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本編

六月に芽吹く(15)

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怖いのは神崎の目が笑ってない事だ。それにそれはさっき女の子に対して俺が考えていた事でもある。ゾッとする。思ってる以上に神崎がきちんと俺のことを理解してる。俺に興味なんて一切ないと思ってたのに。でもそれが少しだけ嬉しいなんて思ってしまうんだから、俺も重症だ。


少し考えてゆっくりと息を吐き出し、それからスマホを神崎から奪い床に絨毯が敷いてある事を良いことに放り投げる。

「あ…っ!」
「お前はこっち」

視線が外れた隙に神崎の肩を掴んでそのまま一緒にソファーの上に倒れ込んだ。

「朝起きたら素面の俺にキスの一つでもしてくれよ」
「……良いのか?」
「いいよ。はい、これでおしまい。マジで限界だからもう寝ようぜ」

くわぁと欠伸を一つ噛みしめて神崎の頭を寝ろ寝ろと雑に撫でる。


投げた反動で録音ボタンが押されてしまい、翌朝神崎と大揉めする事など今の俺は知る由もない。
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