12 / 32
文化祭1
しおりを挟む
「ーーこれより、第35回文化祭を開会します」
生徒会長の宣言をうけ、体育館が明るくなり
文化祭が始まる
「1年生から退場して下さい」
とアナウンスが流れ、ガヤガヤと騒がしくなる中、
ーー松井さんが言っていた山崎くんが私を見ていると言う言葉が気になりチラリと視線だけ隣のクラスの列を見る
1年の時は氏名順だが、身体が大きい彼は後方に行くようにと先生に言われていたのを思い出し、思い切って顔を上げ後ろを振り返ると、頭ひとつ出ている彼と目が合い、山崎くんは驚いていた
ーー本当だったんだ…
とむず痒くなり、山崎くんに向けて微笑むとザワッと周囲が騒がしくなる
「ちょっダメダメダメッ」
と松井さんが私の頬を掴み、下に向けた
「松井さん?」
「今っすごく凶悪な顔してるっ目の毒だよ!…みんなの」
意味が分からなくて、松井さんの腕を掴みコテンと顔を傾ける私にぎゅうぎゅうと頬を押し付け
「かわいいぃぃぃぃっ」と松井さんが膝から崩れ落ちた
「松井!退場だよっ!」
と先生に注意されるまで、松井さんの側でうっうっと泣く背中を摩った
*****************
午後から一緒に回る約束をした、私達
午前中暇になった私はいつも一緒にお昼を食べている場所で時間を潰すことにした
ーー1人じゃ回ってもつまらないし
松井さんはお化け屋敷の受付で、私の当番は一般公開の明日だからだ
去年は風邪をひいて休んでいたので、実質初めての文化祭なんだけど1人で回る勇気はなかった
携帯を取り出すと、山崎くんからメッセージが届いていた
『今どこ?』
20分前のメッセージに届いたメッセージに気がつかなかった
『今いつもお昼食べてるところにいるよ』
いつも利用する猫のスタンプを探して手を止めた
ぬいぐるみ…毎日一緒に寝てると急に思い出して赤面した
ぱっと思いを断ち切るように、猫のスタンプを押してメッセージを送った
しばらくすると、階段を駆け上がる音が聞こえ、階段を登りきり屋上に続く扉の前にある手すりになっているフロアの陰に隠れた、だんだんと近づく音に怖くなりギュッと膝を抱え目を瞑る
すると、
「…近野?」
私を呼ぶ山崎くんの声が聞こえたので顔を上げると、手すりに手をかけこっちを見る山崎くんが居て
ホッと身体の力を抜いて、立ち上がる
「…びっくりした…先生かと思った」
「…あー悪い、メッセージ送れば良かったな」
と頭をガシガシッと掻く山崎くんはバツが悪そうにしていた
「どうしたの?」
と聞けば
「…明日に当番替えて貰ったから今日一日フリーだと伝えたくて」
と言って階段に座る彼の横に私も遅れて座った
「今日一日?」
「そう」
もう一度聞くと同じ答えが返ってきて、ジワジワと嬉しくなる
これから何しようかと思っていたら、山崎くんの大きな手が私の両脇に入り、持ち上げられ彼の膝の上に座らされた
突然の事で固まっている私に、彼は腰に腕を回し自分の身体へと引き寄せた
上半身ぴたりと重なる身体にドキドキして、彼の肩に頭を乗せた
ギュッと肩を掴む彼の手に力が入り、ジッと彼を見上げる
「…今日…クラスメイトの松井さんに…集会があると…山崎くんは私を見てるって言われて」
「…それで振り返ったのか」
「…うん…本当だった」
「…そうか…ごめん」
顔を上げ、彼を見るが彼は私の方を向く事なく階段を見ていた
「…?どうして謝るの?」
「いや…だろ…好きでもないヤツにじっと見られるの」
「…そうだ…ね、好きでもない人…に見られるのは…イヤ」
「っ…!」
多分驚いていると思うけど、表情が読み取れない
山崎くんの右頬に左手を添えて、こちらを向かせた
目が合うと、眉をひそめている山崎くんが私の肩から手を退けた
「…近野…あの」
静かな声を出し私の名を呼ぶ
「…でも…山崎く…んは…すっ好きな人だしっ」
視線を逸らせずに、真っ直ぐ彼を見て伝える
はっと目を見開き、驚く山崎くんの頬を撫でた
「近…野?」
そのまま黙ってしまった私達はしばし見つめ合っていた
生徒会長の宣言をうけ、体育館が明るくなり
文化祭が始まる
「1年生から退場して下さい」
とアナウンスが流れ、ガヤガヤと騒がしくなる中、
