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本編

六月に芽吹く(13)

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「俺、小鳥遊だったら抱けるよ。ゴム、さっき寄ったとき買ったんだ」
「何でだよ、出さなくていいから!」

袋を漁りだした神崎の腕を引いて止める。既に掴まれてる神崎に不釣り合いなラベルに気が遠くなる思いがしたが、何とか押し留めて手を叩いて袋の中に落とした。

「許可なくしないよ。小鳥遊にとって俺は浅く広く繋がってる友達の一人かも知れないけど、でもそれ以上になれるよう俺頑張るから」

そう言うくせに俺から視線を反らす。

神崎は恥ずかしがってる時、普通を装うとするが絶対に視線を合わせようとしない。自分の顔の良さもちゃんと自覚してる、それから俺が神崎の顔が好きだって事も。知ってるくせにそれを利用しない所がほんの少しくすぐったい。

「別に、頑張らなくていい」
「嫌だ、それだけは許してくれ。頼む」
「じゃなくて。俺ももう神崎のこと好き、だから…」

あれ、思ったよりも口にするのは恥ずかしいな。顔を反らしてそれからチラッと様子を伺えば、神崎はこっちすら向かず鞄の中を漁っていた。
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