短編集〜現代〜

狭山雪菜

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父と、娘の旅行1

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「お父さん、金曜日の夜から友達とお泊まりしてきていいかな?」

「…金曜日?帰ってくるのは?土曜日か」

「ううん…日曜日だけど…ダメかな?」

「…友達ってあかりちゃんって子だっけ?」

「そう、中学の時の友達」

「ならいいが、ちゃんと携帯忘れるなよ」

「は~い」










本当は友達の家には行かない

私が行くのは、年上のカレとの温泉旅行だったのだ








幼い頃からお父さんが好きで、お母さんが死んでもお父さんを支え続けた
でも、お父さんは最近好きな人が出来たみたいでこの気持ちを振り切るために
YouTubeの広告で流れてきたマッチングアプリ"ストロベリーラブ"で趣味友から探す事にした


ナツ 19歳 女
コメント
こういうのは始めてなので、返信遅れたらすいません☆年上の人とお話ししたいです☆趣味は料理と旅行です☆


19歳という年齢だからか、山ほど通知が来て困っていてパパ活許容と書いてあるのかほとんどで不快に思いアプリを消そうと退会を探していたら見つけた【近くの人を探す】アイコンを好奇心でタップ
すると20件程になった趣味の条件にあった自動選別はほとんど20代~30代後半だったが、どれも惹かれず
諦めようかと思っていたら一番最後のページの一番最後の人が42歳趣味旅行で、温泉の写真のプロフィール画面だった

アキ 42歳 男
コメント
趣味旅行

とシンプルすぎる文面に惹かれて彼にメッセージを送った

『19歳ですが私も旅行好きなんです!話しませんか?』

メッセージを送ってから数時間夜の0時に返ってきたのは『よろしくお願いします』のひと言だけ

それからメッセージをやり取りする様になり、決まって夜の0時から
マッチングアプリ経由の電話をすれば番号がバレないと知った私達は電話をするようになった
私の愚痴や話を楽しそうに聞いてくれるアキさんに、『変な話ばかりでごめんなさい』と言うと
彼は仕事が忙しく、メッセージもあまり返せなくてごめんと逆に謝り、声も疲れているようだったが『ナツの声を聞いたら元気になる』といつも言ってくれた

他愛のないメッセージのやり取り、たまに電話していたら
彼と知り合って半年、私の20歳の誕生月に告白をしてくれた
『…こんな会ったことないおじさんに好きと言われるのは、気持ち悪いかもしれない…ナツが好きだ』


私は嬉しくて涙が溢れ
『私も電話での声じゃ物足りないです、アキさんに惹かれてます』
と正直に伝えた所、一度会って旅行に行かないかと提案してくれた
のだが、なかなか2人の時間が合わず、『この日にもう旅行に行きましょう!』と無理矢理半年後の土日に予約を入れてもらい2人で『絶対に他の予定入れちゃダメだよ!』と言いあって笑った




それがアキさんと出会って1年間のやり取りで、今日はアキさんに会う日だ

お父さんには、土曜日の朝出かける言い訳するのが恥ずかしくて
あかりに協力してもらい金曜日泊まり、そこから待ち合わせ場所の駅……新幹線が停まる駅で待ち合わせしたのだった


マッチングアプリ内で着く新着メッセージ
『着いたよ、黒い鞄に紺のジャケット』
駅構内に入っていなかった私は急いで返信した
『ごめんなさい、もうすぐ駅です。私は青いワンピースに青いキャリーケースです』


また新着のメッセージが届いた音がしたが、無視して彼の元へ急いだ

駅構内に入ると、彼の言っていた条件の男性を探すが、見当たらずもう一度スマホを持ち上げたら人にぶつかった

「すみませ…」
「いや…こちらこ…」
お互いに謝り顔を上げると固まる2人

目の前には紺のジャケットに黒い鞄の男性
そして
「………夏子…どうしてココに?」










と驚きを隠せないお父さんが居た


「…お父さんこそ…なんで…その格好…アキさん?」

「青いワンピースにキャリーケース…ナツな…のか…?」

お互い親子がマッチングされたのだった

混乱している2人に駅に新幹線が到着したとのお知らせのアナウンスが流れ、ハッと我にかえる2人


「…とりあえず…旅行…行くか…?」


「…………うん」







お互い気まずいまま並んで1番端の指定席に座り、荷物を座席の後ろへ置きお父さんが通路側に座った


出発してもなお黙る2人





「….お父さんは…その…恋人を探していたの…?」
駅で会ってから思っていた事を口にする、すると
「…いや、最初は本当に趣味友達を作りたかっただけだ………夏子は……年上が好きなのか……?」
とトレーが収納されている座席の前を見て目を合わせないまま小さい声で話す2人

「………うん……好き」
本当はお父さんだけど…と言う声は心の中にしまう

「…そうか…」
とひと言言って黙るお父さん





どのくらい黙っていたのだろう


「……私………じゃ………ダメだろうか……」


と微かな声が隣から聞こえ、お父さんの顔を見る
前を見ていた父は、私に視線を合わせると
「…この旅行で恋人みたいな思い出をくれないだろうか……それでナツを諦めれるよ」
失恋したような顔で伝える言葉は残酷で
「…うん…私も…アキさんと…旅行楽しみにしていたんだよ」
と無理矢理笑顔を見せた





