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騎士団本部
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晴れた空の下、1台の馬車がゆっくりと騎士団本部へと入って行く。
騎士団長と同じ名のジョンソン家の家紋が入った黒い車体と車輪、そして黒い馬と黒服の御者。黒ばかりの色は当主の姿に合わせているのか、普通とは違うために異様に目を引いていた。
白いレンガの門をくぐり、門の終わりにある固く閉ざされていた扉の前で馬車が停まると、門番が近寄った。
「サーシャ・ジョンソンご夫人と侍女を、夫であるトラヴィス・ジョンソン騎士団長様の元へ連れてくるよう、伺っております」
緊張した面持ちの門番は、新人だろうか心なしか顔が青ざめている。
「そうですか、では…奥様を」
門番が直立不動でいる時、御者は馬車から降り、外から鍵が掛かっていた解除して扉を開けて中へ何か言っていいる。
馬車が少し揺れて御者の手を取り、ゆっくりと出てきたのはーー
「サーシャ・ジョンソンと申します…主人のトラヴィス・ジョンソン騎士団長に会いにきました…あの…?」
目の前で上品なカーテシーを見せられてもまだ、降りた女性に目を奪われていた門番は、頬が赤くなって固まっていた。
「…早く案内してくださらないと、騎士団長様が怒るのでは?」
イライラと不機嫌な声も聞こえて、ハッと我にかえると黒髪のお団子の女性が眉を寄せていた。
「はっ…しっ…失礼いたしましたっ、こっ、こちらです!」
先頭を歩き始めた門番の後をサーシャとお団子の女性ーースミレが続いた。
固く閉ざされていた扉の奥、本部の中へ入ると、すれ違う騎士団員は、現れた女性に目を奪われて動かなくなる。つばの広い黒い帽子を被った銀色の髪が、歩くたびにうしろへとなびいてキラキラと太陽のひかりに反射して輝く。白のブラウスと肩紐の太い黒のロングワンピース姿は、ジョンソン家を象徴しているみたいだ。
「サーシャ」
本部の建物に入ってすぐ、各階へと繋がる階段と通路がある広いホールで、腕を組んで待っていたのは、サーシャの夫、トラヴィス騎士団長だ。騎士団支給の濃紺の軍服を着ている。
「きっ…ジョンソン騎士団長!奥様をお連れしましたっ」
敬礼をした門番は、突然現れた騎士団長に戸惑いを隠せない。
ーー確か団長室まで奥様を案内する予定だったはずだが…
「ご苦労、ここからは私が」
そう短く告げた後は門番の存在を忘れたように、門番の後ろに居たサーシャの元へ。
「…トラヴィ様、お疲れ様ですわ」
夫であるトラヴィ様を見て、にっこりと微笑む彼女は一際美しい。
「遠いところ大変だったね、どうだったか」
彼女に腕を差し出し、道中不便がなかったかを聞く優しい声の騎士団長に門番は混乱した。
「ふふ、ふかふかのクッションと馬車の運転が上手な御者のおかげで快適でしたわ」
彼の腕に手を入れて、歩き始めたご夫人が門番の横をすり抜けると、ほんのり香る薔薇の香水が鼻を掠める。
ーーすごい…いい匂いだ
サーシャのあとを目で追いかけ鼻の下が伸びそうになる門番を、ご夫人の姿を隠すように立つお団子の女性はキッと睨む。
「ご案内ありがとうございました!」
怒りの声にハッとした門番は、お団子の女性のうしろにいる騎士団長の顔を見て、ひっと短い悲鳴を上げた。
「…まだいたのか」
このひと睨みだけで人を殺せそうな眼差しと怒りの声に、門番は気絶しそうになりながらも、持ち場へと逃げるように戻っていった。
***************
団長本人にエスコートされ案内された団長室は、シンプルな部屋だった。歴代の騎士団長の人物画が飾られ、本棚と書類が重なって置いてある執務机と椅子。来客用の2つの向かい合っているソファーとその真ん中に置かれたテーブルだけだった。
「トラヴィ様、今日は我儘を言ってしまい…申し訳ありません」
部屋に入って扉が閉まると、私とトラヴィ様と侍女のスミレだけになったので、彼を見上げてずっと言いたかった事を告げた。