ーー松井さんが言っていた山崎くんが私を見ていると言う言葉が気になりチラリと視線だけ隣のクラスの列を見る
1年の時は氏名順だが、身体が大きい彼は後方に行くようにと先生に言われていたのを思い出し、思い切って顔を上げ後ろを振り返ると、頭ひとつ出ている彼と目が合い、山崎くんは驚いていた
ーー本当だったんだ…
とむず痒くなり、山崎くんに向けて微笑むとザワッと周囲が騒がしくなる
「ちょっダメダメダメッ」
と松井さんが私の頬を掴み、下に向けた
「松井さん?」
「今っすごく凶悪な顔してるっ目の毒だよ!…みんなの」
意味が分からなくて、松井さんの腕を掴みコテンと顔を傾ける私にぎゅうぎゅうと頬を押し付け
「かわいいぃぃぃぃっ」と松井さんが膝から崩れ落ちた
「松井!退場だよっ!」
と先生に注意されるまで、松井さんの側でうっうっと泣く背中を摩った
*****************
午後から一緒に回る約束をした、私達
午前中暇になった私はいつも一緒にお昼を食べている場所で時間を潰すことにした
ーー1人じゃ回ってもつまらないし
松井さんはお化け屋敷の受付で、私の当番は一般公開の明日だからだ
去年は風邪をひいて休んでいたので、実質初めての文化祭なんだけど1人で回る勇気はなかった
携帯を取り出すと、山崎くんからメッセージが届いていた
『今どこ?』
20分前のメッセージに届いたメッセージに気がつかなかった
『今いつもお昼食べてるところにいるよ』
いつも利用する猫のスタンプを探して手を止めた
ぬいぐるみ…毎日一緒に寝てると急に思い出して赤面した
ぱっと思いを断ち切るように、猫のスタンプを押してメッセージを送った
しばらくすると、階段を駆け上がる音が聞こえ、階段を登りきり屋上に続く扉の前にある手すりになっているフロアの陰に隠れた、だんだんと近づく音に怖くなりギュッと膝を抱え目を瞑る
すると、
「…近野?」
私を呼ぶ山崎くんの声が聞こえたので顔を上げると、手すりに手をかけこっちを見る山崎くんが居て
ホッと身体の力を抜いて、立ち上がる
「…びっくりした…先生かと思った」
「…あー悪い、メッセージ送れば良かったな」
と頭をガシガシッと掻く山崎くんはバツが悪そうにしていた
「どうしたの?」
と聞けば
「…明日に当番替えて貰ったから今日一日フリーだと伝えたくて」
と言って階段に座る彼の横に私も遅れて座った
「今日一日?」
「そう」
もう一度聞くと同じ答えが返ってきて、ジワジワと嬉しくなる
これから何しようかと思っていたら、山崎くんの大きな手が私の両脇に入り、持ち上げられ彼の膝の上に座らされた
突然の事で固まっている私に、彼は腰に腕を回し自分の身体へと引き寄せた
上半身ぴたりと重なる身体にドキドキして、彼の肩に頭を乗せた
ギュッと肩を掴む彼の手に力が入り、ジッと彼を見上げる
「…今日…クラスメイトの松井さんに…集会があると…山崎くんは私を見てるって言われて」
「…それで振り返ったのか」
「…うん…本当だった」
「…そうか…ごめん」
顔を上げ、彼を見るが彼は私の方を向く事なく階段を見ていた
「…?どうして謝るの?」
「いや…だろ…好きでもないヤツにじっと見られるの」
「…そうだ…ね、好きでもない人…に見られるのは…イヤ」
「っ…!」
多分驚いていると思うけど、表情が読み取れない
山崎くんの右頬に左手を添えて、こちらを向かせた
目が合うと、眉をひそめている山崎くんが私の肩から手を退けた
「…近野…あの」
静かな声を出し私の名を呼ぶ
「…でも…山崎く…んは…すっ好きな人だしっ」
視線を逸らせずに、真っ直ぐ彼を見て伝える
はっと目を見開き、驚く山崎くんの頬を撫でた
「近…野?」
そのまま黙ってしまった私達はしばし見つめ合っていた
0
お気に入りに追加
123
あなたにおすすめの小説
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
お見合いから始まる冷徹社長からの甘い執愛 〜政略結婚なのに毎日熱烈に追いかけられてます〜
Adria
恋愛
仕事ばかりをしている娘の将来を案じた両親に泣かれて、うっかり頷いてしまった瑞希はお見合いに行かなければならなくなった。
渋々お見合いの席に行くと、そこにいたのは瑞希の勤め先の社長だった!?
