ナイトプールで熱い夜

狭山雪菜

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番外編 ChristmasNight クリスマス企画最終週 ナイトプールで熱い夜

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「クリスマスは地上79階の夜景が見えるレストランでフレンチを食べて、そのままその下のホテルに泊まろう」



――なんて素敵なクリスマスだろう!と、ウキウキしていた時もありましたわ
それなのに実際は、待ち合わせ場所の駅で待ちぼうけ。待ち合わせ時間から1時間、スマホを見てもなんの連絡もなし。またか、と思いつつ、慣れた様子でSNSをチェックすると、火事の情報がぱぱっと入る。
「…えーと、亮平りょうへいの管轄は…っと」
検索画面で"地域"と"火事"で検索すると、今起きている火事がリアルタイムでSNSに流れた。呟くコメントは"マジか"とか"そばにいたよ"とかのどうでもいい情報も入る。
「…火事か」
ぽつりと零れた言葉は、街中に流れるクリスマスソングに消され、私は家へと帰る事にした。



私――萌香もえかは、デザイン系の会社に勤める28歳の社会人。27歳の夏、親友である美波みなみと一緒にナイトプールというホテルの最上階で開かれた、成人した人限定の夜間プールに遊びに行って、運命的な出会いを果たした。
彼――亮平りょうへいは、ツーブロックの黒い短髪で眉が太く、細い一重の目がキツい視線は怖い第一印象を与える。日に焼けた小麦色の肌に分厚い胸板。綺麗に分かれた大きな6パックの腹筋と太い手足。普段から鍛えているという彼の職業は、消防士だ。大規模な火災となると非番の日――休み――でも呼び出される過酷な職業だ。特に冬場は空気が乾燥して、火災も多いから出動が多いのだ。


こうして予定が潰れたのも、ドタキャンされるのも一度、二度じゃない。それでも仕事と私とどっちが大事なの!と言えないのは、人命がかかっているからだ。
――流石にそこまで自分勝手には生きれない
反対に彼が仕事に行かず私のそばにいたら、それはそれで嫌だからだ。その代わり彼は私といる時は、私を構い倒すからそんなに不満がないのもかもしれない。
――でも待ちぼうけは嫌だな…せめて連絡…は難しいか
このまま一生そうなのかな…とネガティブな発想になり頭を横に振った。楽しみにしていたから余計に嫌な方向に思考がいってしまうんだと自分に言い聞かせた。
外食するつもりだったから、料理なんてしていないので、スーパーでクリスマス仕様のお弁当やお菓子、飲み物を購入してエコバッグにいれて家へと帰った。


1人で住むには少し広い2LDKのマンションの一画。責任のあるポジションにつくと会社勉強する時間も出来ないため、仕事後に資料や本を読むスペースが欲しいのと、それなのに寝てる時ぐらい仕事を忘れたいと、寝室とは別の部屋を書斎として使いたくて色々探して見つけたのがこのマンションで、少し割高な部屋だけどとても気に入っている。
小さなクリスマスツリーだけを飾ったリビングのテーブルの上に、スーパーで購入した商品が入ったエコバッグを置いた。



遅すぎる夕飯も食べ終わると、もう何にもする気が起きなくてベッドに入った。

夢の中へと入っていた私は、シンとした家の中で物音が聞こえて目が覚めた。ドスドスと室内を歩く聞き覚えのある音は、私が眠る寝室の前までやってきて扉を開ける。
「…帰ったの」
「ああ、すまなかった」
私のそばにその足音の主が近づいたので、声を掛けた。私が横になるマットレスが凹み身体が傾くが、大きな身体が私の身体を止める。
薄暗い部屋で廊下の電気の明かりを頼りに目を凝らすと、そこにいたのは今日会うはずの亮平だった。
手を伸ばすとまだ帰ってきたばかりなのか、冷たい手が私の手を取り指先を絡めた。恋人繋ぎした手を軽く引っ張ると、亮平は屈み私の唇に触れるだけのキスをした。
亮平の顔が寝起きの私にとっては物凄く冷たくて、一気に目が冴えた。
「…出かけ際に出動命令があった」
他に言い訳するでもなくそれだけ言うと黙り込む亮平は、守秘義務があるため仕事中で起きた事は例えそのせいで約束の時間に遅れても詳しい事を口外しないのだ。
「そう…冷たい…お風呂入ってく?」
私も彼がこれ以上何も言わない事を知っているから、なんで、とか問い詰める事なく話を逸らした。
「ん、そうする」
お風呂に入ると言いつつ、私の首筋に顔を埋めた彼の頭を抱きしめると、冷えた身体が私の熱で温かくなっていくのを感じる。
「…一緒に入る?」
なかなか動こうとしない彼に私が動かないとダメかもと、提案をすると、
「準備してくる」
と、先ほどまでの動きとは反対に、私から離れてお風呂場へと向かったのだった。