「この間の…約束…その、どこかに行く候補をあげてくださったのに、トラヴィ様の職場に行きたいなどと」
ーー普通に考えて、夫の職場見学ってヤバくない?!スミレやロヨに勧められて、いいかも!と思ったけど…出かける前にふと、おかしいよね?と頭をよぎったのだ
私の頬に右手を添えたトラヴィ様は、目を細めて私を見つめている。
「サーシャが望むのなら、どんな事も」
目を細めた先にある仄暗い光があるような気がして、ゾクリと寒気がする。私の目元を親指の腹でなぞる触れている手はいつものように優しいのに、彼の纏う空気はピリピリとしている。
「…トラヴィ様…?」
彼が私に触れている右の腕を、私は両手で掴む。
「…まだ、早かったかもしれない」
ボソボソッと喋る声は、低く小さいためによく聞こえない。
何を言いたいのか分からず、じっと彼を見上げていると、ふっと笑ったトラヴィ様のピリピリとした空気が霧散した。
「今日は騎士団本部の中を、私が案内しよう」
「…トラヴィ様本人がですか?…お仕事は…大丈夫でしょうか」
「そのためにこの数日、朝から晩まで働いて仕事を終わらせたんだ」
そう言って何でもないように言っているが、最近夕食も一緒に食べれていない事と、朝起きたらもう出勤した後だった事も何度かあったのを思い出した。
「…ありがとうございます…嬉しいです」
彼の手をズラして彼の手のひらに、ちゅっと口づけをしたら、トラヴィ様の手がぴくりと反応した。
「サーシャ」
私の名を呼び屈んだ彼が、私の唇に触れるだけの口づけを落とした。口の離れた彼がまだ、そこにいてお互い見つめあっていると、
「…お茶の準備をして参ります」
2人きりの世界だと思っていたのだが、スミレの声に我に返った。
「…お願いね、スミレ」
恥ずかしくなって顔を真っ赤にして振り向かずに言ったら、スミレは分かっているのか、失礼します、と言って団長室から出た。
パタンと閉められた扉の音が聞こえると、トラヴィ様の腕の中へと入った。抱きしめ返されると、頭にある帽子がズレて床へと落ちた。
「…スミレの事…忘れちゃってましたわ」
「そうだな」
と、恥ずかしさを通り越すと、おかしくなってきて、くすくすと笑ってしまう。
しばらく2人で笑っていたが、いつまでもこうしていられないと、ソファーへと座ることにした。
当たり前のように、先に座った彼の足の上へと座った。
最初は抵抗感もあったのだけど、トラヴィ様がそうする事を望み、いつの間にか2人きりの時ーースミレやロヨの前でなら、彼の足の上に座る事が当たり前になっていた。
彼の軍服に頬をつけると、トクントクンと彼の鼓動が聞こえる。
「この後は、敷地内をざっと見て…」
と、この後の予定を喋り出すたびに彼の胸から耳へと伝わるみたいな気がして、安心して全身の力が抜けてしまう。
「…トラヴィ様は訓練はしないのですか」
何気なく言った言葉だったが、トラヴィ様が固まった。不思議に思って顔を上げると、眉を寄せて考え事をしていた。
「トラヴィ様」
私が見つめている事に気がつくと、トラヴィ様は何故か慌てた。
「しかし…怖くはないか?」
「…怖い…?」
「ああ、血の気の多いやつが多いからサーシャが見ても…怖いだけだ」
「…そうなんですね…トラヴィ様の勇姿を見たかったのですが」
流血するまでやっているのなら、怖くて見れないな、と思っていたけど、
「そうなのか…うむ」
とまた、悩み出したのか眉を寄せるトラヴィ様。
「…なら少しだけ」
と言うことで、騎士団本部の中とトラヴィ様の訓練の様子を見学する事になったのだった。
はっ!、やあっ!と野太い声が聞こえる。訓練所の一角にある見学用の席に座り、騎士団長と模擬対戦をしている騎士団員は、冷や汗を掻いていた。
この模擬対戦前に言われたのは、決して怪我をしない事。特に血なんかを流すのは厳禁だという事。そして、見学をしている人物を長く見てはいけないという事。
いつもとは、緩い訓練のやり方に団員達は喜んだが、見学席に座った女性を見て、訓練どころじゃなくなった。
ーーなんなんだっ、あの美女はっ?!
