーー大勢の前で、あんな風に婚約破棄されたら嫁に来て欲しい好奇な人はいない筈だわ
友人からは、美しい、可憐な華と言われていたマリアは、1件はお見合いの話が来るだろうと思っていたのだが全くそんな気配もなく、軽くショックを受けていた
ーーやっぱり褒められる事自体社交辞令だったんだわ
マリアは学園卒業後も安定した職探しのために、勉強に勤しんでいた
婚約者候補だったため、王妃教育は受けていたが就職活動は禁止されていたのでそのまま卒業をしてしまったのだ
今現在婚約者候補から外れたため無職なのだ
何故なら母は父と結婚した年が25歳の恋愛結婚で、それまで家に閉じこもっていたらダメ人間になると思っていたからだ
今日も家庭教師の先生が午前中に来るので支度のために重い腰を上げた
*******************
家庭教師も帰り、暇になった午後
突然同じ王太子の婚約者候補だった、エリカがやってきた
「久しぶりですわ、マリア」
「いらっしゃい、エリカ」
お互い王太子の候補ではあったが妙に馬が合い、よくお茶会や勉強会と称して遊んでいた
エリカを私の部屋に通し、お茶の用意が終わった侍女を下がらせた
「…しっかし災難だったね、今急ピッチであの婚約者のミナ様の王妃教育してるみたい」
「…それならエリカもじゃない?今…何してるの?」
「…大ごとになったマリアとは違って、候補から静かに外されただけだし、別に平穏だよ…今は何件かお見合い中だよ」
ミナが婚約者になった事で一度言った発言は消されることはなく、数名いた婚約者候補は秘密裏に王妃教育に参加した分と慰謝料的なお金を貰い、元の生活に戻された
私もあの場で言われなければ、今頃…お見合いが…と何度思ったことか
エリカが持ってきたお菓子を食べながら、雑談をしていたら
「そうだ!今度我が家主催の慰労会に顔を出さない?」
「慰労会…?」
「そう、5年ぶりにアンジェラル騎士団が遠征から戻ってくるんだけど、サポートしていたのうちの家だったから、軽い労いを会催する事になったの」
アンジェラル王国にいる騎士団は、5年前討伐と視察を兼ねて王国を周っていた
何でも大型の野獣が出たために、騎士団長自ら指揮を取り数十人連れ行ったとか
今は騎士団長代理が街を守っているが、噂では騎士団長が帰還する事により元の役職ー副団長に戻るとか
伝聞なので詳しいことは分からないが…
それで飲食などの物資を届けたのはエリカの実家で営む商会だったらしい
「…でも私が行ってもいいのかな?」
完全に部外者なのに参加してもいいのか不安になる
「夜会と言っても人嫌いの団長は挨拶するだけだし、私…副団長様に会いたいけど1人じゃ寂しいから話し相手になってよ」
「…本音は騎士団長代理に会うのに、私というクッションがいるのね」
「…へへへ、令嬢ひとりが質問責めしたらはしたないでしょ?」
「もう…これで上手くいかなかったら笑うからね」
顔を見つめ合い、あはははと笑う
エリカの本心を隠さない喋りが令嬢の立場から解放されて気楽になれる瞬間だ
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