学校一の美女が学校一の漢に告白される話

狭山雪菜

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文化祭1

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「ーーこれより、第35回文化祭を開会します」

生徒会長の宣言をうけ、体育館が明るくなり
文化祭が始まる

「1年生から退場して下さい」
とアナウンスが流れ、ガヤガヤと騒がしくなる中、

ーー松井さんが言っていた山崎くんが私を見ていると言う言葉が気になりチラリと視線だけ隣のクラスの列を見る

1年の時は氏名順だが、身体が大きい彼は後方に行くようにと先生に言われていたのを思い出し、思い切って顔を上げ後ろを振り返ると、頭ひとつ出ている彼と目が合い、山崎くんは驚いていた

ーー本当だったんだ…

とむず痒くなり、山崎くんに向けて微笑むとザワッと周囲が騒がしくなる
「ちょっダメダメダメッ」
と松井さんが私の頬を掴み、下に向けた
「松井さん?」
「今っすごく凶悪な顔してるっ目の毒だよ!…みんなの」
意味が分からなくて、松井さんの腕を掴みコテンと顔を傾ける私にぎゅうぎゅうと頬を押し付け
「かわいいぃぃぃぃっ」と松井さんが膝から崩れ落ちた

「松井!退場だよっ!」
と先生に注意されるまで、松井さんの側でうっうっと泣く背中を摩った






*****************



午後から一緒に回る約束をした、私達
午前中暇になった私はいつも一緒にお昼を食べている場所で時間を潰すことにした

ーー1人じゃ回ってもつまらないし

松井さんはお化け屋敷の受付で、私の当番は一般公開の明日だからだ
去年は風邪をひいて休んでいたので、実質初めての文化祭なんだけど1人で回る勇気はなかった

携帯を取り出すと、山崎くんからメッセージが届いていた

『今どこ?』

20分前のメッセージに届いたメッセージに気がつかなかった
『今いつもお昼食べてるところにいるよ』
いつも利用する猫のスタンプを探して手を止めた

ぬいぐるみ…毎日一緒に寝てると急に思い出して赤面した

ぱっと思いを断ち切るように、猫のスタンプを押してメッセージを送った

 しばらくすると、階段を駆け上がる音が聞こえ、階段を登りきり屋上に続く扉の前にある手すりになっているフロアの陰に隠れた、だんだんと近づく音に怖くなりギュッと膝を抱え目を瞑る
すると、
「…近野?」
私を呼ぶ山崎くんの声が聞こえたので顔を上げると、手すりに手をかけこっちを見る山崎くんが居て
ホッと身体の力を抜いて、立ち上がる
「…びっくりした…先生かと思った」
「…あー悪い、メッセージ送れば良かったな」
と頭をガシガシッと掻く山崎くんはバツが悪そうにしていた

「どうしたの?」
と聞けば
「…明日に当番替えて貰ったから今日一日フリーだと伝えたくて」
と言って階段に座る彼の横に私も遅れて座った

「今日一日?」
「そう」
もう一度聞くと同じ答えが返ってきて、ジワジワと嬉しくなる
これから何しようかと思っていたら、山崎くんの大きな手が私の両脇に入り、持ち上げられ彼の膝の上に座らされた
突然の事で固まっている私に、彼は腰に腕を回し自分の身体へと引き寄せた
上半身ぴたりと重なる身体にドキドキして、彼の肩に頭を乗せた
ギュッと肩を掴む彼の手に力が入り、ジッと彼を見上げる

「…今日…クラスメイトの松井さんに…集会があると…山崎くんは私を見てるって言われて」
「…それで振り返ったのか」
「…うん…本当だった」
「…そうか…ごめん」
顔を上げ、彼を見るが彼は私の方を向く事なく階段を見ていた
「…?どうして謝るの?」
「いや…だろ…好きでもないヤツにじっと見られるの」

「…そうだ…ね、好きでもない人…に見られるのは…イヤ」
「っ…!」
多分驚いていると思うけど、表情が読み取れない
山崎くんの右頬に左手を添えて、こちらを向かせた

目が合うと、眉をひそめている山崎くんが私の肩から手を退けた
「…近野…あの」
静かな声を出し私の名を呼ぶ
「…でも…山崎く…んは…すっ好きな人だしっ」
視線を逸らせずに、真っ直ぐ彼を見て伝える

はっと目を見開き、驚く山崎くんの頬を撫でた

「近…野?」

そのまま黙ってしまった私達はしばし見つめ合っていた








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