団員が美女に目を奪われ訓練にもならなくなると、不機嫌なオーラを隠そうともしない騎士団長が出てきて、訓練相手になると異例の申し出をする。美女を見ていたいのに、鋭い攻撃をされて避けるのに精一杯となり、いつしかピンと張り詰めた空気が漂っていた。
「トラヴィ様って、本当にカッコいいわね」
そんなやりとりを知らないサーシャはひとり、頬に手を当ててトラヴィ様の勇姿を目に焼き付けていた。
騎士団長と同じ名のジョンソン家の家紋が入った黒い車体と車輪、そして黒い馬と黒服の御者。黒ばかりの色は当主の姿に合わせているのか、普通とは違うために異様に目を引いていた。
白いレンガの門をくぐり、門の終わりにある固く閉ざされていた扉の前で馬車が停まると、門番が近寄った。
「サーシャ・ジョンソンご夫人と侍女を、夫であるトラヴィス・ジョンソン騎士団長様の元へ連れてくるよう、伺っております」
緊張した面持ちの門番は、新人だろうか心なしか顔が青ざめている。
「そうですか、では…奥様を」
門番が直立不動でいる時、御者は馬車から降り、外から鍵が掛かっていた解除して扉を開けて中へ何か言っていいる。
馬車が少し揺れて御者の手を取り、ゆっくりと出てきたのはーー
「サーシャ・ジョンソンと申します…主人のトラヴィス・ジョンソン騎士団長に会いにきました…あの…?」
目の前で上品なカーテシーを見せられてもまだ、降りた女性に目を奪われていた門番は、頬が赤くなって固まっていた。
「…早く案内してくださらないと、騎士団長様が怒るのでは?」
イライラと不機嫌な声も聞こえて、ハッと我にかえると黒髪のお団子の女性が眉を寄せていた。
「はっ…しっ…失礼いたしましたっ、こっ、こちらです!」
先頭を歩き始めた門番の後をサーシャとお団子の女性ーースミレが続いた。
固く閉ざされていた扉の奥、本部の中へ入ると、すれ違う騎士団員は、現れた女性に目を奪われて動かなくなる。つばの広い黒い帽子を被った銀色の髪が、歩くたびにうしろへとなびいてキラキラと太陽のひかりに反射して輝く。白のブラウスと肩紐の太い黒のロングワンピース姿は、ジョンソン家を象徴しているみたいだ。
「サーシャ」
本部の建物に入ってすぐ、各階へと繋がる階段と通路がある広いホールで、腕を組んで待っていたのは、サーシャの夫、トラヴィス騎士団長だ。騎士団支給の濃紺の軍服を着ている。
「きっ…ジョンソン騎士団長!奥様をお連れしましたっ」
敬礼をした門番は、突然現れた騎士団長に戸惑いを隠せない。
ーー確か団長室まで奥様を案内する予定だったはずだが…
「ご苦労、ここからは私が」
そう短く告げた後は門番の存在を忘れたように、門番の後ろに居たサーシャの元へ。
「…トラヴィ様、お疲れ様ですわ」
夫であるトラヴィ様を見て、にっこりと微笑む彼女は一際美しい。
「遠いところ大変だったね、どうだったか」
彼女に腕を差し出し、道中不便がなかったかを聞く優しい声の騎士団長に門番は混乱した。
「ふふ、ふかふかのクッションと馬車の運転が上手な御者のおかげで快適でしたわ」
彼の腕に手を入れて、歩き始めたご夫人が門番の横をすり抜けると、ほんのり香る薔薇の香水が鼻を掠める。
ーーすごい…いい匂いだ
サーシャのあとを目で追いかけ鼻の下が伸びそうになる門番を、ご夫人の姿を隠すように立つお団子の女性はキッと睨む。
「ご案内ありがとうございました!」
怒りの声にハッとした門番は、お団子の女性のうしろにいる騎士団長の顔を見て、ひっと短い悲鳴を上げた。
「…まだいたのか」
このひと睨みだけで人を殺せそうな眼差しと怒りの声に、門番は気絶しそうになりながらも、持ち場へと逃げるように戻っていった。
***************
団長本人にエスコートされ案内された団長室は、シンプルな部屋だった。歴代の騎士団長の人物画が飾られ、本棚と書類が重なって置いてある執務机と椅子。来客用の2つの向かい合っているソファーとその真ん中に置かれたテーブルだけだった。
「トラヴィ様、今日は我儘を言ってしまい…申し訳ありません」
部屋に入って扉が閉まると、私とトラヴィ様と侍女のスミレだけになったので、彼を見上げてずっと言いたかった事を告げた。
「この間の…約束…その、どこかに行く候補をあげてくださったのに、トラヴィ様の職場に行きたいなどと」
ーー普通に考えて、夫の職場見学ってヤバくない?!スミレやロヨに勧められて、いいかも!と思ったけど…出かける前にふと、おかしいよね?と頭をよぎったのだ
