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差し入れ2
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やぁっ!とかえぃっ!とか叫ぶ柔道場の一角を借りて横座りして見学している
何人かの部員達が投げ終わったり、倒された後によく目が合う
何故こちらを見るのか、不思議でしょうがない
ーー部外者だからかな?
それとも、と考えていたら
「お前らぁっ!終わったら余所見をするなぁ!集中しろぉっ!」
中川くんの怒号が道場内に響き、ビクッと反応してしまう
「……もう一本」
私が怖がってると思ったのか声が抑えられ小さくなった
ーー気を使わせてしまい、申し訳ないな
と脚に視線を落としているの
「山崎っ!三田っ!」
「「っす!」」
山崎くんの名に反応して、顔を上げると身長差が大きい2人が向き合っていた
他にも何組かの部員が向かっていた
「始めっ!」
と同時に始まる練習を山崎くんから目が反らせず時間も忘れて見ていた
****************
隣に座る山崎くんに青いシンプルなビニールに入れてあるジャージを渡す
「…これ、ありがとう」
「いや…別に良かったのに」
部活動の合間の休憩時間になると、私の横に来てくれた
隣に座る彼の座高は高くて私の目線だと胸元になってしまうので、顔を上げる
そして、渡そうか迷ったけど…折角作ったからと決意する
お菓子の包みを肩掛けバッグから取り出し、両手で彼の方へと差し出す
「…あっ…あと…これっ…その…貸してくれたおっ…お礼に」
めちゃくちゃ噛んで恥ずかしいっ!
赤くなる頬を見られないように俯くが、私が差し出す包みに手を伸ばす事なく座っている山崎くんに、やっぱり迷惑だったかな?!と視線を上げると
呆然と包みを見ている山崎くんがいた
「これ…俺に…?」
掠れた声が自分に言い聞かせ確認する様に呟く
「…うん…スポーツしている人用のがなくて…手作りなんだけど…もし手作りとか抵抗あるなら…きゃっ」
抵抗あるなら、持って帰ると言おうとしたら、包みを持った手を握られぎゅっと掴まれた
「いや!てっ抵抗はない!…本当にありがとう」
真剣な眼差しで私と視線が合う
「…バナナパウンドケーキなの…甘さ控えめで…その…手を」
中に入っているお菓子を説明していたけど、いつまでも離れない大きな熱い手が気になって、何を喋っているのか分からなくなる
ハッとした山崎くんは
「すっすまん」
パッと手を離し、大事そうにお菓子の包みを受け取ってくれた
じーっと見る私に
「……何?」
若干低くなった声と耳が赤くなっていて可愛いと、思ってしまって、クスッと笑う
「…ううん、口に合うといいな」
笑顔で告げると、ピキッと固まった山崎くんが視線をあちこちに逸らし汗が出ていた
その白雪の後ろでは、恨めしげに副部長を見る部員たちが
彼女欲しいと嘆き悲しんでいた事を、側から見たらイチャイチャして甘い世界に浸っていた2人は知る由もなかった
何人かの部員達が投げ終わったり、倒された後によく目が合う
何故こちらを見るのか、不思議でしょうがない
ーー部外者だからかな?
それとも、と考えていたら
「お前らぁっ!終わったら余所見をするなぁ!集中しろぉっ!」
中川くんの怒号が道場内に響き、ビクッと反応してしまう
「……もう一本」
私が怖がってると思ったのか声が抑えられ小さくなった
ーー気を使わせてしまい、申し訳ないな
と脚に視線を落としているの
「山崎っ!三田っ!」
「「っす!」」
山崎くんの名に反応して、顔を上げると身長差が大きい2人が向き合っていた
他にも何組かの部員が向かっていた
「始めっ!」
と同時に始まる練習を山崎くんから目が反らせず時間も忘れて見ていた
****************
隣に座る山崎くんに青いシンプルなビニールに入れてあるジャージを渡す
「…これ、ありがとう」
「いや…別に良かったのに」
部活動の合間の休憩時間になると、私の横に来てくれた
隣に座る彼の座高は高くて私の目線だと胸元になってしまうので、顔を上げる
そして、渡そうか迷ったけど…折角作ったからと決意する
お菓子の包みを肩掛けバッグから取り出し、両手で彼の方へと差し出す
「…あっ…あと…これっ…その…貸してくれたおっ…お礼に」
めちゃくちゃ噛んで恥ずかしいっ!
赤くなる頬を見られないように俯くが、私が差し出す包みに手を伸ばす事なく座っている山崎くんに、やっぱり迷惑だったかな?!と視線を上げると
呆然と包みを見ている山崎くんがいた
「これ…俺に…?」
掠れた声が自分に言い聞かせ確認する様に呟く
「…うん…スポーツしている人用のがなくて…手作りなんだけど…もし手作りとか抵抗あるなら…きゃっ」
抵抗あるなら、持って帰ると言おうとしたら、包みを持った手を握られぎゅっと掴まれた
「いや!てっ抵抗はない!…本当にありがとう」
真剣な眼差しで私と視線が合う
「…バナナパウンドケーキなの…甘さ控えめで…その…手を」
中に入っているお菓子を説明していたけど、いつまでも離れない大きな熱い手が気になって、何を喋っているのか分からなくなる
ハッとした山崎くんは
「すっすまん」
パッと手を離し、大事そうにお菓子の包みを受け取ってくれた
じーっと見る私に
「……何?」
若干低くなった声と耳が赤くなっていて可愛いと、思ってしまって、クスッと笑う
「…ううん、口に合うといいな」
笑顔で告げると、ピキッと固まった山崎くんが視線をあちこちに逸らし汗が出ていた
その白雪の後ろでは、恨めしげに副部長を見る部員たちが
彼女欲しいと嘆き悲しんでいた事を、側から見たらイチャイチャして甘い世界に浸っていた2人は知る由もなかった
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