新幹線の中で決めたのは、
お互いアキとナツで会う
手を繋ぐ以上の事はしない
この旅行が終わったらお互いに忘れる

だった

アキとナツになった2人が最初にした事は座席の肘掛けを上げて、一緒に観光する場所を探す事だった
駅に着いたらまず、旅館に荷物を預けて
えっ?旅館?もう入れるの?
いや、チェックインはまだ15時だけど荷物は預かってくれるって
じゃあそのあとは、このお城見に行かない?
いーね、休むなら…この辺りかな

などと話していたらあっという間に目的地の6個前の駅に着き乗り換えをして各駅停車で旅館まで行った

旅館に荷物を置いた私はスマホとミニハンドバッグを持って、アキさんは手ぶらで観光に出発した


2人で笑い合い、ご飯も食べ、休憩し、観光スポットを周り終わった頃には日が暮れて薄暗くなっていた

旅館にチェックインするか…と呟き歩き出すアキさんの腕を掴んだ
「どうした?」
「…恋人同士なんだから腕はいいでしょ?…手は繋いでないよ」
と屁理屈を言い彼の横に立つ
驚いていたアキさんは何も言わず歩き出す


無言のまま旅館に着き、部屋に案内され
「部屋での食事の準備は19時頃です」
と言われ中居さんが出て行った

部屋は個別の露天風呂がついており、最初に通された座卓のある12畳くらいの大きな部屋とミニベランダが付いている8畳くらいの畳の部屋が1つと、洗面台脱衣所とシャワー室トイレがあった
室内をひと通り見たあと、最初の部屋に行くと大きな座卓に座ってお茶を飲むアキさんがいた
彼の横に座るとビクッとするアキさん
「…ナツ」
困惑した彼にもたれ掛かり、彼の腕に手を乗せ肩に頭を乗せた
「…アキさん」
しばらく静寂が2人を包み込んだ



アキさんが動く気配がしたと思ったら私の手に重なるアキさんの手
お互い指先を曲げ握ると私は顔を上げてアキさんを見つめる
アキもナツを見つめ2人は見つめ合い
意を決して告げる
「…本当は…年上が好きなんじゃないの…お父さんが好きなの…子供の頃からずっと…気持ち悪いかもしれない…むっ娘に異性として…好かれるなんて」
涙が溢れ目が潤む
「……ナツ………いや……夏子……このアプリを始めたのは…夏子の事を想い始めていて、母さんが亡くなったから人肌寂しくてなったから…だと思っていた…誰か…と恋をしなければ…と…だがナツに惹かれ…夏子…の想いも止められなかった」
「……お父さん」
「……夏子」

だんだんと近づいた顔は口と口が触れた事によりタガが外れた2人は、今までの想いをぶつけるキスをする
舌を入れ舌の付け根を吸い舐め、甘噛みする父
一生懸命応えようとする娘
ふっんふっとナツの口から甘い声が漏れると、押し倒し上に覆いかぶさり荒々しく貪る口づけ
父の首に腕を回し落ちてくる唾液を一滴残さずゴクンと飲み込むナツ
2人顔の角度を変え絶え間なく舌を絡め唾液を送り合うと下半身に当たる父の欲情に無意識に腰を揺らすナツ
このまま胸に手で触れる時になり、ノックの音が聞こえ、慌てて居住まいを正す2人

入ってきたのは、先程の中居さんと数名の人
食事の時間を準備させていただきます、
と伝えた中居さんはテキパキと準備を始めあっという間に完成する魚介料理たっぷりの食事
中居さんが出ていき改めて、危なかったね、とクスクス笑い席についてご飯を食べる
ある程度食べ終わり、中居さんが片付けお布団の準備を始めている間にミニベランダにあるテーブルと椅子に座り海と山のバランスが良い夜景を見る
お互いにくっつき肩に頭を乗せ雑談する
たまに見つめ合い触れるキスをする

いつの間に中居さんがいなくなっているのに気がついた2人は父に手を引かれ室内に入り、そのまま脱衣所に行き露天風呂に入る準備をする
脱ぎ始めた父に背を向けタオルを巻いて彼の方を向く
父は既にタオルを腰に巻き、ナツの手を引き寄せ腰に回すと2人は初めて抱きしめあった
そのまま顎を掴まれ上げられた顔に目を閉じ2人で舌を絡めるキスをし、一旦離れ露天風呂へ続く扉を開けた


身体をざっと洗い流したナツは既にお風呂に入っていた父の背後に立ち、タオルをパサリと足元へ落とした
父はその音を聞いてドキッとしたが、年の功か顔には出さなかった
チャプンと水音がし、波が出る湯船
父の横に座ると回される手が肩に触れると父の横に抱きつき何も隠されていない乳房が脇腹にぷにゅぅと柔らかい弾力が当たる
タオルを風呂に入る前に取っていて隠すモノがなかったが既に勃ち上がっていた父のモノは赤黒く、お腹にくっつきそうだった
しばらく2人でお風呂に浸かり、お互いにくっつきはち切れる想いをしながらどちらかともなくキスをすると激しくなるキスにツンとした乳房の粒が父の脇腹を刺激する
待ちに待ったナツの豊満な胸を揉み粒をカリカリと爪で引っ掻くと抱きつく力が強くなる
「ンッンッ…ぁ」解放される事のないキスに苦しくなり口を少し離し息を吸い込む
首筋に埋められた顔がねっとりと舐めナツの肌を堪能する
「んっ…アキさ…私…初めて…なのと」
途切れ途切れに伝えると、そうかと嬉しそうに言われる
されるがままだったナツは彼の首筋に同じように顔を埋め舐める
お互い舐め回す首筋から顔を上げると

「…上がろ…か…ナツとの初夜は…お布団で」
熱い吐息が唇に当たり期待で身体が震えた
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