私の頬に右手を添えたトラヴィ様は、目を細めて私を見つめている。
「サーシャが望むのなら、どんな事も」
目を細めた先にある仄暗い光があるような気がして、ゾクリと寒気がする。私の目元を親指の腹でなぞる触れている手はいつものように優しいのに、彼の纏う空気はピリピリとしている。
「…トラヴィ様…?」
彼が私に触れている右の腕を、私は両手で掴む。
「…まだ、早かったかもしれない」
ボソボソッと喋る声は、低く小さいためによく聞こえない。
何を言いたいのか分からず、じっと彼を見上げていると、ふっと笑ったトラヴィ様のピリピリとした空気が霧散した。
「今日は騎士団本部の中を、私が案内しよう」
「…トラヴィ様本人がですか?…お仕事は…大丈夫でしょうか」
「そのためにこの数日、朝から晩まで働いて仕事を終わらせたんだ」
そう言って何でもないように言っているが、最近夕食も一緒に食べれていない事と、朝起きたらもう出勤した後だった事も何度かあったのを思い出した。
「…ありがとうございます…嬉しいです」
彼の手をズラして彼の手のひらに、ちゅっと口づけをしたら、トラヴィ様の手がぴくりと反応した。
「サーシャ」
私の名を呼び屈んだ彼が、私の唇に触れるだけの口づけを落とした。口の離れた彼がまだ、そこにいてお互い見つめあっていると、
「…お茶の準備をして参ります」
2人きりの世界だと思っていたのだが、スミレの声に我に返った。
「…お願いね、スミレ」
恥ずかしくなって顔を真っ赤にして振り向かずに言ったら、スミレは分かっているのか、失礼します、と言って団長室から出た。
パタンと閉められた扉の音が聞こえると、トラヴィ様の腕の中へと入った。抱きしめ返されると、頭にある帽子がズレて床へと落ちた。
「…スミレの事…忘れちゃってましたわ」
「そうだな」
と、恥ずかしさを通り越すと、おかしくなってきて、くすくすと笑ってしまう。
しばらく2人で笑っていたが、いつまでもこうしていられないと、ソファーへと座ることにした。
当たり前のように、先に座った彼の足の上へと座った。
最初は抵抗感もあったのだけど、トラヴィ様がそうする事を望み、いつの間にか2人きりの時ーースミレやロヨの前でなら、彼の足の上に座る事が当たり前になっていた。
彼の軍服に頬をつけると、トクントクンと彼の鼓動が聞こえる。
「この後は、敷地内をざっと見て…」
と、この後の予定を喋り出すたびに彼の胸から耳へと伝わるみたいな気がして、安心して全身の力が抜けてしまう。
「…トラヴィ様は訓練はしないのですか」
何気なく言った言葉だったが、トラヴィ様が固まった。不思議に思って顔を上げると、眉を寄せて考え事をしていた。
「トラヴィ様」
私が見つめている事に気がつくと、トラヴィ様は何故か慌てた。
「しかし…怖くはないか?」
「…怖い…?」
「ああ、血の気の多いやつが多いからサーシャが見ても…怖いだけだ」
「…そうなんですね…トラヴィ様の勇姿を見たかったのですが」
流血するまでやっているのなら、怖くて見れないな、と思っていたけど、
「そうなのか…うむ」
とまた、悩み出したのか眉を寄せるトラヴィ様。
「…なら少しだけ」
と言うことで、騎士団本部の中とトラヴィ様の訓練の様子を見学する事になったのだった。
はっ!、やあっ!と野太い声が聞こえる。訓練所の一角にある見学用の席に座り、騎士団長と模擬対戦をしている騎士団員は、冷や汗を掻いていた。
この模擬対戦前に言われたのは、決して怪我をしない事。特に血なんかを流すのは厳禁だという事。そして、見学をしている人物を長く見てはいけないという事。
いつもとは、緩い訓練のやり方に団員達は喜んだが、見学席に座った女性を見て、訓練どころじゃなくなった。
ーーなんなんだっ、あの美女はっ?!
団員が美女に目を奪われ訓練にもならなくなると、不機嫌なオーラを隠そうともしない騎士団長が出てきて、訓練相手になると異例の申し出をする。美女を見ていたいのに、鋭い攻撃をされて避けるのに精一杯となり、いつしかピンと張り詰めた空気が漂っていた。
「トラヴィ様って、本当にカッコいいわね」
そんなやりとりを知らないサーシャはひとり、頬に手を当ててトラヴィ様の勇姿を目に焼き付けていた。
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