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本編

四月に花が咲く(7)

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「小鳥遊が引っ越したくないなら、俺が小鳥遊の家に移る」
「あのなあ、俺のアパート何処にあるか知ってるのかよ、知らないだろ?お前の赴任した学校と真逆だぞ。此処よりも更に通うのが遠くなる」

大学で終わると思ってたくせに俺は神崎が赴任した学校がどこなのかとか、住む場所は変えるつもりがないだとかそんな今後のことを知っていた。

でも逆に神崎は俺のことを何も知らない。聞いてこなかったし、俺も言わなかった。大学の卒業を機に勤め先の小学校に近い場所へ移り住んでる事も知らない筈だ。

「別にいいよ、早く起きればいいだけだ」
「寝起き悪い癖によく言う」


真っ直ぐにコッチを見てくる瞳から意志の強さを感じさせられる。神崎の中で俺とのシェアハウスはもう決定事項とされてるらしい。

家賃は折半しよう、なんなら光熱費は俺が全部持つから。なんて甘い誘惑をチラつかせられると心が揺れる。

俺が金に弱いことを知っての物言いだ。

実際、バイトよりは教師の給料は良いが日々の生活だけであったはずの金はいつの間にか消えている。万年、金欠。

家にかかるお金が抑えられるのは魅力的だし、何より神崎に俺が必要だと遠回しに伝えてもらえたのも嬉しかった。


あぁ、どうやら終わったと思ったこの関係はもう少しだけ続けても良いらしい。
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