***************



「萌香…早く来いよ」
亮平がざっとシャワーを先に浴びる事になり、どうせなら記念日っぽい事をしようと特別に着替えたけど…バカな事をしたと彼のいる浴室の扉を開ける前に躊躇していた。いつまで経っても入ってこない私に、しびれを切らした亮平から入るように促された。
「…うん」
脱衣所の電気を消し、意を決して浴室のドアを開けると、お風呂に浸かる亮平が天井に向かって顔を向け目を閉じていた。
「…亮平、横の電気つけて」
私がそう言うと、目を開けた亮平が私を見て目を見張る。
「…萌香…っ」
彼が驚くのも無理はない。私が今、身につけているのはサンタコスプレサンタコス風の赤いビキニだからだ。首元には白い襟をチョーカーのように付けて、自慢の胸を少しサイズの小さな面積のビキニで支える。キュッと細くなったくびれをそのままに、アンダー水着は真っ赤だけど際どいTバックスタイルだ。すらっとした素足に、本当はサンタらしく黒いブーツを履きたかったが、室内だし浴室だからやめた。両手には食事に出かけて帰ってきた時に、乾杯をしようと思って購入した2つのシャンパングラス。もちろんグラスの中には、彼のためにノンアルコールのシャンパンが入っている。お風呂の横にある照明のボタンを付けるように、もう一度亮平に言うと彼は私から視線を外さず、手探りでボタンを押した。浴槽にイルミネーションのように青白い明かりが灯り、次に赤、黄色と変わり、また青白いのお風呂のお湯の色が変わる。亮平がいる浴室の電気も消すと、彼は私を視線だけで殺せるような鋭い眼差しを向けている。
「それ…は」
一歩、一歩浴槽に近づくと、掠れた亮平の声が響く。
「クリスマス…だから、特別」
そう言って足を上げ浴槽の縁を跨ぐと、亮平は脚をズラして私の足が入る隙間を作ってくれた。浴槽の縁に腰掛け、手に持っていた2つのシャンパングラスを彼に一つ渡した。
一般的な大きさの浴槽なので私が入ると大きいくらいだけど、身体の大きな彼が浴槽に入るとみっちりと埋まり足を少し曲げて窮屈そうにしている。
狭い浴槽に座る彼の中で足を組むと、私の身体に痛いくらいの視線を感じる。
「…乾杯、亮平」
「乾杯」
グラスを傾けて彼のグラスに当たると、ガラスのぶつかる音がした。
他愛のない話をするわけでも、今日のレストランのドタキャンの話をするわけでもなく黙って飲んでいると、グラス一杯しかないシャンパンを一気に飲み干す亮平は、グラスを水栓の下に設置された白いカウンターに置いた。
「…萌香」
彼に名前を呼ばれて私もグラスのシャンパンを空にし、彼がグラスを置いたカウンターの横に並べておいた。
足を組むのをやめて彼の胸元へと移動すると、大きな腕の中に収まった。潰れて形の崩れた胸が固い彼の胸板に当たり、彼の足の上に座ると自然と私の腰に彼の腕が回った。
「いい子には、プレゼントがあるけど…何がいい?」
彼の唇に人差し指を当てながらそう言うと、亮平は珍しく口角を上げた。


壁にもたれて浴槽の縁に座った彼は足を開げていた。開いた足の間に正座して座っていた私は、最初に彼の昂りに下から上へと丁寧に舌を這わし、凸凹した先端付近には唇で喰みちゅうっと吸い付く。大きすぎて片手じゃ握れない昂りを両手で包み、強弱をつけながら上下に擦ると、頭上からくぐもった声が聞こえた。
――気持ち…いいのかな
今にも破裂してしまいそうな見た目とは正反対にぴくぴく反応する昂りは、可愛いく愛おしい気持ちがどんどん溢れていく。好き、と気持ちを込めて先端を口に含むと、彼の手が私の頭に添えられたかと思ったら、頭を掴まれ昂りを口から出し入れされた。口内いっぱいに満たされる昂りの凸凹が、舌に当たりくすぐったい。何となく舌を動かし、口から抜けそうになる時に名残惜しくちゅう、と吸い付くと、亮平がぐぉっと唸る。
「…ん、っ気持ち良かった?」
先端から口を離し、膝立ちになった私は、ビキニの胸を支える真ん中のラインの生地を摘み引っ張ると、胸の谷間に彼の昂りを入れて両胸で挟んだ。胸の両方の外側から押して、昂りを胸でグリグリと挟みながら、谷間から出る昂りの先端に舌を這わすと、亮平の息が余計に荒くなった。
「…っ、萌…萌香ッ、くッ」
ぱんぱんに膨らんだ昂りは、一度大きく膨れて勢いよく先端から白い証を放出した。舌を這わしていた私の顔や髪、胸元までもが熱い証を注がれ、突然の事でびっくりして声も出なかったけど、条件反射のように口周りについた彼の証をぺろりと舐めてしまう。
「…好き」
私をじっと見下ろす亮平の視線を感じてそう告げると、
「俺もだ」
そう言って私の頬や胸元についた証を指で掬い、私の口元に運び薄く開けた口の中へと入れた。口に入れられた彼の人差し指と中指を彼の昂りに舌を這わした時と同じように、舌を這わしちゅうちゅうと吸い付いていると、胸に挟まった昂りがむくむくと大きくなりビキニがキツくなる。
「…俺のサンタのご希望は?」
「ん…欲しいの」
欲情の眼差しで見つめられ、口内には彼の2本の指が動く。浴室には彼の匂いが立ち込め、ぼうっとする頭で何とかそれだけ答えた。

浴槽に立って浴室の壁に手をつけ、背後から彼の昂りにより貫かれた。水着もそのままで垂れた胸を背後から回された彼の手によりこねられると、快感が一気に増して壁につけた手に力が入らなくなる。ぱんぱんと遠慮なく欲情をぶつけられ、胸だけじゃ飽きたらず腰やお尻をぐにゃぐにゃに揉まれる。
「はぁっ、あっ!ん、あっ」
「っ、はっ…ぐっ、…はっ」
お互いの荒い息遣いと甘い嬌声、肌のぶつかる音と水音とは違う粘性の音が浴室に響いていく。
手に力を入れ身体を起こすと、亮平の固い胸板に私の背中が重なり、繋がっていた下半身の昂りが入る角度が変わり、私を抱きしめる彼の肩に後頭部を押しつけながら、呆気なく達してしまった。上向きに快感をやり過ごしていると、私の右の内腿を掴んだ亮平が持ち上げ、浴槽の縁に私の足を置く。
止まっていた腰の動きが始まると、下半身に食い込む水着が快感をまた誘う。
「ッッ、んっ、はっ…あ…っんぅ」
バランスの取れない身体を右腕を上げ、亮平の首の後ろへと回す。私の首と肩の境目に顔を埋め突き上げられる昂りに、気持ちいいとしか考えられなくなる。
「ッ、い…た、っんぁっ」
「っ、っ」
噛まれた肩も快感を高めるためのスパイスとなった。パシャパシャッと覚束ない足元のせいで、湯が揺れて激しく波打つ。私の内腿を掴んでいた亮平が、私の食い込む水着に移動をさせると繋がった箇所に触れた。飛び出した粒に触れられただけで、閃光が走り真っ白な視界となった。
プルプルと震える私を支えながら、ぎゅぅぅっと遠慮なく締め付けた昂りは私の中で果てた。



「…可愛い!」
数回交わっただけじゃ物足りなず、ベッドに移った私達。お互い生まれたままの姿で、ヘッドボードに背中を預けて座る彼に向き合って跨いで座った。小休憩としてただ微睡む時間に、お風呂場から持ってきた白い襟を亮平の太い首に付けると、全裸なのに襟が付いているおかしな状況となった。日に焼けた肌に白い襟はとても目立って、彼の顔とキャラにマッチしていなくてシュールだ。
キャッキャ笑う私を彼は口を塞ぎ黙らせると、固くなった昂りを私の下生えに擦り付ける。がばっと覆い被され、彼の上から彼の下へ形成が逆転すると、舌の絡まる濃厚な口づけに変化する。
「ん…もぅ?」
休んだ時間はほんの10分にも満たないのに、疲れよりも嬉しい気持ちが勝った。
「今日はごめん」
ずっと引きずっていたらしい彼に口づけが解けた後そう言われ、ううん、と頭を横に振った。
「…無事で良かった」
ドタキャンされても、連絡がないと不安に駆られる。何かあったんじゃないか、と。だけどいつも私の元に帰ってくる亮平を見ると、怒りや心配が消えるから不思議なのだ。

「いい子は…何が欲しい?」
さっきのお風呂場での私のセリフをそのまま返され、思わず声に出して笑ってしまう。
「っ…あははっ!……なら、ドタキャンした彼氏の代わりに私をたっぷりと愛して」
彼の好きな上目遣いをすると、ぴくりと胸板が動いた後固まった。
彼の太ももの裏へ足をかけて、足の指先でふくらはぎをなぞると、求めていたもの・・を貰った。



最低限の食事と水分補給やトイレ以外は求めあって濃厚すぎるクリスマスを過ごした2人だったが、冬休みに突入したと同時に同じように過ごした事を、この時の2人はまだ知らないのであった。
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