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本編

六月に芽吹く(3)

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ちょっとだけスマホ触るなと断りをいれて開いたトーク画面は拍子抜けするほどあっさり、何てことない返事が届いていた。

『料理は美味しいか?』

止まりかけてた息をゆっくりと吐き出す。ドッドッと胸を打つ心臓は今も痛い。あぁ、そうだよな。神崎ってこういう奴だわ。微かに口元が緩んだのはただの自嘲だった。

『美味いよ、別の日に一緒に食べに来る?』
『何を食べてるんだ?写真は送れるか?』

神崎ってそんなに飯に興味あったか?食べられるなら何でもいいと言いたげに、わざわざコンビニが目と鼻の先にあるようなアパートを借りてたくらいだ。そう思いながら周りに許可をとって写真を撮る。

『美味そうだ、店の名前は何ていうんだ?』

別に返事は今しなくたっていい。そんなくだらない内容だ。それでも神崎とやり取りが続くのが嬉しくて返事をしてしまう。だが店名を教えた以降、既読はついたが返事は来なくなってしまった。どうやらこれで終わりらしい。

どんなやり取りを求めてたかなんて聞かれても困るが、これじゃない事だけは分かる。賭けは俺の負けみたいだ。
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