合理的で無駄が嫌いという噂がある冷徹社長を前にして、瑞希は「冗談じゃない!」と、その場から逃亡――
だが、ひょんなことから彼に瑞希が自社の社員であることがバレてしまうと、彼は結婚前提の同棲を迫ってくる。
「君の未来をくれないか?」と求愛してくる彼の強引さに翻弄されながらも、瑞希は次第に溺れていき……
《エブリスタ、ムーン、ベリカフェにも投稿しています》
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ウブな政略妻は、ケダモノ御曹司の執愛に堕とされる
Adria
恋愛
旧題:紳士だと思っていた初恋の人は私への恋心を拗らせた執着系ドSなケダモノでした
ある日、父から持ちかけられた政略結婚の相手は、学生時代からずっと好きだった初恋の人だった。
でも彼は来る縁談の全てを断っている。初恋を実らせたい私は副社長である彼の秘書として働くことを決めた。けれど、何の進展もない日々が過ぎていく。だが、ある日会社に忘れ物をして、それを取りに会社に戻ったことから私たちの関係は急速に変わっていった。
彼を知れば知るほどに、彼が私への恋心を拗らせていることを知って戸惑う反面嬉しさもあり、私への執着を隠さない彼のペースに翻弄されていく……。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
隠れ御曹司の手加減なしの独占溺愛
冬野まゆ
恋愛
老舗ホテルのブライダル部門で、チーフとして働く二十七歳の香奈恵。ある日、仕事でピンチに陥った彼女は、一日だけ恋人のフリをするという条件で、有能な年上の部下・雅之に助けてもらう。ところが約束の日、香奈恵の前に現れたのは普段の冴えない彼とは似ても似つかない、甘く色気のある極上イケメン! 突如本性を露わにした彼は、なんと自分の両親の前で香奈恵にプロポーズした挙句、あれよあれよと結婚前提の恋人になってしまい――!? 「誰よりも大事にするから、俺と結婚してくれ」恋に不慣れな不器用OLと身分を隠したハイスペック御曹司の、問答無用な下克上ラブ!
隠れドS上司をうっかり襲ったら、独占愛で縛られました
加地アヤメ
恋愛
商品企画部で働く三十歳の春陽は、周囲の怒涛の結婚ラッシュに財布と心を痛める日々。結婚相手どころか何年も恋人すらいない自分は、このまま一生独り身かも――と盛大に凹んでいたある日、酔った勢いでクールな上司・千木良を押し倒してしまった!? 幸か不幸か何も覚えていない春陽に、全てなかったことにしてくれた千木良。だけど、不意打ちのように甘やかしてくる彼の思わせぶりな言動に、どうしようもなく心と体が疼いてしまい……。「どうやら私は、かなり独占欲が強い、嫉妬深い男のようだよ」クールな隠れドS上司をうっかりその気にさせてしまったアラサー女子の、甘すぎる受難!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる